はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は水火自然【ハチ公刃鬼】
「【刃鬼】に……《ハチ公》!?」とリストを初めて見た時には驚いてしまいましたが、改めてデッキの特性を考えると相性が良く、とても冴えたカードチョイスだと感じました。
見た目のインパクトはもちろん目の付け所も面白い水火自然【ハチ公刃鬼】について、基礎から解説していきたいと思います!
水火自然【ハチ公刃鬼】のサンプル構築
水火自然【ハチ公刃鬼】ってどんなデッキ?
そんなビッグマナの代表選手でもある【刃鬼】に、《特攻の忠剣ハチ公》の姿が。
本来のプランとは特段噛み合うカードとは言えないのですが、このカードが真価を発揮するのは本来苦手な対面——すなわち【アポロヌス】や火単【ブランド】のような高速ビートダウンデッキです。
この手のビートダウンデッキは速度を重要視するため、防御まで手が回らない構築になりがち。一度攻め込まれれば返せずに押し込まれることがほとんどです。
そこで白羽の矢が立った《特攻の忠剣ハチ公》。ガチンコ・ジャッジに勝ち続ける必要はあるものの、マナ加速も加味すれば3ターン目にゲームに勝てるだけの打点を押し付けられるのはこのカードの特権と言えます。
お願い《特攻の忠剣ハチ公》でどんな相手にも勝利を掴みにいける動きが確保できるほか、「ガチンコ・ジャッジが強い」という《特攻の忠剣ハチ公》の活躍条件もハンター軸の【刃鬼】と強く噛み合っています。この部分に目をつけられた結果として【ハチ公刃鬼】が誕生したのではないかと推測しています。
水火自然【ハチ公刃鬼】に採用されるカードについて
《特攻の忠剣ハチ公》ルートでは最速で2ターンリーサルを生み出す夢のコスト軽減カード。
もちろんランププランとの相性も悪くはなく、2ターン目のマナ加速から3ターン目に《フェアリー・ギフト》+《流星のガイアッシュ・カイザー》でドローを進めつつ早期にスピードアタッカーを牽制する動きも存在します。
本体のコストが極めて小さいことに目を瞑れば、引けたゲームの出力を最大限向上させてくれる強力なカードです。
テキストが全て機能すれば、「コスト2で攻撃もできるマナ加速付きクリーチャー」であり「パワー12000火力に1ドローまでついたシールド・トリガー呪文」でもある、驚異的なパフォーマンスを誇るツインパクト。
どうしてもある程度相手のデッキにも依存してしまうガチンコ・ジャッジのおかげで使えるデッキは限られますが、こと【刃鬼】系のデッキにおいては最序盤のブーストカードとして最適なカードのうちのひとつです。
このカードによってブースト枠で受け手段のかさ増しができるのは、ドラゴン軸ではなく高コストハンターを主軸にデッキを組むことのメリットだと言えるでしょう。
高コストの2ターン目マナブースト枠。
先人としては《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》と《ネオ・ボルシャック・ドラゴン/ボルシャック・ゾーン》がいます。前者はこちらの方がコストが1大きいため採用する理由はほとんどなし。後者は火/自然の多色なので火文明の枚数を増やしたい場合や初動をより安定させたい場合に1〜2枚を追加採用・差し替える可能性も検討できますが、基本的には自然単色のメリットが勝るでしょう。
上面はハンターもついていないため左上の数字以外を使うことはほとんどありません。もしもの時に8マナで確定除去を飛ばせるのは忘れないようにしたいですね。
このデッキ最大の異端児にして、ビッグマナ特有の悩みを解決する裏の主人公。
本来であれば受けの薄いビッグマナでは逆立ちしても勝てない【アポロヌス】や火単【ブランド】のような速攻デッキに対して、2ターン目マナ加速→3ターン目《特攻の忠剣ハチ公》からガチンコ・ジャッジを5回通してワンショットする勝ち筋を作ってくれます。攻撃の終わりにガチンコ・ジャッジするのでG・ストライクは無視できるところも◎。
