世界大会決勝裏側| サーニーゴのポケモン通信
はじめに
サーニーゴことシマダダイチです。
もう知っている方がほとんどだと思いますが、ポケモンの世界大会である「Pokémon World Championships 2022」カードゲーム部門 マスターリーグで準優勝することが出来ました。
暖かい応援をありがとうございました。
今回のコラムでは世界大会当日の過ごし方や闘った感想を皆さんにシェアしたいと思います。
日本人のマスターリーグで決勝まで進出した選手は僕の知る限りでは5人なので、きっと誰もが体験したことのない感情を共有できると思います。
前日
決勝戦の前にPVが流れたと思います。
その撮影は準決勝の後にしていました。
僕はYouTubeの編集も自分でしているので、編集や撮影関連のことがいつも気になってしまいます。
撮影したその日に編集して、翌日朝の決勝戦で使われることに驚きました。
撮影が終わった時点で疲れがピークだったものの少し休んだら元気が出たので、ホテルに戻ってピザを食べて軽めに練習しました。その後、軽く散歩して就寝です。
起床
ホテルは会場から徒歩10分程度の場所にあり、集合時間が朝8時半なので早めの7時起床。
日本での僕の生活は深夜2時就寝9時か10時起床というサイクル。
ロンドンに来てからは時差ぼけと興奮が冷めないことで早く目が覚めてしまい5~6時間程度しか眠れていませんでしたが、この日はしっかり朝まで眠れました。
Day2の対戦が過酷過ぎたので、Day3は身体が疲弊し切ってるのを感じましたが、朝まで眠れたことで1戦ぐらいなら余裕でこなせそうでした。
朝食
YouTubeの方で動画投稿すると思いますが、ホテルは毎朝食事付きです。
大事な用事がある日は食欲がなくなる人も居るかとは思いますが、しっかり食べました笑
イギリスの食事は美味しくないとよく耳にしてましたが、少なくとも僕が食事したお店は全部美味しかったです。
ただバリエーションは日本と比べると少ないので、毎日食べていると流石に和食が恋しくなります笑
ホテルの朝食はベーコンが美味しかったので、毎朝大量に食べてました。
デッキチェック
集合時間ピッタリぐらいに間に合いました。
会場は対戦卓がたくさんあり、その中心にジャッジステーションがあります。
そこに集合となるのですが、会場内が混み合っており間に合うか焦ったものの、早めの時間を伝えられていたらしく逆にこの後かなり待つことになりました。
まず最初に色々書類を書いてから、デッキチェック。
デッキチェックはDay2で2回、Day3で1回受けています。Day2は予選中ランダムで選ばれた選手が受けることになっておりましたが、日本選手ばかり連れて行かれている印象を受けたので、海外のジャッジが日本人に厳しいのは本当かもしれません。
Day4のチェックは大丈夫だろうと思って待っていたら、念のため自分のデッキと提出したリストにミスがないか確認して欲しいとのこと。
デッキリストの提出は日本での公式大会とは異なり、世界大会での日本人選手は紙に書いて提出することになっています。(海外の選手はおそらくオンラインで提出されているようです)
確認用のリストは日本語で書かれたものが英語に訳されたものでした。
これは余談ですがカードの英語名だけでも知っておくと、僕みたいにめちゃくちゃな英語を話していても海外の選手と意思疎通したり、海外の配信が楽しくなったりするのでおすすめです。
自分のデッキとジャッジに手渡されたリストを並べてみるとまさかの《イーブイ》が1種類しか入っていないことが発覚。
おそらくマイナー寄りのカードなので、翻訳の際に間違えて同じカードだと認識されてしまったようでした。
このまま試合に出ると大変なことになるのですぐジャッジに聞いてみると「間違えてる可能性あるから少し待っててね」とのこと。
5分ぐらい待つと僕が提出した日本語版のリストが出てきて、翻訳不備が発覚しました。
大会前日にダブルチェックはしていたので大丈夫だろうとは思っていたので意外に落ち着いてました笑
決勝までの待ち時間
デッキチェックが終わったら、試合が始まるまで好きに遊んでても大丈夫でした。
ジュニアリーグとシニアリーグの決勝戦の後がマスターリーグだったので、それぞれの決勝戦を見つつ日本人選手や海外の配信解説者と雑談して過ごしていました。
