クリーチャーを寝かせること
自分のクリーチャーを、アタックを介さずにタップするというのは、実は簡単ではなかった。
タップ能力で寝かせたり、自分のクリーチャーをタップする効果で寝かせたり、専用のひと手間をかけなければ出来なかったのである。
が、そんな難題も超化獣の登場で解決されてしまった。
ハイパー化を解放するためには、自身の他のクリーチャーをタップするという条件を満たす必要があるが、逆に言えば、これは自分のクリーチャーをアタックを介さずにタップする事が出来る、という事なのである。
これにより、タップされる事あるいは、タップ状態である事で能力を発揮するクリーチャーの評価が見直され、直近のエキスパンションでも、タップされた時にトリガーする能力を持つクリーチャーが多く収録された。
という事は、過去に収録されたカードの中にも、一躍脚光を集めているカードもあるのである。
一番有名(?)なのは《お騒がせチューザ》だろう。
タップされている時、誰も呪文を唱える事が出来なくなってしまう、刺されば非常に強いクリーチャーだ。
このカードもタップしなければ能力を発揮しない、つまりアタックしないと能力を発揮できない、というデザインであった。
そのため、そのパワーの低さをどうやって補うか、毎ターンアタックしなければいけないデメリットをどうやって克服するか、が課題であった。
そんな課題を抱えていたこのカードも、超化獣と組み合わせる事で、新たな使い方を見出せたのである。
このように、革命的なデザインで登場した超化獣は、最新弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」で更に数を増やす事になった。
数が増えるという事は、それだけデッキ構築の幅が広がるという事である。
今回増えたカードによって、前回使おうとしても一歩及ばなかったカードが、ついにその真価を発揮するようになった。
そのカードとは、《聖霊王ガガ・ラスト・ミステリカ》である。
タップした時ではなく、アンタップした時に能力を発揮するという、大型の進化エンジェル・コマンドだ。
条件こそ厳しいが、その能力は超ド派手。
なんと、山札をほとんど引いてしまったうえで、シールド・トリガーを使いたい放題、というものである。
今回は、増えた超化獣と《ガガ・ラスト・ミステリカ》を使ったデッキの制作過程と、デッキの紹介をしていこう。
異形の聖霊王を寝かせて起こすため
今回作りたいデッキは、超化獣のハイパーモードを《ガガ・ラスト・ミステリカ》によって解放し、ターン開始時のアンタップにより《ガガ・ラスト・ミステリカ》の能力を起動させることである。
このためには、次の3つの問題を解決する必要がある。
①超化獣を生き残らせる
②《ガガ・ラスト・ミステリカ》をバトルゾーンに出す
③《ガガ・ラスト・ミステリカ》がアンタップするまで生き残らせる
まずは超化獣をバトルゾーンに出し、次のターンに何らかの方法で《ガガ・ラスト・ミステリカ》を出し、更に次のターンに《ガガ・ラスト・ミステリカ》をアンタップする。
あまりに遠い。
いくらアタックを介さずにタップする方法が出来たとはいえ、あまりに能力の起動が遠すぎる。
まず、①の条件を突破するだけでも、《同期の妖精》のような除去回避を使う必要があるし、それが2回も必要となると、ハードルが高すぎる。
ならば、この条件を一気に解決する方法をとるしかない。
そう
超化獣を出したターンに《ガガ・ラスト・ミステリカ》を出してアンタップさせる
のだ。
これなら、①~③の条件を全て解決させる事が出来てしまう。
一見すると無茶苦茶な事を言っているかもしれないが、いったん考えてみるのも一つの手である。
時にその無茶苦茶こそが、解決策だったりするのだ。
順番は前後するが、まずは③を考えよう。
これに関しては、解決が容易である。そのターン中にアンタップすれば良いのである。
手段はどうあれ、光文明には、ターンの終わりにクリーチャーをアンタップさせるカードが数多く存在する。
