君に全てを与えて勝利する
デュエル・マスターズの漫画の面白いところは多くあるが、その一つはまだ見た事のないカードが出てくるところだ。
登場しても、能力が分からないまま次回に続く事もあり、そういった時は、どんな能力なのか予想するのも楽しみでもある。
かつて、不亞家のR(リッチ)とS(シズカ)が登場した時は、《アドミラル・クイーン》と《緑神龍ダグラドルグラン》という存在が公表され、「全てを奪って」「全てを与えて」というワードから、どんな能力なのかを楽しみに、1か月先の次回を待ったものだ。
その2枚は確かに対局で、《アドミラル・クイーン》は相手のマナを減らし、《緑神龍ダグラドルグラン》は相手のシールドをマナへ送りマナを増やす、そういった能力であった。
そう、相手にマナを与えて勝利する。それが、不亞家のR(リッチ)の戦い方だったのである。
確かに相手のシールドをマナに送りシールド・トリガーを無効にしていく戦い方は強力だ。
だがしかし、この戦い方は当時だからこそ有効な戦い方であったが、現代デュエル・マスターズではかなり厳しい戦術である。
今のデュエル・マスターズでは、マナさえあれば、手札が少しあれば十分に逆転が可能な時代。
手札こそ増やさないが、元々あった手札を大量のマナと組み合わせて逆転される、という事は十分に起こり得る事だ。
もし、現代でも同じ「全てを与えて勝利する」を目指すのであれば、違う与え方をしなければならないだろう。
それこそ、相手の山札にあるカード全てをマナに送る、それくらいしなければならない。
そんなことが可能なのか? と誰もが疑問に思うだろう。
可能だ。
それを可能にするのが、《魔素縫合 アモデゴラス》と《蒼神龍アナザー・ワールド》の組み合わせだ。
結果だけを説明すると、相手はカードを1枚引き、山札の上から4枚をマナゾーンに置く。
対して自分は、手札が5枚になる。
ついでに、相手は各ターン1枚しか手札を増やす事が出来なくなる。
この動きを何度か繰り返すと、最終的に相手の山札はマナゾーンへ消えていくのである。
今回は、この動きを軸に相手に全てを与えて勝利するデッキを考えてみよう。
同時に踏み倒す
今回、目指すコンボは決まっている。
であれば、どうやってこのコンボを成立させるか、を考えなければならない。
《魔素縫合 アモデゴラス》は場持ちが良いので、普通に出していっても、そのままコンボとして成立しそうな気がする。
が、どうせなら同時に出せる方法を探したいところだ。
どちらもコスト7、種族もバラバラ、多色と単色という違いがあるため、一見すると同時に踏み倒すのは困難に思える。
しかし、どちらもブロッカーという共通点を持っている。であれば、白羽の矢が立つのは、このカードだ。
《禁呪と聖句の決断》だ。
世にも珍しい、光以外のブロッカーを踏み倒せる呪文である。
これで、ブロッカー踏み倒しのモードを2回選べば、一気に《魔素縫合 アモデゴラス》と《蒼神龍アナザー・ワールド》を揃える事が出来るのである。
そうすると、お互い手札と墓地を山札に加えてシャッフルし、それぞれ5枚ドローする事になる。
しかし、《魔素縫合 アモデゴラス》により、相手は2枚目以降のドローを代わりにマナ送りにしなければならない。
よって、相手は1枚ドロー+4枚マナ加速、こちらは5枚ドローという状況が作れるのである。
《魔素縫合 アモデゴラス》は、《冥土人形ヴァミリア・バレル》といったカードと違い、相手に手札の取捨選択を許さない。
1枚目のカードに全てを委ねるしかないため、相手の手札は一気に弱体化するはずだ。
逆に、こちらは次の《アナザー・ワールド》を補充したり、それを再利用するカードを引き込みなおしたり出来るのである。
マナゾーンは、デッキによっては回収手段がないため、相手のキーカードをマナゾーンに封じ込めていくという動きにもなる。
これを繰り返せば、相手の戦力をズタズタにしていき、反撃手段を完全に奪い取る事も出来るだろう。
全ては土へ還る
おおよそデッキの方針は決まったので、あとは外回りを固めていこう。
《禁呪と聖句の決断》も入るため、デッキは必然的に、火を抜いた4色になる。
となると、全体的に多色を多くし、《Disコットン&Disケラサス》《天災デドダム》を初動として採用する構築が良さそうだ。
そして、この動きにするため、デッキの受けは多少厚い方が良いだろう。
《禁呪と聖句の決断》は、そのターンにクリーチャーが出ていなければ、シールド・トリガーにはならない。
そのため、《ヘブンズ・ゲート》のように、このカードを受け札にはカウントできない。
他の受け札が必要だ。それも、欲を言うなら、受け以外の用途として使える方が望ましい。
そこで、今まで挙げてきたカードの共通点に着目しよう。
ここまで出てきたカードは全て、文明に光か水を含むカードばかりだ。
よって、《理想と平和の決断》により、一気にパーツを探しにいけるのである。
マナ加速やコンボパーツ全て、このカードを使えば手札に加えていく事が可能だ。
受け札としても優秀だし、小型のメタカードに対しても有効(しかも、シールド送りのため、回収も困難だ)、そして手札補充のためリソース不足も解消できると、もはや文句なしのカードである。
さて、まだ足りない。他にも、相手に対して有効になりやすい受け札が必要だ。
今の段階で、決断呪文が既に2種類採用されている。
こうなったら、更に採用しても良いのではなかろうか?
《百威と族絆の決断》は、状況によっては受け札になりつつ、相手の小型を処理し、マナ加速やシールド追加が可能になる。
クリーチャーを踏み倒す事もできるので、これでクリーチャーを踏み倒しておくことで、シールドゾーンにある《禁呪と聖句の決断》をシールド・トリガー化させる事も可能だ。
もはやデッキが決断だらけなので、プレイングは優柔不断にならないように気を付けなければ。
さて、ここまでカードを集めてきたが、このデッキで相手のデッキを削るには、《アナザー・ワールド》4枚だけでは足りない。
デッキは全部で40枚(シールドを除いても35枚)あるので、《アナザー・ワールド》4回だけでは、16枚しか削れず、数が足りないのだ。
ということは、《アナザー・ワールド》を更に使い回す方法が必要となる。そういう時には、このカード達の出番だ。
デッキリスト
終わりに
もっと変わった方法では、《呪烏竜 ACE-Curase》を使う方法もあるだろう。
相手のカードを次々に超次元ゾーンへ送り込んでいき、やがて山札切れに追い込むのだ。
ただし、こちらの場合は自分の山札も削れていくので、どこかで山札が減らない工夫が必要だ。
このように、昔使っていたギミックを、応用して現代に蘇らせる事も可能である。
何かデッキを作るとき、あるいはデッキのフィニッシュ手段を考える時、過去に存在していたデッキというのが大きなヒントになる事もあるだろう。
今だけでなく、過去のデッキを学ぶことも、デッキを作るうえでは重要な事だ。