はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していく……のですが、今回はつい先日発売された最新弾【王来MAX最終弾 切札!マスターCRYMAX!!】の大特集!
デッキコンセプトとして成立するほどのパワーに溢れたカードこそないものの、これまでになかった独特の仕事をするカードや、現在の環境を予見していたかのようなメタカードが多数収録された、粒ぞろいのセットという印象です。
今週はさっそく大会で活躍している新カードやそれらを採用したデッキについて、最速で紹介していきたいと思います!
今弾の目玉、キングマスターからは《CRYMAX ジャオウガ》がいぶし銀の活躍を見せています。
鬼の歴史の主人公たる《CRYMAX ジャオウガ》は、「このクリーチャーが出た時、各プレイヤーは自身のシールドを3枚ずつ選び、残りを墓地に置く」能力と、「このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体破壊し、その後、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる」能力を持っています。
シールド焼却能力は、自身の持つT・ブレイカーと合わせてこのカード1枚で相手のシールドを0枚にまで押し込められるのが最大のウリ。横に攻撃できるクリーチャーがいればそのままダイレクトアタックまで持ち込めるため、フィニッシャーとしての性能は抜群です。
攻撃時の除去&ハンデスは攻める際にはもちろん、相手のクリーチャーを殴り返す際に2面を処理しながらハンドリソースを削りにいけるので、ボードコントロール寄りのデッキと相性良し。
シールドを減らす能力がこの手の能力としては珍しく「ブレイク」や「手札に加える」ではなくシールドを墓地に置かせる能力なので、相手のリソースを刈り取る動きを邪魔しないのが嬉しい点です。
この1枚でゲームエンドまで一気に近付けること、バトルゾーンを制圧する用途も強いこと、7マナと少し重いこと、などの要因から《天災 デドダム》でマナと手札を伸ばす水/闇/自然系のデッキにおいてフィニッシャーとして広く利用され、大会でもすでに実績を残しています。
サンプルデッキとしては【天門ディスペクター】デッキでの利用例を掲載。
横に打点を用意すれば、そのままフィニッシュまで持ち込みやすいことから相手ターン中のクリーチャー展開と相性が良好。《ヘブンズ・ゲート》や《流星のガイアッシュ・カイザー》を活用するこのデッキのサブフィニッシャーとして、十分な性能でしょう。
《自然の四君子 ガイアハザード》は「相手のクリーチャーが出る時、自分のマナゾーンのカードが相手のより多ければ、相手はかわりにそのクリーチャーをマナゾーンに置く」という、一風変わったロック能力の持ち主。自分のマナをある程度以上確保する必要があるものの、相手クリーチャー側の条件が一切ない置換型ロック能力は極めて希少です。
この手のロック能力は既に形成された盤面に干渉できないのがお約束の弱点ですが、《自然の四君子 ガイアハザード》はそこも克服。マッハファイターと《ドンジャングルS7》式の「相手のクリーチャーが攻撃する時、可能ならこのクリーチャーを攻撃する」誘導能力も持ち合わせており、マナの枚数に応じて強化される高いパワー(自分のマナゾーンにあるカード1枚につき、このクリーチャーのパワーを+1000する)で事前に展開された盤面での突貫さえも許しません。
大型かつ強力な常在型能力を持つレクスターズということで、《禁断英雄 モモキングダムX》を使った退化コンボデッキが大会で入賞し、話題となっています。
同じギミックを用いながら、デッキ全体を《未来王龍 モモキングJO》のための進化クリーチャーやサーチパーツに寄せている【モモキングJO退化】とはコンセプトが全くの別物。
要求されるカードスロットが少ないかわりにある程度のマナ枚数を要求するため、《天災 デドダム》+《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》系のリソース力に優れた構築をベースにしつつ、中盤以降の蓋として《禁断英雄 モモキングダムX》+退化コンボを叩き込む構成になっています。
《自然の四君子 ガイアハザード》のロック能力を強化するためにも、退化パーツもマナブーストできるカードが基本。
