はじめに
火自然【モモキングRX】のサンプル構築
火自然【モモキングRX】ってどんなデッキ?
……と言ってしまってもさほど間違いではないくらいに、展開力を押し付けることに特化したデッキです。
序盤の動き出しを支えるのはドラゴンデッキではお馴染みの《メンデルスゾーン》と《ボルシャック・栄光・ルピア》に加えて、《決闘者・チャージャー》3〜4枚の計11〜12枚。
大量のマナブーストで安定して3〜4ターン目に5マナ圏へと到達させ、《王来英雄 モモキングRX》から踏み倒し能力を持つ進化クリーチャーへと進化し、次々とドラゴンを展開して対戦相手を圧倒します。
この動きだけでは踏み倒しメタに弱そうなところですが、このデッキには1枚で2マナ加速しうるカードが8枚も搭載されているため、相手に合わせてマナ加速から直接大型ドラゴンを召喚するプランに切り替えることも容易。あの手この手で強力なクリーチャーを押し付け、勝利をもぎ取ります。
そんなこのデッキが大きく注目を集めているのは、つい先日発売された「マスター・ファイナル・メモリアル・パック」で《ブランド<NEXT.Star>》という新戦力を手に入れたためです。
これまでは相性の良い踏み倒し持ちの進化クリーチャーとして《ボルシャック・モモキングNEX》が第一の選択肢でしたが、ついに登場した追加の踏み倒し要員。
マナに火文明のドラゴンが5枚なければ能力を使えず、攻撃時の1回のみ踏み倒しが誘発するため単純な横展開のパワーでは《ボルシャック・モモキングNEX》に劣るものの、手札から任意のドラゴンを踏み倒せる自由さはこれまでになかったものです。
コストや進化・非進化の縛りがない点がポイントで、このカードから《超竜バジュラズテラ》や《龍世界 ドラゴ大王》といった相手の動きを痛烈に制限する大型ドラゴンを踏み倒し、横展開だけでなく「フィニッシュ力」も手に入れていることが従来の火自然【モモキングRX】との大きな差異となっています。
また、B・A・Dによって進化元さえあれば《王来英雄 モモキングRX》に頼らない展開を作ることもできるようになったため、単純にデッキとしての再現性が向上しているのも大事なポイントです。
このカードから踏み倒す大型ドラゴンとして《超竜バジュラズテラ》の人気が急遽高まるなど、周辺のカードにまで影響を及ぼしており、今後の活躍にも期待が高まるデッキのひとつです。
火自然【モモキングRX】に採用されるカードについて
ドラゴンデッキではお馴染みの初動ブースト枠。
どちらも大量のマナブーストで素早いゲーム展開に貢献してくれますが、特に《メンデルスゾーン》は運良く序盤に引き込めていれば最速で3ターン目に《王来英雄 モモキングRX》がらみの大量展開を可能にしてくれるスーパーカード。
デッキに4枚のカードを2ターン目までに引き込む確率は約50%。決して高くはないものの、十分に現実的な確率でゲーム速度を急加速してくれる強烈な上振れ要素です。
《ボルシャック・栄光・ルピア》はアクションターンを早めてくれるわけではないものの、良質な初動でありながら火のドラゴンかつボルシャック、さらにパワー4000のクリーチャーとシナジー要素が随所に盛り込まれている点が強み。
今回の構築では3ターン目に召喚した次のターンに、B・A・Dで召喚する《ブランド<NEXT.Star>》の進化元になれることが最大のメリットです。
また、基本的に1枚出すだけで3マナから5マナまで伸びるため、次のターンに手札をマナに置かなくともメインアクションへと繋げられるのも魅力的です。《王来英雄 モモキングRX》や《ブランド<NEXT.Star>》など、特定のカードを手札にキープしておきたいカードの多いこの構築では重要ですね。
追加となる3マナ初動。他2枚とは違いマナ加速の量で劣るかわりに、手札の枚数を維持しながらゲームを一歩進められるのが長所です。
いわゆる火自然【ボルシャック】ほどのアドバンテージ量は見込めないものの、高確率で手札を減らさず(たまに増える)、マナ加速として十分な性能を持っています。
また、状況次第では確定でアンタップ状態の1マナが増えてくれるのが嬉しいことも。
