はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は自然単【オービーメイカー】
元々昨年のGP2022で登場して以来環境で戦ってきたアドバンスのデッキで、ここ最近はやや低調な傾向にありました。が、環境の変化に伴ってまた活躍の機会が巡ってきたのか、ここ最近でグッと評価を伸ばしており、今注目のデッキとなっています。
久しぶりに最前線へと復帰しはじめている自然単【オービーメイカー】について、基礎から紹介していきたいと思います!
自然単【オービーメイカー】のサンプル構築
メインデッキ
超GRゾーン
零龍の儀・龍頭星雲
自然単【オービーメイカー】ってどんなデッキ?
《十番龍 オービーメイカー Par100》を素早く着地させることに心血を注いだ、コンボ性の高いビートダウンデッキです。
目を惹くのはやはり、大量に採用されたメタカードとサーチカードでしょう。
序盤は妨害で相手の動きを遅らせつつ自分はせっせとパーツ集め。中盤以降は《十番龍 オービーメイカー Par100》を着地させてクリーチャーデッキを牽制しつつ、《とこしえの超人》や《ベイB セガーレ》を絡めてトリガーをある程度ケアできる体勢を整えてフィニッシュへと向かいます。
大量のサーチでデッキを回せるため、コンボパーツだけでなく相手のデッキに合わせたメタクリーチャーを持って来やすく、採用するメタクリーチャーを変えることで環境に適応することもある程度は可能。
トリガーを直接封殺する手段がないため詰め筋は一筋縄ではいきませんが、ひとまず「最速で戦況を制圧すること」に関しては環境デッキでも屈指です。
詰め方にバリエーションを付けづらいことから比較的相性関係のはっきりしているデッキで、ロック能力の有効でない自分ターン中の展開、すなわちトリガーでのカウンター性能が高いデッキや、そもそもクリーチャーを余り使わず呪文による除去手段が充実しているデッキは非常に厳しい相手です。
逆にクリーチャーの出力に頼り切ったデッキは登場するだけで完封まで見えるほど。
ここしばらくは環境から激減していましたが、現在は環境内に呪文主体のデッキがそれほど多くなく、数少ない【5cコントロール】も確定除去の採用率は低めで《十番龍 オービーメイカー Par100》が退かされづらく、トリガーはクリーチャー踏み倒しからのカウンターが主体なので《ベイB セガーレ》と《とこしえの超人》や《かぼちゃうちゃうちゃう》である程度までケア可能。
【サガループ】に対しても速度面で勝り、メタクリーチャーによる妨害まで持ち合わせていたりと、かなり良好な立ち位置を確保しています。
自然単【オービーメイカー】に採用されるカードについて
コスト1のメタクリーチャー2種8枚。
大量の軽量サーチ呪文で必要な相手に必要なカードを用意しやすく、1マナという軽さでサーチ呪文から拾ってきて即座にプレイしやすい上に《十番龍 オービーメイカー Par100》の軽減のタネとしても優秀と、デッキとの噛み合いが優れたカードたち。これらのメタカードで序盤を抑え込めるところも自然単【オービーメイカー】のコンセプトの一部だと言ってもいいかもしれません。
《とこしえの超人》は言わずと知れたアドバンス定番のメタクリーチャー。オリジナルと同じく墓地蘇生ギミックに対して明確なキラーカードとなるのはもちろん、超次元ゾーンや超GRゾーンの利用全般をわずか1マナで封じるのは破格というほかありません。
《ベイB セガーレ》はコストを軽減・無視しての早出し全般に対して刺さるメタクリーチャー。1度限り・相手のマナを伸ばしてしまう弱点はあるためタイミングがやや難しいものの、こちらもわずか1マナで置換式除去を用いた「出させない」メタ能力を押し付けられるのはやはり強力です。
能力を使うと自動的にバトルゾーンから離れてしまうため、このクリーチャーと《十番龍 オービーメイカー Par100》を含めた自然クリーチャー5体の盤面の盤面を作っても、相手があえて《ベイB セガーレ》のメタに引っかかるクリーチャーを出そうとすればシビルカウントを外されてしまう点には要注意です。
両者ともにプレイヤーを攻撃できないデメリットが付いていますが、その分パワーが高めに設定されており、《ソイソイミー》の能力起動に寄与してくれます。
墓地からカードが離れず、墓地の呪文を唱えられなくなる強烈な墓地アンチカード。
《若き大長老 アプル》との違いは《「敬虔なる警官」》への耐性でしょう。現環境の【サガループ】を意識する場合、コスト3はそれだけでひとつの除去耐性。