シニアリーグの決勝戦後半からステージ裏に連れて行かれるので、その試合は一部見れていません。でも会場の盛り上がりが凄くて、それは絶対現地でしか味わえないし、今の日本でまだまだ難しい光景なので感動しました。
一応、ステージの裏からでもモニターで観戦はできるようになっており、決勝の相手であるOndrej選手と談笑してました。
すごい緊張してるようで手がブルブル震えていたので
「チョコレート食べる?」
って聞きました。そうしたら
「俺は受験の日や大事な大会の日は何も食べないんだ。朝食は食べた?」
と聞き返されたので
「ホテルの朝飯美味いから大量に食べたよ。」
的なことを返すと苦笑い。
「よくそんなに食べられるね。昨日対戦した日本人もよく食べる人だったよ」
今大会デッキレシピをシェアしたイシヤマリョウタ選手は準決勝でOndrej選手に敗れて決勝に上がってくることができませんでした。
後で聞いたのですが、準決勝直前はパンを食べて同じような会話をしたらしいです。
個人的には何か食べた方が試合中頭が働くのでおすすめです。
たあいもない話をしている間にシニアリーグの決勝戦が終わり、自分達の番になりました。
シニアリーグの試合は75分全て使い切る大接戦なので、待っている時間が長かったです。
緊張もある程度ありつつ、早く試合をしたい気持ちでいっぱいでした。
ステージの両左右に僕とOndrej選手が連れて行かれ待機してる間、前日に撮影したPVが流れます。
そのあと司会のAnnaさんのコールで入場します。
ステージ反対側を見るとOndrej選手の方もこちらを見ていて目が合います。
お互いに親指を突き立ててリスペクトを示し、遂にステージへ。
ステージに呼ばれてからの記憶は薄いのにここだけなぜか鮮明に残ってます。
いつも大事な1戦をする時と同じで、これから世界一を賭けて闘う実感は全くありませんでした。とにかく早く対戦させてくれ~という感情が1番でした。
決勝戦
ステージに上がるまでは冷静だったし、なんだかんだで絶対勝つと思ってました。
でも上がってみると頭が真っ白でびっくりします。興奮したり緊張したりするとドキドキしたり、腕が痺れたりする感覚があるのですが、どちらもなくてただ頭が真っ白。
CLも含めると3回目の決勝戦となりましたが、それぞれ空気が違っていて特別感があります。
ヘッドフォンを通したジャッジと対戦相手の声しか聞こえないので隔離されてる感じが新鮮です。
頭の動かせる部分だけ使って精一杯プレイした結果負けてしまったので、決勝戦に関して言うことはないと思ってます。
僕より遥かに緊張していたOndrej選手の方が何枚も上手で強かったです。
まだ配信は見直せていませんが、終わってみると明確なミスがあったことは理解しています。
ただ今見返すと反省より後悔の気持ちの方が大きそうです。
だから落ち着いたらしっかり見直します。
決勝戦後
試合直後はもっと上手くプレイできたという後悔の感情は強く残っていませんでした。
悔しい気持ちで溢れていました。
マッチアップ的に苦しいことはわかってたもののもっと色々できたんじゃないかと思っていました。
取材や撮影もあったので、空き時間に一人でそんなことを考えながらトボトボ歩いていると日本人の方がたくさん声をかけてくれました。
中には僕よりも悔しがって涙を流してくれている方もいて、本当にありがたい限りでした。
さらにSNSを見ると日本だけでなく様々な国からたくさんメッセージが届いていて、それが素直に嬉しかったし、今後切り替えて頑張らないといけないなって気持ちになりました。
現地でも海外の方は配信を見てくれていたのでおめでとうと言ってくれて、温かみを感じました。
みなさんありがとうございます。
来年は横浜
閉会式で来年の開催地は横浜と発表がありました。
正直日本で開催できると思っていなかったのでびっくりしています。
個人的な感想を言えば、来年の世界大会は招待されるので海外開催じゃなかったことは少し残念でした笑
でも、海外開催というハードルの高さから参加を断念した人や参加しないけど現地に行ってみたい人にとってはとてもいいことなので、日本のポケモンカードが盛り上がったり、海外選手に日本を知ってもらったりするいい機会だと思います。
生の会場には配信で伝わらない感動があるので、興味のある方はぜひ世界大会を目指して欲しいです。