ハンデス系メイド
最新弾「超感謝祭 ファンタジーBEST」にて、今回はデスパペットがフィーチャーされている。
しかも、かつて最強の手札破壊と謳われるほどであった《解体人形ジェニー》の系譜であり、ドラゴンの花嫁候補となった《龍后人形メアリー・ジェニー》を筆頭とする、メイド人形たちだ。
なお、ドラゴンの花嫁は種族にドラゴンを含むので、ドラゴンである。
よって、ドラゴンの花嫁同士で結婚しても、ドラゴンの花嫁になれるのである(???)
それはさておき、今回のデスパペットはメイド軍団。
ジェニー城に仕える身であるが為か、全体的に手札破壊に特化したクリーチャーが多い。
その特性から、今回フィーチャーされている種族たちの中で、最も相手にわかりやすくダメージを与える事に特化したデザインとなっている。
ストーリー上でもその特性は反映されており、他の花嫁候補が正攻法でアピールする中、何か色々裏技を使って花嫁になろうと画策しているらしい。
実に闇文明らしい利己主義であり、水文明らしい絡め手の使い手と言ったところだ。
さて、今回の「超感謝祭 ファンタジーBEST」は、特定のデッキを作るために特化したセットだと言えよう。
この手のセットは、新規のデッキを超強力なデッキとして環境に送り込める反面、意図されてない新規のデッキを作る事には不向きな傾向にある。
特に、レアリティの高いカードにその傾向は強く、今回であれば特定種族のメクレイドだったり、特定種族にのみ特化した能力が割り当てられている。
こうなってくると、相性の良い過去のカードと組み合わせる事は可能であるが、開発側が意図した使い方から逸脱する事は難しいのだ。
これは、大いにビルダー泣かせな事でもある。
私のような「デザイナーが意図していない使い方をしてやるぜ」な人物にとっては、非常に悩ましい要素だ。
しかし、そんな中にも「何か面白い動きが出来そうな1枚」というものが存在しているはずだ。
という信念のもとカードプールを眺めていたところ、ちょうど良い感じのメイドが1人居た。
それは《冥土人形ヴァミリア・バレル》だ。
出た時に《陰謀と計略の手》の上位互換ともいえる効果を発揮し、ハイパーモードを解放すると《蒼黒神龍バビロン・ヴェイル》と同等の手札へのプレッシャーをかける事が出来る。
2つの能力は非常に噛み合っており、特にハイパーモードを解放すると、手札破壊戦略が苦手とする手札補充を許さない、非常に強力なカードだ。
このカードの最大の特徴である手札を増えさせない能力は《バビロン・ヴェイル》と同じであるが、このカードは3コストでバトルゾーンに送り込めるため、より早期に妨害を開始する事が可能となっている。
この点を活かして、今回は新しい手札破壊構築を作ってみよう。
二枚以上引かせて相手の手札をズタズタにしよう
コスト 3
パワー 3000
ハイパー化するとパワー 6000
ついでにブロッカー。
出た時に《陰謀と計略の手》相当の除去能力を発揮する。
違う点は、戻すのはクリーチャーでは無くエレメントなので、実質的に上位互換的な動きになっているところだ。
当然、相手のクリーチャーが居なければ、相手の手札を1枚奪うだけという動きも可能。
ハイパー化すると、相手が各ターン2枚目以降のカードを引いた際、その枚数だけ手札を捨てさせる能力を持つ。
これにより、相手はドローによって手札を増やしていくことが、実質的に不可能となる。
ざっと、こんなところだ。
注意点は、相手の手札を増やせなくする能力は、ハイパーモードを解放しなければ発揮できないという点だ。
つまり、自分のターンが回ってきた直後は発揮されないので、必ずハイパーモードを解放するようにしよう。
なお、ハイパーモードを解放してない時に相手が1枚引き、ハイパーモードを解放した後に更に1枚引いた場合であっても、問題なく手札を捨てさせる事は可能だ。
よって、このカードを最速3ターン目にフルで活用するには、2ターン目にクリーチャーを出しておく必要があるという事である。
幸い、2コストのクリーチャーにはメタとして機能するカードが大量に存在するため、候補は多いだろう。
安定して2ターン目に出すには、8~10枚ほど必要なので、この段階でデッキの15枚近くが埋まる事になる。
さて、次はハイパー化して、何をするか、である。
