はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
さて、今回取り上げるのは、本連載では初となるアドバンス環境のデッキ。水文明を採用した【モルトNEXT】です。
デッキタイプの初登場は実に7年前の2015年3月。長きに渡って愛され続けている伝統あるデッキですが、同時に環境に合わせて姿を変え続ける柔軟性に長けたデッキでもあります。
つい先日も、最新パック「パラレル・マスターズ」から新戦力を迎え入れた構築が大会での入賞を果たしていました。
今回はそんな【モルトNEXT】の最新形態、【シータモルトNEXT】の基礎について詳しく解説していきます!
【シータモルトNEXT】ってどんなデッキ?
主役はデッキ名の通り、《超戦龍覇 モルトNEXT》。
序盤から一直線に7マナへの到達を目指してブーストを連打。召喚したこのカードから強大なカードパワーを持ったドラグハートたちにアクセスし、次々にドラゴン軍団を踏み倒しながら盤面を荒らし回るのが最終的な到達点です。
これといった妨害手段は《メガ・マナロック・ドラゴン》を除いて持ち合わせず、シンプルに高い火力と数の力で圧倒する爽快さが魅力のデッキとなっています。
足回りを支える初動は合計12枚。
2ブーストで爆発的な加速をもたらす《メンデルスゾーン》・《ボルシャック・栄光・ルピア》と、リソースを補填しながらブーストを進められる《決闘者・チャージャー》がそれぞれ4枚ずつ採用されます。
この基盤の安定性や強固さは、クロニクルデッキ発売直後にオリジナル環境を席巻した【赤緑ボルシャック】で証明された通り。構築を大きく制限する部分はあるものの、それを無理なく乗り越えられる【モルトNEXT】にとっては心強い味方です。
爆発的マナブーストで一気に7〜9マナ付近まで伸ばしたのちに繰り出されるフィニッシャーは、なにも《超戦龍覇 モルトNEXT》だけでありません。
《とこしえの超人》や《検問の守り 輝羅》などのメタカードに引っかかるドラグハートに依存せず、単体でゲームを終わらせられる追加フィニッシャーとして、《禁断竜王 Vol-Val-8》が4枚フル採用されます。
また、コントロールキラーとしてお馴染みの《地封龍 ギャイア》もフィニッシャーの代表例。
どちらも常在型能力や攻撃時能力が強力なクリーチャーであるため、召喚した際と踏み倒した際、いずれも強さが変わらず高水準です。サブフィニッシャーとしてマナを支払って出すこともあれば、各種ドラグハートから踏み倒すこともあるこのデッキにおいては、「どう登場させても強い」こともひとつのステータスとなっています。
【シータモルトNEXT】のサンプル構築
【モルトNEXT】に採用されるカードについて
メインデッキ
7年ものあいだ最前線で戦い続ける、【モルトNEXT】のエースカードです。
能力を両方使うためには、マナゾーンに火のカードが5枚、ドラゴンが5枚を必要とし、構築段階で強い縛りを要求するカードですが、このデッキの火のカードは37枚、ドラゴンは35枚。7マナ揃えるまでに条件を満たさない方が難しいほどです。
先述したとおりデュエル・マスターズの歴史の中でも多大な人気を得ているカードで、環境トップクラスでない間も常に一定のファンを擁しています。
人気テーマらしくドラゴン・サーガ期の終了後も何度かテーマ強化パーツをもらっており、特に「絶対王者!! デュエキングパック」収録の《爆銀王剣 バトガイ刃斗》はベストパートナー。
《超戦龍覇 モルトNEXT》に必須のスピードアタッカーを付与しつつ、同時にドラゴンの踏み倒しまでこなす最強の相棒として大活躍中です。
ドラゴンデッキの「特権」とも言える、2枚ブースト初動群です。【モルトNEXT】をはじめとしたドラゴンデッキが採用カードのほぼ全てを鈍重なドラゴンにできるのは、ひとえにこれらの初動が莫大なリターンをもたらすからに他なりません。
7マナ域に素早くアクセスできるようになるのはもちろん、中盤以降もマナブーストを連打してコスト9〜10帯の大型ドラゴンを直接召喚できるようにするうえでも、これらのブーストは一役買ってくれます。
唯一の2コスト帯アクションである《メンデルスゾーン》は、プレイの可否でその後の展開速度が1ターン変わってくる強烈なカード。
「初手で《メンデルスゾーン》を引いていたので勝った」、「引いていなかったので負けた」という事態が頻繁に起こるほどの影響力を持っておりため、《超戦龍覇 モルトNEXT》の条件を満たしつつもこのカードのプレイを妨げない「自然/火絡みの多色ドラゴン+火文明単色ドラゴン」の色配分が構築の基本になっています。
《ボルシャック・栄光・ルピア》は2ターン目のアクションにこそならないものの、火のドラゴン、さらには「ボルシャック」である点がとても重要です。
