はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】
今週末はGP2023-2ndが開催されることもあり、環境最有力デッキとも呼ばれるこのデッキを改めてご紹介。
構築の方向性をイチから見直し、不遇と呼ばれた時期を覆して一躍最前線に舞い戻った水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】について、基礎から解説していきたいと思います!
水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】のサンプル構築
水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】ってどんなデッキ?
具体的には、「ビクトリーBEST」で登場した《飛翔龍 5000VT》と「魔覇革命」で登場した《アーテル・ゴルギーニ》と《同期の妖精》の3種。
《飛翔龍 5000VT》は相手のコスト5000以下のクリーチャーを全て手札に戻しつつ次ターンの登場を禁止するパワフルな妨害要員でありながら自分自身もジャストダイバーで1ターン生き残りやすいT・ブレイカー。
《アーテル・ゴルギーニ》は除去と蘇生を使い分けつつブロッカーでガッチリと防御を固め、《同期の妖精》は相手の除去や選択式の攻撃ロックを吸い寄せてメタクリーチャーを守りながら詰めの場面では打点を通す手助けをしてくれます。
これらのカードが追加されたことによって、アグレッシブな水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】がデッキとして大幅に強化されたことに加えて、そもそも【サガループ】のような高速で受けの通らない理不尽なループを押し付けてくる相手も少なくなったためメタクリーチャーの重要性が低下。
結果として《CRYMAX ジャオウガ》本来の強さをフルスペックで発揮する構築に収束し、メタデッキ特有の脆弱さから脱却しました。
メタクリーチャーを維持する必要性が薄くなったことに加えて、《アーテル・ゴルギーニ》による再展開と《同期の妖精》のデコイで盤面処理特化のデッキにも立ち回りやすくなり、受けの多様化と4ターンリーサルの再現性が向上したことで半端なビートダウン相手には速度勝負も可能に。
唯一苦手としているのは先攻3ターン目にゲームエンド級の打点を叩きつけてくるデッキですが、これらのデッキも先手であれば《ボン・キゴマイム》が間に合ってしまうため、トリガーの強化と合わせてある程度までは対応可能。
おおよそ隙らしい隙がほとんどない、環境最高峰のデッキとしての地位を確立しています。
水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】に採用されるカードについて
自分のシールド1枚をマナに変換する2コスブースト初動。
他にもコスト2で次のターン4マナに繋がる初動は多数ありますが、「手札以外のリソースから」「マナの枚数を直接的に増やし」「返しに除去されても支障のない」「バトルゾーンにクリーチャーとして残る」カード、というところまで条件を絞り込むと、この1枚以外に替えがありません。
前環境では《極楽鳥》が優先して採用されていた枠ですが、現在こちらが採用されていない理由としては、デッキ全体の志向が変化したことが挙げられます。
「メタで妨害して時間を稼ぎ、どこかで《CRYMAX ジャオウガ》を通して勝つ」受動的な考え方から「クリーチャーを並べつつ早期に6マナまで到達し、《母なる星域》で《CRYMAX ジャオウガ》を踏み倒してさっさと殴り勝つ」能動的な考え方へとパラダイムシフト。
単色で取り回しが良く、色バランスの安定には非常に大きな貢献を果たす《極楽鳥》ですが、マナの枚数が増えないために《母なる星域》と微妙に噛み合わせが悪かったり、返しに小型除去に処理されてマナが減ってしまったりといったリスクもあります。
シールドこそ減ってしまうものの、デッキの求める全ての要件を満たしているのが《天体妖精エスメル》なのです。
