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2022.3.10

Vol.5「【チェイングラスパーキリコ】」 | yk800のWeekly Pick Up Deck!!

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Vol.5「【チェイングラスパーキリコ】」 | yk800のWeekly Pick Up Deck!!
目次

はじめに

 初めましての方は初めまして、『yk800』です。


 このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!


 さて、今回特集するのは1月の殿堂レギュレーション更新でついに解禁となった《エンペラー・キリコ》を用いるデッキです。


 以前から細々と活躍してはいたものの、ここに来てCSでの入賞数が伸びはじめてきているので、今回取り上げさせていただきました。


 久しぶりに登場した新たな無限ループコンボの手順から採用カードのポイントまで、【チェイングラスパーキリコ】の基礎について詳しく解説していきます!

【チェイングラスパーキリコ】ってどんなデッキ?

 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》《グレート・グラスパー》をあの手この手で使い回し、山札の枚数を削ってから《水上第九院 シャコガイル》でフィニッシュを狙うループコンボデッキです。


 ギミックの要である《蒼狼の王妃 イザナミテラス》、ループコンボのエンジンを担う《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》《スクリプト》といったカードと相性がいい一枚として、先日プレミアム殿堂入りが解除された《エンペラー・キリコ》が用いられています。


 山札の中からクリーチャーを3体ランダムに踏み倒す非常に派手かつ稀有なこの能力。


 かつてはとにかくデカくてアドバンテージを稼げるか、相手の行動を大きく制限するクリーチャーを踏み倒すのが定番でしたが、現代デュエマではやはりというべきかループコンボのお供として活躍しています。

 初動を固める面々は、《エンペラー・キリコ》を阻害しない純粋なマナブースト呪文たちです。


 コンボ・コントロール御用達のGS初動、《地龍神の魔陣》《フェアリー・Re:ライフ》はもちろんフル採用。


 ツインパクトもほぼ採用されず、最近ではあまり見かけなくなった懐かしのカード達に差し代わっています。


 《神秘の宝剣》《神秘の宝箱》に。

 《お清めシャラップ》《お清めトラップ》に。

 大量のブーストカードで一心不乱にマナを伸ばしつつ、中盤は《龍罠 エスカルデン》《流星のガイアッシュ・カイザー》でリソースを調整。


 7〜8マナを貯めた段階で、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を出し、《グレート・グラスパー》《エンペラー・キリコ》からコンボエンジンを踏み倒して一気に無限ループに突入します。


 最終的には山札の枚数が2枚以下になった段階で《グレート・グラスパー》2体をバトルゾーンに揃えて攻撃し、《水上第九院 シャコガイル》《流星のガイアッシュ・カイザー》を同時に出して瞬間Exウィンを狙うのが一般的です。

 受け札はG・ストライク8枚のみ、平均フィニッシュターンも5ターンほどとややゆったりとしたデッキではありますが、ブースト連打から《流星のガイアッシュ・カイザー》で相手の攻撃を抑え込んだり、墓地メタの枠をメタゲームに合わせて差し替えたりである程度は対処可能となっています。

【チェイングラスパーキリコ】のコンボ手順

 【チェイングラスパーキリコ】の主軸となるループは、なんらかの方法で《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を進化元にした《グレート・グラスパー》を手札かマナに戻し、再登場させる手順を繰り返すループです。


 1手順ごとに《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の登場時能力である「自分の山札から1枚目を見て、手札に加えるかマナゾーンに置く」効果を使えるため、基本的には無限マナブーストの形式をとります。


 以下、詳細な手順説明の項目では、一部のカードに略称を用います。


《グレート・グラスパー》《グラスパー》

《蒼狼の王妃 イザナミテラス》《イザナミ》

《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》《チェインレックス》

《スクリプト》を起点とする場合

☆コンボ成立要件:マナゾーンにカードが7枚以上あり、a.かb.のいずれかの条件を満たしている。

a.バトルゾーンに《イザナミ》を進化元にした《グラスパー》がある。

b.バトルゾーンに《グラスパー》があり、手札に《イザナミ》がある。


1.《スクリプト》を出す。登場時能力で《グラスパー》を手札に戻し、《イザナミ》を出す。


2.《イザナミ》の登場時能力で山札の上から1枚を見て、マナゾーンに置く。後半の効果で《イザナミ》から手札の《グラスパー》に進化。


3.《グラスパー》の登場時能力で《スクリプト》をバトルゾーンからマナゾーンへ。ここまでで登場時能力の処理を終了し、アタックステップでない場合はアタックステップに移行。ループを省略する場合、ここを初期盤面として宣言。