2コスブースト8枚とデッキに8枚の《特攻の忠剣ハチ公》を1枚ずつ引けばいいだけなのでサブプランとしては再現性が高く、どんなデッキ相手にも4マナからワンチャンスを作れる点は唯一無二です。
トリガーケアをせず1点ずつ刻んでいくだけということでトリガーの強いデッキにはほぼ通らないのが弱点ですが、そういった相手は大抵マナ加速を通す余地があるため本筋のランププランで《勝利宣言 鬼丸「覇」》や《超神龍バイラス・カースド》で詰めればよし。
その意外性のインパクトに反して、デッキとの相性補完に非常に優れたサブフィニッシャーだといえます。
メリット能力もりもり、大型クリーチャーを活用するデッキでは採用しない理由を探す方が難しいビッグマナデッキの友です。
このデッキにおいて重要なのは特にコスト10以上のクリーチャーの召喚コストを軽減してくれる能力と、相手のクリーチャーが出たターンにプレイヤーを攻撃できなくなる能力。
《「勝利」の頂 カイザー「刃鬼」》はもちろん、コスト10ツインパクト組や《勝利宣言 鬼丸「覇」》のコストを大幅に軽減して5〜6ターンでのフィニッシュを可能にすると同時に、攻撃ロック能力によって大型のコスト軽減やマナ加速を通した際に生じがちな隙を潰して返しにリーサルを通されづらくしてくれます。
これら2つの常在型能力だけでもお腹いっぱいですが、相手のコスト踏み倒しに反応する自己踏み倒し能力と登場時の2ドローまでついてくるのだから驚愕の一言。立て続けの再録で非常に手に入りやすくなっている今が入手のチャンスかもしれません。
こんなところにも姿を見せる《飛翔龍 5000VT》。
ハンターではありませんが素のコストが高いためガチンコ・ジャッジに強く、大量のメタクリーチャーでこちらを妨害してくるようなデッキに対して1枚でターンをもらえるのがこのカードの強み。コスト5000以下のロックは非常に範囲が広く、多くのデッキが何らかの部分で影響を受けてしまいます。
横に並ぶフィニッシュプランとも相性は悪くなく、《流星のガイアッシュ・カイザー》下で《「勝利」の頂 カイザー「刃鬼」》を召喚した後は自分のクリーチャーだけでもコストが4下がるので、相手の盤面次第ではありますが多くの場合は1〜3マナ程度で追加着地可能。
《「必然」の頂 リュウセイ》がいれば超低コストの召喚酔いしないジャストダイバーとなり、アタッカーとしての性能が非常に高いのも好相性です。
コスト10の上面と3コスブーストを持つツインパクト。2→4→6の動きをする際の補助的なブースト要員として重宝します。
マナ加速のおまけについてくるデッキトップ操作はアドバンテージこそ生み出さないものの不要なデッキトップを弾けるだけでも十分強力で、メクレイドやガチンコ・ジャッジとの相性も良好です。
クリーチャー面がマッハファイターで盤面に干渉できる高コストハンターである点もなかなかに強力。マナの枚数に依存するため早期に着地させる旨みはさほどありませんが、マナは伸びきっているのにフィニッシャーが引けていない展開では、デッキトップから引いて嬉しいカードになりえます。
踏み倒しはコストを支払わずに「召喚」できるので、召喚時効果を持つ各種《刃鬼》を踏み倒しやすいのは流石のデザイナーズ。
これ以降3枚のコスト10ゼニス/ハンターツインパクトすべてに共通することですが、採用するだけでG・ストライクの枚数を底上げできる点が地味ながら強力です。
上も下も超強力な【刃鬼】界期待のエース。
どちらも非常に優秀ですが、特に上面の全軍スピードアタッカー付与は【刃鬼】にとって必要不可欠。これまでも《永遠のリュウセイ・カイザー》や《閃光のメテオライト・リュウセイ》などが担ってきた枠ですが、コストの兼ね合いでどうしても枚数を採用しづらいのがネックでした。
