暑い時は深く考えたくなくなる
夏が来た。
唐突に気温が跳ね上がった今日この頃だが、読者の皆様方は、とにかく体調管理に気を付けていただきたい。
こう暑いと、頭が働かない。
頭が働かないと、良いデッキの案があっても、デッキがまとまらない。
しかし、そんな時でもデッキを考えたいと思ってしまうのが、ビルダーの性である。
では、そんな時はどういうデッキを考えてるのかというと、私の場合は、デザインされたとおりにデッキを組んでみる事にしている。
そう、デザイナーが「このカードはこうやって使ってね」と意図を込めたと思われるデッキを組んでみるのである。
よく基本は大事だというが、こうやって基本的な使い方を試してみる事で、より面白い使い道が見えてくることもあるのだ。
というより、基本を知らずして破天荒な事は出来ないので、定期的に基本にかえるのは大切だ。
そんなわけで、今回は超化獣を正直に使っていくデッキを考えていきたい。
そんな事を考えるきっかけになったのは、この2枚だ。
超化獣を選別する
先ほどの2体は、片や超化獣を出せば手札を補充し、片や超化獣のコストを大幅に軽減してくれる。
まとめると、この2体が揃えば、次々に超化獣をバトルゾーンに送り込めるという事である。
このコンセプトを可能な限り最大限活かすという事は、デッキの大半を超化獣で埋める必要がある。
という訳で、超化獣を片っ端から採用していく必要がありそうだ。
そんなわけで超化獣をピックアップしてみたのだが、思いのほか、片っ端から採用するとデッキの枠が足りないほど、その数が増えていた。
たった2弾しか出ていないのも関わらず、まさか、ここまで数が増えていたのは予想外だ。
こうなってくると、採用する超化獣も選抜していく必要がある。
今回のデッキは、超化獣を並べていき、そのハイパーモードを解放して攻め込むというコンセプトである。
よって、そのコストは、全体的に軽い方が良い。
となると、王道篇第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」で登場した2コストの超化獣が適しているだろう。
特に《獲銀月 ラ・ウラ・ギガ》は、2コストのブロッカーということで、赤青マジックの最速の動きへの妨害として機能してくれる。
ハイパーモードになれば、並なクリーチャーでは突破不可能なパワーとなるため、その優秀さは更に際立つだろう。
《森翠月 ブロンズアーム》も、一見するとシンプルなスペックに見えるが、ハイパー化するとパワーが8000まで上昇する。
これは、あの《闘門の精霊ウェルキウス》を500上回っているため、思っているよりも重要な場面で活躍が見込める数値だ。
特に、数値が変動する点を利用して、あえてパワーが下の状態でアタックすることによりLOを狙うという動きも狙える点は覚えておこう。
このように、コスト2の超化獣というと環境ではあまり見かけないカードではあるが、思っているよりもスペックは高い。
冷静に考えて、2マナで出せるクリーチャーがフィニッシャーに化けてくるのだから、弱いはずがないのである。
そんな弱くないスペックであっても、現代デュエル・マスターズでは採用されないのだから、恐ろしい環境だ。
それはさておき、これで2コスト帯のクリーチャーが12枚採用できそうだ。
これだけあれば、ハイパー化のコストに困る事は無い。
超化獣で超化獣のハイパーモードを解放するというのも、少し奇妙な感じがするが、ルール上は全く問題ない。
むしろ、軽量クリーチャーまでも軒並みフィニッシャーになるのだから、デッキの全てが脅威になると言って良いだろう。
さて、今までのカードを全て4枚ずつ入れたとすると、既にデッキの半分が決まった。
ここまでで、まだ受け札も心もとなく、このデッキの本当のフィニッシャーも採用できていない事に気付くだろう。
当然、これらも超化獣に関連したカードを採用していきたい。
そういう訳で、真っ先に浮かんでくるフィニッシャーは、《光喜の夜 エルボロム》だろう。