最近何かと取り沙汰されますが、バトルゾーンにあるこのクリーチャーを《母なる星域》でマナに置こうとした場合、アンタップ状態でマナゾーンに置かれます。
いずれかのゾーンからマナに置かれるカードがタップされるかアンタップされるかは移動する前のゾーンでの情報を参照すること。ツインパクトカードを上下どちらかのカードとしてプレイしている間はその面の特性のみを持つため、バトルゾーンにある《天体妖精エスメル》は自然単色として扱われること。
この2つのルールを押さえていれば、問題なく理解できる挙動でしょう。
《「お茶はいかがですか?」》は《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》すらも1度なら受けられるシールド追加トリガー。自身がマナに埋まっていれば手撃ちして1ターン限りのシールドを増やしながら次ターンに1ドローできる呪文として意外と使いどころがある呪文です。
追加のマナブースト持ちクリーチャー。《キユリのASMラジオ》からブースト持ちを2体出せるとのちの動きが一気に楽になるため、マナブースト持ちのクリーチャーは無理のない範囲で出来るかぎり採用したいところです。
手札の枚数は減ってしまうものの、手札調整役としてはなかなかに優秀。1ドローして多色カードをマナに逃しつつ、生き残れば次のターン以降も多色カードをアンタップインできるようになるため、手札に多色カードがかさばっている展開では特に重宝します。
ブロッカーを持っているのも独自性が高く、水火【マジック】や火単【ブランド】のようなビートダウンデッキ相手には時として《天災 デドダム》以上に優先して召喚したいクリーチャーです。
また、デュエル・マスターズ公式サイトのよくある質問にも記載されている通り、このクリーチャー自身がマナに置かれる際も、それがそのターン最初に置かれる多色カードであればアンタップできます。
ブロッカーをバトルゾーンに残したい状況も考えられるので場合によりますが、アンタップマナを確保できる《母なる星域》の当て先なのは覚えておきましょう。
手札・マナ・墓地のどこからでも召喚して山札を2枚掘り進められる、手札外リソースの鬼。
十分にマナが伸びるまでは色基盤としてマナに置く場合がほとんどで、クリーチャーとしてはビートダウンデッキ相手に有効なカードを引かなかった際のブロッカーとして、そのほかの対面では《キユリのASMラジオ》でめくれた時におまけで出すカードという認識です。
マナ色がタイトなこのデッキでは3色カードの恩恵は大きく、後々マナからも召喚できるためマナ置きにリスクもなし。極めて優秀な土地として機能します。
一方で、3マナでプレイしてもマナが伸びるわけではない点は、特に序中盤においてはかなり大きなデメリット。相手がビートダウンだったとしても、《Disメイデン》と比べれば召喚の優先度はかなり落ちます。
このクリーチャーの主戦場となるのはマナが十分に伸びてこのカードから2アクションを取りやすくなる終盤戦以降。ゲームがもつれ込めばもつれ込むほど、どれだけ除去されても一方的にアドバンテージを取り続ける性能が牙を剥きます。
手札がない状況下でのトップ《母なる星域》を打点のロスなく《CRYMAX ジャオウガ》に変換できるのも、デッキの方針との噛み合いよし。そうでなくともマナに置くと再度リソースとして活用できるため、《母なる星域》でマナに置くカードとして有力候補なのは言うまでもありません。
手札以外からのカードの登場全般を禁止する定番メタカード。
元々はメタクリーチャーで相手をガチガチに固めるコンセプトで構築されていましたが、今の構築ではどちらかといえば踏み倒しトリガーを封殺する詰め手段としての側面が強く、フィニッシュ前に《同期の妖精》と合わせて添えれば十分、という場合が多く、採用枚数は1〜2枚程度に押さえられています。
環境に合わせて変えても問題ない枠ですが、求められる性質上自分ターン中にも機能しなければならないため候補はそれほど多くありません。
