はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は火単【ブランド】
ここ2年ほど常に最前線で活躍しているデッキですが、カードプールや環境の変化に合わせてさまざまに構築を変化させています。
中でも今回の変化はとびっきり。少し重いメタビート気味の構築から脱却し、全速力で駆け抜ける構築が結果を残し始めています。
今回はそんな火単【ブランド】について、基礎から解説していきたいと思います!
火単【ブランド】のサンプル構築
火単【ブランド】ってどんなデッキ?
軽量クリーチャーをたくさん出す! そして殴る!
非常にシンプルな2stepで構成された、火力の高さがウリのビートダウンデッキです。
軽量クリーチャーの大量展開と相性抜群のフィニッシャーとして、とにもかくにも《我我我ガイアール・ブランド》が強すぎる。容易にリーサル+2〜3打点、下手すればそれ以上の火力を叩きつけられるため、生半可な防御手段ではまともに受けきれません。
また、このクリーチャーや《“罰怒”ブランド》のコストを下げるにも、軽量クリーチャーの存在は重要。これらのクリーチャーで盤面に打点を用意しながら、フィニッシュの際には一気に手札を吐き出して全軍をスピードアタッカー化し、一気に殴り切るのが唯一にして絶対の勝ち筋です。
さて、《我我我ガイアール・ブランド》の登場以降2年もの間活躍中の火単【ブランド】ですが、中でもここ最近の構築はやや遅めのものが一般的でした。サンプルリストを見てみましょう。
火単【ブランド】(ソンクン型)
【サガループ】へのメタとして《U・S・A・BRELLA》が投入されたり、追加の打点要員・カードパワーを底上げするユーティリティカードとして《烈火大聖 ソンクン》が採用されたりと全体的に後ろ寄りの構築に。
環境の速度がそこまで早くないこと、受け札の都合上リーサルギリギリの打点が通りづらくなったことなどから多少重くとも4ターン目にしっかり勝ち切れる構築が主流となっていました。
また、【サガループ】に採用されていた《「敬虔なる警官」》も単なる軽量ビートダウンを動きづらくする壁として立ちはだかっていました。このカードを置かれると次のターンにはほとんどの動きが取れず、手をこまねいてしまいます。
しかし、2ターン目にも攻撃できる《襲撃者「鎧」ドライブ》の追加で3ターンフィニッシュのプランでもある程度の過剰打点を押し付ける目処が立ち、【サガループ】の軽量除去は盤面にロックを掛けない《「…開けるか?」》に入れ替わり。
今ではシンプルな高速ビートダウンとしての火単【ブランド】が比較的活躍しやすい環境になってきたと言えます。
コンボ・ビートダウンの定番として環境に定着している火自然【アポロヌス】にも速度負けしないなど、そのほかの環境要因もあり、速度特化の火単【ブランド】に注目が集まっているのではないかと考えられるでしょう。
火単【ブランド】ってどんなデッキ?