4.《グラスパー》でプレイヤーを攻撃。NEOクリーチャーの攻撃時能力で、《スクリプト》をマナゾーンからバトルゾーンへ。


5.《スクリプト》の登場時能力で攻撃中の《グラスパー》を手札に戻し、《イザナミ》を出す。


6.《イザナミ》の登場時能力で山札の上から1枚を見て、マナゾーンに置く。後半の効果で《イザナミ》から手札の《グラスパー》に進化。


7.《グラスパー》の登場時能力で《スクリプト》をバトルゾーンからマナゾーンへ。ここまでの手順で、山札から1枚がマナゾーンに置かれた以外にはカードの変化なく4.の盤面に戻るため、無限ブーストループが成立します。

☆コンボ成立要件:マナゾーンにカードが8枚以上あり、《グラスパー》《イザナミ》それぞれ1枚以上を含んでいる。


1.《チェインレックス》を出す。《チェインレックス》の能力で、コスト8の自然クリーチャーを踏み倒す効果が1回待機。


2.待機している《チェインレックス》効果を解決し、《グラスパー》をマナゾーンからバトルゾーンへ。《グラスパー》のマナ送り効果と、《チェインレックス》のコスト6踏み倒しが1回ずつ待機。


3.《グラスパー》のマナ送り効果を解決し、⒉で出した《グラスパー》をバトルゾーンからマナゾーンへ。


4.《チェインレックス》効果で《イザナミ》をマナゾーンからバトルゾーンへ。ループを省略する場合、ここを初期盤面として宣言。


5.《イザナミ》の登場時能力で山札の上から1枚を見て、マナゾーンに置く。後半の効果で《イザナミ》からマナゾーンの《グラスパー》に進化。《グラスパー》のマナ送り効果と、《チェインレックス》のコスト6踏み倒しが1回ずつ待機。


6.《グラスパー》のマナ送り効果を解決し、⒌で出した《グラスパー》をバトルゾーンからマナゾーンへ。この際、進化元になっている《イザナミ》も同時にマナゾーンへ移動する。


7.《チェインレックス》効果で《イザナミ》をマナゾーンからバトルゾーンへ。ここまでの手順で、山札から1枚がマナゾーンに置かれた以外にはカードの変化なく4.の盤面に戻るため、無限ブーストループが成立します。

2つの手順それぞれの違い

 【チェイングラスパーキリコ】を構成する2つの無限ループ。最終的にできることは同じですが、それぞれに利点と欠点があり、状況に応じた使い分けの関係になっています。


 まず《スクリプト》ループですが、何をおいても初期盤面の条件が緩いことが最大の利点。


 7マナの時点で《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を召喚してマナの《グレート・グラスパー》を出し、その《グレート・グラスパー》が攻撃してマナの《スクリプト》を踏み倒せば、その時点でループが成立します。


 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》以外のパーツはマナゾーンにあればいいうえ、《スクリプト》に至っては《神秘の宝箱》でサーチすることも可能。状況を再現しやすく、単純に最速でコンボに入るのであればこちらの手順の方が圧倒的に簡単です。


 ただし、《スクリプト》ループは必ずアタックトリガーを介するため、基本的にメタへの対抗手段を持ち合わせません。


 《ポクチンちん》《異端流し オニカマス》などの「登場時能力は使わせてくれるがバトルゾーンには残さない」タイプの踏み倒しメタはもちろん、《その子供、可憐につき》《こたつむり》と言った進化クリーチャーの攻撃を制限するカードでも容易に詰んでしまいます。