墓地・マナからの展開に《とこしえの超人》以上の強烈な制限をかける《若き大長老 アプル》はその筆頭候補ですが、闇自然【アビス】がメクレイドを仕掛けてくる現環境では《とこしえの超人》派が優勢。1マナという軽さや殴り返しに使う際のパワー4000もなんだかんだで差が出るポイントです。
用途が多岐に渡りすぎる、水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】の新たなキーパーツ。
メタクリーチャーを除去から守り、詰めの場面でG・ストライクや除去トリガーを吸い寄せ、《母なる星域》や《アーテル・ゴルギーニ》や《CRYMAX ジャオウガ》のコストとして使ってメガ・ラスト・バーストを能動的に起動させ、手札から唱えてもリソースを減らさない除去で、受け札としても機能し…………。自分の要求を通す上でも、相手の要求を引き上げる上でも、あらゆる場面で活躍してくれるクリーチャーです。
メガ・ラスト・バーストと相手のクリーチャー選択を一手に引き受ける能力の噛み合いが非常に良く、これまで不利を取ってきた盤面処理に長けたデッキすらも五分、あるいはやや有利とすら言えるほどまでに相性を改善しました。
《同期の妖精》を無視して盤面を取ってくるマッハファイターを機能停止させる《ボン・キゴマイム》や、同じくブロッカーで守りつつ破壊された《同期の妖精》を蘇生させる《アーテル・ゴルギーニ》は絶好の相方です。
現環境「最高」と名高い極めて優秀なメタカード。
上面の《ボン・キゴマイム》は革命チェンジ・メクレイドのプッシュが著しい現代デュエマに最適解を突き付けるメタクリーチャー。登場したクリーチャーにそのターン中の攻撃禁止を付与し、さらにコストを支払わずにそのクリーチャーが出ていれば1ドローします。
マッハファイター・スピードアタッカー・進化クリーチャーといった召喚酔いしないクリーチャーによる奇襲はデュエル・マスターズの基本。革命チェンジの強みもこれらの能力ありきですので、それらを十把一絡げに封殺してしまえるのは極めて有力です。マッハファイターを止める能力は一種の除去耐性としても機能します。
また、メクレイドや革命チェンジといった「コストを支払わない展開」が環境の主力を占めている都合上、《ボン・キゴマイム》のドローは見た目以上のアドバンテージをもたらします。
もちろん《キユリのASMラジオ》や《瞬閃と疾駆と双撃の決断》、《母なる星域》や《ナウ・オア・ネバー》、「無月の門」系の能力に至るまで反応して1ドローできるため、ほとんどのデッキが普通に動くだけでアドバンテージを取られてしまいます。「ドローされるだけなら」と軽視していると3枚、4枚とリソースを稼がれその差で負けてしまうことも少なくありません。
このように文句なしで環境に適合した上面のクリーチャーが主体となるカードですが、下面の呪文も使いどころは非常に多いです。
特定のコスト帯に戦力が集中しているデッキは意外と多く、水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】の3、闇自然【アビス】の5、【魔導具】系デッキの10などはその筆頭。この辺りを宣言してリーサルを止めつつ次のターンに自分の動きを通して勝つ展開はそれなりに起こります。
選ばず・除去せずにブロッカーを無視できる点もかなり強く、《五番龍 レイクポーチャー ParZero》や《アーテル・ゴルギーニ》など除去できないブロッカーで《CRYMAX ジャオウガ》を受け止めようとしてくる相手にクリティカルヒットする点も覚えておきましょう。
すでに展開された盤面に触れない《ボン・キゴマイム》の弱点をカバーできるため、1枚目の《ボン・キゴマイム》を出した後の2枚目は手札から唱えた方が強い場面も多いです。安全のために2体を並べるか、呪文で盤面干渉するために抱えておくかの判断は慎重に行うべきです。
本デッキのメインエンジン。デッキの勝ち筋は《CRYMAX ジャオウガ》ですが、もっとも効率的にアドバンテージを稼いでくれるのはこのカードを置いてほかにありません。先攻の2tブースト→3t《キユリのASMラジオ》は他デッキのブン回りにも引けを取らないパワーです!
