メカは光文明だけの特権ではない
機械を捲ろう
直前に発売されていたヒーローズ・ダークサイド・パックは、収録されているカード全てが闇文明を持つカードであった。
そのため、これらのカードを使ったデッキは必然的に闇文明のデッキとなっており、直近で紹介したデッキは、なんと4連続で闇文明を含むデッキとなっていた。
さすがに、文明に偏りがあるので、そろそろ他の文明にも目を向けてみたいな、と思っていたところだ。
そんなときに、最新弾であるアビスレボリューション第1弾が発売された。
今回から登場する新能力は、メクレイドと呼ばれるもの。
山札の上から3枚を見て、指定されたコスト以下の、指定された種族のカードを使用できるという、実にエキサイティングな能力だ。
今のところ、一番活躍が見込めそうなのは、アーマードとジャイアントだろう。
どちらも、今回のオーバーレア枠にフィニッシャーが存在しており、他の種族に比べると頭一つ抜けて強力な印象を受ける。
特に、上記の2種類が強力で、《チアスカーレット アカネ》は瞬く間に大型ジャイアントを繰り出し、《ボルシャック・アークゼオス》も連鎖的にアーマードを展開する事が可能となっている。
方向性は違うものの、自身の得意な方向でメクレイドを使っていくため、使用感も非常に良いものとなっている。
残るマジックとアビスだが、マジックには未知数なところが多いものの、強力なフィニッシャーが用意されている。
しかし、それはクリーチャー面より呪文面のため、他とは少し違う方向性での使い方になるだろう。
アビスに関しては、数が少ないものの、元々アビスの戦略が強力なため、今のところメクレイドと組み合わせずとも十分強力である。
とはいえ、新規の大型アビスは強力無比な能力を持っており、攻防共に超優秀な面々である。
従来のアビスとは違う方向性で構築し、これらのフィニッシャーを使うというアプローチも、アビスの新しい一面として活躍が見込めるだろう。
では、光文明のメカ・メクレイドは、どうだろうか?
その面々を見てみよう。
メカ・メクレイドの特徴は、マナ・コストに加え、クリーチャーのタップを要求される点だ。
クリーチャーの展開が得意な光文明にとっては、そのためのクリーチャーを用意する事も容易だろう、という事だろうか。
その分、他の文明のメクレイドに比べると、マナ・コストは若干少なめに設定されている。
とはいえ、クリーチャーを展開するためのメクレイドを使うために、あらかじめクリーチャーを展開する必要があるという、少し矛盾したデザインにも見えてしまう。
さてさて、それでは、これから繰り出されるフィニッシャーを見てみよう。
なるほど、悪くないクリーチャー達だ。
そう思った人も多いだろうが、少し気になる事がある。
メカ・デル・ステラって誰????
そう。前回までのシリーズでは、メカ・デル・ディネロという種族が光文明の主軸となる種族だったはずだ。
しかし、ここにきて新たな種族メカ・デル・ステラが登場してきたのだ。
このメカ・デル・ステラは、上で紹介したメカ・メクレイドを持つクリーチャー達の種族である。
(一部、メカ・デル・ディネロにもメカ・メクレイド持ちは居るが・・・)
今回収録されているメカ・デル・ディネロは、それぞれ大型のクリーチャーが多い。対して、メカ・デル・ステラには軽量の物が多い。
つまり、メカ・デル・ステラによりメカ・デル・ディネロを繰り出し、攻めるデザインなのである。
また、今回のメカ・デル・ディネロは、このメカ・デル・ステラを強化するポジションになっているのも注目ポイントだ。
ここで一つ気になった事がある。
なんで種族を分けたのだろうか???
