仲間は多い方が良い
仲間は多い方が良い。
逆に、敵は少ない方が良い。
世の中をうまく生き抜くには、このスキルが大切だ。
ようは、人当たりよく生きていこうという事である。
「仲間の仲間」も仲間になれば、それだけ仲間は増えていくのだから、当然だ。
仲間が仲間を呼べば、それだけ仲間が増えていく。良い事づくめだ。
さて、仲間が仲間を呼ぶというギミックは、ゲームにおいても戦術として採用される方法だ。
たとえば、クリーチャーを呼び出すたびに手札を補充するという動きも、これに近いだろう。
クリーチャーを展開しながら手札を補充し、その手札から更にクリーチャーを展開していけば、自軍をどんどん強化していく事ができる。
友が友を呼ぶというデザインであり、その最たるものが《シェル・ファクトリーγ》であるわけだが、これらは全て、あくまでも手札に加えているに過ぎない。
では、クリーチャーが直接クリーチャーを呼び出すという動きだったら、どうだろうか?
そんな疑問に答えてくれるクリーチャーが、《巨進の超人》だ。
なんと、自分の他のクリーチャーを召喚によって出すと、マナゾーンから同名クリーチャーをバトルゾーンに送り出す事が出来るのだ。
自身が出た時にマナからカードを回収する事も出来るため、マナゾーンにカードが揃っていなくとも、きっちりと仕事をしてくれる点もうれしい。
情報が公開された当初から、これは面白そうだと騒がれたこのカード。
だが、いざ蓋を開けてみると、全くと言って良いほどに話題に挙がってこない。
本当に、全く名前も見かけない。
確かに、そこそこ軽量で出せて、かなり独特な能力を持つクリーチャーだが、良い扱い方に辿り着けなかったのだろう。
それもそのはず、同じ名前のクリーチャーを2体揃えて楽しい事が起こるというカードは、実はそこまで無いのである。
過去に《双光の使徒カリュート》のようなクリーチャーこそ存在したが、その他の例はあまり見たことが無い。
という訳で、今回はこの《巨進の超人》を使って何かデッキを考えてみる事にしよう。
並べる事は良い事だ
毎度のごとく、このカードのスペックを改めて確認しておこう。
コスト4 パワー5000
出た時にマナを1枚増やし、その後マナを1枚回収できる。
手札に出したいクリーチャーが無くとも、これで手札を補充する事が可能なデザインだ。
そして目玉となる能力は、各ターンに1回だけ、他のクリーチャーを召喚すると、同名クリーチャーをマナゾーンから出せるというもの。
同じ名前のクリーチャーが2体並ぶことでコンボを形成するような組み合わせと組めば強いが、その組み合わせが見つからない。
ついでのように、G・ストライクが付いている。シールドから加える際は、忘れないようにしよう。
なお、名前は《巨進の超人》と書いて「ジナブリ・ジャイアント」である。
ナを抜くと・・・火の七日間と言うことだろうか。
イラストも、それっぽい。
それはさておき、やはり、このカードを使ううえで最大限活用したい能力は、同名クリーチャーをマナゾーンから出せるという能力だ。
同じ名前のクリーチャーが2体以上揃う事で劇的なコンボを形成するカードと組み合わせれば、とんでもない破壊力を発揮するであろう能力。
だが、その組み合わせが見つからないためなのか、全くといって良いほどに音沙汰が無い。
実際のところ、同じ名前のクリーチャーが揃う事で強固となるカードはあるのだろうか?
私がたどり着いた答えは「全くない訳では無いが、わざわざ《巨進の超人》と組み合わせる必要が無い」である。
同じ名前のクリーチャーが揃う事で・・・というより、「同じ名前のクリーチャーでも良いので揃えば良い」というカードは存在している。
その中でも知名度が高いカードとしては、《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》だろう。
他にオラクルが居ると選ばれなくなる能力だが、この能力は《エモーショナル・ハードコア》2体が居る事でも達成出来る。
が、こちらを2体揃えるのであれば《ヘブンズ・ゲート》で事足りてしまう。
確かにマナゾーンから出せるという長所はあるが、そもそも《巨進の超人》をバトルゾーンに維持した状態で《エモーショナル・ハードコア》を召喚しなければならない、という非常に高いハードルがある。
この段階で分かる事は、《巨進の超人》をバトルゾーンに居る状態で展開が現実的なクリーチャーでなければ、扱いが非常に困難だという事だ。
よって、軽量かつ《巨進の超人》で並べる意義のあるクリーチャーを探す必要がある。
探す必要があるわけだが、もはやそれは見つからないのである。
なんとなく、《巨進の超人》の名を聞かない理由が分かってきた。
組み合わせて強いカードが見つからない、というのはどうやら本当らしい。
しかし、だからといって、諦めるのは早い。
続いて、このカードと組み合わせるカードを探していこう。
強いカードは8!
