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2024.7.12

【第65章】時には素直になった方が良い事もある | プラズマの未開地探求録

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【第65章】時には素直になった方が良い事もある | プラズマの未開地探求録
目次

暑い時は深く考えたくなくなる

夏が来た。


唐突に気温が跳ね上がった今日この頃だが、読者の皆様方は、とにかく体調管理に気を付けていただきたい。


こう暑いと、頭が働かない。


頭が働かないと、良いデッキの案があっても、デッキがまとまらない。


しかし、そんな時でもデッキを考えたいと思ってしまうのが、ビルダーの性である。




では、そんな時はどういうデッキを考えてるのかというと、私の場合は、デザインされたとおりにデッキを組んでみる事にしている。


そう、デザイナーが「このカードはこうやって使ってね」と意図を込めたと思われるデッキを組んでみるのである。


よく基本は大事だというが、こうやって基本的な使い方を試してみる事で、より面白い使い道が見えてくることもあるのだ。


というより、基本を知らずして破天荒な事は出来ないので、定期的に基本にかえるのは大切だ。


そんなわけで、今回は超化獣を正直に使っていくデッキを考えていきたい。


そんな事を考えるきっかけになったのは、この2枚だ。

《星姫械 シリエスター》《森翠月 ゴルファンタジスタ》


どちらも、超化獣の展開を大きくサポートしてくれるカードであり、デッキの核として活躍してくれることは間違いないだろう。


そういう訳で、今回はこの2枚を起点に、超化獣を使ったデッキを考えてみよう。

超化獣を選別する

先ほどの2体は、片や超化獣を出せば手札を補充し、片や超化獣のコストを大幅に軽減してくれる。


まとめると、この2体が揃えば、次々に超化獣をバトルゾーンに送り込めるという事である。


このコンセプトを可能な限り最大限活かすという事は、デッキの大半を超化獣で埋める必要がある。


という訳で、超化獣を片っ端から採用していく必要がありそうだ。


そんなわけで超化獣をピックアップしてみたのだが、思いのほか、片っ端から採用するとデッキの枠が足りないほど、その数が増えていた。


たった2弾しか出ていないのも関わらず、まさか、ここまで数が増えていたのは予想外だ。


こうなってくると、採用する超化獣も選抜していく必要がある。


今回のデッキは、超化獣を並べていき、そのハイパーモードを解放して攻め込むというコンセプトである。


よって、そのコストは、全体的に軽い方が良い。


となると、王道篇第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」で登場した2コストの超化獣が適しているだろう。

特に《獲銀月 ラ・ウラ・ギガ》は、2コストのブロッカーということで、赤青マジックの最速の動きへの妨害として機能してくれる。


ハイパーモードになれば、並なクリーチャーでは突破不可能なパワーとなるため、その優秀さは更に際立つだろう。


《森翠月 ブロンズアーム》も、一見するとシンプルなスペックに見えるが、ハイパー化するとパワーが8000まで上昇する。


これは、あの《闘門の精霊ウェルキウス》を500上回っているため、思っているよりも重要な場面で活躍が見込める数値だ。


特に、数値が変動する点を利用して、あえてパワーが下の状態でアタックすることによりLOを狙うという動きも狙える点は覚えておこう。


このように、コスト2の超化獣というと環境ではあまり見かけないカードではあるが、思っているよりもスペックは高い。


冷静に考えて、2マナで出せるクリーチャーがフィニッシャーに化けてくるのだから、弱いはずがないのである。


そんな弱くないスペックであっても、現代デュエル・マスターズでは採用されないのだから、恐ろしい環境だ。




それはさておき、これで2コスト帯のクリーチャーが12枚採用できそうだ。


これだけあれば、ハイパー化のコストに困る事は無い。


超化獣で超化獣のハイパーモードを解放するというのも、少し奇妙な感じがするが、ルール上は全く問題ない。


むしろ、軽量クリーチャーまでも軒並みフィニッシャーになるのだから、デッキの全てが脅威になると言って良いだろう。


さて、今までのカードを全て4枚ずつ入れたとすると、既にデッキの半分が決まった。


ここまでで、まだ受け札も心もとなく、このデッキの本当のフィニッシャーも採用できていない事に気付くだろう。


当然、これらも超化獣に関連したカードを採用していきたい。


そういう訳で、真っ先に浮かんでくるフィニッシャーは、《光喜の夜 エルボロム》だろう。

登場初期は超化獣の数が少なかったため、まだ活躍の機会では無いと見送ったこのカード。


今回の王道篇第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」でも超化獣が増えた事により、いよいよ本領発揮と言えるだろう。