この関係性は、不死鳥編の種族に見られるような、上位種・下位種の関係だ。
最近であればディスタスとディスペクターが似たような関係だったが、結局のところ、公式が意図したように、ディスタスとディスペクターを上手く組み合わせたデッキが環境に現れる事は、ほぼ無かった。
唯一、《霊宝ヒャクメ-4》という、何かの見間違いかと思うほどの軽減能力とカウンター性能を備えたディスタスは活躍しているが、それ以外は、ほとんど見かけないレベルである。
不死鳥編の時も、王来編の時も、このような上位種・下位種の関係であるデザインは、うまく活躍していたようには思えない。
となると、このメカ・デル・ディネロとメカ・デル・ステラの関係も、将来性に少し不安が残ってしまう。
唯一の幸いとして、メカ・メクレイドは、種族にメカが入っていれば大丈夫なため、メクレイドではメカ・デル・ディネロだろうがメカ・デル・ステラだろうが、関係なく踏み倒す事が可能だ。
しかし、やはり種族が異なるという点はかなり問題があり、たとえば一つの種族を強化すれば事足りる事も、種族が異なる事でどちらも強化していく必要があるのだ。
また、下位種を強化する能力は、当然、上位種自身は享受する事が出来ない。
除去耐性などの能力は、複数並べて相互的に除去耐性を持たせるという事が多いが、種族が異なると、このような組み合わせも出来なくなってしまうのだ。
これは、非常に困ったものである。
何か意図があって種族を分けたのかもしれないが、今の段階では、その意図は分からない。
少なくとも、今の段階では、困った事になっている、という事しか分からないのだ。
そんなメカ達であるが、さらに困った事に、大型のフィニッシャー格ですら、イマイチぱっとしない面々だと言わざるを得ない。
確かにメカ・デル・ステラを強化したり除去耐性持ちにしたり、強そうに見える部分も多い。
しかし、肝心の本体がイマイチなため、たとえば単体で運用する必要がある場面などで、非力に見えてしまうのだ。
これは即ち、デッキが上手く回ってない状況では、戦況を覆すほどの力が無い、という事でもある。
現代デュエル・マスターズでは、激しいシーソーのように、常に有利・不利が入れ替わるゲームである。
そんなゲームの中で、ただ単に自軍の、他種族を強化するクリーチャーを少し繰り出したくらいでは、戦況は変わらないのだ。
こんな困ったメカ・メクレイドの面々。
今回は、そんな一見使いにくそうな能力を何とか良い感じに運用できないか、模索してみよう。
もう一つのメカ
メカ・メクレイド能力をうまく活かすのであれば、まだ新規メカ・デル・ディネロやメカ・デル・ステラが足りてない以上、過去のメカ達に視線を向けてみるべきだろう。
過去に居たメカといえば、メカ・デル・ソルが存在している。
最初は対ドラゴンの決戦兵器として登場し、後にドラゴンと共闘する事も発生したり、何かと忙しい種族である。
そんなメカ・デル・ソルの中でも有名なのは、《光器ペトローバ》だろう。
かつてイニシエート軍団を強化し、自身の除去耐性によりフィニッシャーを務めた恐るべきクリーチャーだ。
このクリーチャー、ちょうどコストが5のため、メカ・メクレイド5によって出す事ができる。
《光器ペトローバ》でメカ・デル・ステラを指定すれば、自分のメカ・デル・ステラ全員のパワーが+4000され、強大な軍勢になる事だろう。
そのうえ、メカ・メクレイド特有の”自分のクリーチャーをタップする”事による殴り返しに対応する事まで出来ている。
意図されているのではないか?と思ってしまうほどの相性の良さだ。
そんな《光器ペトローバ》は、最近になって《光器ペトローバ/ソーラー・コミューン》というツインパクト化を果たしている。
強いうえに受け札にまでなってしまうとは、恐れ入った。
ところで、他のメカ・デル・ソルの面々の中で、メカ・メクレイドで出せて強そうなクリーチャーは誰が居るのだろうか?
探してみたところ、次の面々が見つかった。
まず1体目が、《断影龍ユスティーツァ》だ。
なんとこのクリーチャー、メカ・デル・ソル・ドラゴンという、ドラゴンでありメカであるというクリーチャーなのだ。
コスト8以下でフィニッシャー格、パワーも申し分なく除去能力まで持っているという、頼もしいにもほどがあるクリーチャーだ。
ドラゴンに関するシナジーはほぼ無いに等しいが、幸いメカ・デル・ディネロにはスーパーカー・ドラゴンという種族も存在するため、この組み合わせも頭の片隅に入れておこう。
続いて2体目は、《闘魂混成エンペラー・アクターシャ》だ。
太古の闘魂編にてラスボスと務めた《エンペラー・アクア》と、《光器ナスターシャ》のディスペクターだ。
《光器ナスターシャ》がメカ・デル・ソルなので、当然このクリーチャーもメカ・デル・ソルである。
要するにメカである。
メカ・デル・ステラは軒並みコスト5以下が多いため、このクリーチャーで踏み倒して更なる展開を目指す事も出来るだろう。
以上、強そうなメカ・デル・ソルの紹介であった。
もう一度言おう。
以上だ。
そう、長いデュエル・マスターズの歴史において、このデッキで活躍しそうなメカ・デル・ソルは、これくらいだったのである。
しかも、《エンペラー・アクターシャ》の方は、環境でも見かける事の無いクリーチャーだ。
意外にも、メカ・デル・ソルを踏み倒して戦うという方向性は、良い案では無いのかもしれない。
光文明のメカといえば、更に太古の種族であるメカサンダーが存在している。
が、こちらは探してみたところ、今の環境で通用しそうな面々が全く居なかったので、今回は省略させてもらう。
なお、後々評価されそうなカードが出てきた場合は、改めて紹介するかもしれない。
では、他にメカが存在しただろうか?
