黒田正城のスタンDojo! 「青黒リアニメイト」
はじめに
みなさん、こんにちは。BIG MAGIC ELDERの黒田です。
2月に開催されたプロツアー「カルロフ邸殺人事件」では、これまで全く注目されていなかった《血管切り裂き魔》を用いたラクドス吸血鬼がトップに立ちました。
事前の大会でも全く姿を見せておらず、プロツアー本番で突然姿を表すという、マジックプレイヤーなら誰もが夢を見るような展開でしたね!
スタンダードでも、このような素晴らしいデッキ構築をしてみたいものです。
実はスタンダードにおいても、今までまったく注目されていなかったカードが急に活躍を始めています。
今は本当に多種多様なデッキが存在し、大変面白いフォーマットになったと感じます。是非楽しんでほしいと思います!
それでは今回のデッキ紹介に入りましょう。
前回と同じように、『カルロフ邸殺人事件』の新カードによって必要なパーツが揃ってきた【青黒リアニメイト】です。
メインデッキ
サイドボード
青黒リアニメイトの基本的な動き
ゲーム序盤に大型クリーチャーを墓地に落とし、4マナ~5マナ域の呪文で吊り上げます。
キーになるのは《陰謀の解明者》です。
《全知》に近い能力を活用し、《多元宇宙の突破》をプレイします。
そうすると、クリーチャー2体と証拠収集用のカードが大量に準備できますので、そこから新たな呪文を連鎖的に唱えることができます。
道中で《貯蔵スカーブ》が見つかると、濫用の能力を活用して《多元宇宙の突破》を墓地から回収し、おかわりをすることができます。
《貯蔵スカーブ》自身を生贄にすれば何度でも《多元宇宙の突破》を唱え、拾うことができますので、お互いのライブラリーがすべて墓地に落ちた状態でターンを返し、相手がドローできずに敗北する、という展開になります。
《陰謀の解明者》が見つからなかったときは、《偉大なる統一者、アトラクサ》を釣って普通に殴り合うパターンもあります。
《偉大なる統一者、アトラクサ》の能力でキーカードが手に入りやすいため、次ターン以降に結局コンボで勝つことが多いです。
ちなみにこのデッキはコンボが回り始めると非常に派手な動きを見せますので、人が寄ってきます笑
リアニメイトの動きは古来からずっといっしょで、魚と、魚を捨てる方法と、魚を釣り上げる竿の3種類が必要です。
①魚(大型クリーチャー)を墓地に落とす
②魚を釣り竿で釣り上げる
③楽しくコンボを回す
という動きになります。
カルロフ邸で新しく加わった《犯行現場の再現》というピカピカの釣り竿が、このデッキを一線級に押し上げました。
「このターンに墓地に置かれたカード」という制限が付くものの、大型クリーチャーだけでなく《多元宇宙の突破》を釣り上げることができるため、大変使い勝手が良くなっています。
相手のカードでも対象に取れる点も高評価です。
ローテーションルールの変更によってスタンダード環境もカードプールが広くなり、カードの選択肢が多くなっています。
そのためデッキ構築の幅が非常に広く、このアーキタイプはまだ完成形に至っていないと思います。
今後さらに強化されていくのではないでしょうか。
デッキ相性
青黒リアニメイトは、最速で4ターン目に突然ゲームを決める力を持ったコンボデッキです。
そのため、妨害手段を持たないドメインランプなどの低速デッキにはめっぽう強いです。特にメイン戦は楽勝と言えるでしょう。
赤単やボロスアグロ、白単人間など、愚直なアグロデッキも、干渉されないのでコンボを決めることは簡単ですが、こちらはのんびりしている暇がありません。
スピードの観点で制限時間があるため、やや不利という印象です。
手札破壊と打ち消しの両方を有している、青黒ミッドレンジやエスパーミッドレンジとの戦いは苦戦が予想されます。
どうしても釣り竿のアクションが重いので《かき消し》や《否認》が当たりやすく、ここは仕方ないところです。
もしこのデッキを使うなら、しっかり対策を練ることが大事です。
赤黒や黒緑のミッドレンジは、《強迫》の刺さり方次第です。
メイン有利なので、サイド後に1本取るようなイメージです。
《未認可霊柩車》や《墓地の侵入者》などの墓地対策も合わせてくる可能性が高いですが、打ち消し呪文が無いため7マナまで伸ばして勝つプランも意識しておくといいでしょう。
このプランで戦うときは、重要な魚を気安く捨てないように注意してください。
さいごに
先ほども書きましたが、リアニメイトはまだまだ発展途上のデッキです。
今回紹介した青黒2色のバージョンでも、《侵攻の伝令、ローナ》や《鏡に願いを》など、試してみたいカードがたくさんあります。
色を足して《間の悪い爆発》を活用したグリクシスカラーの構成も存在します。
もう1年以上前になりますが、《永岩城の修繕》で魚を捨てて《報復招来》で釣るという、赤白バージョンなどもありました。何色でもできるわけです笑
《陰謀の解明者》でコンボを決めているときは、「こんなデッキがスタンダードで許されていいんだろうか?」と疑問に思うぐらい爽快です。
ただモダンやレガシーと違って、序盤の手札整理が優秀ではありませんので、引きムラが強く安定性に難があると感じています。
色んなカードを試行錯誤しながら使っていくことになるでしょう。
《陰謀の解明者》はまだそれほど注目されていませんが、とんでもないパワーカードであることは間違いありませんので、気になった人は揃えておくのも良いと思います。
おまけ
最後に、いつもどおりTipsをいくつか載せておきたいと思います。ひとつでも皆さんのお役に立てば幸いです。
・捨てて釣るだけなので簡単そうに思えますが、各パーツを1枚ずつ揃えるのはなかなか大変です。
《陰謀の解明者》が場に出て、さあコンボスタート! と思ったら証拠収集の10マナがない・・・というのが一番ありがちなパターンなので気をつけましょう。
・2ターン目に《当世》をプレイすると、4ターン目にカードを捨てることができないので《犯行現場の再現》が使いづらくなってしまいます。
他にも捨てる手段が用意できていれば問題ありませんが、1ターン我慢して3ターン目にプレイすることもよくあります。
・《押し出し/引き抜き》は躊躇せずに除去として使いましょう。
序盤を生き延びることができれば、こちらの土俵になります。
コストが8もありますので証拠としても有用です。
・青いデッキとの対戦は《蒐集家の保管庫》が肝です。
相手も不用意に動けませんので、お互いに構えあって動けない間にこのカードでどんどんマナ差をつけましょう。
十分に準備を整えたら、《強迫》や《大洞窟のコウモリ》で安全確認をしてから発車します。
・サイドボーディングがとても難しいデッキだと思います。
入れたいものが多すぎて抜くものに困ります。
相手のデッキに合わせて《切り崩し》《漆月海渡》や7マナの重い呪文を1枚ずつ減らしていますが、使いこなせておらずまだ正解が分かっていません笑
・以前より墓地が意識されています。
《未認可霊柩車》を出されると、青黒2色では対処できるカードがありませんので非常に厳しい戦いになります。
赤をタッチして《削剥》を入れると、《敬虔な新米、デニック》と同時に触れるようになりますので検討の価値ありです。
ただ、4ターン目に青青青が必要なデッキなので、最適なマナベースを編み出すところに苦労がありそうです。