◆はじめに
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」は2004年10月6日から2008年3月26日まで放送していたテレビアニメシリーズでした。
今から約18年ほど前にスタートした作品となります。
現在、遊戯OCGを遊んでいらっしゃる方の中にはこの「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」をご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそんな方のために、この「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」の簡単な説明と《ヨハン》についてわかりやすく解説をしていこうと思います。
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」が大好きな方も《ヨハン》のことをよく知っている方も、もしよかったらお読みいただけますと嬉しいです。
また《ヨハン》が使う《宝玉獣》についても、宝石の知識を含めてまとめてみました。
◆「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」とは
あらすじ
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」の後の時代のお話です。
主人公は《武藤遊戯》から《遊城十代》(ゆうき じゅうだい)に変わりました。
主人公の変更という大きな改革は視聴者にはとても大きな衝撃があったことと思います。
また今は有名な声優になったKENNさんがこの《十代》を演じていました。
初めて声の仕事へ挑戦されたのが、この作品だったのです。
1年生時代
序盤は学園生活、後半からはセブンスターズと呼ばれる一団とのデュエルが始まります。
この中に登場する刺客の一人、吸血姫・カミーラの声優は今回特集している《ヨハン》と同じ入江加奈子さんです。
もしかしたらこちらがご縁で《ヨハン》を演じることになったのかもしれません。
多くの仲間と共に戦う中で、学園に封印されていた3体の《幻魔》が復活し、意外な人物とのデュエルを経て、学園は再び平穏を取り戻すのでした。
2年生時代
さて、2年目は光の結社と呼ばれる一団と戦う運命が待っていました。
1年をかけて築き上げてきた《十代》の人間関係がここで一転します。
《D-HERO》でもおなじみ《エド》・フェニックスがこの2年目から登場するのです。
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」の面白いところの一つに定番の学園アニメでありながら、登場人物たちが進級していくというのがなかなかに珍しい作品だったように思います。
なので、去年3年生だったキャラクターは卒業してしまっています。
このタイミングで入学した《エド》は《十代》の後輩にあたります。
光の結社を治める「斎王」とそれに翻弄される多くの人々。
これによりかつての《十代》の仲間は敵に回ることもありました。
《十代》と《エド》
そして2年目から入った新しい仲間の力も借りて、無事に皆を正気に戻すことができました。
3年生時代
3年目は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」を見ていなくても知っている方が多いかもしれません。
《デュエル・アカデミア》に留学生として登場する《ヨハン》、アモン、ジム、オブライエンによって物語は大きく動くのです。
とある人物の策略によって、遊戯王OCGでも登場する多くのモンスター達が住まう異世界へと飛ばされてしまう《デュエル・アカデミア》
元の世界へ帰還するための術を探りながら旅をしていく《十代》たちは次第に多くの困難と、過酷な状況に追い込まれていきます。
1年目、2年目に比べ、物語が暗く設定されていて、そこで作品を視聴するのをためらった人もいれば、そこが気になって見始めた人など、様々な分岐点でもありました。
《十代》の秘められた過去や挫折、彼を執拗に狙う《ユベル》という存在が登場する3年目の物語は今まで以上に波乱万丈な展開でしたので、筆者カニ丸は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」を見るなら是非ともここまでは見て欲しいと願うほどです。
4年目
厳密には《十代》たちにとっては3年生としての生活になるのですが
時期の切り替えとして「4期(シーズン4)」と呼ばれるこのシーズンは、《デュエル・アカデミア》の卒業をテーマに描かれ、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」の集大成とも言われる物語になっています。
かの《オネスト》が登場するのもこの時期でした。
前年の「異次元世界編」を終え、成長し、これからの先を見据えて様々な最後の課題に取り組んでいく学生としての集大成であり、多くの時間をかけてまた学園物語という方向に戻ってくるのが非常にエモーショナルだと言えます。
