さて、2024年の視点からカードを見てみましょう。
『プレーンシフト』の戦闘魔道士シリーズと違って、《荒景学院の戦闘魔道士》はキッカーを支払った時に追加される効果が「戦場に出た時」ではなく「唱えた時」に強化されていますね。
打ち消しに弱かったキッカーの弱点を克服してしまうとは、エルドラージ恐るべし……。
効果としてはアーティファクトかエンチャントの追放と、クリーチャーを手札に戻す、どちらも非常に使いやすい能力です。
対象を消し去ってしまうところがエルドラージらしいですね。
リミテッドではアドバンテージとテンポが取れる強力カード、構築だと打ち消されない置物追放としてサイドボードに居場所がありそうですが、本体を唱えるのに無色のマナが必須となる事だけ注意です。
統率者デッキに入れる場合は、本人は無色のカードでもキッカー・コストに青マナと緑マナを含むため、青緑を含む統率者でしか使用できません。
《まばゆい肉搔き》が持つ無色の呪文を唱える度に《落とし子》を生成する能力は、エルドラージ呪文はもちろんのこと、アーティファクト呪文でも反応するのが強力です。
《まばゆい肉搔き》を出した後からマナ加速するアーティファクトを数枚唱えるだけでも簡単に7~8マナまで届くため、強力なエルドラージやアーティファクトに繋げるランプ戦略を後押ししてくれます。
統率者では《頭蓋骨絞め/Skullclamp》も良いお供になりそうですね。
コンボ視点で見ると《語りの神、ビルギ/Birgi, God of Storytelling》と似た動きが出来るため
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》+《未来予知/Future Sight》のようなライブラリーの上から独楽を唱えられるカードや
《雲石の工芸品/Cloudstone Curio》+1マナ以下のアーティファクトと組み合わせることにより、容易に無限ダメージを与えることが可能となります。
《雲石の工芸品》ではアーティファクトを手札に戻せませんでした。
お詫びして訂正致します(2024/5/24 21:35追記)
凄まじいマナを秘めたゼンディカーの次元を寄せ餌として、エルドラージをおびき寄せ、封印しようというのです。
ナヒリにとって、ゼンディカーは大切な故郷でした。しかし、代わりに他の次元を犠牲にするのも嫌でした。
計画は見事成功し、エルドラージ達の封印に成功すると、ナヒリは数千年に渡って監視の眠りにつきました。
しかし現実を捻じ曲げるエルドラージの力は、やがて漏れ始めます。
強大なエルドラージの一体、ウラモグの渇きと飢えにさらされ続けた住人たちは吸血鬼へと変貌していき、エムラクールに隷属した天使は光輪によって目を塞がれました。
ナヒリはこうなった原因は全てソリンにあると考え、復讐を誓います。
一方、ギデオンの呼びかけによってゼンディカーにはプレインズウォーカーが集結しつつありました。
ギデオン・ジェイス・ニッサ・キオーラは住民たちと協力しあって、面晶体の牢獄にウラモグを捕らえることに成功します。
しかしそれは、突如として現れたオブ・ニクシリスによって破られました。
ウラモグを捕らえていたエネルギーを利用して自身の失われていた灯を再覚醒させ、ウラモグを解放し、さらにはコジレックまでも呼び寄せたのです。
これにより連合軍は壊滅的な敗北を遂げ、プレインズウォーカー達は行方不明となりました。
絶望が包み込むゼンディカーの中で、それでも生き残った人々は戦いを続けます。
オブ・ニクシリスに拷問を受けていたプレインズウォーカー達を救ったのは、遅れてやってきたチャンドラでした。
解放した皆と力を合わせてオブ・ニクシリスを撃退すると、再び連合軍は集結します。
そこでジェイスはウギンから聞いたエルドラージの特性をもとに、エルドラージを殺す作戦を考案しました。
ゼンディカーに流れるエネルギーをニッサによって操り、久遠の闇にいるウラモグとコジレックの本体を直接引きずり出す。
そしてエルドラージの力を直接ゼンディカーに吸い取らせて殺す、それがジェイスの考えた作戦でした。
コジレックとウラモグをおびき寄せるためにギデオンとチャンドラ率いる軍勢が自ら囮となり、キオーラが梅雨払いをして、ついにニッサの力線が二体を捕らえます。
しかし流れ込むエルドラージの力に耐えきれなくなったゼンディカー次元は、崩壊を始めてしまいました。
ジェイスは最後の賭けにでます。
ゼンディカー全ての力を使って二体を同時に燃やし尽くす。チャンドラ、出来るか? と。
チャンドラは答えました。”出来る”。そして、ニッサと共にそれを成し遂げました。
ゼンディカーの戦いは終わりました。
多くの犠牲を払いましたが、ゼンディカーの脅威は去り、ウラモグとコジレックは消滅しました。
しかし、姿を消したエムラクールの行方を追って、ジェイスは調査を続けるのでした。
復讐に燃えるナヒリはイニストラード各地に謎の石を設置し、マナの流れを狂わせることでエムラクールを呼び寄せ、アヴァシンをも狂わせることに成功します。
苦渋の決断でソリンはアヴァシンを廃棄しますが、アヴァシンによる世界への防護が失われたことで、エムラクールはイニストラードに降臨してしまいました。
イニストラード全土のゾンビを従えたリリアナを筆頭に、プレインズウォーカー達は総力戦を挑みますが、生物はおろか死人さえも変異させ、隷属してしまうエムラクールの前には成す術もありません。
狂気に呑まれゆく精神世界の中で、ジェイスは天使エメリアの姿をしたエムラクールとの対話を交わします。
『これは何もかも間違い。私は不完全で、足りなくて、始まったばかり。不毛の怨嗟ではなくて、花が咲くべき。土は受け入れてくれない。私の時じゃない。今はまだ』
なんとか正気を取り戻したジェイスは、タミヨウからエムラクールを封印する術があると教えられます。
タミヨウの拘束呪文をジェイスがエムラクールへと接続し、ニッサがイニストラードの力を引き出して銀の月へ封印するその作戦は、全ての力を使い果たしてもエムラクールを封印するには到底足りず、あえなく失敗します。
しかしタミヨウが別の巻物を開いて読み始めると、そこから信じられないようなエネルギーがあふれ始めました。
すぐさまジェイスはその力を呪文に直して、エムラクールへと放ちます。
月から弾けた銀色の光がエムラクールを包むと、それは縮んでゆき、やがて消滅しました。
全てが終わったあと、ジェイスはタミヨウに感謝を伝えます。
しかし、恐怖に震えるタミヨウから帰ってきた言葉は意外なものでした。
”あの呪文は、エムラクールが私の体を使って、自ら放ったものなのだ”
と……。
『ジェイス・ベレレン、これは全部私の駒。ずっとここにあったもの。もう遊びたくないだけ』
異界月から8年、エムラクールは沈黙を守り続けています。