そもそも、軽量クリーチャーを連打するギミックを中心とする自然単【オービーメイカー】にとって、《「敬虔なる警官」》は不倶戴天の敵。コスト3のメタクリーチャーが入ることでコスト2ロックを無視して相手の行動を封殺し、着実に1ターンをもらってロック期間をやり過ごせる利点は非常に大きいです。
それほど広い対面に刺さるわけではありませんが闇絡みのデッキはなんだかんだで墓地を使いますし、大量のサーチカードで必要に応じて持ってくるだけでも十分。
マッハファイターを持っているコスト3のクリーチャーということで、メタクリーチャーを除去する性能も高め。パワー上昇条件を満たした《S級原始 サンマックス》に侵略して1体をパワー12000で上から踏みつつターン終了時にもう1体をマナ送り、合わせて2体を除去できるコンボも密かに搭載されています。
唯一の懸念点は、最新デッキの優秀な除去持ちアビスロイヤル《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》を採用した【サガループ】がオリジナルで見られはじめている点。2マナでテンポ良く除去されるため少しだけ厄介です。
「マナ爆誕0」によってマナからコストを支払わずに召喚できる「実質コスト0」勢の一人。最高の相方だった《ダンディ・ナスオ》のプレミアム殿堂入りが痛いものの、それでもなお活躍できるカードパワーを持っています。
マナをタップする必要がないとはいえど、マナ爆誕を使うとこのカード自身ともう1枚の2枚がマナから減ってしまうため、2マナをなんらかの形で使ってから召喚するのがセオリーです。《ソイソイミー》やメタクリーチャー2体から続けてマナ爆誕するのがナチュラルにクリーチャーカウントを稼げて良い組み合わせでしょうか。
また、このカードを使わずとも《十番龍 オービーメイカー Par100》を召喚できる場面であっても、頭数を強引に1増やしてシビルカウントを解除されづらくするためのカードとして使えます。マナの枚数と引き換えかつ《十番龍 オービーメイカー Par100》自体が除去されてしまうと立て直しが非常に厳しくなりますが、相手に《十番龍 オービーメイカー》に触る手段が少なくシビルカウントさえ維持すれば勝てる状況下であれば狙う価値があるでしょう。
パワー4000以上のクリーチャーが先にバトルゾーンにあれば手札1枚から2体のクリーチャーを召喚できる、カウント稼ぎ効率◎の軽量クリーチャー。「頭数を非常に効率よく稼げるカード」以上でも以下でもなく、特別な使い方やシナジーもありませんが、とにかく頭数が重要なこのデッキでは頼れる1枚です。
隣にパワー4000以上のクリーチャーがいなければGR召喚できない点はうっかりすると忘れがちなので必ず意識しておきましょう。
打点補助が主な役割となるS級侵略者。コスト3のクリーチャーを3打点に計上できるため、《十番龍 オービーメイカー Par100》を詰めに回したい場面はもちろん、《十番龍 オービーメイカー Par100》なしでメタビートを押し通す展開でも非常に重宝するカードです。
《原始 サンナップ》でマナをアンタップしてそのまま3マナ払って進化することで、実質コスト3マナの召喚酔いしない3打点になるのも偉い。
基本的な運用での違いはほとんどない両者ですが、いくつか細かい違いがあります。主に重要なのは除去タイミングとパワーの2点。
《S級原始 サンマッド》は登場時に即座にマナ送り除去を飛ばせるのに対して、《S級原始 サンマックス》の除去はターン終了時。相手の盤面にブロッカーがある状況で責める場合には《S級原始 サンマッド》が優秀。
ただし、《S級原始 サンマッド》はバトルゾーンに自分のクリーチャーしかいない場合でもクリーチャーが4体以上あれば1体をマナに置かなければならない=自分の頭数が減ってしまうため、相手のクリーチャーがいないタイミングでは極力使いたくないカードでもあります。
また、《S級原始 サンマックス》はT・ブレイカー化する際にパワーが12000まで上がり、《S級原始 サンマッド》はパワー上昇を伴いません。範囲火力やパワー低下トリガー、強制バトル系のトリガーを相手取るうえでパワー9000は無視できない差です。
パワーの上昇を能動的に活かすのであれば、殴り返しに使ってターン終了時に除去能力を使うことでパワー12000未満のクリーチャーともう1体を排除する動きもなかなかに強力です。
