日本にまつわる豆知識! 遊戯王OCGで新年を迎える方法とは | カニ丸の遊戯こばなし
■はじめに
初めまして、もしくはこんにちは。カニ丸です。
そろそろパソコンを買い替えないと、ある日突然編集担当さんに
「PC壊れたので今週のコラム無理です」
と、いう連絡を入れなければならなくなりそうな今日この頃。
我が家には、クリスマスにパソコンを背負ったスペシャルなサンタクロースは訪れなかったようです。
筆者・カニ丸に必要なのは、サンタクロースではなく、スーパーメカニックの《不動遊星》、伝説のハッカー《Playmaker》や、『ロード』発明家の「王道遊我」なのかもしれません。
本当に助けてくれ。ブルースクリーンとズッ友になってしまう。
クリスマスが明けてしまうとすっかり年の瀬、師走(しわす)感が出てきます。
「師走」というのは、陰暦の12月を指しますが、クリスマスやジャンプフェスタ、コミックマーケットなどがない時代は年の暮れには仏事で各地のお坊さん方が、忙しすぎて走り回るくらい多忙であったことから、「師(僧)」が「走る」と書いて「師走」となったという説があります。
(他にも諸説さまざまありますので、気になる方は調べてみても面白いと思います)
日本は様々な宗教が共存する国で、近年、より自由な発想で生活される方も多いので、そのような様子を肌身に感じる機会は限られています。
皆さんご存知の「除夜の鐘」は日本仏教からきているものですが、それが全国区に広まったのは、昭和の禅宗寺院のラジオ放送であったとされています。
クリスマスから1週間もしないうちに、仏教的なイベントを過ごすのが現代日本の主流というのは、そのお国柄を現わしているような気がしますね。
かくいう遊戯王OCGも世界中の様々な宗教や伝説、物語、言葉や作品などの垣根を越えて、いつも発想の豊かなカードが登場していますよね。
■「初詣」
そんな中、除夜の鐘がつき終わり、新年を迎えた後はみなさんは初詣に向かわれる方もいるかと思います。
この話の流れだと「初詣」は仏教のイベントのように感じられるかもしれません。
でもみなさんの中には神社に行く人と、寺社仏閣に行く人、どちらもいますよね。
分かり易く極端に言いますと、神社は神道、寺は仏教です。
余談ですが、この日本の大きい数字の数え方である命数は、仏教系統のサンスクリット語からきているとされ、もっと大きい数字になると、恒河沙(ゴウガシャ)、那由多(ナユタ)、阿僧祇(アソウギ)など初見では読むことが難しいものが設定されています。
「遊☆戯☆王(原作)」はエジプト神話がテーマですが、劇場版などに登場する「藍神」こと「ディーヴァ」を掘り下げて行くと、その使用モンスターや作中単語から仏教の用語や思想に触れることができます。
さて、話を戻しますが、日本には「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という独特の文化がありまして、ものすごく簡単に言うと神道と仏教が《超融合》した宗教現象が起きています。
なので、新年の初詣に行くのは神社でも寺社仏閣でも間違っていません。
どちらも正しいというケースで、《超融合》と表現しましたが、完全に混じりあったというよりは、個々の宗教形態を維持しつつ、一部が合体しているようなイメージです。
《十代》と《ユベル》のような別個体でありながら寄り添っている状態とでも言いましょうか。
もちろん、現代の形になるまでには紆余曲折有り、平安時代には仏教が、江戸時代には神道が流行ったという時代もありました。
先日最終回を迎えた大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では平安時代から鎌倉時代にかけたお話でしたので、よく仏像が登場していました。
■鏡餅の由来
初詣を終えた後はみなさん色んな過ごされ方をするかと思います。
親戚一同で集まって食事をしたり、年始の新春初売りに向かったり、家で新年特番を見たり。
お正月の始まりですね。
お正月と言えば、「鏡餅(かがみもち)」は定番です。
年賀状やLINE、新年の挨拶にとりあえずつけておけばなんとなく年始感が出てくるほど。
正月の代名詞ともいうべき鏡餅ですが、どうして「鏡」とついているのかご存知でしょうか。
さきほど、神道について軽く触れましたが、鏡餅はこれに関係しています。
神道には「三種の神器」というものが存在します。
・八咫鏡(やたのかがみ)
・天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
この三つの要素が鏡餅に組み込まれているとされています。
▼八咫鏡(やたのかがみ)
まず「鏡」です。
「八咫」というのは「大きい」という意味をさしていて、別名「真経津鏡(まふつの かがみ)」
一説には直径約46cm、円周約147cmであるとされています。
神器というだけあって、実物は一般公開されておらず、伊勢神宮にそのご神体が奉安されているのだそう。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)の天岩戸騒動の折に作られたとされ、その象徴にもなっているようです。
三種の神器はどれも人目にふれることはなく、日本の唯一の皇族「天皇」家のみが見ることを許されています。
鏡餅の餅部分はその名の通り、この鏡を置き換えています。