ハイパーモードを解放すれば、アタック時に山札から超化獣を供給してくれる。


それも、コストの制限内であれば、最大3枚まで踏み倒す事が可能なのだ。


3枚とも踏み倒せるほどの構築にするのは難しいが、2体踏み倒しただけでも十分強力だ。


1体だけだったとしても、残りの2枚が手札に加わるため、アドバンテージは失われない。


仮にハイパーモードを起動できないとしても、相手1体の動きを封じてくれるうえ、自身がブロッカーと、防御面も完璧だ。


いよいよもって、このカードの本領が発揮される時が来たようだ。




さて、他にもフィニッシャーが必要だ。


できれば絶妙に軽量で、超化獣なクリーチャーが良い。


となると、前回も採用を検討していた《ハイパー・エン・ゲルス》が適任だろう。

ひとたびシールドが7枚に到達すると、自分のクリーチャーが離れなくなるという、恐るべき能力を持っている。


そのうえ、自身のシールドブレイクの前に、シールドを増やす《煌龍 サッヴァーク》のような能力も持っているため、自己完結した能力となっているのだ。


超化獣で固めた場合、採用できるシールド・トリガーも限定的になってしまう。


が、これであれば、そもそもシールドの枚数を増やす事ができるため、力技で防御面を強化する事ができるのである。


そのうえ、ターンの終わりに自身のクリーチャー3体をアンタップできるので、ハイパーモードを解放するためにタップしたクリーチャーへの反撃も許さない。


アンタップしたクリーチャーがブロッカーであれば、バトルゾーンを離れないブロッカーとなり、シールド7枚をキープする事も簡単だろう。


先に紹介した《光喜の夜 エルボロム》と組み合わせると、盤面を展開しながらターンの終わりにアンタップさせ、攻撃と防御を完全に両立させることだってできる。


この2枚をフィニッシャーに据えれば、もはやこのデッキは完成と言ってもいいだろう。

気合で受けきる

今現在のカードを並べてみよう。

4

4

4

4

4

4

現段階で、24枚のスロットが埋まっている。


やる事は単純で、超化獣を並べ、攻め立てる。


このコンセプトは、超化獣というクリーチャーの特徴を遺憾なく発揮できるコンセプトだ。


しかし、現代デュエル・マスターズは3ターン目にゲームが終わる事も珍しくない時代。


そんな時代に、ただ単に強力なクリーチャーを並べていくだけでは、さすがに戦場を駆け抜けるには心許ないだろう。


なので、受け札も必要だ。


超化獣にもシールド・トリガーを持つものが存在するため、それらを採用して受けとするのがベターだろう。

いずれも、相手のクリーチャーを1体は捌いてくれるので、受け札としてはそこそこ優秀だ。


ただし、コストを支払って出すには少し重く、かつシールド・トリガークリーチャーの宿命でもあるが、効果も少しクセがある。


ハイパー化しても同コスト帯と比較した場合、効果が控えめなこともあり、あくまでシールド・トリガーという面だけで運用する事になりそうだ。


では、普通に優秀なシールド・トリガークリーチャーを採用すればいいのでは? という話になるのだが、そうなると《光喜の夜 エルボロム》の”当たり”が減ってしまうというデメリットもある。




採用する受け札にも検討が必要だが、もう一つ、そもそも受け札は必要なのか? という点も考慮したい。


先のリストを眺めれば分かるが、2コストのブロッカーが2種類、合計8枚採用されている。


という事は、小型クリーチャーでの攻撃にはある程度の耐性があるので、トリガーの枚数はそこまで多くなくても良いのではないか? という事が考えられる。


考えられるのだが、やはり全くシールド・トリガーを採用しないというのは、かなり難ありである。


他に、超化獣と組み合わせる事が出来る受け札はあるのか?