言わずと知れた、最古にして最強の1マナクリーチャー。
強制攻撃が付いているので「溜めることができない」「相手の場にブロッカーがあっても突撃してしまう」などデメリットはありますが、基本的には1ターン目に出て2ターン目、3ターン目と気兼ねなく攻撃できるメリットが勝ります。
《ボルシャック・フォース・ドラゴン》や《烈火大聖 ソンクン》を採用した構築は、しっかり溜めて4〜 5ターン目に爆発的な打点を形成するのがメインプラン。2ターン目にリソースとS・トリガーのチャンスを与えつつタップクリーチャーを1体差し出してしまうこのカードをあえて1ターン目に出さない展開もよくあります。
しかし、今回ピックアップした構築は3ターンリーサルに勝敗を賭けているため、そんなことは気にしていられません。迷っている暇があるならさっさと出してさっさと殴ってしまう方が良いでしょう。
火文明コスト1界に現れた期待の大型新人。
攻撃時に手札を1枚捨てなければならないものの、シビルカウント3を達成していれば1ドローもおまけで付いてくるため差し引きでデメリットはなし。むしろ攻撃しながら手札入れ替えが可能なスーパークリーチャーになってくれます。
そもそもコスト1の攻撃できるクリーチャーがメリット能力を持っているだけでも強力なのですが、そこに動きの安定性をもたらす手札入れ替えまで付いてくるとなれば使わない手はないでしょう。
攻撃時能力が同時に複数誘発した場合、能力は好きな順序で解決できます。手札がない状態でもシビルカウントを達成しているのであれば引いてから捨てることでノーデメリットで攻撃できますし、あまりないシチュエーションではありますがあえて先に手札を捨てる方を解決して自爆させた後に1ドローを解決し、次のターンに向けてリソースを抱えることも不可能ではありません。
ただし注意点として、誘発型能力としてのシビルカウントは解決するタイミングでのクリーチャーもしくはタマシードの数を参照します。
例えば、火のクリーチャーが3体ちょうどいる時に《クミタテ・チュリス》を先に自壊させると、火のクリーチャーが2体になってしまうためドロー能力は解決されないので注意が必要です。
能力の解決順次第で使い方にかなりの幅を出せるクリーチャーなので、この辺りのルールは覚えておいて損はないでしょう。
コスト1界では異色のスペックを持つクリーチャー。自分の手札が1枚以下なら1マナスピードアタッカーという驚異のスペックになりますが、2枚以上あれば攻撃できずに手札に帰ってきてしまうピーキーな性質を持ちます。
他のコスト1と違って「1ターン目に置いて2ターン目から殴る」動きは取れませんが、3ターン目以降は多くの場合で手札1枚が1打点に化けるため非常に高効率。
《“轟轟轟”ブランド》や《斬斬人形コダマンマ GS》から拾ってそのまま1マナで打点を追加したり、このクリーチャーを召喚してから《“逆悪襲”ブランド》を投げればわずか2マナで3点を形成できたり、手札が尽きた際にデッキトップからダメ押しの1点を叩き込んだりと、他のカードにはできない仕事がたくさんあるユニークなカードと言えるでしょう。
単色クリーチャーとしては初の、無条件でデメリットのないスピードアタッカー。
事前情報から「現行のテンプレ構築には入りづらいそう」という評価がなされていましたが、ある意味では前評判通り。このカード専用の構築を引っさげて環境に殴り込みを果たしました。
このカードの特徴は、とにかく速度に極振りできること。1ターン、2ターン目とクリーチャーを展開して2体で殴って《龍装者 バルチュリス》まで出した日には2ターン目3点。次のターン開始時に攻撃できるクリーチャーが3体いるので、特に何もなければそのままリーサルを組めてしまいます。
序盤の盤面を触りづらく防御はメタに任せている水闇自然【ジャオウガ】やそもそも防御力に乏しい【水魔導具】、速度勝負になりがちな火自然【アポロヌス】や火単【ブランド】ミラーでは、速度が早く序盤から盤面で圧を掛けられるこちらの構築の方がより有利に立ち回れるでしょう。
反面、形成できる打点はかなりギリギリでカードパワーは低め。ある程度強い受け札を1枚踏むだけでも致命的なタイムラグを負いかねませんし、相手が先んじて《ボン・キゴマイム》などのメタクリーチャーを出せると一気に窮地に立たされます。
ブレが大きいカードではあるものの、ミッドレンジ化傾向にあった火単【ブランド】を速攻デッキとして再構築するだけのパワーがあることには間違いありません。今後も要注目のカードです。
ジャンケンに勝利すればスピードアタッカーになる2マナクリーチャー。《襲撃者「鎧」ドライブ》の5枚目以降を占める枠です。