登場初期は超化獣の数が少なかったため、まだ活躍の機会では無いと見送ったこのカード。
今回の王道篇第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」でも超化獣が増えた事により、いよいよ本領発揮と言えるだろう。
ハイパーモードを解放すれば、アタック時に山札から超化獣を供給してくれる。
それも、コストの制限内であれば、最大3枚まで踏み倒す事が可能なのだ。
3枚とも踏み倒せるほどの構築にするのは難しいが、2体踏み倒しただけでも十分強力だ。
1体だけだったとしても、残りの2枚が手札に加わるため、アドバンテージは失われない。
仮にハイパーモードを起動できないとしても、相手1体の動きを封じてくれるうえ、自身がブロッカーと、防御面も完璧だ。
いよいよもって、このカードの本領が発揮される時が来たようだ。
さて、他にもフィニッシャーが必要だ。
できれば絶妙に軽量で、超化獣なクリーチャーが良い。
となると、前回も採用を検討していた《ハイパー・エン・ゲルス》が適任だろう。
ひとたびシールドが7枚に到達すると、自分のクリーチャーが離れなくなるという、恐るべき能力を持っている。
そのうえ、自身のシールドブレイクの前に、シールドを増やす《煌龍 サッヴァーク》のような能力も持っているため、自己完結した能力となっているのだ。
超化獣で固めた場合、採用できるシールド・トリガーも限定的になってしまう。
が、これであれば、そもそもシールドの枚数を増やす事ができるため、力技で防御面を強化する事ができるのである。
そのうえ、ターンの終わりに自身のクリーチャー3体をアンタップできるので、ハイパーモードを解放するためにタップしたクリーチャーへの反撃も許さない。
アンタップしたクリーチャーがブロッカーであれば、バトルゾーンを離れないブロッカーとなり、シールド7枚をキープする事も簡単だろう。
先に紹介した《光喜の夜 エルボロム》と組み合わせると、盤面を展開しながらターンの終わりにアンタップさせ、攻撃と防御を完全に両立させることだってできる。
この2枚をフィニッシャーに据えれば、もはやこのデッキは完成と言ってもいいだろう。
気合で受けきる
現段階で、24枚のスロットが埋まっている。
やる事は単純で、超化獣を並べ、攻め立てる。
このコンセプトは、超化獣というクリーチャーの特徴を遺憾なく発揮できるコンセプトだ。
しかし、現代デュエル・マスターズは3ターン目にゲームが終わる事も珍しくない時代。
そんな時代に、ただ単に強力なクリーチャーを並べていくだけでは、さすがに戦場を駆け抜けるには心許ないだろう。
なので、受け札も必要だ。
超化獣にもシールド・トリガーを持つものが存在するため、それらを採用して受けとするのがベターだろう。
いずれも、相手のクリーチャーを1体は捌いてくれるので、受け札としてはそこそこ優秀だ。
ただし、コストを支払って出すには少し重く、かつシールド・トリガークリーチャーの宿命でもあるが、効果も少しクセがある。
ハイパー化しても同コスト帯と比較した場合、効果が控えめなこともあり、あくまでシールド・トリガーという面だけで運用する事になりそうだ。
では、普通に優秀なシールド・トリガークリーチャーを採用すればいいのでは? という話になるのだが、そうなると《光喜の夜 エルボロム》の”当たり”が減ってしまうというデメリットもある。
採用する受け札にも検討が必要だが、もう一つ、そもそも受け札は必要なのか? という点も考慮したい。
先のリストを眺めれば分かるが、2コストのブロッカーが2種類、合計8枚採用されている。
という事は、小型クリーチャーでの攻撃にはある程度の耐性があるので、トリガーの枚数はそこまで多くなくても良いのではないか? という事が考えられる。
考えられるのだが、やはり全くシールド・トリガーを採用しないというのは、かなり難ありである。
他に、超化獣と組み合わせる事が出来る受け札はあるのか?