まず、《巨進の超人》でカードを踏み倒す場合、そのクリーチャーと同じクリーチャーがマナゾーンに存在する必要がある。
つまり、踏み倒しを機能させたいのであれば、同じカードを2枚引いておく必要があるのだ。
普通に考えて、同じ名前のカードを2枚引き込むのは、なかなかに安定しない。
かつて全盛を誇っていたサガループですら、《絶望神サガ》を2枚揃える事に全力を賭していた事を考えると、そう簡単なハードルでは無いのだ。
そうなると、《巨進の超人》の能力を活かすのは、非常に難しく見えるかもしれない。
しかし、視点を変えて考えてみると、もっと画期的なアプローチがある事に気付くはずだ。
そう
4枚で足りないなら8枚入れれば良いのである。
何を言っているんだお前は? と思うかもしれないが、大真面目である。
デュエル・マスターズのデッキ構築では、同じ名前のカードは4枚までしか入れる事ができない。
実は、このルールには抜け道がある。ツインパクトだ。
クリーチャー側が同じ名前であっても、ツインパクト版が存在すれば、それらは別のカードとして扱われる。
よって、この《予言者ラメール》のようなカードであれば、8枚入れる事が可能になるのだ。
デッキに8枚も入っているのであれば、同じカードを2枚揃えるというハードルは大幅に下がる。
そして、この《ラメール》のようなウェーブ・ストライカーは、並ぶ事で真価を発揮するクリーチャー群だ。
ここ数年で、ウェーブ・ストライカーはツインパクト化することで強化を得ている。まさに、《巨進の超人》と組み合わせるに相応しいカードではないか!
という訳で、なんかそれっぽいリストを並べてみよう。
《ラメール》はお星さまになった。
ウェーブ・ストライカーを使うのであれば、マナや墓地からリソースを回復できる《アラーム・ラディッシュ》や《骨折人形トロンボ》は欲しい。
あと、大型手札破壊を内蔵した《ジャギラ》も欲しい。
よって、闇・自然の組み合わせで組む事にしてみた。
なお、この段階で目に見える事として、優秀過ぎるカードの過多である。
確かに《アラーム・ラディッシュ》も《骨折人形トロンボ》も、優秀である事は間違いない。
しかし、さすがに8枚も要らない。
いくらチョコレートケーキが好きだと言っても、それが3ホールも目の前にきたら胃もたれするのと同じだ。
いや、ある意味前菜のような役割だから、延々と前菜を食べ続けるようなものだ。
それに、このラインナップを見てみると、あまりに打点が低すぎる。
ウェーブ・ストライカーには、能力を発揮するとW・ブレイカー化するものも居るが、それでもW・ブレイカーだ。
現代デュエル・マスターズでは、少し打点として心許ない。
ウェーブ・ストライカーと組み合わせる方法は確かに理に叶っているものの、少々難ありのようだ。
では、相性の良いカードは他にあるのか?
少なからず、ツインパクト化したカードと組み合わせるというアプローチは、大きな手掛かりである事は間違いない。
という事は、ウェーブ・ストライカーではない、ツインパクト化したクリーチャーを探してみると、良い発見があるのではないだろうか。
なんか凄い事になってきたな。
この2種類は、どちらも同じ役割(2ターン目のマナ加速)であり、どちらも通常版・ツインパクト版が存在するカードだ。
これを搭載し、バトルゾーンの横並びに特化した構築にしたら、それを起点に攻め込むデッキが組めるのではなかろうか。
そういえば《幻緑の双月》のツインパクト版は殿堂入りしてたわ。
とはいえ、《シビレアシダケ》の方はまだ使えるので、何とかコンセプトは維持できそうだ。
2ターン目のマナ加速を大量に入れる事が可能なので、これであれば《巨進の超人》を3ターン目に着地させる確率も高くなる。
それに、全てが自然文明のカードとなっているので、《トレジャー・マップ》でパーツを揃えにいく事も可能だ。
こっちのアプローチの方が、デッキとしての動きは柔軟で、かつ構築の柔軟性も高そうだ。
あとは、どうやって打点の低さを補うか、だ。
構築の柔軟性は高まったが、この弱点を補えてはいない。残りの枠で打点の高いカードを補う事が出来れば、このデッキは完成するだろう。
この点を補うために出来るアプローチは、全体の打点を向上させるか、数を並べる事でコスト軽減が可能な大型を採用する方法だ。
この条件にピッタリ合致するクリーチャーが、火文明に存在する。
それは《弾丸超邪 クロスファイア》だ。
火文明だとは書いたが、実質的にマナ・コストを払って召喚する事はほぼ無いため、文明は考慮しなくていい。