《超戦龍覇 モルトNEXT》・《メンデルスゾーン》の要求を綺麗に満たしつつも、《決闘者・チャージャー》で手札に加えられる稀有なブースト札。
初動としてはもちろん、5マナの段階で《決闘者・チャージャー》→《ボルシャック・栄光・ルピア》と繋いで3マナ伸ばし、次のターン9マナに到達させるプレイも強力です。
また、バトルゾーンに「パワー4000のドラゴン」として残るため、《爆熱天守 バトライ閣》の踏み倒しを誘発させる要員としても活用できたり、《禁断竜王 Vol-Val-8》の破壊に巻き込んでエクストラターン獲得の足掛かりとしたり。
様々な面でデッキの要求を満たす、痒い所に手が届く1枚です。
言わずと知れたスーパーパワーカード。
比較的メタを貼られやすい「ドラグハート」というテーマを扱うにあたり、スムーズなメタの排除は至上命題です。《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》はリソース回収しながら面を取りながらマッハファイターでメタクリーチャーを排除できる、要求を完全に満たす1枚です。
さらには革命2の発動以降は受け札としても機能したり、《ボルシャック・ドギラゴン》でめくってパワー12000とのバトルでは倒せない相手を手札に戻したりとスペックそのものには非の打ち所がありません。
唯一の懸念点は、水文明を含んでいるため手札からのプレイが難しい点。最優先するべき《メンデルスゾーン》や《超戦龍覇 モルトNEXT》のための文明バランスを崩さないまま水文明を追加採用するのは難しく、頑張って8枚採用された水文明を2枚引くしかないのが現状です。
とはいえ、終盤に《禁断竜王 Vol-Val-8》をプレイするためのマナ基盤として貢献しつつ、各種踏み倒しやトリガーから登場するだけでも活躍は十二分でしょう。
小型クリーチャー対策のスペシャリスト。上下ともに役割がありますが、主に活用するのは下面の《超英雄タイム》です。
同じくメタクリーチャー排除を得意とするマッハファイター組と違ってリソースを拡充しながら次へと繋げたり、ドラゴンが場に出たりということはないものの、2マナという取り回しの良さが《超英雄タイム》最大のウリです。
中盤にマナブーストとセットで使うのはもちろん、9〜10マナまで伸び切った終盤以降は2+7の2アクションでメタを除去をしながらそのままフィニッシャーまで繋げられるのが非常に魅力的。
《希望のジョー星》殿堂入り以降は使う場面が減っているもののカード全般を除去できるのも嬉しく、王来MAX篇では「タマシード」という新たなカードタイプの登場も確定しているため、便利さはより一層際立ちそうです。
上面は小型クリーチャーの全破壊が持ち味。刺さらない対面にはとことん刺さりませんが、【赤単我我我ブランド】や【ラッカ鬼羅.Star】に対しては一定の効力を発揮します。
特に革命ゼロトリガーの《ボルシャック・ドギラゴン》からめくった際は相手に甚大な被害をプレゼント。
《ボルシャック・ドギラゴン》のバトルでスター進化を剥がしつつ、下に隠れていた進化元ごと小型クリーチャーを一掃する動きは、対戦相手からすれば理不尽そのものです。
また、このカードも「ボルシャック」なので《決闘者・チャージャー》で回収可能。アンタップインしたマナからスムーズに《超英雄タイム》へ繋いでテンポよく除去する動きも強力です。
極めて高いフィニッシュ力を誇る、追加で採用される大型ドラゴンの代表格です。
メタを張られやすいドラグハートというテーマ。ここまでも何度かメタクリーチャーを乗り越える手段を紹介してきましたが、それらは全てメタクリーチャーを除去する方向性での対策でした。
しかし、《禁断竜王 Vol-Val-8》は一味違います。
相手がせっせと並べるメタクリーチャーをすべて無視して豊富なマナ加速で9マナ域までランプアップし、「ドラグハート? なにそれ美味しいの?」とばかりに《禁断竜王Vol-Val-8》を召喚。アタックトリガーで並び立つメタクリーチャーを薙ぎ倒しながら、逆に「4体破壊」という条件達成への起点とします。
この「メタクリーチャーの一切を無視しつつ、逆にこちらのメリットへと転換できる」点が何よりも革新的。相手はメタを張れば《禁断竜王 Vol-Val-8》に吹き飛ばされ、メタを張らなければ素直に《超戦龍覇 モルトNEXT》を凌ぎきれず、とダブルバインドを強いられます。
もちろん《爆熱天守 バトライ閣》などからめくれればさらに強力で、「ジャストダイバーとExライフを持つため除去がほぼ通らず、攻撃時に手札が2枚増えるスピードアタッカーの3打点」というスペックの時点で既にお腹いっぱい。そこに状況次第でエクストラターンまでついてくるのですから、相手からすればたまったものではありません。
