■はじめに
こんにちは、もしくは初めまして。カニ丸です。
今回は3月14日「ホワイトデー」に公開ということで、遊戯王の世界でも屈指のリア充こと《ユート》(「遊☆戯☆王ARC-V」)にスポットを当てて行きたいと思います。
ちなみにですが 「バレンタインデー」に掲載された記事は【こちら】
《ユート》をご存知ない方も、《幻影騎士団》と言えば思い当たる方もいるでしょう。
デュエルリンクスでは「漆黒のエクシーズ使いユート」イベントがあったり、遊戯王マスターデュエルでは先日「エクシーズフェスティバル」が開催され、その存在感を広く知らしめていきましたね。
《幻影騎士団》はその強さにも惹かれる部分ではありますが、デザイン性、そして使用者の背景も魅力のひとつですので、是非今回はそこについても興味を持っていただけたらと思います!
■勝者にのみ許された「ホワイトデー」
ところで、3月14日の「ホワイトデー」は1か月前の2月14日の「バレンタインデー」にチョコレートなどの贈り物を受け取った者がそのお礼に贈り物を返す、というイベントですね。
実は日本で発祥したとされるイベントだそうで、諸説ありますが1980年ごろにお菓子メーカーや当時の百貨店、ラジオ広告などの商売戦術として行われたのが定着していった、というのが定説になっているようです。
日本は元々「もらったものにはお返しをする」という文化(ご祝儀にお返しをしたり、香典返しなど)がありますから、この「ホワイトデー」が日本で広がったというのは非常に説得力がありますね。
女性から男性に贈るというイメージが強い「バレンタインデー」は海外では男女関係なく贈りあっているのが主流です。
なので、お返しをするイベントを開催することはなく、場合によってはプレゼント交換のようになっているのかもしれません。
ちなみに、「ホワイトデー」の様々な由来の中には、マシュマロ業者が始めたという説もあるので、この「ホワイト」という部分はそこにかかっているのかもしれないですね。
「マシュマロの日」「キャンディーの日」と呼びだしたことが発祥であるという説が広く伝わっていますが、その真偽は確かめようもありません。
なんにせよ「ホワイトデー」を迎えるためには、その前提条件である「バレンタインデーにモノをもらう(贈る)」というフラグが必要ですので、この日を迎えることができるだけである意味、勝者と言えるでしょう。
ここで改めて、《ユート》について説明させて頂きましょう。
彼はアニメシリーズ第5弾「遊☆戯☆王ARC-V」に登場しました。
※東映にて制作されたアニメ「遊☆戯☆王」は連番でカウントしておりません。
主人公・《榊遊矢》に“よく似た”存在として登場し、ヒロインを影で守ったり、主人公の周りで起きている事件について重大な事実を主人公と視聴者に伝え、衝撃的な展開を遂げた人物です。
また、「遊☆戯☆王ARC-V」作品内で最初にエクシーズ召喚をしたキャラクターで、その外見のミステリアスな所やセリフの言い回し、それからデュエルにおける姿勢なども視聴者の心を掴み、作中でもかなり上位人気キャラクターです。
過去に、作品内の4人(遊矢、ユート、ユーゴ、ユーリ)をあしらったカードプロテクターの人気投票があったのですが、その時見事1位になり商品化を勝ち取ったのはこちらの《ユート》でした。
ちなみに彼の親友である《黒咲隼》(くろさきしゅん)もその前年の商品化に向けた人気投票で1位となり、当時のこのチームは非常に人気が高かったことがうかがえます。
「遊☆戯☆王ARC-V」放送当時は前作「遊☆戯☆王ZEXAL」のようにキャラクターイラストが入ったカードプロテクターが公式で発売される機会が少なく
また、この時期から「遊戯王の日」という公式イベントで待望のキャラクターイラスト入りカードプロテクターが参加賞となったこともあって、「遊戯王の日」に参加するだけで抽選が必要という状況が続きました。
その状況の最初の要因となったのも、この《ユート》が印刷されたカードプロテクターでした。
エースモンスター
彼と言えば《幻影騎士団》がメインになるのですが
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》も有名で、ランク4の闇属性・ドラゴン族かつエクシーズ召喚に必要な素材の指定は「レベル4モンスター2体」というハードルの低さから
遊戯王OCGプレイヤーの中でもこのモンスターが重宝されたこともあり、さらに人気のキッカケになったのではないでしょうか。
その人気っぷりから、数あるカードの中でも少ない「過去に発売されたカードの中から20thシークレットレアになる」という栄光を勝ち取っています。
エクシーズモンスターの黒い枠に輝く20thシークレットレア仕様の赤い文字は、特別感が一段と感じられる美しい一品です。
このモンスターは《覇王龍ズァーク》の眷族として登場しますので、残念ながら《幻影騎士団》でデッキを組む場合、どうしても使いづらくなってしまいます。
進化系というよりも、「闇堕ち」状態、洗脳されたような状態で登場しますので、逆に噛み合わせが悪いように設定されているのではないかと思われますから、それが非常にいいですね!