サンプル構築では単体で2マナ初動になる《わかりミーア❤︎》や、《天災 デドダム》とのセットで中盤に一気にマナを伸ばせる《生魂転霊》が採用されています。
《バイケンの海幻》は「相手のクリーチャーが自分を攻撃する時、このタマシードを破壊してもよい。そうしたら、水のコスト6以下のクリーチャーを1体自分の手札から出し、このターン、そのクリーチャーに「ブロッカー」を与える。このターンの終わりに、そのクリーチャーを手札に戻す」能力を持ったタマシード。
事前に噂されていたとおり《蒼狼の王妃 イザナミテラス》との相性が買われ、【チェイングラスパーキリコ】や【キリコ³デリート】で活躍中。相手ターン中にコンボを決めてそのまま勝利を目指せるのはもちろん、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の「相手のパワー3000以下のクリーチャーを全て持ち主のマナゾーンに置く」能力もより活かしやすくなります。
《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》で2面止める動きも非常にシンプルですが強力で、自身がドラゴンを持っていること、何かと不足しがちな水単色マナ源であることからドラゴン系の3〜5色デッキであれば広く活用できるチャンスがあります。
水を含むコスト6以下のクリーチャーであればなんでも出せるため、汎用性に優れたカード以外にも面白いコンボが見つかりそうな期待の新カードです。
サンプル構築としては《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》をナチュラルに採用しやすく、《バイケンの海幻》をより有効活用しやすい【キリコ³デリート】をピックアップ。
これまでは《ヴィオラの黒像》経由でしか実現できなかった相手ターン中の《オールデリート》プレイが、以前にも増して現実的になりました。
ここ数年の多色推しに対するドデカいカウンターパートとして、鳴り物入りで登場した《七王無き宮殿》
昨今のデッキはリカバリーに優れたデッキが多いことも含めて、このカード1枚で完全に機能を停止させられるデッキはほとんどありません。
が、そもそも4マナで相手の手札を確認しながら選択肢を縛れることを考えれば、1枚でも落とせれば及第点、2枚落とせれば十分以上。3枚も落ちれば万々歳です。
「多色まみれのデッキが活躍する環境に持ち込み、1枚で一気にゲームを掌握する」というような使われ方よりも、「幅広い相手に対してリソースを削いで時間を稼ぎ、より大きなアクションに繋げる」というような使われ方が主になるでしょう。
また、後述する《飛ベル津バサ「曲津風」》との相性は抜群。単色かつハンデス後のリソース回復として有力な《巨大設計図》、《進化設計図》などの設計図系カードをまとめて封殺できるため、一気にリカバリーの難易度を引き上げられます。
新弾で登場したメタクリーチャーサイクルの中でも、いち早く頭角を現している《飛ベル津バサ「曲津風」》
カードを見ること・表向きにすることを大きく制限する能力は見た目以上に刺さる範囲が広く、過去の環境では類似の能力を持った《Q.Q.QX.》が《ヘブンズ・フォース》とタッグを組んで猛威を振るいました。
完全に見られない・表向きにできないロックを仕掛けられる先人とは異なり、《飛ベル津バサ「曲津風」》は「相手が自身の山札を1枚以上見る時または表向きにする時、かわりに相手の山札の上から1枚目を表向きにする」能力。《爆熱天守 バトライ閣》のように1枚だけを公開させるカードには効果がありません。
ですが、現環境で猛威を振るう爆発的アドバンテージメーカー・《巨大設計図》と《進化設計図》の設計図2種をはじめ、《地龍神の魔陣》や《天災 デドダム》、《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》など、潤沢な選択肢からピックアップしてリソースを得るカードを大きく弱体化させられます。
また、《禁断英雄 モモキングダムX》や《エンペラー・キリコ》などの特定のカードが出るまで1枚ずつカードを表向きにしていく能力についても、《飛ベル津バサ「曲津風」》の存在下では「山札の1番上のカードのみを表向きにし、それが条件を満たせば能力を解決できるが、そうでなければ何も起こらない」というルールになっています。(公式Q&A参照)