これを解決したのが、ツインパクト化とG・ストライク付与。
フィニッシュ補助以外にも範囲火力除去と受け札としての立ち位置を得たことで、デッキに4枚採用してもダブつきにくくなっています。
呪文面は相手クリーチャーの数に応じてコスト軽減されるパワー4000以下の範囲火力呪文。優秀は優秀なのですが、刺さる相手と刺さらない相手がハッキリ分かれるタイプの効果です。こちらだけを目当てに採用するのは少し難しいですが、先述した通り本来なら枚数を積みづらい「スピードアタッカーを付与するだけ」のクリーチャーを最大枚数採用しやすくなる、という意味では十分以上に優秀です。
W・ハンター・メクレイド10というとんでもない能力を引っさげた本デッキのエース。
類似の能力と同じくデッキトップ6枚からコスト10以下のハンターを2体出せるこのクリーチャーを早期にバトルゾーンに送り出し、怪獣大戦争を巻き起こすのがこのデッキの主たる勝ち筋です。
基本的には《流星のガイアッシュ・カイザー》でコストをシンパシー込みで5引き下げ、6マナで召喚してしまうのが正道。デッキトップからの出力をメインにする都合上、無闇にマナを伸ばすよりもコスト軽減などを絡めて山札が減りきらないうちに出してしまうのがこのカードにとって重要なポイントです。
地味ながら相手のシールドが5枚以上あると単体でスピードアタッカーを得られるのが非常に強力。攻撃時にもW・ハンター・メクレイド10を使えるので、相手が自分のシールドを減らす手段を持っていなければ本人も合わせて総勢5体もの大型ハンターがバトルゾーンに集結します。
このための「ビクトリーBEST」か、と思わされるほどに満を持しての殿堂解除となった《勝利宣言 鬼丸「覇」》。
このクリーチャーに関してはテキストに書いてあることがすべて。ガチンコ・ジャッジに勝ち続ける限り自分のターンを何度でも繰り返せる破格のフィニッシャーです。
《「勝利」の頂 カイザー刃鬼》から出てこずとも、このカード単体でも勝ちを引き寄せられる超強力なフィニッシャーです。
今回の構築では唯一のロックフィニッシャー。
呪文やクリーチャーを止めるわけではなく、「S・トリガー」を止めるためタマシードやD2フィールドのような特殊なカードタイプのS・トリガーもまとめて止められるのがこのカードの強みです。
忘れがちですがパワー17000に裏打ちされた攻撃誘導もなかなかに優秀で、除去の乏しいビートダウンならこのクリーチャーを一度着地させて寝かせるとほぼ詰みにまで持ち込めます。
メクレイドによる踏み倒しが主眼の今回の構築では狙って出すのはなかなか難しいものの、着地さえできれば優秀極まりない詰め要員です。
おわりに
というわけで今回は水火自然【ハチ公刃鬼】について解説していきました。
ビッグマナのビート対策といえば防御力を上げるアプローチを試みるのが普通ですが、ここであえて《特攻の忠剣ハチ公》でアグレッシブな対策を講じるアプローチが非常に新鮮で今回ピックアップいたしました。
単純にスピードアタッカーや踏み倒しが咎められていない状況ではカード1枚からゲームを終わらせかねないのもすごく良いですね!
特定の対面で輝くのはもちろんですが、そうでない相手にも間に合わなさそうなら《特攻の忠剣ハチ公》を押し付けてワンチャンスを狙えるのが非常に好印象です。防御を増やすアプローチはどうしてもデッキの純度を下げてしまいますが、こちらは能動的に使えるカードなのでそのような心配もありません。
環境に定着するかと言われれば……なんとも言えませんが、「カードゲーム」というものの面白さを感じるデッキリストでした。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした! 記事が面白かったらぜひTwitterでのシェアをお願いします!