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2022.7.25

「エンタメ」をデュエルに持ち込んだ男《ジャック・アトラス》 | カニ丸の遊戯こばなし

コラム 遊戯王
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「エンタメ」をデュエルに持ち込んだ男《ジャック・アトラス》 | カニ丸の遊戯こばなし

「エンタメ」をデュエルに持ち込んだ男《ジャック・アトラス》

目次

■はじめに

こんにちは、もしくは初めまして。カニ丸です。

暑い日が続いたと思ったら、梅雨が戻ってきたかのような雨続きですが、いかがお過ごしでしょうか?

前回は七夕ということもありまして、《不動遊星》とその誕生日について記事を書かせて頂きました。

前回の記事はこちら

そして7月16日には《遊星》の仲間である《クロウ》の操る《BF》(ブラックフェザー)の新しい仲間が登場した「DARKWING BLAST」(ダークウィング・ブラスト)が発売されましたね。


かなりの人気商品ともなったので、手にできなかった方もいると聞いています。

早いうちに再入荷されることを期待したいですね。

さて、《遊星》《クロウ》ときましたら、あと1人思い浮かぶ人物がいるのではないかと思います。


今回は彼ら2人とチームメイトでもあった《ジャック・アトラス》について、また彼が大きく発展させたエンターテインメントなデュエルについて記事を用意しましたので、気軽に読んで頂けたら幸いです。

《ジャック》という男

《ジャック・アトラス》(以下、ジャック)といえば、やはりこのカード!


《レッド・デーモンズ・ドラゴン》ですね。  


TVアニメ「遊☆戯☆王5D’s」(以下、「5D’s」)に登場した《ジャック》は、主人公・《遊星》《クロウ》の幼馴染です。

「5D’s」は2008年4月~2011年3月まで放送されたシリーズになります。


「遊☆戯☆王」原作者の高橋和希先生が前半のシナリオやキャラクターデザインにも深く関わった作品であり、新システム《ライディング・デュエル》でも有名になりましたね。

彼は「ゼロ・リバース」という大きな事故で両親や家といった生活の全てを失った孤児のひとりで、《遊星》らと同じ孤児院で幼少期を過ごしました。

幼い頃から上昇志向があり、特に「王」という地位に固執しているフシがあります。


「5D’s」の世界観は近未来的なサイバーパンクを主体とした日本になるので、君主制ではないのですが、玉座に座るのは自分であるという自信が絶対に消えないのが彼なのです。

「5D’s」には「シグナー」という特殊な選ばれし存在が登場しますが、彼は本編のシナリオが始まる以前からその印である「痣」が浮き出ていた人物のひとりです。

そのため、自分自身が「特別な存在」であるということに絶対的な確信がありました。


物語の中で最も強さを追い求め、勝利に固執していた彼は《遊星》を追い詰めるただのライバルではなく、時には《遊星》の前を行き、導く存在でもあります。

言うなれば、彼は最初から自分の進むべき道が真っ直ぐに見えているかのような振る舞いで、それゆえ、作中だけでなく、多くの視聴者を魅了していきました。  


キングは1人! この俺だ!」 というセリフも有名ですが

キングのデュエルはエンターテインメントでなければならない!」 のセリフは彼だからこそといったところでしょうか。

■エンターテインメント・デュエル

「遊☆戯☆王」において、デュエルとは、戦いであり、魂のぶつかり合いであり、お互いの主義主張をぶつけ合い分かりあうといった演出が多く用いられてきました。


やがて、それは時を経て多くの観客を伴うエンターテインメントへと昇華されていきます。


それは「遊☆戯☆王」の世界における、大会やそれにともなうプロデュエリストの存在が大きいですが、《ジャック》という存在が「遊☆戯☆王」とエンターテインメントの架け橋になったことは間違いありません。

彼こそがエンターテインメント・デュエルのパイオニアと言っても過言ではないでしょう。  




2022年7月現在、プロデュエリストというものは実際の遊戯王OCGにおいては存在していません。

では、現実のカードゲーム界にそれを職にしてプロとして生活している人がいるのかというと、います。


かの世界的に有名なカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)」にはプロプレイヤーというものが存在し、実際にそれで生活しているという人たちがいます。

遊戯王OCGの原点でもある作中の「マジック&ウィザーズ」の発想元になっているということでも有名ですが、プロプレイヤーが存在する数少ないゲームのひとつでも名が知られています。


ちなみに筆者・カニ丸は遊戯王OCGでは様々な理由があり、今後プロデュエリストが誕生するのはまだまだ先の話になるのではないかと考えています。  




現実ではまだ存在しない遊戯王OCGプロという称号。

こちらがしっかりと物語に登場するようになったのは「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」の次回作である「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」からです。

デュエルの学び舎《デュエル・アカデミア》の登場により、プロとして活躍するデュエリストという存在が欠かせないものとなりました。

これは余談ですが、シリーズ中で初めてデュエルにエンターテインメントを持ち出したのは「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」の「カブキッド」という歌舞伎をモチーフにしたキャラクターであったと言われています。

この当時は今ほどエンターテインメントとデュエルは強く結びついておらず、「カブキッド」が登場する回も、エンターテインメントというよりも『プロであってもデュエリストとしてデュエルを楽しめるのか』というテーマが中心となっています。