ある。
この《ハイパー・エントリー》は、手札から超化獣を踏み倒し、ブロッカーにしたうえハイパーモードを解放できる。
《光喜の夜 エルボロム》の当たり札にはならないものの、それを差し引いても強力なカードだ。
ハイパーモードを解放して出せるのだから、当然パワーも上昇しており、ブロッカーとしてはかなり心強い存在になってくれるだろう。
さて、まだ足りない。
受け札を採用するなら、あと1種類は欲しい。
それも欲を言えば、《光喜の夜 エルボロム》や《シリエスター》によって手札から使える受け札だとなお良い。
となると、このカードに白羽の矢が立つ。
それは《獅子王の紋章》だ。
このデッキは超化獣を軸にしており、光・自然で構築されている。
よって、このカードでヒットするカードは必然的に多いのだ。
《光喜の夜 エルボロム》や《シリエスター》で手札に抱え込むことが出来れば、シールド・トリガーのように運に祈る事なく使う事が出来る、非常に相性の良い受け札だ。
軽量ブロッカー含め、これだけ受け札があれば、攻撃を凌ぐことも出来るはずだ。
という訳で、形にしてみよう。
デッキリスト
というわけで、素直に超化獣を使ったデッキが、こちらになる。
コンセプトは先にも述べた通り、超化獣を出して、ハイパーモードを解放して、攻め込む。
以上である。
単純明快だが、どの超化獣を優先して出すかを取捨選択する、どの超化獣のハイパーモードを解放する、そもそもハイパーモードを解放しないなど、選択肢は多い。
特に《フェアリー・ギフト》で早期に超化獣を戦場に送り込むと、一気に攻め立てる事が可能だ。
これで2ターン目に《ハイパー・エン・ゲルス》なんかを出せれば、相手にとっては突破困難な盤面になるだろう。
しかし、この光・自然という組み合わせは、展開力こそ優れていても、手札切れという問題が付きまとう色であった。
そんな弱点を、このデッキでは《星姫械 シリエスター》や《光喜の夜 エルボロム》により、解消している。
もしも両方が揃っていたら、《光喜の夜 エルボロム》で展開した超化獣の分、手札を補充するという事も可能だ。
こうなってくると、手札を尽きさせる事無く、攻め手を補充できるだろう。
《森翠月 ゴルファンタジスタ》は、超化獣のハイパーモードを一気に解放してくれる、専用構築だからこそ輝くカードだ。
さらに超化獣のコストを3も軽減してくれるため、《星姫械 シリエスター》と組み合わせる事で、超化獣を大量展開する事も可能だ。
手札が増えると、《獅子王の紋章》を構え、相手の反撃を阻止する事も出来る。
このデッキは光・自然のクリーチャーが32枚採用されているため、そうそう外す事は無いだろう。
出てくるクリーチャーのスペックにバラつきはあるが、確実にブロッカーは得てくれるので、守りとしては十分だろう。
なお、《光牙忍 ハヤブサマル》も似たような役割が出来るが、自然文明の枚数を16枚にするため、こちらを優先して採用している。
今後、自然文明の超化獣で採用したいカードが増え、枚数に変動が出た場合は、《ハヤブサマル》にしても良いだろう。
超化獣はハイパーモードを解放する事で強力なカードになるが、そのためには他のクリーチャーをタップする必要がある。
それは即ち、そのクリーチャーを無防備にしてしまうという事でもある。
そんな弱点さえも、《ハイパー・エン・ゲルス》によって軽減する事が可能だ。
ターンの終わりに3体もアンタップする事が出来るので、相手の殴り返しを防止する事が出来る。
しかも、シールドが7枚以上ある状態でハイパーモードを解放しておくと、自分のクリーチャーが離れなくなる。
その効果を防ぐために、相手はシールドを減らす必要があるのだが、それはシールド・トリガーというリスクを踏みに行く事でもあるのだ。
そんな場面で強力な反撃になるのが《ハイパー・エントリー》だ。
手札から超化獣を踏み倒し、しかもブロッカーを与えたうえでハイパーモードを解放まで出来る。
超化獣は軒並みパワーの高い強力なカードなので、逆に相手を追い込むには十分だ。
超化獣は一部が環境で使われるデッキに採用されているものの、このギミックを軸にしたデッキは、今のところほとんど見かけていない。
今後の超化獣のスペック次第では、このようなデッキが登場する可能性は大いにあるので、この手のデッキを今のうちに使って、慣れておくのも良いだろう。
特に、もうじき始まる店舗予選は、「2ブロック(王道篇、アビス・レボリューション)」である。
まだ未開拓な部分が多いこのフォーマットで、超化獣は新たなアーキタイプになる可能性は大いにあるのだ。
人よりも先に超化獣を使いこなし、環境を席捲する事も出来る・・・かもしれない。
終わりに
あまりに暑い日が続くので、今回は公式のコンセプトに正直に従ってみた。
いつも少し捻ったデッキを考えているが、時には、こういうデッキを使ってみるのも勉強になるものだ。
特にデザインされているが、あまり使われていないコンセプトというのは、将来何かの役に立つ事もある。
確かに、競技イベントなど勝負の世界において、勝ち負けは重要だ。
そのため、当然、勝てる率が高いデッキを選ぶことは間違いではない。
しかし、将来を見据えるのであれば、そうした目的以外のデッキを素直に構築し、使ってみる事も重要なのである。
そうした経験が蓄積されると、何年か後、誰も思いつかないデッキを生み出す原動力になるのだ。
時には寄り道する事も大事なのである。