 無抵抗の相手に対して素早くコンボを決めて勝利するためのループが、こちらの《スクリプト》ループだと言えるでしょう。



 一方の《チェインレックス》ループ。こちらの利点は、逆に登場時能力だけで完結したループである点です。


 登場時能力だけで完結したループのメリットは主に2つ。


 ひとつ目は、《スクリプト》ループであれば止まってしまう「登場時能力は使わせてくれるがバトルゾーンには残さない」メタクリーチャーを実質的に無視できる点です。


 デュエル・マスターズでは、ターンプレイヤーが登場時能力の解決に入った場合、その能力でコストを踏み倒したクリーチャーから誘発した能力がさらに踏み倒して……といった能力誘発の連鎖に、非ターンプレイヤーの能力処理が割り込むことはできません。


 一度能力処理を止めて召喚やアタックを挟まないループは、《異端流し オニカマス》《奇石 ミクセル》では止まらず、無限ループが解決されたあとで最後の1体だけが排除されることになります。


 ふたつ目は、ひとつ目とも密接に関わることではあるのですが、無限マナブーストループのあとにもカードをプレイする余地があることです。


 初期のマナが9枚以上あるか、上記手順の2周目以降の場合、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》で見た山札の一番上のカードをマナに置かず手札に加えても、マナが8枚以上確保できているためループは途切れません。


 これを利用すれば、基本的にはマナブーストループをしつつ、特定のカードだけを手札に加え、一連の処理を終えた後に増えたマナを支払ってプレイできます。


 コンボデッキが特定のカードを手札に加えたいのは、多くの場合コンボパーツを集めるときかメタクリーチャーを排除したい時。つまりはコンボ成立前です。既に無限ループが成立しているタイミングで特定のカードを加えたい場面はあまりありません。


 しかし、例えば「相手の《ポクチンちん》《凶鬼77号 ビムナム》がバトルゾーンにいる時に、ループの最後に《蒼狼の王妃 イザナミテラス》のパワー3000以下マナ送りでメタクリーチャーを排除した後、2枚目の《グレート・グラスパー》でフィニッシュに移行する」といった展開は考えられます。


 相手の妨害を乗り越えやすく、状況次第でフィニッシュのプランを組み替えられる。この柔軟性の高さが《チェインレックス》ループの強みだと言えるでしょう。


 最大の難点は、《神秘の宝箱》でサーチできないカード2枚をマナに揃えた上で、コスト10の《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》を出す必要がある点です。


 《グレート・グラスパー》の攻撃時能力で踏み倒せますが強みが活かしづらく、そもそも《グレート・グラスパー》《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の要求枚数が1セット増えるためあまり嬉しくありません。


 《流星のガイアッシュ・カイザー》によるコスト軽減や《エンペラー・キリコ》《スクリプト》の連続大量展開コンボといったサポートの豊富さのおかげで成立している部分は大きいと言えるでしょう。

【チェイングラスパーキリコ】のサンプル構築

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3

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3

2

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【チェイングラスパーキリコ】に採用されているカードについて

 最もオーソドックスな2コスト初動。


 初動でつまづきたくないのはもちろん、2ターン目に2コストのブースト→3ターン目に3コストのブースト+2コストのブーストといったロケットスタートを取りたいこともあるため、《地龍神の魔陣》と合わせて11〜12枚の採用が一般的です。


 他の受け札がないこのデッキでは、《フェアリー・Re:ライフ》多めの配分がベターです。

  水文明を含むかわりに、高い柔軟性を獲得した2コスト初動。


 ブーストはもちろん、対面に合わせて《流星のガイアッシュ・カイザー》《お清めトラップ》を探しに行けるのが強みです。


 8マナ段階で《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を探す手段としても強力で、G・ストライクまで持っているためシールドにいても優秀。コンボデッキとの噛み合いが非常によく、腐るところのない優秀なカードです。

 ループコンボに使われる《スクリプト》や、殿堂カードである《エンペラー・キリコ》、フィニッシュ時に1枚はマナに欲しい《水上第九院 シャコガイル》をマナに用意できるブースト札です。


 山札を確認することでシールドにどのカードが埋まっているか、間接的に確認できるのもコンボデッキでは嬉しく、確定でアンタップインを作れるため2コストブーストとのくっつきも良好。


 ほとんどの構築で4枚採用されている、このデッキの中継ぎ筆頭候補です。

 主に水闇自然【墓地退化】を狙ったメタカードであり、ブースト札です。


 この連載でも何度も言及している通り、現環境では墓地対策が何らかの形で刺さるデッキが多く、ブーストも備えているこのカードが腐ることはほぼありません。とにかく1ターンでも早くマナを伸ばしたいこのデッキの性質とも噛み合っている、優れたカードチョイスです。