《冥土人形ヴァミリア・バレル》を最大限活用するのであれば、その手札が増えない能力を利用し、相手の手札を減らす事が出来ないか? という事を考えたい。
真っ先に思いつくのは、《サイバー・N・ワールド》との組み合わせだろう。
お互いが手札・墓地を山札に加えてシャッフルし、新たに5枚カードをドローするという能力。
《冥土人形ヴァミリア・バレル》がハイパーモードを解放した状態で《サイバー・N・ワールド》の能力を使うと、相手の手札は1枚、こちらは5枚という構図が完成するのである。
残った1枚は《謀遠 テレスコ=テレス》なんかで奪い取ってやれば、実質的に相手の手札を全て奪う事も可能だ。
しかし、《サイバー・N・ワールド》はコストが6と、少々重い点が気がかりだ。
今のところ、文明は水・闇が決まっているため、このカードを使うのであれば、マナ加速の自然が欲しいところである。
とはいえ、自然のマナ加速を入れたとしても、《冥土人形ヴァミリア・バレル》を出してからハイパーモードを解放できる状況を整え、それから《サイバー・N・ワールド》を出す必要がある。
マナ加速したとしても、このコンボを叩き込めるのは、せいぜい5~6ターン目になりそうだ。
これでは、本末転倒だ。せっかく《冥土人形ヴァミリア・バレル》を早期に機能させても、コンボが決まるまでに時間がかかり過ぎてしまう。
もっと軽量で《サイバー・N・ワールド》のような効果を発揮できるカードが欲しいところだ。
では、そんなカードはあるのか? という疑問が浮かぶわけだが、あるんだなこれが。
そんな素晴らしいカードとは《サイクロン・パニック》である。
火文明である点は、《冥土人形ヴァミリア・バレル》とはかみ合ってない要素ではあるが、そこは3色デッキにする事で何とかしよう。
このカードの優れているところは、たった3マナで、相手にカードを大量に引かせる事が可能という点だ。
これだけ軽ければ、早期に《冥土人形ヴァミリア・バレル》を着地・ハイパー化する意味は大いにある。
最速4ターン目に相手の手札を奪い取り、その先の手札補充すら封じていく動きは、された側には理不尽極まりないものになるだろう。
相手にしてみたら、メイドカフェで着席した直後に水を頭からぶっかけられるようなパニック状態に違いない。
頭が真っ白になるとは、まさにこの事だろう。
(手札を失う事は記憶を失う事の暗喩でもあるため)
どうせなら全部捨ててもらいたい
かなり強烈なコンボであるのだが、このコンボには1つだけ、惜しい点がある。
それは、相手の手札が1枚だけ残ってしまうという事だ。
《サイクロン・パニック》を唱えて相手がカードを引いた場合、1枚目に関しては「そのターンに相手が引く1枚目」であるため、捨てさせる枚数にはカウントされない。
よって、相手の手札がどうしても1枚だけ残ってしまうのである。
どうせなら、相手の手札は根こそぎ捨てさせたい。
現代デュエル・マスターズは、手札1枚からでも逆転されてしまうのだから、そう思うのは当然だ。
この問題を解決するのであれば、《謀遠 テレスコ=テレス》を使う事で解決できる。
だが、このカードは5マナもかかってしまう。
今回のコンボは最速4ターン目に成立するので、微妙にタイムラグが発生してしまうのだ。
そうなると、相手の残った手札を捨てさせるのではなく、全く別のアプローチを考える必要がある。
そう、相手に1枚引かせるのである。
相手に1枚引かせておけば、《サイクロン・パニック》で引いたカード全てが2枚目以降となるため、相手に手札は残らない。
少し相手に塩を送る形になるが、結果的にその塩ごと全て奪い去ってしまうのだから、誤差である。
問題は、どうやって相手にカードを引かせるか、である。
《サイクロン・パニック》と併せて使うのだから、コストは1以下である必要がある。
さすがに、そのコスト帯でそんな便利なカードは存在しないので、視点を変えて探してみる。
つまり、自分のターンのはじめに相手にカードを引かせるカードこそが、このデッキのマスターピースになるという事だ。
そんな理想を叶えてくれるのが、《伝説演者 カメヲロォル》である。
自分のターンのはじめ、お互いに強制で1枚ドローさせるというカード。
早期決着を狙うコンボデッキで時々採用されるこのカードだが、デメリットとして、相手に手札を与えてしまうという点がある。
が、このデッキにとっては、自分のターンに相手に1枚引かせるという、まさに理想のカードになるのである。
