「バルダーズ・ゲートへの道」
※本記事は『統率者レジェンズ:バルダーズゲートの戦い』の二次創作になります。
ようこそ!憩いのオレっち亭へ
ようこそ≪憩いのオレっち亭≫へ!
オレはマスターのデンカニス。お前らみたいな冒険初心者のことを見るとあれこれ説教せずにはいられないお節介焼きさ。
このバルダーズ・ゲートへ来るのははじめてのようだな。顔をみりゃわかる、田舎者が出てきたときのそれだ。
そんなツラで歩いてたらあっという間にカモにされちまうぜ。あん? 心配いらねえさ、これからオレの話すことをよーく覚えてりゃ大丈夫よ。
だから耳かっぽじって聞くんだぜ。
まず、バルダーズ・ゲートってのはこの街のことだ。なあに、まだアウター・シティだからな、まだまだこれからよ。
なんだ、アウター・シティも知らねえのか。その表情じゃあ、他の街のこともよく知らねえようだな。
バルダーズ・ゲートはフェイルーン大陸の西の果て、ソード海に面したソード・コーストという沿岸部の中でもわりかし中央にある街よ。
この街の特徴はな、銀貨二枚ぽっきりで市民権を得られるってこった。
だから人(それはしばしばヒューマン以外の人型生物も含まれる)がどんどん集まって無秩序に広がってるのよ。
なんでそんな人が集まるのか、それはこの街がとんでもなく栄えてるからってワケ!
ソード・コーストの中でも有数の港町だからな、仕事を探そうと思えばすぐに見つかるって寸法よ。
そんじゃあまず、バルダーズ・ゲートの西側はアッパー・シティと呼ばれているんだが
これは金持ちの住む地区で、ただの金持ちじゃねえ、貴族だのなんだの、気品のあるヤツしか住めねえってことになってるのよ。
街自体が美しく保たれているのは、特別、支配者たちがこの街を保護しているからよ。
そんで、その反対、東にあるのはロウワー・シティ。こっちが実質、働いている街の中心よ。
港をぐるりと取り囲み、荷物が積んである船積んでない船、そんなのが行ったり来たりしてるんだ。
この街がほとんど自給自足できないくらいに膨らんでいるのに何とかなってんのは、そんな港に着く交易品のおかげよ。
商人どもがこのロウワー・シティで物を売り買いしてっから街が潤ってるってことなんだ。
そんでさらに街はずれ、みそっかすみてえなのがアウター・シティよ。この店もアウター・シティにあるんだが、な。
なんだかんだでアッパー・シティもロウワー・シティも壁に守られている街よ。
その街に入れなかった連中が集まって暮らしてるのがこのアウター・シティってわけさ。
だから怪しい店やら貧乏人たち、そんなのであふれかえってやがる。だがまあ、住んでりゃ気にならねえもんよ。
アッパー・シティとロウワー・シティの間にも壁があってな、街が分かれてるんだが、いくつかの門があってよ。
そこを通って行き来できるんだが、中でも一番デカくて有名なのがバルダーズ・ゲートよ。
バルダーズ・ゲートっつう街の名前はこいつから取られてるんだ。
バルダーズ・ゲートってのはでけえ街だ。しかも、金も食い物も、魔法のアイテムもなんでもある。
だからなんだって起きるのよ。殺し、盗み、ケンカ、英雄への成り上がり、だからお前らも来たんだろ、なあ。
街を支配しているのは4つの評議会っつう貴族の集まりよ。
四人の貴族なんだが、投票で四人の中のトップを決めてやがる。合議制だが、最後はトップが決めるのよ。
そいつらが街を取り仕切ってるんだが、実際に街の治安維持だの法の執行者をやっているのは「燃える拳」っつう傭兵団だ。
おぼえときな。
最も今は騎士団ってツラしてやがるがな。
……話は終わってねえぞ、まあ待て。
オレが頼りになる冒険者を紹介してやるからよ。
いきなり冒険者じゃないじゃないかって?
まあよく聞け。この世界ではな、どんな奴だってふとした瞬間に冒険者になるんだ。
お前だってそうだろう? 違うか?
キャンドルキープってのはな、このバルダーズ・ゲートの南、ソード・コースト沿岸にある要塞のことよ。
行けばわかるがな、でけえ岩の上にロウソクのように細長い塔がいくつも立っているんだ。
まあ、じいちゃんの誕生日ケーキを思い浮かべてみな、歳の数だけロウソクを立てたやつをよ。
この砦の一番の目玉っつうのはな、大図書館よ。
このフェイルーン大陸のありとあらゆる知識を詰め込んである。
ハグ(鬼婆)のおとぎ話、おふくろさんが寝しなに赤ん坊へ語る物語、九層地獄から発掘された禁断の本、そしてまだ誰も解き明かしていない魔法の呪文。
そんなすべての知識が収められているってのがキャンドルキープの大図書館だ。
図書館に入るにはな、本を一冊寄付するんだ。それで10日間の滞在が許可されるってワケよ。
おぼえときな、図書館にはどんな知識も詰まってるんだ。
暗いダンジョンの中で行き止まりになったとき、
華やかな生活をしてる貴族の後ろ暗い過去、お前の見たことのない怪物の倒し方、困ったら図書館へ行くんだ。
そんな図書館で研究をしてるヤツが頼りにならねえわけがねえんだ。
なあに、デンカニスからの紹介だっていやあよ、いやな顔はしないと思うぜ。
コイツはもともと、<貴族>の生まれでな?