2ターン目に《メンデルスゾーン》を撃てば3ターン目には5マナ用意できるので、《決闘者・チャージャー》で確実にアンタップマナを作って追加3マナで《ボルシャック・栄光・ルピア》を召喚、次のターンに9マナ域まで到達させるムーブは鉄板です。
小回りの利くカード除去。《決闘者・チャージャー》で手札に加わるうえに軽いことから、余ったマナを有効活用しやすく、なにかとくっつきよく動ける便利なカードです。
《卍 新世壊 卍》や《希望のジョー星》などの厄介なフィールドを処理できるのはもちろん、火自然【アポロヌス】のようなデッキの進化元タマシードを破壊したり、シンプルに小型クリーチャーを並べてくるデッキの出鼻を挫いたりと、環境上有効な場面が増えてきています。
主に下面を中心に使っていくカードではありますが、上面もメタクリーチャーを大量展開してくるデッキに対してキラーカードになったりと、対面は選ぶものの十分に強力です。
デッキのメインコンセプトであり核。
このカードから《ボルシャック・モモキングNEX》を踏み倒して盤面を作っていくデッキは以前から存在しましたが、《ブランド<NEXT.Star>》の追加によって展開のバリエーションが増え、より押し付ける力が強くなりました。
単体で手札の減らない2打点のスピードアタッカーであり、手札もしくは山札の上2枚に進化先があればさらに展開を連鎖させられるため、各種踏み倒しプランから飛び出しても十分なスペックです。
登場時と攻撃時の2回、デッキトップからのドラゴン踏み倒しを行う展開力の鬼。
狙ったクリーチャーこそ出せませんが、純粋に抽選回数が多いため、「雑に出す」場合やどうしても不利な局面を打破したい場面でのカードパワーは、《ブランド<NEXT.Star>》以上と言えます。
《王来英雄 モモキングRX》のシンカパワーとの相性は言わずもがな。相手のバトルゾーンにタップされたクリーチャーがあれば、殲滅しながら次々とドラゴンを繰り出していけます。
火自然【モモキングRX】というデッキタイプを次のステップに進めた張本人。
マナに火のドラゴンを5枚要求するものの、攻撃時にパワー6000以下のクリーチャーを破壊しつつ、手札の好きなドラゴンをコスト・進化非進化に関わらず踏み倒す、破格の性能を持っています。
メタクリーチャーを排除しながら展開を作れるほか、殴り返しと合わせて1体で2面を処理できるため、盤面を制圧する用途でも優秀です。
単なる踏み倒し能力の強さだけでなく、取り回しの良さも新時代。B・A・Dによる自己軽減能力でコスト5まで下がるため、《ボルシャック・栄光・ルピア》がバトルゾーンにあるだけで簡単に登場するのがこれまでの火自然【モモキングRX】の進化先とは異なる点です。
《王来英雄 モモキングRX》に依存しない展開パターンが増えてデッキ単位での安定性がより高まっているうえ、自己軽減を経由して「召喚」すれば《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》のようなメタクリーチャーを意に介しません。
唯一の欠点は、マナに必要なカードが単にドラゴンではなく「火のドラゴン」に限定されるため、極力他文明のカードを採用せずにデッキを構築する必要があることでしょう。
ドラゴンデッキの初動として選択肢になりやすい《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》や、《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》や《地封龍 ギャイア》のような優秀なロックドラゴンを組み込みづらいのは構築バリエーションの面で少し悩ましいですね。
総じて、構築に課す縛りは決して優しくないものの、それに見合った出力を期待できる強力な進化先ドラゴンだと言えるでしょう。
こちらもドラゴンデッキに限らず、色が合うなら入るほどの定番クリーチャー。
水文明の採用枚数が少なく革命チェンジもほぼないこのデッキにおいては、主に受け札や踏み倒された際のリソース要員としての採用となります。このデッキにおいてそれほど大きな役割を占めているわけではないため差し替えも検討できますが、それを差し置いても十分に強力なスペックを持つドラゴンです。