そのうえ、当然自分も恩恵を受ける事が出来るため、コンボパーツを集める事にも一役買ってくれる。
もちろん《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパー化にも使えたりと、このデッキと抜群の相性を誇るカードだ。
《伝説演者 カメヲロォル》をタップして、《冥土人形ヴァミリア・バレル》をハイパー化させ、《サイクロン・パニック》を唱えれば、相手の手札は全て消し飛ぶ。
そうなったら、相手はデッキの上から必要なカードを引かない限り、逆転は不可能になるのである。
しかし、気付いた人も居るだろう。
このコンボが成立した次のターン、相手はカードを1枚引く事になる。
そして次の自分のターンにも、相手はカードを1枚引く。
要するに、相手は隙間をすり抜けながら、順調に手札を増やしていくのである。
そんな状況を妨害するために活躍するのが、先ほども紹介した《謀遠 テレスコ=テレス》だ。
このカードまで加われば、《伝説演者 カメヲロォル》と《謀遠 テレスコ=テレス》で2枚ドロー、ターンの最初に1枚ドローの合計3枚のカードを引いていく事が可能になる。
それに対し、相手は手札を1枚ずつしか増やせないので、相手がモタついてるうちに、2枚目の《サイクロン・パニック》を引き当てて再び手札を縛れば良いのだ。
最後に、ゲームを終わらせる詰め方を考えておこう。
手札が無いので、メイド喫茶から退店いただく
手札破壊の問題は、相手の手札が無くなったとたん、やる事が無くなってしまう事だ。
よく言われる事として、手札破壊は目的では無く手段である、という事がある。
手札破壊に特化したデッキというのも良いのだが、それだけに焦点を絞ってしまうと、手札を破壊して終わってしまう。
ゲームである以上、最終的に勝たなければならないので、これではいけない。
今回のデッキも例に漏れず、まだ勝ち筋が見えてない状態だ。
どうせなら、相手の手札が無い事を良いことに、着実に準備を整えて確実な詰みを押し付ける方が良いだろう。
それで、このデッキでそれが可能なのかというと、そう簡単にはいかない。
自然文明であれば《Q.Q.QX》というフィニッシャーが存在するが、水・闇・火の3色では、軽くて安全にゲームを詰めるカードはなかなか無いのだ。
となると、デッキ切れを待つ方法もあるかもしれないが、こちらの方がドローする枚数が多いため、自分が先に力尽きてしまう。
ということは、相手のシールドをブレイクしていくしか無いのである。
もちろん、ただでブレイクするわけではない。相手の反撃の手段を奪ってから攻撃に転じるのである。
そのために必要なカードは、超化獣という存在が世に知れた時に注目された、《お騒がせチューザ》だ。
《冥土人形ヴァミリア・バレル》のハイパーモードを解放するために、この《お騒がせチューザ》をタップすれば、その瞬間からお互いに呪文を唱える事が出来なくなる。
本来は、毎ターン攻撃を強制されるというデメリットがあるが、ハイパー化のためにタップすれば、相手のブロッカーやシールド・トリガーに悩まされる事も無くなる、という事である。
相手のクリーチャーからの殴り返しも、この《冥土人形ヴァミリア・バレル》が防いでくれるので、相性としては抜群と言えるだろう。
この状況に《単騎連射マグナム》が加われば、相手の反撃は完全にシャットアウトできる、という訳である。
という訳で、完成形を見ていこう。
デッキリスト
終わりに
ちなみに、私はメイドカフェに入った事は無い。
なので、実際のお店がどんな感じなのかは、イメージでしか知らない。
が、少なくとも今回のデッキのようなお店ではない事は間違いないだろう。
そんなことはさて置いて、最新弾でフィーチャーされたアーキタイプは、既に環境に爪痕を大いに残していっている。
特に、ドリームメイト、デスパペット、ファイアーバードは、CSで優勝を果たすほどの活躍っぷりだ。
残るスノーフェアリーとスプラッシュ・クイーンについては、今こそ影を潜めているが、いつ爆発するか分からないほどの強化を施されている。
今回フィーチャーされている種族のどれかが好きなのであれば、是非ともデッキを組んでみて損は無い。
自分の好きな種族で戦うというのは、普段に無い充実感を得られるはずだ。
ところで、ゴースト強化はいつですか????