カードデザインとして美しいポイントだと言ってもいいかもしれません。
さて、先ほど申し上げた「PHANTOM RAGE(ファントム レイジ/2020年8月8日発売)」には、《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》というカードが収録されています。
名前もデザインも見て分かる通り、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》にとっての新規カードでした。
ランクは5となっていますので、《RUM》(ランクアップマジック)などで特殊召喚する場合は《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》と使い分けていきたい1枚になりました。
名前については、「ダーク(Dark/闇)」の部分が「アーク(Arc/弧、もしくは箱舟)」に変わっているのが非常にエモーショナルです。
作品内における「アーク」という表現は主人公・《榊遊矢》とも密接に繋がりがありますので、共に戦ったキャラクターとしての魅力が形になっているのではないでしょうか。
カードイラストについては、親友《黒咲隼》が扱うデッキテーマ《RR》(レイドラプターズ)のモンスターデザインに近い意匠が見られ、デザインが公開された日には多くのユーザーからの反響がありました。
大切な少女・黒咲瑠璃(くろさき るり)
《ユート》の重要な人間関係のひとつに《黒咲瑠璃》(くろさきるり)という少女がいます。
作中明確な言及はされませんが、おそらくは同じくらいの年齢で、親友《黒咲隼》の妹である彼女は、彼の恋人に近い存在だったようです。
尚、兄《黒咲隼》にはバレないように2人きりで会っているもよう。
性格は柔らかくおしとやかであったようですが、デュエルにおいてはしたたかな一面もあり、その強さがあって《ユート》と出会うキッカケになっていました。
兄・《黒咲隼》はデュエリストとして妹に接する場面が作中登場しますが、その時は手厳しい姿勢であり、ただ、自慢の妹であるような素振りも見せていることから、兄妹感はそれなりに良い関係が築けていたと推測できます。
兄がいたためか、同世代の少年少女より少し大人びた雰囲気のある《黒咲瑠璃》でしたが、恋に関しては積極的だったのではないかと思わしきシーンも存在します。
カードとデュエルが中心の「遊戯王」シリーズにおいて、恋人に近しいキャラクターというのはその総数から考えるとかなり少ない割合となっています。
すでに夫婦になっているキャラクターや片想いなどで頭を悩ませているケースは除いて、完全に「付き合っている」恋人に等しい関係であるという演出が入るのは珍しいのです。
今回の「ホワイトデー」コラムに《ユート》を選んだ理由はこういったことからです。
ちなみに、アニメ雑誌「オトメディア(2016年2月号)」では当時シナリオ上で無事だった《榊遊矢》《ユーゴ》が「バレンタインデー」にチョコレートをもらっている描き下ろしが存在します。
《黒咲瑠璃》は作品の序盤から名前が挙がっていましたが、その実際の登場とデュエルシーンにおいては物語後半に出番がある形となりました。
彼女の使用する《LL》(リリカル・ルスキニア)は、遊戯王OCGになったのも、テーマとしては
この《覇王龍ズァーク》がパッケージとなっていた「マキシマム・クライシス(2017年1月14日発売)」というアニメ放送時期の最後の弾で、その後の新規カードなどの見込みがないのではないかと言われていたテーマです。
カードとしては、その数か月前にあたる2016年11月26日に発売した「DIMENSION BOX -LIMITED
EDITION-」(※)にて《LL-リサイト・スターリング》が登場していました。
※「DIMENSION BOX -LIMITED EDITION-」…
2016年11月26日発売。既存テーマの新規カード、再録カードなどを封入したカードセットと、ストレージケース、カードプロテクター、カードケースがセットになっていた商品。
《LL》は先日の遊戯王マスターデュエルの「エクシーズフェスティバル」で活躍しただけでなく、遊戯王OCGでも現在人気の《鉄獣戦線》と相性が良く、その小鳥がついばむような小さなダメージの攻撃を複数回繰り返してくる戦術は、一見可愛らしいように思えますが、実際にデュエルしてみると恐ろしいことに気づきます。
鳥をテーマにしたデッキと言えば《LL》以外に、《シムルグ》や《ふわんだりぃず》がありますね。
いずれもLL同様に一見可愛らしいながら、強力なテーマであることは皆さんご存知だとは思いますが、意外にデッキが組みやすいので、鳥獣族のテーマデッキにご興味があるなら組んでみるのも良いかと思います。
筆者カニ丸も先日《LL》を組んだばかりです。
「《幻影騎士団》は倒れない!」
《ユート》の名ゼリフのひとつです。
《幻影騎士団》はモンスターも罠も、墓地で使用できる効果を持っている場合が多く、そのビジュアルからも亡霊をテーマにしているようです。