生まれ(背景)とは何かって? お前にだってあるだろう、今までの人生で経験してきたアレやコレがよ。
そいつが冒険者としての箔をつけるってことよ。
貴族だけじゃねえ、森生まれ、スラム暮らし、商人の出、エルフに育てられた……
そんな過去が冒険者としてのお前さんに様々な<スキル>を与えてくれるってわけよ。
例えばそうだなあ、大昔の英雄、カマールの背景は「ドワーフが育ての親」だな。
ドワーフ仕込みの炎の呪文を使えるってわけよ。え? カマールが誰だって? さあどうだかな……。オレも忘れちまったな。
貴族生まれはな、敵を作らねえんだ。もちろん金の力でよ。
そいつからの施しを受けたヤツは恩義を感じてしばらくはコイツのことを害しようとは思わねえんだ。
もちろん、冒険者の持つ背景はこれっきりじゃねえ、いろいろあるのさ。
まずはコイツを仲間にするんだ。
どう役に立つのかって?
コイツはずーっと本を読んで研究をしてるからな、ありとあらゆる事物に通じてやがる。
だからお前が手に入れた魔法の機械を動かすときや、魔法の領域を起動するときなんかあっという間にやってくれるぜ。
ダンジョンで行き詰ったとき、魔法の領域がお前を阻むとき、動かない魔法のアイテムを起動するとき。
コイツに相談してみな。
じゃあさっそく、キャンドルキープへ行ってみな!
デンカニスからの紹介だっていうのを忘れるんじゃねえぜ!
『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』へようこそ
この伝説のクリーチャーは、伝説ではあるものの実はD&Dに出てくる伝統的な有名キャラクターではなく、プレイヤーの分身として生み出されたキャラクターです。
能力は手札からの呪文を唱える以外のマナ能力で、非常に汎用性が高くなっています。
マナサポートとしてアーティファクトやエンチャント、クリーチャーの起動型能力やフラッシュバックなど手札以外からの呪文を多く使用する青のデッキにはぜひ入れておきたいクリーチャーとなっています。
統率者戦では統率者として使用するのはもちろん、統率者を唱えるためのコストとして使用することもできます。
貴重な戦力として統率者を何度も唱えることが予想される統率者ドラフトでは追加の統率者コストを支払うために無色マナが大量に必要とされるでしょうから、ドラフトでもピックしておきたいカードの1枚といえるかもしれません。
さらに特徴的なのは背景選択。
これは統率者として使用したとき、背景タイプを持つエンチャントを1枚、統率者に指定することができるのです。
記事中では《貴族生まれ》が紹介されましたが、この二枚を組み合わせて統率者としたとき、デッキの固有色は青+白となります。
《キャンドルキープの研究者、ヴァル》で生み出されたマナは背景エンチャントを唱えるためにも使用でき、
非常にシナジーの高い組み合わせと言えそうです。
背景選択について説明しましょう。
D&Dにおける背景選択はその名の通り、プレイヤーキャラクターに背景を与え、ゲームでのロールプレイに深みやきっかけを与えてくれるものです。
今回紹介したように「貴族生まれ」もありますし、他にも「元犯罪者」「大道芸人」「ギルドの職人」など様々な背景を選択できます。
この背景選択、何がいいのかというと、ゲーム的な恩恵も多少はありますが、ロールプレイングゲームをするうえで大きな手助けとなるのは何かと会話を始めるきっかけを与えてくれることです。
例えば、「貴族生まれ」なら、商人やほかの貴族との話し方を心得ているものですから物怖じせずに話しかけることができますし
「ギルドの職人」なら物語のヒントになるアイテムを見て
「これはなかなかよくできた物だな」
などといって他のプレイヤーやNPCへ会話を振ることができます。
自分から話しかけなくても、DM(ダンジョンマスター:ゲームの進行役です)が関係する背景を持っているプレイヤーに
「君はこの人の立ち居振る舞いが、実は高貴な人間のものであると気づくよ。」
などと話を振ってくれることがあります。
この背景選択が与えてくれるD&D上での恩恵は些細なものですが、統率者戦での恩恵は大きなものとなりそうです。
「貴族生まれ」の能力がもたらす「プロテクション(そのプレイヤー)」は、統率者戦上の争いから一時的にあなたを遠ざけてくれそうです。
特に態勢を整えるまでにターンを稼ぎたい統率者ドラフトでは、貴重な回避手段となるでしょう。
他にどんな背景エンチャントが出てくるのか、非常に楽しみですね。