水文明も全く役に立たないかというとそんなことはなく、このカードがあることによって、マナをまっすぐ伸ばして《禁断竜王 Vol-Val-8》を召喚するサブプランを取りやすくなっています。
主な踏み倒し先となる大型ドラゴンその①。
【墓地退化】系デッキのようにシールドの消滅した相手にジャストダイバーのスピードアタッカーを押し付けやすいわけではありませんが、リソースを整えながらパワー6000以下のクリーチャーを薙ぎ払いつつ突っ込んでくる3打点は、それだけで脅威です。相手の盤面次第ではExターンまで絡めて安全に詰め切れるなど、フィニッシャーとしての性能は超一流。
Exターンには4体のクリーチャーが必要になりますが、自分のパワー6000以下のクリーチャー、主に《ボルシャック・栄光・ルピア》の数だけハードルが下がっていくのはぜひ覚えておきたいポイントです。
主な踏み倒し先となる大型ドラゴンその②。
対面次第で有効度が変わってくるものの、ドラゴンデッキの少ない現オリジナル環境では、多くの場合で相手のマナを根こそぎ、あるいは残り1〜2枚になるまで吹き飛ばす超豪快なランデスクリーチャーとして大活躍。もちろんこちらのデッキはほぼ全てドラゴンで構成されているため被害は0に近いです。
ランデスしか能力を持っていないため「マナを飛ばすカード」以上でも以下でもありませんが、3〜4ターン目に放たれるほぼ全ランデスはそれだけで理不尽そのもの。十分にフィニッシャーとしての役割を果たしてくれるでしょう。
これまたドラゴンデッキには頻繁に顔を出してくる殿堂カード。
現在のオリジナル環境で最前線をひた走るデッキの多くが3色以上で構成されており、《メガ・マナロック・ドラゴン》を出すだけで実質的に行動不能になることが見込めます。性質を考えれば、あるいは「《超竜バジュラズテラ》の1枚目」と表現するのが正しいかもしれません。
あちらと同じく「マナを破壊する(マナを縛る)カード」でしかありませんが、それだけデュエル・マスターズにおけるマナ破壊のインパクトは大きいです。
「引ければ強い」を地で行く殿堂革命チェンジ龍。
《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》が早期に安定して使える構築ではないため、《王来英雄 モモキングRX》と入れ替わってT・ブレイカーを叩き込みつつ、そのまま手札から《王来英雄 モモキングRX》を出して進化クリーチャーを重ねて展開に繋げるムーブが基本形。実質的に「ノーコスト・ノーデメリットで3点入れておけるカード」としての使い道が主になるかと思います。
文明も合致しており基本的には採用するメリットが大きいものの、コンセプトのコアな部分に関わるカードではなく、デッキトップから踏み倒して強いカードでもないため、カードを差し替える際の入れ替え候補として比較的上位にある点には留意しておきましょう。
おわりに
というわけで、今週は火自然【モモキングRX】について解説していきました。
この手のドラゴンデッキとしては珍しく、最速で3ターン目にリーサルを形成することもある展開速度と爆発力が何よりの魅力。2ターン目《メンデルスゾーン》、3ターン目《王来英雄 モモキングRX》からそのまま押し切ってしまう爽快感は、いちど体験すればクセになること間違いなしです!
競技シーンで使う分には大型ドラゴンの枠はフィニッシュ力の高いカードを入れたいところですが、デッキとしての動き自体は好きなドラゴンを入れても問題なく成立します。いろいろ入れ替えながら遊ぶのも楽しそうですね。
キーパーツとなっている《ブランド<NEXT.Star>》はもちろん、このデッキに大量に採用されているキングマスターカードもほとんど全てが「ファイナル・マスター・メモリアル・パック」に収録されているため、非常に入手しやすくなっています。火自然【モモキングRX】、組むなら今、ですよ。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!