《ユート》曰く、「戦場に倒れし魂」ということで、戦死した騎士団の戦士たちが未だ成仏もできず、戦い続けているというコンセプトなのだと考えられます。
彼の住む世界は、特殊な事情によって戦火に巻き込まれており、そのため、こういったコンセプトテーマになったのではないかと推測されています。
戦火に巻き込まれる前から《幻影騎士団》を使っていたのかは定かではありませんが、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の「リベリオン」は「反乱」や「反逆」「抵抗」などを意味します。
主に支配された側が、支配者に対して行う行動を指し、彼が目の前で起きてしまった戦火に対して、その元凶に対する「反逆」の精神と、道半ばで倒れて行った仲間を彷彿とさせる《幻影騎士団》と共に戦い抜こうと言う、そういった姿勢がデッキに現れているのでしょう。
戦死した騎士団の戦士たち、がイメージ元であるため、そのモンスターデザインは壊れた剣や斧などの武器、甲冑、装備品に幽霊のような青い魂が憑りついて動き続けているようなビジュアルになっています。
注目したいのは、こう見えてアンデット族ではなく戦士族だということ。
彼らはまだ“戦士”として戦い続けているわけですね。
モンスター効果はデッキから手札にカードを持ってきたり、デッキから墓地にカードを送る効果を持っている場合が多く、逆に罠はモンスターの破壊を防いだり、墓地からモンスターを特殊召喚したりなど、対戦相手に干渉するというよりは自身を護るかのような効果を発揮するものが大半です。
罠カードの中には、自身をモンスターカードとして特殊召喚できるものも多数存在し、プレイヤーを生者である騎士団長とし、それを守りながら亡霊の騎士団として進軍していく…そういった動きが想定されているのかもしれません。
プレイヤーに直接攻撃が発生するタイミングでのみ、特殊召喚できる罠モンスターがいることも面白いデザインだと思います。
▽デッキが組めるようになるまで
《幻影騎士団》が初登場したのはアニメ第7話で、その当時、使い手の《ユート》は「黒マスクの男」という名称で役名が表示されていました。
《榊遊矢》に似ていると言われたことをキッカケに視聴者の間では「黒遊矢」というあだ名が付けられていました。
そんな序盤から登場していた彼が使用し、OCG化が期待されていたテーマでしたが、デッキを構成するのに必要な種類が出揃うのにはかなり時間がかかりました。
「ネクスト・チャレンジャーズ(2014年7月19日発売)」で初登場を果たしましたが、そのパックに《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》はいたものの、《幻影騎士団》にカテゴリーされたカードは《幻影騎士団シャドーベイル》のみでした。
2015年11月14日に発売された「ブースターSP-ウィング・レイダーズ-」でようやく複数のモンスターや魔法、罠が収録され、ようやく《幻影騎士団》が組めるようになったのです。
また、「PREMIUM PACK 18(2016年3月19日発売)」にていくつか追加されましたが、こちらは漫画で登場したカードのみで、それらがアニメに登場することはありませんでした。
アニメ版の《幻影騎士団シャドーベイル》の影響か、漫画版の《ユート》は罠モンスターを主軸に戦うデッキコンセプトになっています。
余談ですが、このようにアニメと漫画は設定が違い、デッキのテーマが同じでも構成がだいぶ変わっています。
漫画版での《ユート》は「榊遊斗」が正式名称で、《榊遊矢》の3人いる兄のひとり、というまた違った設定を持っています。
アニメ版では彼のフルネームや家族構成について触れられることはありません。
視聴者の間では、《九十九遊馬》にちなんで、「九十九ユート」だったら面白いという考察も存在しました。
※《九十九遊馬》…エクシーズがテーマであった「遊☆戯☆王ZEXAL」主人公。
■おわりに
《幻影騎士団》はそのデザインのカッコ良さ、テーマとしての完成度、またそのテーマの持つ地力の高さから、アニメや漫画に触れていないユーザーの支持も得ています。
が、その使い手《ユート》の設定や背景を知ることでテーマの成り立ちをより深く知ることに繋がるのではないでしょうか。
カードゲームとしての遊戯王OCGに触れるだけでなく、キャラクターグッズとしてだけの遊戯王OCGでもなく、その両方を楽しめるキッカケに今回のコラムがなれば幸いです。
そうそう、先日《幻影騎士団》のデッキ調整をする兼ね合いで、ドラスタコラムで遊戯王OCGに関する戦術などを紹介していらっしゃるかっつーさんに雑談ついでに少しご相談させていただく機会がありました。
デッキ構築ひとつをとっても十人十色、誰かに相談できる機会があるというのは有難いことだなぁと噛みしめております。
《No.86 H-C ロンゴミアント》や《No.75 惑乱のゴシップ・シャドー》がとても優秀なカードであることは分かっていますが、あえてそれを使わないデッキにこだわりたい、そんな近況報告でした。