ある。


この《ハイパー・エントリー》は、手札から超化獣を踏み倒し、ブロッカーにしたうえハイパーモードを解放できる。


《光喜の夜 エルボロム》の当たり札にはならないものの、それを差し引いても強力なカードだ。


ハイパーモードを解放して出せるのだから、当然パワーも上昇しており、ブロッカーとしてはかなり心強い存在になってくれるだろう。




さて、まだ足りない。


受け札を採用するなら、あと1種類は欲しい。


それも欲を言えば、《光喜の夜 エルボロム》《シリエスター》によって手札から使える受け札だとなお良い。


となると、このカードに白羽の矢が立つ。

それは《獅子王の紋章》だ。


このデッキは超化獣を軸にしており、光・自然で構築されている。


よって、このカードでヒットするカードは必然的に多いのだ。


《光喜の夜 エルボロム》《シリエスター》で手札に抱え込むことが出来れば、シールド・トリガーのように運に祈る事なく使う事が出来る、非常に相性の良い受け札だ。


軽量ブロッカー含め、これだけ受け札があれば、攻撃を凌ぐことも出来るはずだ。


という訳で、形にしてみよう。

デッキリスト

4

4

4

4

4

4

1

4

4

4

3

というわけで、素直に超化獣を使ったデッキが、こちらになる。


コンセプトは先にも述べた通り、超化獣を出して、ハイパーモードを解放して、攻め込む。


以上である。


単純明快だが、どの超化獣を優先して出すかを取捨選択する、どの超化獣のハイパーモードを解放する、そもそもハイパーモードを解放しないなど、選択肢は多い。


特に《フェアリー・ギフト》で早期に超化獣を戦場に送り込むと、一気に攻め立てる事が可能だ。


これで2ターン目に《ハイパー・エン・ゲルス》なんかを出せれば、相手にとっては突破困難な盤面になるだろう。




しかし、この光・自然という組み合わせは、展開力こそ優れていても、手札切れという問題が付きまとう色であった。


そんな弱点を、このデッキでは《星姫械 シリエスター》《光喜の夜 エルボロム》により、解消している。


もしも両方が揃っていたら、《光喜の夜 エルボロム》で展開した超化獣の分、手札を補充するという事も可能だ。


こうなってくると、手札を尽きさせる事無く、攻め手を補充できるだろう。


《森翠月 ゴルファンタジスタ》は、超化獣のハイパーモードを一気に解放してくれる、専用構築だからこそ輝くカードだ。


さらに超化獣のコストを3も軽減してくれるため、《星姫械 シリエスター》と組み合わせる事で、超化獣を大量展開する事も可能だ。


手札が増えると、《獅子王の紋章》を構え、相手の反撃を阻止する事も出来る。


このデッキは光・自然のクリーチャーが32枚採用されているため、そうそう外す事は無いだろう。


出てくるクリーチャーのスペックにバラつきはあるが、確実にブロッカーは得てくれるので、守りとしては十分だろう。


なお、《光牙忍 ハヤブサマル》も似たような役割が出来るが、自然文明の枚数を16枚にするため、こちらを優先して採用している。


今後、自然文明の超化獣で採用したいカードが増え、枚数に変動が出た場合は、《ハヤブサマル》にしても良いだろう。




超化獣はハイパーモードを解放する事で強力なカードになるが、そのためには他のクリーチャーをタップする必要がある。


それは即ち、そのクリーチャーを無防備にしてしまうという事でもある。


そんな弱点さえも、《ハイパー・エン・ゲルス》によって軽減する事が可能だ。


ターンの終わりに3体もアンタップする事が出来るので、相手の殴り返しを防止する事が出来る。


しかも、シールドが7枚以上ある状態でハイパーモードを解放しておくと、自分のクリーチャーが離れなくなる。


その効果を防ぐために、相手はシールドを減らす必要があるのだが、それはシールド・トリガーというリスクを踏みに行く事でもあるのだ。


そんな場面で強力な反撃になるのが《ハイパー・エントリー》だ。


手札から超化獣を踏み倒し、しかもブロッカーを与えたうえでハイパーモードを解放まで出来る。


超化獣は軒並みパワーの高い強力なカードなので、逆に相手を追い込むには十分だ。




超化獣は一部が環境で使われるデッキに採用されているものの、このギミックを軸にしたデッキは、今のところほとんど見かけていない。


今後の超化獣のスペック次第では、このようなデッキが登場する可能性は大いにあるので、この手のデッキを今のうちに使って、慣れておくのも良いだろう。


特に、もうじき始まる店舗予選は、「2ブロック(王道篇、アビス・レボリューション)」である。


まだ未開拓な部分が多いこのフォーマットで、超化獣は新たなアーキタイプになる可能性は大いにあるのだ。


人よりも先に超化獣を使いこなし、環境を席捲する事も出来る・・・かもしれない。

終わりに

あまりに暑い日が続くので、今回は公式のコンセプトに正直に従ってみた。


いつも少し捻ったデッキを考えているが、時には、こういうデッキを使ってみるのも勉強になるものだ。


特にデザインされているが、あまり使われていないコンセプトというのは、将来何かの役に立つ事もある。


確かに、競技イベントなど勝負の世界において、勝ち負けは重要だ。


そのため、当然、勝てる率が高いデッキを選ぶことは間違いではない。


しかし、将来を見据えるのであれば、そうした目的以外のデッキを素直に構築し、使ってみる事も重要なのである。


そうした経験が蓄積されると、何年か後、誰も思いつかないデッキを生み出す原動力になるのだ。


時には寄り道する事も大事なのである。

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このコラムのライター

プラズマ

プラズマ