放送期間は非常に短いながら、面白いお話となっていました。
◆ヨハン・アンデルセン
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」の3年目にて登場する留学生4人のうちのひとりです。
性格は《十代》と意気投合するほど大らかで素直な中、《十代》に比べ慎重な一面もあるのが特徴です。
独特の感覚なのか、「《十代》の子分なら俺の子分」などといった周りを驚かせる発言もしばしば。
1年目にて《万丈目》が留学(※漂流)していた時に明らかになった世界中に点在する《デュエル・アカデミア》ですが、《ヨハン》はそのうちのひとつ《デュエル・アカデミア》・アークティック校からの留学生です。
「アークティック(Arctic)」というのは「北極」やその地域・海域を示しますので、寒い地方であった可能性が高いです。
ちなみに前述した《万丈目》が留学(※漂流)していたのはノース校(North/北)だったことから、日本国内北方に存在するのがノース校であり、日本国外の北方に位置するのがアークティック校なのではないかと推測できます。
幼い頃からデュエルモンスターズの精霊を見たり、コミュニケーションをとる不思議な力があった《ヨハン》は、デュエリストとしても頭角を現すのが早く、ヨーロッパチャンピオンになったこともあったとのこと。
彼の名前からは、どこの国に住んでいたかなどは候補範囲が広すぎて推測できませんが、ヨーロッパのどこかであったということでしょうか。
また、カードデザイナーの《ペガサス》・J・クロフォードにも早い段階から注目されており、《武藤遊戯》や《海馬瀬人》、《城之内克也》、《エド》に並ぶ逸材だと言う高い評価を得ていました。
そのため、世界にひとつしかないデッキとして《宝玉獣》を託されていたのです。
デュエルをこよなく愛し、《宝玉獣》を「家族」として接してきた《ヨハン》のデッキは独特で、本人曰く極端な妨害カードは入れていないことが作中で語られています。
しかしながら、登場時点ではそのデッキは未完成でした。
重要な最大の戦力である《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》がまだ出来上がっていない状態でデッキを渡されていたためです。
《ヨハン》はこの後も登場しますが、とあるキャラクターによって体を乗っ取られてしまい、《宝玉獣》と信頼関係で結ばれていた彼の主な活躍はここまでにほとんど集約されています。
《ヨハン》としても人気が高いのですが、この乗っ取られてしまった状態のダークな《ヨハン》もまた、当時から大変人気がありました。
その状態の彼の方だけ知っているという方もいるかもしれません。
ちなみに、「ご本人登場」と評判のキャラクターをデザインに織り込んだ遊戯王OCGカードとして、この2枚が存在します。
《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》
よく《ヨハン》の肩に乗っていたりする可愛いマスコット的な存在。
鳴き声は「ルビー」
他の《宝玉獣》が人語を話すのに対し、《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》だけは鳴き声のみとなっています。
「ルビー」は和名で「紅玉(こうぎょく)」とも呼ばれますね。
赤い宝石として有名で、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持っているのだとか。
「カーバンクル」といえば、ファンタジーなどでお馴染みの伝説の生き物ですね。
16世紀に目撃されたとされる小さな生き物なのですが、額に赤い石(鏡)がついていた、という以外の記述がなく、現代では可愛らしい哺乳類の小動物のような姿で表現されている場合が多いように思います。
手に入れることができれば、富や名声を得られるともされます。
一説には「カーバンクル」は「竜」なのではないか、という話も。
一般的には赤い宝石を総称して「カーバンクル」と呼ぶこともあるようです。
「ルビー」は7月の誕生石ともされるので、そういった理由でコレクションしておくのもいいかもしれませんね。
ちなみに、よくルビーと混同される宝石として「スピネル」という宝石があります。
こちらはルビーよりも安価で、色も豊富であるとのことですが、赤色のものは混同しやすいのでご注意ください。
《宝玉獣 アンバー・マンモス》
「アンバー」というと、日本では「琥珀(こはく)」のことを指します。
飴色や、黄金色などと表現されることも多いですが、《宝玉獣》としては虹色の「橙」色のポジションにいるようです。
よく天然の琥珀の中には、古代の小さな虫やトカゲなどが閉じ込められたまま宝石になってしまっている場合もあります。
もしかしたら「マンモス」と合わせられて名前になっているのは、そういった経緯からでしょうか。
比較的加工がしやすいため、装飾品もそうですが、薬用や香料などにも使われているとのことです。
《宝玉獣 トパーズタイガー》
「トパーズ」は様々な発色の物がありますが、日本では「黄玉(おうぎょく)」とも呼ばれ、黄色に近い物は上質であるとされたようです。