4マナで最大6マナ分の踏み倒しというマナ効率もさることながら、カード1枚が2枚分になるアドバンテージ能力や、山札上5枚から必要なカードにアクセスできる再現性の向上、5枚から2枚を選べる状況対応力の高さなど、シンプル極まりないテキストながらあらゆる要素がこのカードの強さを形作っています。
どうしてもランダム性に縛られるために上ブレ・下ブレのあるカードではありますが、それを補って余りありすぎるほどの出力を期待できるカードです。
「魔覇革命」で登場した新戦力にして、ボードの取り合いにおいて非常に頼もしい盤面番長。
相手の盤面が硬い時は除去、逆に押せ押せの展開ではリアニメイトを駆使することで状況に合わせて立ち回りやすく、パワー6000Wブレイカーブロッカーという優秀すぎる本体スペックと合わせて五分〜微不利の状況を有利に、有利な状況はさらに有利に傾ける性能に優れています。
味方を身代わりにしての除去耐性は殴り手としても優秀で、詰めの局面でも役立ちます。特にメガ・ラスト・バーストによる盤面干渉もこなせる《同期の妖精》や破壊した後もリソースとして使い回せる《Disジルコン》は頼れる相方です。
ロングゲームを見据えたアドバンテージの取り合いで極めて強力な《絶望と反魂と滅殺の決断》とは異なり相手のリソースを削ることは不得意ですが、攻撃的な現在の水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】では本体スペックの優秀な《アーテル・ゴルギーニ》の方がマッチしており、今や3〜4枚採用されるのが一般的になってきました。
ミラーマッチにおいても《ボン・キゴマイム》や《とこしえの超人》の除去・蘇生合戦に強く、何より相手の《アーテル・ゴルギーニ》をナチュラルに対処できる唯一の回答。また相手の《飛翔龍 5000VT》で飛ばず、返しの《CRYMAX ジャオウガ》召喚からリーサルを組めることもあって何かと重宝される1枚です。
押しも押されもせぬ環境最高峰のフィニッシャー。メタクリーチャーの採用数を削ってしっかりマナブーストできるクリーチャーに寄せた現在の構築では、《母なる星域》経由で4ターン目の着地もザラにある、速度にも優れたデッキに変貌しました。
登場するだけで相手のS・トリガー確率を3/5まで減らし、1体でシールドを5枚割り切れるため盤面に既にあった打点の数がそのまま過剰打点になる圧倒的な火力が最大の武器。
よしんば突破に失敗したとしても、攻撃時にボード1体・手札2枚と大きくアドバンテージを奪えるうえに盤面をコストにした敗北置換まで備えているため、メタクリーチャーを数体添えていれば返しにもそう簡単に負けることはありません。
やはり最大の転機は、あくまでマナ落ちケアだった《母なる星域》がメインプランに変わったことでしょう。7マナを払って召喚するよりも、3マナで《CRYMAX ジャオウガ》を出した方が強いのは至極当然の話ではあります。
これまでそのような構築が出てきていなかったのは大量のメタクリーチャーを採用した構築が一般的だったからだと考えられますが、《飛翔龍 5000VT》の台頭によってメタクリーチャー主体のデッキは大きくポジションを落としています。そうなれば、通りの良くなった《母なる星域》をメインギミックに据えるのはある種の必然的な流れと言えるでしょう。
立ち位置としてはメタカードでありながら現環境を定義するほどのパワーを持ったクリーチャー。
横展開や小型クリーチャーを起点にしなければ動けないデッキに対してめっぽう強く、特にミラーマッチや火水【マジック】、火単【ブランド】などに対しては極めて有力なカードとして機能します。
クリティカルに刺さるものの《飛翔龍 5000VT》とのシナジーが強く上手く使える水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】と水火【マジック】、相手の《飛翔龍 5000VT》の影響を受けない上で自分からも比較的採用しやすい【魔導具】系のデッキや5c【ザーディクリカ】が環境で一定の地位を確保する一方で、このカードを使えないうえにデッキのキーカードがパワー5000以下でのデッキの立ち位置は大幅に低下しています。
現在は2枚採用が一般的ではあるものの、環境次第では3枚目の採用も検討しなければならない1枚です。
おわりに
というわけで今回は水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】について解説していきました。
「ビクトリーBEST」発売直後は「盤面で戦うデッキは厳しい」と環境外までの転落も目されていましたが、環境の変化や追加カードの登場で大幅に底上げされて何度目かの復活を遂げた水闇自然【CRYMAX ジャオウガ】。
本文でも記述しましたがもはや目立った隙はほとんどない、現環境最強と言っても良いデッキです。今週末のGPでも注目度最高のデッキなので、公式生放送を見る際にはぜひぜひ意識してみてください。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした! 記事が面白かったらぜひX(旧Twitter)でのシェアをお願いします!