その答えは、思いがけないところに存在していた。
それこそが、グレートメカオーだ。
この種族も、ちゃんと「メカ」が入っているので、メカである。
こっちなら、もっと強そうなメカが居るに違いない。さっそく、探してみよう。
まず真っ先に思い浮かぶのは、今も環境の第一線で活躍する《奇天烈シャッフ》だろう。
出た時・攻撃時に数字を宣言し、その数字と同じコストの呪文を封じ、クリーチャーの動きまで封じてしまう凄いカードだ。
メカ・メクレイドで踏み倒した際も、殴り返し防止や呪文の抑制など、活躍の幅は広い。
また、コスト4のメカのため《アシスター・アルデ》から綺麗に繋がるというのも見逃せない。
こんな優秀なメカが入ったとあれば、メカ・メクレイドも劇的に強化される事だろう。
以上だ。
もう一度言おう。
以上だ。
グレートメカオーには色々なカードが存在するが、メカ・メクレイドと組み合わせて強そうかと言われると、イマイチなものが多い。
それこそ、専用のデッキであれば劇的に強いのだが、メカ・メクレイドとは噛み合わないのだ。
上に載せている《偽りの名 iFormulaX》のようなカードが、良い例だろう。
過去のメカに頼ろうとしても、どうも良い回答が発見できない。
何か、アプローチを間違えたのだろうか?
しかし、このアプローチがダメとなると、もう手が残されていないのである。
万策尽きた・・・かと思った矢先、全く環境に顔を出したことが無いものの、メカ・メクレイドと抜群の相性を誇るメカを発見する事が出来てしまった。
そんな救世主のようなクリーチャー、それこそが《光機のイザナイ ロイヤルティー》だ。
このクリーチャー、グレートメカオーでメカ・デル・ソルという、正真正銘のメカである。
そのうえ、メカ・メクレイドのコストとして要求されるクリーチャーのタップも、光臨という能力と抜群の相性を誇るのだ。
光臨の問題点は、一度攻撃してからでないと能力をトリガーさせられないという点であったが、メカ・メクレイドでタップしてしまえば、その問題点を解消してしまえるのである。
メカ・メクレイドとしてはコストが用意でき、光臨としてはノーリスクでタップが可能と、完璧な組み合わせなのである。
奇跡のような組み合わせを発見してしまったので、これはデッキにするしかない。文明の組み合わせも完璧だ。
というわけで、デッキを作ってみよう。
デッキリスト
というわけで完成したリストが、こちらになる。
唐突に見知らぬカードが入っているので、それも含めて解説していこう。
主な動きは、2コスト帯でメカを出し、《聖沌忍法 b4ckd00r》から展開や、4コスト帯のメカ・メクレイド8を起動して盤面を並べていく事にある。
《アシスター・アルデ》は、4コスト帯のメカを3ターン目から展開していく起点となるため、手札にあれば2ターン目に出すように意識しよう。
恐らくほとんどの人が見覚えの無いカードである《電脳王機タコ・ジュランゾ》は、グレートメカオーであり連鎖持ちというクリーチャーだ。
連鎖とは、山札の上から1枚目を見て、自身よりコストが小さいクリーチャーならバトルゾーンに出せるというものだ。
このデッキのクリーチャーは半分ほどがコスト4以下のクリーチャーであるため、ヒット率は悪くは無い。
うまくヒットさせれば、更なる展開が望める、というわけだ。
メカ・メクレイド8でうまく《光機のイザナイ ロイヤルティー》を繰り出せたら、メカ・メクレイドのタップ要員として活躍してもらおう。
ターンの終わりにタップしていれば、更なる《ロイヤルティー》を呼び出したり、追加のメカ・メクレイド持ちを展開する事も可能だ。
注意点としては、ターンの終わりにアンタップする能力と併用する場合、アンタップする前に光臨を使っておこう。
単純に攻めるだけなら、他の戦略でも同じ事が出来る。しかし、このデッキにはテクニカルな動きを可能にする《奇天烈シャッフ》が存在している。
このクリーチャーは単純に使っても強いが、メカ・メクレイドで踏み倒しても強い、光臨で出しても強いと、他のデッキでは出来ない動きが可能になっている。
色々なタイミングで登場する《奇天烈シャッフ》には、対戦相手も手を焼く事だろう。
盤面を並べれば並べるほど強力になるメカ軍団を駆使して、多角的に相手を攻め立てよう。
終わりに
今回のメカ・メクレイドの使い方は、かなり捻った使い方である。
もちろん、捻らず単純に使うだけでも、実はメカ・メクレイドはかなりポテンシャルの高い能力だったりする。
単純に《シェケダン・ドメチアーレ》を出すだけで手札を稼げるし、《ドラン・ゴルギーニ》を出せば盤面の制圧も可能だ。
注目すべきは、これら2枚はコスト5以下であるため、《トライシェルビ-P6》での展開も可能だという点だ。
シールド・トリガーで突如出てくるこれらのクリーチャーは、相手の計算を大きく狂わせてくれるだろう。
他のメクレイドに比べると、イマイチぱっとしない印象のメカ・メクレイドであるが、実は使って練り込んでみると、かなり強力な動きが出来る事が見えてくるだろう。
ちなみに、《害悪のカルマ スタバック》を入れると、呪文を軸にした対戦相手が苦しむ姿が見れるぞ。