閃く穂先
窓から星明りがまだ差し込む時間に俺はゴソゴソと寝床を抜け出す。
正直、身体はまだ睡眠を欲しているようで、重たい。しかし、少しの水で顔を洗い、ボロ布で拭うと、いつも使っている鎖帷子に腕を通した。
夜中の街を歩き、辺りの様子を伺う。
まだ日の出前であることをいささかも気にしていないような様子の漁師たちが投げ槍と網を持って港へ向かって歩いていく。
俺は、いつも勤めている海門へたどり着いた。前の当番の衛兵が疲れた顔を向けてくる。
「よう、時間通りだな。海門は今日はこともなし……と言いたいところだが、最近、街中の様子が慌ただしい。俺達まで何か言われることはまだ無いが気をつけた方がいいぜ」
「そうか、あんがと」
気をつけろって言ったって、結局、この門の衛兵以上のことは今のところやることが無いのだ。
「じゃあな」
「ああ」
備え付けの槍を手に取り、俺は門の横へ歩いていった。
表の通りに日が差してくると、子どもたちが集まってごっこ遊びをはじめた。
いつもと同じ、怪物たちと戦う冒険者……俺にもそういう時期があった。冒険者になって怪物どもと戦い、財宝を大量に持って帰る。そして、どこかのお姫様を魔術師の迷宮から助け出し結ばれる。
そんな無垢な気持ちだけ持っていた時期が。
「ねえ、知ってる? 街の外には怪物がたくさん集まってるんだって」
「集まって、どうするのさ」
「さあ、でも人間の街は全部こわされちゃうんだって」
子どもたちですらそんな話をするのか。
なんでもないはずの街の様子が変わっていることを俺も感じていた。
夕方になって、冒険者たちが街を歩いているのが見えた。
ドワーフとハーフリング、ヒューマンそしてハーフオークだろうか、装備は泥と血にまみれている。
疲れた様子ではあるが、不思議と表情は暗くない。
ハーフリングがさっと手を上げると別れて行ってしまった。
冒険者たちは、街の中へ歩いていった。
冒険者など、この街では珍しくもない。だが、妙に気になる連中だ。
夜になって詰め所で食事をしていると(食事と言っても、硬いパンとコーヒーくらいの簡素なものだ)
にわかに周囲が慌ただしくなっていることに気がついた。
正直、疲れていて、辺りのことに気がつくのは遅かったようで、もうだいぶ多くの人が辺りを走り回っている
「どうしたんだ」
「なんでも、怪物たちが押し寄せてきたって」
「怪物? そんな」
俺は、同僚に声をかける。寝こけていたヤツは慌てて立ち上がる。
「オイ、なんだ急に」
「街の様子がおかしい。俺は本部へ行ってくる」
「わかった。気をつけろよ」
槍を置き、”燃える拳”の本部へ走り出す。
街の人間たちはどこかに行くように逃げ惑っている。どこに行くというのか?
ただ、確かに小型の怪物たちが時々街を走り回っているのが見えた。
「怪物たちがこの”バルダーズ・ゲート”へ押し寄せている」
上官は感情が無いように淡々とそう告げると、隊長たちを呼び集めはじめた。
この中にいても仕方ないと思った俺は外へ出て隊長が出てくるのを待つ。
半刻も経たないうちに我らが海門隊の隊長が本部から出てきた。目があった俺は隊長の前へ走る。
「まあ、言われた通りだ。俺達は基本的には門を守ることになる。急いで門に戻ってくれ。門は閉じて決して開けるな」
俺は腕を上げて応じると海門へ走って戻る。
同僚は不安そうな顔になって突っ立っていた。
「寝ている奴らを叩き起こして集めてきてくれ。俺は門を閉じる」
「ああ」
詰め所にいたヤツと俺とで門を閉じ、閂をかける。
集まってきた同僚たちと武装していると、隊長が門へ到着した。
俺は門の前で槍を使って防衛をすることになった。
普段使っている槍を手に取る。
「コイツを実際に使うことになるとは……」
震える手で弓を持っているヤツもいる。
火の手が街の中で上がっているのが見える。大勢の悲鳴も……。
俺は槍を握りしめる。
こっちにも来るのか、いや、わからない。
「来たぞ!!」
門の上にいる連中が声を上げた。
俺は槍を構える。
普段は見ないような巨人が街角を曲がってこちらへ来るのが見えた。
ソイツの足元には、オークどももいる。
槍を握る手に力が入る。
門があることに気づいたそいつらは、一斉に走り出した。
戦場が兵士トークンでいっぱい(D&D限定構築統率者デッキ)
みなさん、こんにちは!
もう来週には『兄弟戦争』の発売ですね!
私がマジック:ザ・ギャザリングを始めたときのエキスパンションが『ウルザズ・サーガ』でした。
ウルザは私のマジック人生の最初のヒーロー……今回の兄弟戦争も思い入れがあるキャラクターたちがワサワサ再登場するので非常に楽しみですね。
まあ、ウルザ自体はヒーローというにはあまりにもやってることが非道なんですけど。
兄弟戦争で描かれる新しい冒険……まあ、過去の戦争なんですけど、
冒険といえば、そう『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』だね!
今回はかねてより「強い」「どうなってんだこれ」「書いてあることがちょっとよくわからない」と評判の
《ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン》です。
Abdel Adrian, Gorion's Ward / ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン (4)(白)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアンが戦場に出たとき、あなたがコントロールしていて土地でもこれでもない望む数のパーマネントを、これが戦場を離れるまで追放する。これにより追放されたパーマネント1つにつき1体の白の1/1の兵士(Soldier)クリーチャー・トークンを生成する。
背景選択(背景(Background)1つをあなたの2つ目の統率者とすることができる。)
4/4
戦場に兵士トークンがいっぱいのキーカードだよ
繰り返す兵士(限定解除構築統率者デッキ)
繰り返す兵士のキーカード
限定解除版の《アブデル・エイドリアン》デッキのキーカードはなんと言っても《動く死体》。
《アブデル・エイドリアン》に《動く死体》をエンチャントすることで、ゴージャー・コンボに入ることが出来ます!
追放されたり戻ってきたりするパーマネントに「戦場に出たとき」誘発する能力があれば……と思ったことはありませんか?
私はあります。
そこでこの一枚《欲深いスラル》
なんと出入りするたびに対戦相手のライフを2点ずつ、チューチュー吸うことができるのです!
1度だけでは2点だけだが、10回、20回と繰り返せば……戦場に立っているのはお前だけ……つまりそういうことだ!!
もう一枚、同様の理由(出入りするとアドバンテージが取れる)で採用されているのが《警備隊長》。
出入りするたびに兵士トークンが出てくるのでめっちゃ兵士が増やせます。
やりましたね、彼らのチカラを結集して対戦相手のことを殴り倒してしまいましょう。
《警備隊長》はイラストも美麗で、私は非常にお気に入りの一枚です。
終わりに
今回は《ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン》を使用したデッキを紹介いたしました。
正直、私がゴージャー・コンボ好きすぎて、それを紹介したかったのではないだろうかという意識はうっすらあるのですが
だが私は謝らない。
背景選択の能力によってデッキのカラーがガラリと変えられるところも統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦いの魅力となっています。
《アブデル・エイドリアン》だけでなく、他の伝説のクリーチャーたちも強力な能力を持っているので、ぜひ自分の統率者を見つけてみてください。
それではまた「統率者をめぐる冒険」でお会いいたしましょう。