もちろん1枚ずつの採用なので基本的には引いた方を使っていくことにはなりますが、どちらもゲームに絡んだ場合はこれらの要素を加味してどちらを使うのか検討していきましょう。
本デッキの主役。このターン中に出た自然クリーチャーの数に応じて自分のコストを3ずつ軽減する能力で素早く盤面に降り立ち、マッハファイターで面を制圧しつつ、シビルカウント5で相手のクリーチャーとタマシードの「出た時」能力をロックします。
ロック能力は相手のターン中にしか機能しないものの、クリーチャーのスペックが軒並み高い現代では全く効かないデッキはほとんどなく、特にほとんど呪文を用いない【モルトNEXT】のようなデッキにとっては非常に手痛い一撃です。対面次第では出るだけでほとんど詰みまで見えるほどのフィニッシュ性能。
このカードを用いたデッキの最大の関心事は、どれだけ安定して自己軽減能力を満たして素早く着地させられるか。自然単【オービーメイカー】はその極致とも言える構築で、大量の手札調整カードと0〜1マナの軽量クリーチャーたちによって「3ターン目に出るのは当たり前、4ターン目に出なければ事故」と言われるほどの安定した爆速着地を可能としています。
打点としてのスペックもかなり高く、シビルカウントを達成している状況であれば、返しに除去されない限り概ねリーサル+1〜2点は用意できます。
速度に特化したアドバンスの【オービーメイカー】は後ろにリソースを抱えることがやや難しく、うっかり除去されると立て直しに時間がかかりますが、それを補って余りある爆発力が魅力のフィニッシャーです。
超GRクリーチャー
《ソイソイミー》と《手札の儀》から呼び出される超GRクリーチャーたち。
シビルカウントに貢献しつつ「S級侵略者」2種に侵略できる自然・コスト3かつ、詰めの場面で打点換算するために相手プレイヤーを攻撃できる超GRクリーチャーであることが能力よりも何よりも重要です。
この中ではアドバンテージに関わる能力を持った《シャギーⅡ》と《パキラキⅡ》、マッハファイターで即時攻撃して盤面を取ったり侵略したりできる《スカップⅢ》は特に優先度が高いと考えています。
《アネモⅢ》も詰めの場面でブロックされない効果が有効に働く可能性がなくはないため採用したく、残りの2枚はパワー4000を見て採用されています。バトルに勝ちやすいのはもちろんですが、《九番目の旧王》などの存在を考えれば小さくないメリットでしょう。
墓地活用デッキでは幅広く採用候補に挙がる《零龍》ですが、このデッキではなんと「手札の儀」を使ってGR召喚するためだけに採用されています。
というのも、先手の場合3ターン目までに使える手札は初期手札5枚と2ターン目以降の開始時ドローで合計7枚。3枚をマナに置くことを考えれば手札から出せるクリーチャーは4体ちょうどで、これでは《十番龍 オービーメイカー Par100》のシビルカウントを達成できません。
そこで活躍するのが《手札の儀》。3マナで4体のクリーチャーを召喚して手札がなくなったままターンを終えると、1回GR召喚してバトルゾーンのクリーチャーがもう1体追加されます。これでシビルカウント5が自動達成されます。
本当に「このためだけ」の《零龍》採用なのですが、それでも相手が動くより先に《十番龍 オービーメイカー Par100》を着地させれば1ドローのデメリットはそれほど気にならない場合がほとんど。高速コンボの強みを活かすカードとして重用されています。
おわりに
というわけで、今回は自然単【オービーメイカー】について解説していきました。
アドバンスはここしばらく環境が変わっていなかったので、ここに来て突然自然単【オービーメイカー】が立ち位置を伸ばしてくるのは予想外でした!
ですが、速度面でも最上位のデッキに引けを取らず、環境の最前線に位置する【モルトNEXT】に対しては非常に強力なデッキで、【サガループ】や【5cコントロール】ともやれると考えれば、確かに非常に良い立ち位置です。【水魔導具】のようなスペルコンボデッキがいなくなっていることも追い風となっている要因の一つかもしれません。
デッキとしての強さは間違いないので、今後も浮き沈みしつつ環境を彩ってくれるデッキになりそうですね。軽量メタクリーチャーなどの追加による強化にも期待したいところ!
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした! 記事が面白かったらぜひTwitterでのシェアをお願いします!