 ただし、最大の役割対象である【墓地退化】も包囲網が張り巡らされ、以前ほどの圧倒的トップシェアではなくなっています。


 ビートダウンデッキに対して強く出られる受け札や、トリガーブーストへの差し替えも一考の余地があるでしょう。


 《エンペラー・キリコ》の確実性を上げるために大真面目に《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》ではなくこちらが採用されるのは、まさにデュエル・マスターズの妙ですね。

 2→4→7の動きで最速4ターンでのフィニッシュを発生させうる強烈なブーストカードです。


 ハマれば非常に強力ではあるものの、ドローソースや手札補充を挟む余地がないためターン開始時のドローだけで《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を引き込む必要があり、なおかつハンデスやメタカードで足止めを喰らうと一気にガタつくリスクも持ち合わせています。


 どうしても最速を狙いたい対面が多い環境では増量を検討したいカードです。

 コンボのスターターでありながら無限ブーストのパーツになる、最重要カードの1枚です。


 このデッキの強みはマナさえあればこのカード1枚で一気にゲームエンドまで持ち込める点。


 逆に言えばこのカードを引けなければお話にならないため、ブーストだけでなくドローソースや手札調整手段も重要になってきます。


 サンプル構築では採用していませんが、《エンペラー・キリコ》の邪魔になることをある程度覚悟して《龍罠 エスカルデン/マクスカルゴ・トラップ》を採用するのも有力です。


 上面は中盤にマナを伸ばしながら《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を探す手段として、下面は8マナまで伸ばした後は実質的な《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の5枚目以降として。どちらもこのカードにアクセスするルートを増やせる能力を持っており、デッキとの相性はかなり良好です。


 また、相手のパワー3000以下のクリーチャー全てをマナ送りにする能力も、現環境で厄介なメタクリーチャーの多くを排除できるため強力な選択肢です。


 特に、踏み倒しを完全に封殺してくる《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》が範囲に入っているのは嬉しいですね。

 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から踏み倒すカードの筆頭。


 ほぼ無制限に等しい攻撃時能力の踏み倒し範囲に、進化元ごと登場時能力を使い回せる「自身を含むクリーチャー1体のマナ送り」を持ち合わせており、コンボパーツとしての優秀さは折り紙付き。


 さらには相手の厄介なクリーチャーをマナへ除去しつつパワー14000で殴り返して2面を取り、マナから《流星のガイアッシュ・カイザー》を踏み倒してSAを牽制したりと、いざという時にはボード制圧要員としても遺憾無くスペックを発揮します。


 あまりあることではありませんが、《水上第九院 シャコガイル》が2枚ともシールド落ちした場合などはビート勝ちに移行せざるをえないため、この打点と制圧力の高さは頼もしい限りです。


 NEOクリーチャーの特性として、場に進化クリーチャーとして出すまでは進化ではないクリーチャーとして扱うため《エンペラー・キリコ》の踏み倒しに引っかかり、実際に出す段階でクリーチャーの上に重ねるか重ねないかを選べます。


 もちろん同時に踏み倒すクリーチャーの中から進化元を確保してもOK。かなりの高確率で攻撃時能力や打点形成に一役買ってくれます。

 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から踏み倒すサブフィニッシャー。


 《スクリプト》と組み合わせて踏み倒しを複数回おかわりし、高確率で《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》を戦場に送り込む展開作成マシーンです。


 《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》まで繋がらなくとも2枚目の《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から《グレート・グラスパー》を踏み倒して《スクリプト》ループに移行してもよく、めくれに依存する部分はあるもののある程度柔軟にコンボへと繋げられます。


 《神秘の宝箱》でサーチできるため殿堂入りはあまり気にならず、仮にシールドに埋まっていたとしてもデッキ全体の依存性が低く、メインギミックは健在なので大きな被害はありません。


 強力なカードであることに間違いはないですが、1枚だけしか使えないこのカードを自由に使えるうえに、仮に使えなくとも問題がないデッキであることが、このデッキが活躍している理由のひとつとして挙げられるでしょう。

