※編注:「ワープワールド教団」とはめぐすけが妄想している架空の団体です。実在の人物・団体とは一切関係がありません。
●ワープワールド経典第1章 神はワープワールドを創られた
シャローム!(訳:こんにちは)
日々の暮らしに感謝して生命を謳歌していますか!?
『兄弟戦争』がもうすぐ発売ですね!
ウルザとミシュラが兄弟喧嘩するセットで、
「大工匠トカシアが残した不思議な宝物『アーティファクト』がギックス教団に奪われた!失ったものを取り戻すために戦う『ウルザ』 世界の平和を守るために戦う『ミシュラ』 君はどっちを応援する!?」
のオープニングナレーションでおなじみですね。
腐っても企業のコラムが存在しないオープニングをでっちあげるんじゃあないよ。
さて、みなさんはどのカードに注目していますか?
自分は・・・えーっと(慌ててカードギャラリーを確認している)
《歪んだ世界/Warp World》とは『ラヴニカ:ギルドの都』で登場した混沌の赤の役割を象徴する8マナのソーサリーである。戦場にあるパーマネントを全て入れ替えるというマジックの歴史でもとびっきり豪快な効果、エンターテインメント性、無限の可能性はマジックプレイヤーを魅了し、ワープワールドというアーキタイプを誕生させた。マジックの歴史における「ターニング・ポイント」である。
ワープワールドがスタンダードのシーンに最初に登場した時の衝撃は世界中のマジックプレイヤーを震撼させた。《無政府主義者/Anarchist》で何度も《歪んだ世界/Warp World》を使いまわし、リミテッド専用カードと思われていた《感電の弧炎/Galvanic Arc》を7回戦上に出し相手を焼き切る様は泥と闇に覆われた始祖の大地に原初の火が灯る宗教画のような美しさだったと当時を知るものは語るとか語らないとか。
ワープワールドに魅せられた者達はいつしか「ワープワールド教団」を結成し、パーマネントを並べることで生命の尊さと世界平和を表現しようとした。ワープワールド教団の団員数は公表されていないが、もしかしたら君の隣にいる人もワープワールド教団の者かもしれない。
ローウィン=シャドウムーア・ブロックで再録された際も様々なシナジーを組み合わせて8マナを目指す姿勢は変わらなかったが、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》や《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》といった強力なフィニッシュブローを手に入れた。もう《狩り立てられたトロール/Hunted Troll》に《鉄の樹の拳/Fists of Ironwood》を付けて殴ったり、《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》でループするたびに余ったマナを使って火花を飛ばす必要は無いのだ。
ローテーション後、《ナックラヴィー/Nucklavee》を失って無限にループを繰り返す悠久の時-ヘヴン状態-は喪失してしまったが、アラーラ・ブロックの高いカードパワーとゼンディカー・ブロックの上陸シナジーによって一発で圧倒的な盤面を築く新時代のワープワールドが訪れた瞬間の衝撃は多くの教団員の網膜に焼き付いている。その最高ハイテンションぶりは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の主人公スレッタ・マーキュリーの身長が170cmもあることのエモさと肩を並べると言われている。普段自己肯定感が低く引っ込み思案な性格をしているが、身長は170cmである。つまり普段強気の発言をしているミオリネ(推定身長150cm)はスレッタを見上げた状態で発言していることになる。この関係性、このギャップ、端的に言って最高ではないだろうか。妄想が捗りすぎてヤバい。つまりそれくらいゼンディカー期のワープワールドは最高であった。
一方で《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》といった天敵も現れ、多くのワープワールド使いの命が刈り取られたことも事実である。黒単吸血鬼の猛攻を凌ぎ、刹那的タイミングでワープワールドを間に合わせて安堵した瞬間に降臨する血魔女の絶望感はまさに恐怖の象徴であった。世界が確実にワープワールドを敵と認識し、抵抗を始めたのである。
スタンダードで共存することは無かったが、《倦怠の宝珠/Torpor Orb》や《神聖なる月光/Hallowed Moonlight》はモダンフォーマットでワープワールドが暴れることを防ぐための抑止力としてデザインされたのではないかという説はあまりにも有名。
ワープワールドの魅力、それはやはり高い地雷性と最後まで一発逆転の可能性があるエンターテイメント性に他ならない。いつだって少年少女は主人公になる夢を見る。主人公の絶対的条件であるピンチからの一発逆転を可能にするワープワールドはまさにエクスカリバー、勇者の剣と言っても過言ではない。
ああ、我らが《歪んだ世界/Warp World》。なんと最高のカードであることか。では次はワープワールドが採用してきた歴代のオススメパーマネントカードを紹介していこう。まずは最も代表的なマナ加速カードである《ウッド・エルフ/Wood Elves》との相性について語らせてほしい。あれは15年前、私がフロリダのショップにふらりと寄った時のことだ。え?そろそろ本題に戻って欲しい?そうはいってもまだやっと序章が終わったところなのだが、仕方ない。一旦本題に戻るとしよう。
・・・ふう。
というわけで令和の世に舞い降りたワープワールド、組むしかないでしょこんなの。
●ワープワールド経典第2章 神はテキストを読まれた
まずはカードテキストの確認です。
マナコストは赤ダブルシンボルの7マナ。《歪んだ世界/Warp World》が赤トリプルシンボルの8マナなので非常に唱えやすくなっています。これがインフレというものです。
まぁ概ねワープワールドなのでめちゃくちゃ土地とか伸ばして撃てば勝ちますよ。
どれどれ・・・
おや・・・?
