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2022.10.4

カードゲーマーとしての性から逃げられない | 気軽にゆるふわマジックであそぼう

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カードゲーマーとしての性から逃げられない | 気軽にゆるふわマジックであそぼう

カードゲーマーとしての性から逃げられない

ョッピングモールに足を運ぶ。


何度か訪れたショッピングモールだが、我こそは泣く子も焦る生粋の方向音痴。戦場に出たときに《道迷い/Totally Lost》が誘発するレベルである自分は予めルートを考えない。ノリで生きてきた性分を遺憾なく発揮し、駐車場を起点に気の赴くまま散策を開始する。


「たまにはカードと食べ物以外に金を使おう。一般人になろう」というふわっとした気持ち。


欲しいものは強いて挙げるならボトムス、特にブームが去って取り扱い店舗が色プロテクション持ちのクリーチャーばりに激減した1万円以上2万円以下程度の若干高価なカーゴパンツをここ数年探していた。
カーゴパンツの悪魔はまだチェンソーマンに食べられていないので、概念としてのカーゴパンツが消滅したわけではない。故にカーゴパンツは存在するはずなのだが、本腰を入れて探しているわけではないので数年もの歳月がかかっている。

それゆえ、最早漠然としたウインドウショッピングの動機づけと化していた。




アメカジ系のセレクトショップに来た。
目当てのボトムスはない。代わりに鞄コーナーが目にとまる。

引き寄せられるように鞄コーナーに向かい、買うでもない鞄をそれとなしに物色する。


デザインは?

ブランドは?

質感は?


違う。


他の客とは明らかに違う価値観で鞄を物色している自分に気付く。


入るデッキの数は?
プレイマットは?
メモ帳が入るポケットは?


カードを持ち運ぶのにどれくらい適しているかが判断基準になっている自分がいる。


いけない、今日はそういう日ではないのに。

鞄は持っている。《よりよい品物/Greater Good》は戦場に出ていないので買い替えの検討はしない。
気を取り直して店を後にした。




無印良品に来た。
落ち着くアロマの薫りと民謡調のBGMが迎えてくれる。


向かう場所は文具コーナー。

数年見かけていないのでおそらく製造が終了している無地ダイスをつい探してしまう。
旅行用ポーチをサプライケースとして利用できないか考えてしまう。
メイクコーナーのコスメケースの活用方法に思いを馳せてしまう。
《恐るべき妄想/Frightful Delusion》から逃れられない。
だ・か・ら、今日はそういう日ではないのだ。

食品半額コーナーにお気に入りのポテトチップスがないことを確認して店を後にした。




雑貨屋に来た。
ここは危険だ。カードゲーマーの性から逃げられない。


文具コーナーに近付こうものなら大会で使っているノートの残量の記憶を辿ってしまうし、

最早ルーチンと化した使いもしない電子メモパッドの見本で「20」と試し書きするムーブを取ってしまう。
サブカル感漂う雑貨コーナーに入ろうものなら商品をトークンやマーカーとして使えないか判断してしまう。

完全に《判断麻痺/Decision Paralysis》してる。

革製品コーナーに小物入れがあろうものなら値札を見て現実に引き戻されるまで妄想は止まらない。
カードゲーマーとしての性が買い物思考の奥深くに根を張ってしまっている。


カードゲーマーとしての価値観が一般人の価値観を破壊してしまった。それは再生できない。

誰か助けてくr――だめだ、周りの友人も既に手遅れだ。



ふと「服屋、ほとんど回ってないな」と気付いたところで、そろそろ《家路/Homeward Path》につく時間になった。
1階のスーパーでサイコロステーキを買って夕飯にすることでサプライ購入意欲を誤魔化し、無駄に広い立体駐車場で15分ほど車を探して休日が終わった。


とあるカードゲーマーの手記より。

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このコラムのライター

めぐすけ

めぐすけ