同じくジャンケンに勝てばスピードアタッカーになる《JK軍曹チョキパン》との差別化点は、やはり殴り返し耐性の高さでしょう。
クリーチャーとのバトル時にジャンケンに勝てばパワー7000まで跳ね上がるため、相手からすれば殴り返しにリスクが伴います。3ターン目までに押し切りたいこのデッキにとっては、クリーチャーが除去されるかされないかは勝敗に直結する問題です。たとえ運任せでも多少なり場持ちがいい方が優先された結果だと考えられます。
登場時にシールドを回収できる2マナクリーチャー。
継続的にリソースを回収できて鬼タイムでパワーも上がる《カンゴク入道》が最優先で4枚採用されていたここ最近の火単【ブランド】ですが、このデッキにおいてシールドの回収がターン終了時というタイミングは絶妙にネック。
戦い抜く力よりも瞬間火力の方が優先されるため、3マナ・4マナ時にトップデックした際、シールドからクリーチャーを拾って即座にもう1アクション取れる《斬斬人形コダマンマ GS》の方がデッキに噛み合っています。
とはいえ、《カンゴク入道》入りの構築も結果を残しているので、この辺りはお好みで。
2体のクリーチャーで攻撃した後、さらなる追撃をかますドラゴンギルド。
このデッキでは最速で2ターン目に登場し、一気に3枚目のシールドまでブレイク可能。デッキの速度を大幅に底上げしてくれます。
単に打点を追加できることももちろん強力ですが、盤面の頭数を増やせるのが何よりも重要。次のターンもクリーチャーが3体残るため相手への要求が高まりますし、《我我我ガイアール・ブランド》が次のターンに着地すればさらにもう1点分増えることになります。
とはいえ、このデッキでは唯一と言ってもよいトリガーケアが可能なカードなので、あえて2ターン目には出さずにフィニッシュのタイミングまで取っておくことも時と場合によっては必要になってきます。相手のデッキに合わせて投げ時を見極めましょう。
手札がこのカード1枚ならコスト1まで減少し、登場時に6000火力を放てるスピードアタッカー2打点。
コスト1の枚数が非常に多く手札を使い切りやすいこのデッキでは、アタッカーやトップからの解決札として活躍しやすいタイミングが多いです。
登場時の火力も殴り返し要員やメタクリーチャー、ブロッカーなどをかなり幅広く潰せるので便利。このデッキの目指すコスト帯としてはほとんど確定除去です。
非常にシンプルで書くこともあまりないカードですが、強いていうのであれば常にトップから《“轟轟轟”ブランド》か《“逆悪襲”ブランド》を引いた際にすぐに手札を吐き切れるようなハンドキープを心がけたいですね。
手札がこのカード1枚ならノーコストで飛び出し、カードを1枚引いたうえでそれを捨てれば6000火力を飛ばせる2打点スピードアタッカー。
全体として《“逆悪襲”ブランド》とかなり近しいスペックをしていますが、あちらは概ねこのカードの調整版といったところ。
マナを使わずにすぐ殴れる2打点が出てきてカードまで1枚引いてくれるのは破格も破格。引けた引けなかったが勝敗に影響するレベルのインパクトです。流石の殿堂入りカード。
火のクリーチャーを召喚したターンはコスト2まで下げて召喚でき、攻撃時に自らを破壊して自軍全体をアンタップ&スピードアタッカーを付与する、ビートダウンデッキを代表するフィニッシャー。
火種となる進化元まで数えれば、バトルゾーンに攻撃できるクリーチャーが1体いるだけで5打点、2体もいれば7打点を瞬時に形成して瞬く間にゲームを終わらせます。
このカードもとにかくシンプルに火力が高く、通常ではありえない打点を押し付けられるのが何よりの強み。うっかり4ターン目までもつれ込んだ場合は《“轟轟轟”ブランド》や《“逆悪襲”ブランド》を絡めて10点以上を作り出すことすらあり得るでしょう。
火種となるコスト1のクリーチャーと合計3マナがあれば常にトップデックの《我我我ガイアール・ブランド》の受け皿となるため、常に1枚は軽量クリーチャーを抱えておきたいところですね。
おわりに
というわけで、今回は火単【ブランド】について解説していきました。
本当にこのデッキはいつまで活躍と進化を続けるのか……! 2年経ってもなお衰えないキレと火力は止まるところを知りません。
とはいえ、さすがに防御側も強くなっており、受けが強まれば若干立ち位置が悪くなるデッキということで、環境の良いバランサーであるとも感じています。果たしていつまで《我我我ガイアール・ブランド》が使えるかはわかりませんが……それまでは存分に楽しんでいきたいですね。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした! 記事が面白かったらぜひTwitterでのシェアをお願いします!