なん・・・だと・・・?
土地だけでマナ加速しても最低限パーマネントカウント8は担保できていた《歪んだ世界/Warp World》と違って今回は土地はカウントしてくれません。何で!?円安の影響!?
しかたないので土地以外のパーマネントを並べつつマナ加速しないといけません。
『兄弟戦争』のメカニズムの一つであるパワーストーン・トークンはマナ加速とパーマネント生成を兼ねており一見すると正解(アンサー)みがありますが、非アーティファクト呪文である《やり過ぎ/Over the Top》には使用できないので非常に相性が悪いのがネックです。
ウィザーズがこの令和のワープワールドを非常に危険なものとして理解した上で、パワーストーンをデザインしたのは間違いないでしょう。
つまり《やり過ぎ/Over the Top》を唱える前に
・対戦相手の攻撃をいなし
・パーマネントを展開し
・マナ加速して7マナを目指す
の3つを達成する必要があります。
ららら楽勝だな!!
え?《やり過ぎ/Over the Top》を手札にもってくるのも追加しろ?そんなものワープワールド教団員の必須技能なので右手でなんとかします。ちゃんと日頃から徳を高めていれば造作もないことです。
●ワープワールド経典第3章 神はフィニッシャーを選ばれた
うーーーーーーーん
この方向性はやめたほうがいいですね。
過去の凝り固まった戦法に囚われていては勝利は掴めません。
ワープワールド経典にも「汝、常に新しいフィニッシャーを求めよ」と書かれています。
しかしそんなピンチの盤面を都合よくなんとかしてくれて、そのままフィニッシャーも兼ねてくれる概ね出るだけで勝つような強力なカード、「オタク趣味に理解がある家庭的な恋人」を作ること以上に非現実的なカードがそうそうあるわけ・・・
あるじゃん!!!!!!
除去・フィニッシャー・非伝説と三拍子揃った最強のカード!なんだこれ!
本能が可能性に手を出せと叫んでいるので令和のワープワールドはこいつを全力で出すことにします!!
●ワープワールド経典第4章 神はマナ加速を選ばれた
さて、勝ち手段が決まったので次はデッキの土台であるマナ加速の選定です。7マナを目指すので土地24枚でマナ加速は12枚くらいは欲しいです。
最悪《ファイレクシアへの門/Portal to Phyrexia》素出しの可能性もあるので、マナ加速とコラムにおける主語はいつだって過剰気味なくらいが適切です。
ちなみに今のスタンダード環境に高速で大量のマナを出す手段は限られているため、アグロデッキにサンドバッグにされないよう全体除去を採用することはこの段階でほぼ確定しています。
ここらへん
なので全体除去に巻き込まれるマナクリーチャーではなく、それ以外のパーマネントでマナ加速する必要があります。ちなみに
・クリーチャーではないパーマネント
・《やり過ぎ/Over the Top》を唱えるのに使用できる
・2マナ以下
・宝物・トークンのような使い切りでない
の条件を満たすマナ加速はありませんでした。やっべ泣きそう。
つまりマナ加速ができるのは3ターン目以降。
全体除去を必須とした理由はここにあります。
今のうち契約している保険屋に連絡して、大会で赤単と当たった時も保険適用してもらえるか確認しておいた方が良さそうですね。
マナ加速の候補達
エンチャント-オーラ系
ワープワールドの定番マナ加速《繁茂/Wild Growth》枠です。
除去されにくく安定してマナ加速できます。ちなみにこのデッキは序盤クリーチャーを展開しないことがほぼ確定しているので2枚とも上の方の効果はフレイバーテキストになります。
マナアーティファクト系
《セレスタス/The Celestus》
やや不安定ですがマナ加速をしながら手札の循環ができるためキーカードを引き込みやすくなるのは重要です。
伝説のアーティファクトなので採用するなら1-2枚程度でしょうか。
その他
見事に全部3マナです。マナ加速の厳しさが『戦乱のゼンディカー』頃のランプを彷彿とさせます。おも~い!!
え?既にアグロデッキのサンドバッグになりながらキーカードがくることを祈る未来が見えるですって?ワープワールドがアグロデッキ相手に祈らなかった時代なんて存在しませんが???
両手がなんのためにあるかわかりますか?祈るためです。
●ワープワールド経典第5章 神は悩まれた
●ワープワールド経典第6章 神はデッキリストを創られた
創ってしまった・・・これが・・・令和のワープワールド。
環境を支配するために生み出されたの究極のデッキ。
●ワープワールド経典第7章 神はデッキリストを解説された
一気にコンボデッキ感出てきました
マナカーブ的に序盤のタップインはある程度許容できるので、赤緑のライフゲインする土地を8枚採用しています。命の重さは地球以上ですからね。
この構成ではクリーチャーアグロを恐れて全体除去を8枚採用していますが、メタの変化によってそこらへんの枚数を調整して土地でないパーマネントを増やすカードを入れるとより安定すると思います。
●ワープワールド経典第8章 神は答えを導き出し休まれた
出てしまいましたね。環境の答えが。
構成上多色化も容易なので、サイドボードでメタデッキに効果的なカードを何でも採用できるのも明確な強みです。
みんなも令和のワープワールドで《ファイレクシアへの門/Portal to Phyrexia》を叩きつけよう!
え??もし赤単と当たったらどうするかって??
引き分けを提案するんだよ!!!!!!
おしまい