自分のクリーチャーが4体揃えば0コストで召喚できるうえ、マナに火のカードがあれば、アタック時に自分のクリーチャー1体をスピードアタッカーにしてくれる。
普通に使っても2点、条件が揃っていると一気に3点も打点が増えるため、急襲を仕掛けるには十分だ。
だが、もう一息欲しい。
《弾丸超邪 クロスファイア》は火文明であるため、《トレジャー・マップ》で手札に加える事が出来ない。
よって、自力で手札に引かなければならない。
自然文明の高打点が欲しい。それも、出来れば軽量で打点を出せれば、《巨進の超人》とも噛み合ってより良いはずだ。
そんな夢のようなカードが存在するのかというと、探してみたところ、うってつけの1枚が見つかった。
そんな相性抜群のカードとは、《ルツパーフェ・パンツァー》だ。
手札から召喚すると自分がマナゾーンに行ってしまうが、手札以外から出ると、相手のクリーチャーをマナゾーンに送る事が出来る。
しかも、たった3コストにも関わらず、12000のパワーとT・ブレイカーまで持っているのだ。
このカードがなぜ《巨進の超人》と相性が良いかというと、このカードを手札から召喚した際、先にこのカードの効果でマナゾーンに置いてしまえば、それをマナゾーンから踏み倒せるのである。
よって、たった3コストで相手のクリーチャーを除去しながら、大型のフィニッシャーをバトルゾーンに残す事が可能なのだ。
これで、打点不足という弱点は克服された。
良い感じにパーツも集まったので、デッキにしてみよう。
デッキリスト
というわけで、出来上がったリストがこちらになる。
やる事は単純、《巨進の超人》から小型のクリーチャーを展開し、《弾丸超邪 クロスファイア》を繰り出して攻め込むことだ。
その動きが出来ずとも、《ルツパーフェ・パンツァー》による突然の除去&高打点を繰り出したり、安定して2ターン目にマナ加速が出来る事を利用して、早期に《Q.Q.QX》や《獣軍隊ヤドック》をバトルゾーンに出す事も出来る。
《Q.Q.QX》は相手の山札を見れなくするため、黒緑アビスが多用するメクレイドを封殺したり、《勝太&カツキング~熱血の物語~》も効果を不発に出来たりと、思っている以上に色々な対面に有効だ。
《獣軍隊ヤドック》も言わずもがな、赤青マジックが高速で繰り出してくるクリーチャーをことごとく封じてくれる。
ついでに、《ヘブンズ・ゲート》から出てくるであろうクリーチャーも抑止してくれるので、この2種類だけで、大半のデッキに対して、時間を稼ぐことも可能だ。
これらのカードを都合よく引けないかもしれないが、そこは《トレジャー・マップ》で無理やり引き込むことも狙える。
しかも、自然1マナで唱える事ができるため、先手の場合は1ターン目に打たず、相手のマナ置きを見たうえで、2ターン目にマナ加速+《トレジャー・マップ》という動きも可能になっている。
この動きで的確なカードを手札に加えて、相手を追い込んでいこう。
《環嵐!ホールインワン・ヘラクレス》は、墓地を多用するデッキへの対策であり、中盤以降の息切れ対策だ。
それに、自然のクリーチャーが並べば高打点かつ除去も可能なクリーチャーとなるので、狙える場合は積極的に狙っていこう。
極端な話、《巨進の超人》を引けずとも打点を揃えて攻撃すれば良いので、とにかく殴れるタイミングで殴る事を忘れずにいこう。
なお、ことごとく《飛翔龍 5000VT》でバトルゾーンが壊滅するので、そういう相手に対しては《獣軍隊ヤドック》を添えて殴る事を意識するように。
終わりに
そんなわけで今回は、面白そうと言われていた割にあまり見かけない《巨進の超人》を使ったデッキをご紹介した。
確かに、このカードを使うとなると、2体並べて強いカードを探す必要があり、なかなか良い使い道が見つからなかった。
が、今回紹介した中でも《ルツパーフェ・パンツァー》は最高の相性を誇り、相手の除去+高打点という、凄い動きが出来るようになっている。
同じような原理で、《霊騎ラグマール》のような、自身と相手クリーチャーをマナに送るカードと組み合わせるのも良い。
再度使い回す事もできるので、相手のバトルゾーンを一気に壊滅させる事も可能だ。
なお、召喚に反応するので、当然メクレイドで出たクリーチャーでも反応する。そのあたりを利用するのも良いだろう。
そうやって考えてみると、あまり見つかっていないだけで、相性の良いカードは他にも眠っていそうだ。
今回はここまでだが、今後も新しい発見を求めて、色々なカードを探ってみるのも良いだろう。