《八汰烏》や《機巧嘴-八咫御先》の元になったのは同じく日本神話に登場する「八咫烏」ですが、この鏡との関係はありません。
先ほども記述したように「大きい」という意味が「八咫」という言葉に込められているため、神々から遣わされた特別な烏ではあるのですが、名前の類似から関連性を誤解されることも多いとか。
ちなみに、《御巫》の《鏡の御巫ニニ》はこの三種の神器「鏡」と、「瓊々杵命(ににぎのみこと)」という天照大御神の孫にあたる男神がデザインの元なのではないかと言われています。
この「瓊々杵命」が三種の神器を地上に下ろしたとされています。
▼天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)
天叢雲剣は三種の神器の中でも最もポピュラーだと言えるでしょう。
他にも「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」などといった別称があります。
RPGやソーシャルゲームなどで武器のひとつとしてよく登場しがちなので、名前だけご存知の方も多いのでは。
鏡餅には干し柿を串でつないだものを飾る場合があり、それがこの「剣」をイメージしているのだといいます。
「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」…より知名度があるのは「スサノオ」という呼び方になると思いますが
彼が「八岐大蛇(やまたのおろち)」を対峙した時に、その尾から出てきた剣とされています。
些細な話ですが、かの有名な「八岐大蛇(やまたのおろち)」の尾ってどこからどこを指していったのか、ちょっと悩んでしまいます。
こうして並べると、共通のモチーフを持った遊戯王OCGも多いですね。
《御巫》の《剣の御巫ハレ》はこの神器の「剣」であり、現段階では「神倭伊波礼毘古命(かむやまといはれびこのみこと)」からではないかと言われています。
「神倭伊波礼毘古命」というのは日本神話に出てくる「神武天皇」のことです。
日本神話は「天皇家」が神の血筋である、という伝説によるものですので、物語の中に「天皇」やその関係者が登場します。
残念ながら、平安時代、平家と源氏の戦「壇ノ浦の戦い」によって海中に沈み失われており、今は別の「草薙剣」が伊勢神宮より献上されて、そちらをご神体としています。
▼八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
ちなみに、三つ目の神器は「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」です。
特別な伝説などはあまり持っていませんが、その名からかなり大きな珠(たま)であるとされます。
もしくは、緒に結ばれた勾玉のことを指しているのではないか、とも。
鏡餅においては、一番上に乗せる橙(だいだい/みかん)をこの「玉」に見立てているのだという説があります。
八尺をそのまま考えると約180cm程度になるはずですので、物理的にそのままを想定するよりは、緒の長さが長いものがそう呼ばれている可能性もかなりあるのではないでしょうか。
八尺がもし八咫であるなら、約140cm程度です。
遊戯王OCGでは、大きな水晶のようなイラストで描かれています。
《御巫》の「CYBERSTORM ACCESS」新規《珠の御巫フゥリ》が言わずもがな、こちらを意識したものだと思われます。
「火遠理命(ほおりのみこと)」が元ネタにもなっているのではないか、と推測できますが、まだまだ可能性は他にもあるでしょう。
ただし、この「火遠理命」は「瓊々杵命(ニニギの元ネタ)」の子で「神倭伊波礼毘古命(ハレの元ネタ)」の親にあたるので、ちょうど真ん中がこちらで埋まることとなります。
「鏡」は天照大御神を
「剣」は素戔嗚尊を
「玉(珠)」は月読尊(つくよみのみこと)を
それぞれ指しているのではないかとされますので、「鏡餅」は三種の神器ならびにこの三柱を見立てられたものとではないかと言われています。
■おわりに
2023年は「兎」年ですから、すでにいろんなお店でウサギをかたどった置物や、年賀状のサンプルなどが店頭に並んでいますね。
干支は中国由来の文化ですが、今ではすっかり日本に馴染んでいます。
この「兎」にちなんでウサギを飼おうという人も増えているというニュースを見ました。
ウサギはその性質上、飼育はどちらかといえば難しい部類に入ります。
しっかりと下調べをして、飼い主もペットも幸せな生活を送りましょう。
1月14日発売予定の「CYBERSTORM ACCESS」では他に新規テーマ《ネムレリア》や《ピュアリィ》新規の《ピュアリィ・スリーピィメモリー》などが登場し、筆者・カニ丸は「初夢」ネタなのか…?
と勝手に勘ぐっております。
見るタイミングが諸説ありますので、なんとも明言しにくいのですが、1富士、2タカ、3なすびと縁起物ですので、年始にそのような夢がみなさまに訪れることを祈っております。
さて、今年最後にひとこと言わせてください。
パソコンやスマホのバックアップは早めに取っておきましょう!
本年もありがとうございました。
また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
鍋野カニ丸