水文明を追加するだけの価値がある、超ハイスペックフィニッシャーです。
ほとんどのデッキが3色以上になった現代デュエル・マスターズにおいて、相手のマナを文明ひとつごとに1枚拘束する《メガ・マナロック・ドラゴン》の力は禁忌にも等しいものです。
早期に着地させるだけで安易に勝てる対面がかなり多く、さらに火単色のドラゴンなので腐りそうな相手にはマナにしても問題なし。文句なしの強力カードです。
《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》、《ボルシャック・秘伝・ドラゴン》のマッハファイター組をパワー13000に変換しつつ、追加の展開を作れるスーパーサブです。
チェンジ元の2種はもちろん、《ボルシャック・栄光・ルピア》という強力な弾を獲得しました。コスト3の多色クリーチャーなので一挙に2体を展開でき、マナから出しても2ブーストで補填できるためその後の展開も万全。
総じて、ファイナル革命の使い勝手は以前よりも向上しています。
防御の薄い相手には一気呵成に突っ込んで高火力を押し付け、盤面でじっくり競り合う相手にはマッハファイターで応戦しながらリソースを整えて地盤を固める。現在の構築では圧倒的なアドバンテージを発生させられるわけではないものの、攻守両面での活躍が見込めるカードです。
超次元ゾーン
裏表どちらも味方全体にスピードアタッカーを付与する、極めて攻撃的なドラグハートです。
《超戦龍覇 モルトNEXT》との2枚コンボで確実にリーサル打点を生成できるため、受け札が採用されていないことがわかっている対面ではワンショットを狙えるのが最大の使いどころ。
そのほか、大量踏み倒しパターンに入った際に2枚目以降の《超戦龍覇 モルトNEXT》が呼び出して一気に打点をかさ増しする際にも重宝されます。
G・ストライクの増加で多くのデッキに受け札が採用されるようになったため、ワンショットの貫通力は往時よりも下がっていますが、それでも選択肢として入っていることに意味があるカードだと言えるでしょう。
「なんでもいいのでクリーチャーで2回攻撃」というかなり緩い条件で龍解し、実質的に選ばれないクリーチャーとして詰めに貢献するドラグハートです。
殴り返しで盤面を制圧する際のおともとしても強力で、《超戦龍覇 モルトNEXT》にスピードアタッカー付与をして2面を処理し、このカードの龍解時に7000火力を飛ばしてさらに殴り返し、と流れるように合計4面を処理できます。
基本的にはドラゴン踏み倒しチャンスをたっぷり確保できる《爆銀王剣 バトガイ刃斗》で事足りるものの、踏み倒しが制限されているような状況ではこちらの方が活躍できるでしょう。
間違えやすい点として、龍解条件はきっちり「2度目」のみで、「2度目以降」ではありません。複数回攻撃したあとに出てきた《銀河大剣 ガイハート》はターンを跨がなければ龍解できないので注意しましょう。
これもまた、《ボルシャック・ドギラゴン》からめくれた《超戦龍覇 モルトNEXT》の選択肢として有力なカードです。
T・ブレイカーからW・ブレイカーにグレードダウンし、横にクリーチャーが並ぶわけでもないため、単体のカウンター性能では一段落ちる《龍神丸》。
ですが、「バトルに勝った時にシールドとマナを1枚ずつ増やして1ドローと1体墓地回収」という膨大なアドバンテージを得られるのが最大の特徴です。特に、マナ加速もおぼつかないような序盤に攻められた際には非常に役立ちます。
受け性能としても、シールド追加は最上位クラスの利便性。どんな相手であっても確実に1打点受け切れるのは他にはない強みです。
素のパワーは7000とかなり低いものの、多色でないクリーチャーとバトルするときは破格の77000にまでパンプアップ。現環境では多色のクリーチャーが大多数を占めているため一概には信用できないものの、あるとないとの差は非常に大きいです。
総じて独自性が高く、「どうしてもこのカードでなければいけない場面」が数多く見つかるカードだと言えそうです。
おわりに
今回は根強い人気のある【モルトNEXT】について、改めて振り返っていきました。
残念ながら環境トップとは決して言えないものの、様々な新要素を取り込みながら着実に適応する力を持っています。発売から7年の時を経た今でも月に数回はCS入賞リストに【モルトNEXT】の名前を見ることができるのは、驚異的というほかありません。
入手の難しかった希少なドラグハートも、この20周年イヤーの間に一部を除いてほとんどが再録され、今ではだいぶ組みやすくなっています。当時【モルトNEXT】に憧れながら、組みたくても組めなかった元少年の皆さんも、この機会にぜひ組んでみてはいかがでしょうか?
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!