特にリソースとコンボを同時に止められる【モモキングダム退化】系のデッキからすれば、ジャストダイバーと合わせて非常に厄介な存在です。
ジャストダイバーを持っているため、1ターンはテンポロスなく遅延ができ、打点としても信頼性高め。G・ストライクを持っていることから受け札にもなり、どんな対面でも最低限のカードとして扱いやすいのも嬉しい点です。
現時点での使われ方は主に2パターン。
ひとつは先ほど紹介した【水闇自然ロスト・ソウル】のように、ハンデスデッキにおけるリカバリー防止策としての活用です。現在の、特にオリジナルの環境では単なるドローよりも質に優れる、「山札の上から複数枚を見て手札に加える」カードがリソース源の主流。
それを《飛ベル津バサ「曲津風」》が咎めることで、ハンデスからの立て直し手段を大きく制限させられます。
もうひとつは、速度に優れたビートダウンデッキにおける遅延役兼殴り手。
このカードの存在下では設計図系の莫大なリソースを前提とした【グルメ墓地ソース】や【モモキングダム退化】デッキは大きく足止めを喰らい、ミッドレンジ〜コントロール全般に広く採用される《天災 デドダム》はマナ加速ができないためパワーが1000高い《アクア・ハルカス》へと成り下がります。
こうしてできた隙を見逃さずに、更なるメタクリーチャーで盤面を固めながらジャストダイバーの生存力を活かしてシールドを攻めていけるため、いわゆるメタビートとの相性もかなり良好です。
サンプル構築としてピックアップしているのもメタビートの代表格である【光水火鬼羅.Star】。長らく下火となっていたデッキでしたが、有力なメタクリーチャーの選択肢が一気に追加されたことでまた活躍が見られるようになっています。
待望のコスト軽減持ちタマシード! このカードに関してはほとんど【光闇火ライオネル.Star】のみでの採用ですが、十分すぎるほどの強化幅だと言えるでしょう。
《「正義星帝」<ライオネル.Star>》のコストが下がるのはもちろんのこと、4ターン目に《アルカディアス・モモキング》や《グーゴル<XENOM.Star>》までアプローチできる2コスト軽減。これまで難敵だった【5cザーディクリカ】や【水闇スコーラー】に対しても抗いやすくなりました。
また地味ながら非常に大きいのは、このカードが採用されたことで火文明の枚数が11〜12枚から15〜16枚へと大幅に増加した点です。
単色であるためマナベースへの負担は小さく、安定して早期に火マナを供給可能に。これまで2ターン目にプレイするのが困難だった《禁断英雄 モモキングダムX》もかなり召喚しやすくなっています。
総じてこれまで【光闇火ライオネル.Star】のネックだった「序盤のモタつきやすさ」や「押し付ける力の不足」といった部分が大幅に改善され、デッキとして一段レベルアップした印象です。
おわりに
というわけで最新弾の注目カードとそれを使ったデッキを紹介していきました。
個人的には《自然の四君子 ガイアハザード》のようなデカくて強いカードが好みなので、【ガイアハザード退化】はイチオシですね! 普通に組めばコンボに振り切ってしまいそうなところを、マナ加速や《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》でのボードコントロールといった要素を絡めた、強みを活かす構築アプローチが面白いです。
7マナまで伸びれば《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》が退化パーツとして機能しはじめるのも激アツ。
また、メタクリーチャーはわかりやすく現環境に刺さるカードとして《飛ベル津バサ「曲津風」》が活躍していますが、他のカードもいずれ劣らぬ独自性を持っています。
刺さる範囲が絶妙に調整されておりますが、ピンポイントが過ぎる火文明の《鬼星の絆 フウジン天&ライジン天》以外はメタ次第で使われる機会があるのではないかと思います。
予告されている大規模殿堂解除も含め、今後どんなデッキが登場していくか楽しみですね。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!