そうそう、こちらを演じられた声優・落合弘治さんは「5D’s」にて「牛尾哲」を演じていらっしゃいました。

こうして考えると、デュエルにエンターテインメント性を主張していったのは、「5D’s」と、そこで活躍した《ジャック》が大きかったことでしょう。


《ライディング・デュエル》専用の会場にて、まるでレスリングやボクシング、レースといったスポーツのような扱いを受け繰り広げられる熱い戦い。

沸き立つ歓声。

熱気。

その中で勝利を手にしながら《ジャック》はこう言うのです。


「キングのデュエルはエンターテインメントでなければならない!」

スポーツのように、というと少し語弊があるかもしれないのですが、一つの競技として認められた世界で、挑戦者とチャンピオンというポジションで行われる、お互いの見せ場を見せつけ合うデュエルはエンターテインメントとして非常に多くの関心を惹きつけました。


今までももちろん盛り上がるデュエルは行われてきていました。

しかしそれは、登場人物と我々視聴者という関係性でしかなかったのです。

賞金の出る大会、スポンサー、観客と会場、そしてチャンピオンとして活躍する世界観と舞台装置はエンターテインメントに発展したデュエルと、それを一番良く魅せることができる男《ジャック》によって確立されていくのです。

《ジャック》の声優である星野貴紀さんのTwitterでの過去ツイート内容ですが、《ジャック》をエンターテインメント決闘者(デュエリスト)として表現していました。

星野貴紀さんのTwitter】  


エンターテインメントのパイオニアでもある《ジャック》はエンターテインメントをテーマの一つに据えた第5作目である「遊☆戯☆王ARC-Ⅴ」(以下、「ARC-Ⅴ」)にも登場します。

そちらでもまた多くの視聴者を魅了していきました。

■「ARC-Ⅴ」における《ジャック》

ところで、「ARC-Ⅴ」における彼はどういったものかご存知でしょうか?


「5D’s」とは直接かかわりのないシリーズであり、主人公が《遊星》ではなく《遊矢》になっている点が大きく違うため、彼自身の設定が少し変更を加えられています。  


まず「ARC-Ⅴ」の世界では、「ゼロ・リバース」という大きな事故がありませんでしたので《ジャック》の生活にも変化が生じています。

しかしながら、彼が暮らす街は相変わらず貧富の差が激しく、上位階級とも呼ばれる富豪たちはエンターテインメントに飢えた街となっています。

「ゼロ・リバース」がなくとも彼は身分が低い孤独な存在として生活し、幼い時から唯一無二なる「王」を目指して成長していきました。

「ARC-Ⅴ」で《遊矢》と出会った時点ではすでにデュエルキングとして君臨していましたね。

求めた地位につきながらも、デュエルに物足りなさを感じていた彼はまだまだ未熟なエンターテイナーである《遊矢》にひとつの期待を寄せていました。


それは自分と戦うにふさわしい者…


「ARC-Ⅴ」には本来彼がライバルとして認めていた《遊星》が存在していないようで、結果的に《ジャック》は孤高を貫く形で成り立っていたようです。

しかし、この《ジャック》が使用する《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》は右手に大きな傷を負っています。

右の角だけが折れて、少々痛ましい姿でデザインされていました。

2枚を比較するとより分かりやすいですね。

公式に公開された情報によると、過去のデュエルによって負ってしまった傷であるとのこと。


現在記録として残ってはいませんが、「5D’s」最終回にて負傷したものである、という関係者のコメントが存在しています。

「ARC-Ⅴ」で登場する《ジャック》が「5D’s」の最終回の後に直接繋がる場合、様々な矛盾が生じますので、あくまでもデザイン上のイメージとしての認識でよさそうですね。

傷を負ったまま玉座に君臨する《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》はその強さと共にどこか寂しさも感じられます。


《スカーライト》という名前は「右側の傷」という直訳ではなく、まるで《不動遊星》を示した《スターライト》(星の光)を意味しているかのようで、非常にエモーショナルでもありました。

■おわりに

今回は、エンターテインメントとデュエルを結びつけた《ジャック》の話を記事にさせて頂きました。


先日起きた悲しい事故によってご逝去された高橋和希先生のことを思うと、未だに気持ちが暗くなってしまうのですが、エンターテインメントとデュエルを結びつけていかれたそのセンスや考え方は、一介の漫画家と呼ぶにはあまりも大きな影響を世界中に与えてきたことだろうと思います。


本当に素晴らしい方でしたね…

それゆえに今後の先生のご活躍が拝見できなくなってしまったことは改めて非常に悲しいばかりです。


しかしながら、先生が作られた遊戯王を愛する者としてできることは、遊戯王でもっと楽しく暮らすことだともとらえています。

こうしたことから、できるだけ明るい話題で今回の記事公開を迎えるため、少しばかり勇み足になってしまいましたが、わずかでも《ジャック》という男の存在感を感じて頂けましたら幸いです。


《遊星》《クロウ》ときたら、

次は絶対《ジャック》強化ですよね!!!

期待してますからね!!!!!!

《ジャック》デッキのマスコットこと《リゾネーター》たち…そろそろグッズになりそうなくらい増えましたね。|ω・‘)チラッ

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このコラムのライター

鍋野カニ丸

鍋野カニ丸