 コンボのメインエンジン。


 マナ加速が豊富なので10マナ貯められないこともないですが、もっぱら《エンペラー・キリコ》からの踏み倒しか《流星のガイアッシュ・カイザー》下での6マナ召喚を狙います。


 先述したとおり《チェインレックス》ループは柔軟性が高くフィニッシュとしては《スクリプト》ループよりも強力ですが、フィニッシュ手段が散っているためこのカード単体への依存度は低いです。


 《スクリプト》での引き直しも含めた《エンペラー・キリコ》ガチャのどこかで1枚めくれれば十分なこともあり、基本的にコンボパーツ以上の役割を持たない《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》の採用枚数は控えめになっています。

 《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》に続く、もう1つのコンボエンジン。


 《エンペラー・キリコ》との相性は非常に良好で、《スクリプト》が出るたびにガチャの引き直しができ、望みの結果が出たあとは《エンペラー・キリコ》《蒼狼の王妃 イザナミテラス》経由で《グレート・グラスパー》に変換することもできます。


 忘れがちですが、バウンスの対象は「他のクリーチャー」。相手の大型クリーチャーを除去して、自分の手札からそれよりコストの小さいクリーチャーを出すこともできます。


 環境で頻繁に見るカードとしては、呪文で除去できない《ガル・ラガンザーク》などを排除しつつそのまま《蒼狼の王妃 イザナミテラス》に繋がるのは面白い動きです。


 使う場面はほぼないとは思いますが、ループを終えたあとの《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》を手札の《水上第九院 シャコガイル》に変換できる点も一応覚えておきたいですね。


 《神秘の宝箱》でマナにサーチできるのは最速コンボ狙いで重要ですが、《エンペラー・キリコ》から展開を作る場合はなるべく山札にいてほしいジレンマを抱えています。


 サンプルリストではその辺りも加味して一般的ながらやや多めに3枚採用しています。

 山札が削れるコンボといえばこれ! 定番のフィニッシャーです。


 このデッキの場合、《エンペラー・キリコ》でうっかり《グレート・グラスパー》《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》と同時にめくれた場合、そのまま無限ブーストループに突入し、終点で《流星のガイアッシュ・カイザー》を踏み倒して2ドローすれば特別なことをせずとも勝ててしまえる点が魅力です。


 少し手間はかかるものの、《グレート・グラスパー》の踏み倒し圏内にいる点が心強く、フィニッシュの安定性は非常に高い部類でしょう。

 2ドロー、コスト軽減、SA封殺。


 全ての能力が高水準でデッキと噛み合った、【チェイングラスパーキリコ】の影の立役者です。


 ブースト連打から4ターン目に立てることでリソースを確保しながらも多くのデッキのフィニッシュを阻止でき、続く7マナで《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から8コスト域へと繋げます。


 マナカーブが綺麗な噛み合いを見せるうえに稼いだ1ターンで勝利に直結するアクションへの連携が見込め、さらにはちょうど息継ぎしたいターンに盤面を空けずにドローができる、このデッキにとって夢のようなカードです。


 除去に1ターンを使ってくれるのであればそれはそれでよし、うっかり生き残ってしまえば6マナで《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》で安全なフィニッシュも狙いに行くことも。


 自己踏み倒し能力は環境柄少し地味ですが、ノーコストで2ドローしながら時間を稼ぐだけでも十分に強力。


 4枚目は自由枠になりますが、多くの対面で6マナ時にプレイしたいカードNo.1なので、サンプルリストでは4枚採用しています。

おわりに

 今回は徐々に活躍の場を広げている【チェイングラスパーキリコ】を解説いたしました。


 最初にリストを見たときは「受け札8枚で大丈夫なのか?」と思ったりもしましたが、現在のオリジナル環境は意外にも遅いデッキが多く、《流星のガイアッシュ・カイザー》の遅延も加味すれば十分に戦えそうで、綿密に練られた構成に思わず唸ってしまいました。


 筆者の個人的なエピソードになってしまいますが、【チェイングラスパー】は注目が集まった当初から好きだったデッキで、当時とは全く別デッキと言っていいほど構成が違っているものの、時代に合わせたアップデートとともに活躍しているのは少し嬉しくなりますね。


 それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!

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このコラムのライター

yk800

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