蠅の王
それこそが、《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》である。
コストはあの《引き裂かれし永劫、エムラクール》と同じ15と非常に重いが、圧倒的なパワーと、お互いの手札を全て水晶マナ(裏向きのマナ)へと変えてしまうという、凄まじい能力を持っている。
2月に登場したゼニス達は、水晶ソウルという能力で水晶マナを使って早期に着地するデザインであったが、こちらは《「心」の頂天 プロフェシー》と同じく、革命チェンジを持っている。
よって、コストを支払って召喚するのではなく、革命チェンジによって入れ替わることが主な使い方になるだろう。
その革命チェンジの条件は、なんとゼニス。
水晶ソウル持ちのゼニス達であれば4ターン目に着地が可能なので、5ターン目には革命チェンジで登場し、相手のリソースを粉々にしつつシールドを砕いてくれるだろう。
そう、今までであれば。
その常識を、この《「奇妙」の頂天 クリス=バアル》が変えてしまった。
なんと、初のG・ゼロ持ちのゼニスであり、出たターンに相手プレイヤーへ攻撃が可能という、まさに《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》と組み合わせるべく出てきたゼニスだ。
そのG・ゼロ条件は、マナゾーンに水晶マナが5枚以上ある事。
専用デッキでなければ条件を満たすことは難しいが、逆に言えば、専用のデッキであれば容易に達成できるだろう。
この《「奇妙」の頂天 クリス=バアル》と《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》の組み合わせを、自然文明のマナ加速でサポートするのが、先日発売されたキャラプレミアムデッキのコンセプトである。
が、本当にこれが最適解なのだろうか?
過去に私は、水闇ゼニスや水自然ゼニスという、異なるアプローチでゼニスのデッキを構築した。
という事は、水単ゼニスという、新しいデッキも作れるのでは???
そんなわけで今回は、キャラプレミアムデッキのコンセプトを踏襲しつつ、全く違うデッキを組んでみる事にした。
青の頂天
自然文明のゼニスでは、最速で4ターン目に《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》を着地させる事が可能だ。
しかし、そのためには、当然だがマナが5枚以上必要だ。
そのうえ、その中の5枚が裏向きでなければならない。
この条件を4ターン目に満たすには、2ターン目に水晶マナを1枚作り、3ターン目に《シャングリラ・クリスタル》を、4ターン目に追撃の《シャングリラ・クリスタル》または《「これは命懸けのデュエルなのです」》を唱える必要がある。
この動きを水文明で行う場合、《「これは命懸けのデュエルなのです」》は使えない。よって、4ターン目までに《シャングリラ・クリスタル》を2枚引き込まなければならない。
この時点で動きの再現性が極端に低くなってしまう。
以前の水闇ゼニスでは、水晶マナを3枚確保できれば、大型ゼニスという目標に到達する事ができた。
だが今回のコンセプトでは、水晶マナを5枚確保するという点で、大きな違いがあるのだ。
確かに、このコンセプトであれば自然文明の方が圧倒的に有利だ。同じカードを2枚揃える事は、8枚あるうちの2枚を引き込むより遥かに難しい。
では、どうするのか。
答えは簡単だ。同じカードを使えば良い。
1ターン目から打てる呪文であり、山札の上3枚から呪文を1枚手札に加える事ができる。
これで3ターン目に《シャングリラ・クリスタル》を唱える事ができる確率は格段に上がるだろう。
それにこのデッキで理想の動きをするためには、2ターン目にも水晶マナを生み出す呪文を唱える必要がある。
1マナで山札からカードを引き込める《ア・ストラ・センサー》は、まさに最高の安定剤というわけだ。
さて、現段階で序盤の動きはだいたい固まってきた。
現段階でのリストを眺めてみる事にしよう。
この段階で、28枚の枠が確定した。
眺めていて気付いただろう。
肝心なアイツが居ない。
《「狡智」の頂天 レディオ・ローゼス》
水文明のゼニスにして、出るだけで相手のクリーチャー3体を手札に戻す事が出来る。
そのうえ、相手のクリーチャーが出るたびにドローができるため、場に残っているだけで次々とリソースを回復する事が出来るのだ。
もちろんゼニスなので、《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》に革命チェンジする事もできる。
最速を狙っても出来なかったときは、こちらでいったん耐えしのいで、5ターン目に仕掛ける、という事も十分に可能だ。
加えて、相手がクリーチャーを展開してこようものなら、キーカードを引き込む可能性も高くなる。
ここから2枚目の《「狡智」の頂天 レディオ・ローゼス》を出す事ができれば、相手のクリーチャーを手札に戻したうえで、《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》でマナに叩き落す、という事も可能だ。
残るはシールド・トリガーだが、こちらは相手のクリーチャーを手札に戻すカードが良い。
それも出来るだけ多く戻せるほうが、《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》で一掃できるので、相性が良いだろう。
デッキリスト
他の採用候補
今回のリストでは採用していないが、採用が検討できるカードを紹介しておこう。
このデッキを改造して使う人への、一つのマイルストーンになってくれると幸いである。
Dの寺院 タブラサ・チャンタラム
黙示録の水晶
全体除去が可能な《黙示録の水晶》は、《「狡智」の頂天 レディオ・ローゼス》と役割がかなり被っている。
このデッキでは、4ターン目にゲームに勝ちに行く事が出来ない場合、《「狡智」の頂天 レディオ・ローゼス》を立てる事で、5ターン目に攻め込むプランもある。
そのため、役割が被っている関係から、《黙示録の水晶》は抜ける事になった。
ただし、4体以上のクリーチャーを除去したり、そもそも手札では無く山札に戻してしまううえ、即座に手札を補充できる点は、大きな差別点になる。
環境のファイアー・バードに対しての有効札を増やしたい場合は、採用を検討すべきカードだ。
「心」の頂点 プロフェシー
イグゾースト・Ⅱ・フォー
水晶の祈り / クリスタル・ドゥーム
終わりに
という訳で、今回は水ゼニスという、少し捻ったデッキをご紹介した。
割と自信作でもあるので、興味のある人は、是非使っていただきたい。
なお、私もCSに持ち込もうとしたものの、大絶賛体調不良のため、週末は家で寝て過ごす事になるだろう。
みなさん、体調にはお気をつけて。