そのようなカードを使えば、《ガガ・ラスト・ミステリカ》をタップしたターンに起き上がらせる事も可能なのだ。
残る問題は①と②だ。
実はこの問題を解決する方法が、最新弾で登場したのだ。
そのマスターピースのような役割を果たす超化獣が、《超光喜 エルボロム》である。
ハイパー化状態でターンの終わりを迎えた際、そのターンに自分のシールドを追加していたら、シールド・トリガー呪文をタダで使えるというものだ。
《ガガ・ラスト・ミステリカ》を踏み倒す事ができれば、一気に①と②の条件を解決できるのである。
そして、《ガガ・ラスト・ミステリカ》を踏み倒せるシールド・トリガー呪文は、下記のようなものがあるのだ。
ショートスリーパーの聖霊王の寝室を作ろう
《ガガ・ラスト・ミステリカ》を寝かせてすぐ起こすので、この聖霊王にはショートスリーパーになってもらう必要がある。
ちなみに、人は頑張ってショートスリーパーになる事は出来ないという。
そのうえ、ショートスリーパーだと思っている人の9割ほどは、単に寝不足だけど眠気に強い人、だとも言う。
人間はショートスリーパーになれないが、聖霊王ともあれば、多分なれるはずだ。
が、もちろん無理を強いる事には変わりはないだろう。せめて、睡眠をサポートするカードは選りすぐり、上質な寝室を作るべきだ。
まずは、このカードをタップ・アンタップさせるカードだ。
シールド・トリガーを持つクリーチャーで、クリーチャーをタップ・アンタップの両方を出来るクリーチャーは、実はそこまでない。
最近であれば《暴斬の姉豹》というカードがある。
コスト4のため、《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》と組み合わせて連続攻撃、という使い方もされた事のあるカードだ。
このカードを2枚使えば、《ガガ・ラスト・ミステリカ》をタップし、即座にアンタップする事が出来る。
が、実は最新弾で、より適任ともいえるカードが登場しているのである。
その条件に合致するのは《朱玉樹》である。
コスト1でパワー1500と非力であるが、ターンの終わりに自分でアンタップする事ができる。
なぜコスト1であることが良いのかというと、何かのついでにバトルゾーンに出し、コンボを構える事が出来るから、である。
それに、5マナあれば《超光喜 エルボロム》と一緒に出す事で、一気にコンボ成立まで持っていく事が可能なのだ。
このデッキは、コンボの始動にはパーツが4枚《朱玉樹》《超光喜 エルボロム》《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》《ガガ・ラスト・ミステリカ》を揃える必要があり、最速で動く事はあまり無いだろう。
そうなった場合、3ターン目にコンボパーツをいったん出すより、5ターン目以降に一気に揃えてしまう方が良い。
そういう点でも、《超光喜 エルボロム》と一緒に出せるコストというのは非常にコンボパーツとして優秀なのである。
聖霊王の睡眠を助けるカードは、これで一通りそろった。というわけで、最後にデッキ紹介といこう。
デッキリスト
終わりに
超化獣が公開された当初、真っ先に思い浮かべていたのが《ガガ・ラスト・ミステリカ》であった。
が、アンタップする手立てが上手く思いつかない事、そもそも《ガガ・ラスト・ミステリカ》を踏み倒す手段が乏しい事から、いったんお蔵入りにしていたデッキである。
今回、《超光喜 エルボロム》という超絶相性の良いクリーチャーが出た事で、ようやく世に出せるレベルにまで完成させる事ができた。
なお、《ガガ・ラスト・ミステリカ》はデュエパーティで使えば、とてつもない威力を発揮してくれる。
そもそも山札が60枚からスタートするので、引けるカードの枚数も大幅に増えるのだ。
使えるカードこそ1枚ずつだが、コンボせずとも、展開される大量のクリーチャーには、相手も対処に困る事間違いなしだ。
もうじき、ファンフェスティバルも迫っているので、是非試してみてはいかがだろうか。