人工的に放射線などの処理を受けて色を変色させ、青や緑になっているものもあります。
水晶に硬度も近く、無色透明なものも存在するので、見分けが難しい時代もあったようです。
なぜ「タイガー」と合わせたのかは不明ですが、11月の誕生石としても知られています。
《宝玉獣 エメラルド・タートル》
宝石と言えば、で名前が上がるほどに有名な「エメラルド」は日本では「翠玉(すいぎょく)」もしくは「緑玉(りょくぎょく)」などと呼称されます。
5月の誕生石としても有名ですね。
天然で上質なものはほとんど存在しないとされ、装飾品に加工する際にも割れやすいので、最大限に注意しなければならないようです。
硬度は宝石の中でも高い方なのですが、エメラルドとして結晶になる際に多くの傷を抱えてしまう性質があるようで、そのため衝撃には弱いというなんとも難しい宝石です。
その美しい緑色は古代から人類を魅了していて、かのクレオパトラも愛用していたとか。
《宝玉獣 サファイア・ペガサス》
こちらも宝石といえば、で上がってくる名前のひとつでしょう。
「サファイア」は日本語で「青玉(せいぎょく)」、「蒼玉(そうぎょく)」などと呼ばれます。
ただし、同じサファイアでも全てが青色というわけではありません。
また、先ほど説明した「ルビー」はサファイアの一種でもあります。
クロムがコランダムに混入した場合はルビーに、鉄やチタンが混入するとサファイアになるとのこと。
クロムがほんのわずかに混入した場合は薄いピンク色をした「ピンクサファイア」となるらしく、そこが難しい所です。
「ペガサス」は言うまでもなく、伝説上の生き物の「天馬」のことですね。
本来、ペガサスには角はないはずなのですが、一角獣(ユニコーン)との混同が見られるようです。
《宝玉獣 コバルト・イーグル》
「コバルト」は宝石というよりも鉱物としての扱いを受けている印象があります。
銀を内包した鉱物として扱われ、磁性があるため、パソコンのHDDなどにも使用されています。
《宝玉獣 コバルト・イーグル》の「コバルト」は宝石ではなく、「コバルトブルー」という青色の名前が由来だと考えるべきでしょうか。
《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》の項目でお話した「スピネル」の中には「コバルトスピネル」というものも存在しますが、そちらが由来と言う事でしょうか。
しかし、濃い青色ですと、《宝玉獣 サファイア・ペガサス》とポジションがかぶっているような気もしますね。
「アクアマリン」や「ターコイズ」でも良かったのかもしれませんが、海を意味する「アクアマリン」に空を飛ぶ「イーグル」の名前は合わせにくいかもしれませんね。
《宝玉獣 アメジスト・キャット》
「アメジスト」も宝石の中では有名な方ではないでしょうか。
日本では「紫水晶(むらさきすいしょう)」といった呼ばれ方もされているようです。
その名の通り、「水晶」に近く、特徴は「石英」。「紫石英」とも呼ばれます。
幅広い色味があるものの、熱を与えることで「シトリン(黄水晶)」に変化します。
アメジストは2月の誕生石とされているのに、熱加工されると11月の誕生石とされるシトリンになるのは驚きです。
この宝石の伝説では月の女神がピューマ(猫科の猛獣。大きさはそれなりにあるが、トラやヒョウよりもネコに近い肉食獣とされる)に襲われる話があり、「《アメジスト・キャット》」という名前はそこからきている可能性が高いです。
「ネコ」と呼ぶにはあまりに大きいな、とは常々思っておりました。
《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》になることが前提としてデザインされた《宝玉獣》は、テーマとして元々完成度が高く、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」のキーカードとしても大きな活躍を果たしました。
宝石がテーマと言えば、《ジェムナイト》も挙がりますが、こちらが登場したのは2010年4月27日より稼働した「DUEL TERMINAL -ヴァイロン降臨!!-」からとなります。
終わりに
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」は原作者・高橋和希先生自ら「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」の続きとして、キャラクターデザインから、シナリオなども含めて舵を取った作品でした。
元々は劇場版にする構想もあったとか。
そんな中、《ヨハン》というキャラクターは、おそらく作品の大きなテーマを表現するために颯爽と登場し、活躍していきました。
今回は、そんな《ヨハン》についててまとめたコラムを執筆させて頂きましたが、まとめた内容を読んだだけでは伝わらない彼の魅力もありますので、是非とも一度、あるいはもう一度、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」をご覧になって頂きたいなぁと思うばかりです!
地上波で再放送か、アマゾンプライムで配信してくれーー!