はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
さて、今回特集するのは1月の殿堂レギュレーション更新でついに解禁となった《エンペラー・キリコ》を用いるデッキです。
以前から細々と活躍してはいたものの、ここに来てCSでの入賞数が伸びはじめてきているので、今回取り上げさせていただきました。
久しぶりに登場した新たな無限ループコンボの手順から採用カードのポイントまで、【チェイングラスパーキリコ】の基礎について詳しく解説していきます!
【チェイングラスパーキリコ】ってどんなデッキ?
受け札はG・ストライク8枚のみ、平均フィニッシュターンも5ターンほどとややゆったりとしたデッキではありますが、ブースト連打から《流星のガイアッシュ・カイザー》で相手の攻撃を抑え込んだり、墓地メタの枠をメタゲームに合わせて差し替えたりである程度は対処可能となっています。
【チェイングラスパーキリコ】のコンボ手順
2つの手順それぞれの違い
一方の《チェインレックス》ループ。こちらの利点は、逆に登場時能力だけで完結したループである点です。
登場時能力だけで完結したループのメリットは主に2つ。
ひとつ目は、《スクリプト》ループであれば止まってしまう「登場時能力は使わせてくれるがバトルゾーンには残さない」メタクリーチャーを実質的に無視できる点です。
デュエル・マスターズでは、ターンプレイヤーが登場時能力の解決に入った場合、その能力でコストを踏み倒したクリーチャーから誘発した能力がさらに踏み倒して……といった能力誘発の連鎖に、非ターンプレイヤーの能力処理が割り込むことはできません。
一度能力処理を止めて召喚やアタックを挟まないループは、《異端流し オニカマス》や《奇石 ミクセル》では止まらず、無限ループが解決されたあとで最後の1体だけが排除されることになります。
ふたつ目は、ひとつ目とも密接に関わることではあるのですが、無限マナブーストループのあとにもカードをプレイする余地があることです。
初期のマナが9枚以上あるか、上記手順の2周目以降の場合、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》で見た山札の一番上のカードをマナに置かず手札に加えても、マナが8枚以上確保できているためループは途切れません。
これを利用すれば、基本的にはマナブーストループをしつつ、特定のカードだけを手札に加え、一連の処理を終えた後に増えたマナを支払ってプレイできます。
コンボデッキが特定のカードを手札に加えたいのは、多くの場合コンボパーツを集めるときかメタクリーチャーを排除したい時。つまりはコンボ成立前です。既に無限ループが成立しているタイミングで特定のカードを加えたい場面はあまりありません。
しかし、例えば「相手の《ポクチンちん》や《凶鬼77号 ビムナム》がバトルゾーンにいる時に、ループの最後に《蒼狼の王妃 イザナミテラス》のパワー3000以下マナ送りでメタクリーチャーを排除した後、2枚目の《グレート・グラスパー》でフィニッシュに移行する」といった展開は考えられます。
相手の妨害を乗り越えやすく、状況次第でフィニッシュのプランを組み替えられる。この柔軟性の高さが《チェインレックス》ループの強みだと言えるでしょう。
最大の難点は、《神秘の宝箱》でサーチできないカード2枚をマナに揃えた上で、コスト10の《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》を出す必要がある点です。
《グレート・グラスパー》の攻撃時能力で踏み倒せますが強みが活かしづらく、そもそも《グレート・グラスパー》+《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の要求枚数が1セット増えるためあまり嬉しくありません。
《流星のガイアッシュ・カイザー》によるコスト軽減や《エンペラー・キリコ》+《スクリプト》の連続大量展開コンボといったサポートの豊富さのおかげで成立している部分は大きいと言えるでしょう。
【チェイングラスパーキリコ】のサンプル構築
【チェイングラスパーキリコ】に採用されているカードについて
最もオーソドックスな2コスト初動。
初動でつまづきたくないのはもちろん、2ターン目に2コストのブースト→3ターン目に3コストのブースト+2コストのブーストといったロケットスタートを取りたいこともあるため、《地龍神の魔陣》と合わせて11〜12枚の採用が一般的です。
他の受け札がないこのデッキでは、《フェアリー・Re:ライフ》多めの配分がベターです。
ループコンボに使われる《スクリプト》や、殿堂カードである《エンペラー・キリコ》、フィニッシュ時に1枚はマナに欲しい《水上第九院 シャコガイル》をマナに用意できるブースト札です。
山札を確認することでシールドにどのカードが埋まっているか、間接的に確認できるのもコンボデッキでは嬉しく、確定でアンタップインを作れるため2コストブーストとのくっつきも良好。
ほとんどの構築で4枚採用されている、このデッキの中継ぎ筆頭候補です。
主に水闇自然【墓地退化】を狙ったメタカードであり、ブースト札です。
この連載でも何度も言及している通り、現環境では墓地対策が何らかの形で刺さるデッキが多く、ブーストも備えているこのカードが腐ることはほぼありません。とにかく1ターンでも早くマナを伸ばしたいこのデッキの性質とも噛み合っている、優れたカードチョイスです。
ただし、最大の役割対象である【墓地退化】も包囲網が張り巡らされ、以前ほどの圧倒的トップシェアではなくなっています。
ビートダウンデッキに対して強く出られる受け札や、トリガーブーストへの差し替えも一考の余地があるでしょう。
《エンペラー・キリコ》の確実性を上げるために大真面目に《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》ではなくこちらが採用されるのは、まさにデュエル・マスターズの妙ですね。
2→4→7の動きで最速4ターンでのフィニッシュを発生させうる強烈なブーストカードです。
ハマれば非常に強力ではあるものの、ドローソースや手札補充を挟む余地がないためターン開始時のドローだけで《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を引き込む必要があり、なおかつハンデスやメタカードで足止めを喰らうと一気にガタつくリスクも持ち合わせています。
どうしても最速を狙いたい対面が多い環境では増量を検討したいカードです。
コンボのスターターでありながら無限ブーストのパーツになる、最重要カードの1枚です。
このデッキの強みはマナさえあればこのカード1枚で一気にゲームエンドまで持ち込める点。
逆に言えばこのカードを引けなければお話にならないため、ブーストだけでなくドローソースや手札調整手段も重要になってきます。
サンプル構築では採用していませんが、《エンペラー・キリコ》の邪魔になることをある程度覚悟して《龍罠 エスカルデン/マクスカルゴ・トラップ》を採用するのも有力です。
上面は中盤にマナを伸ばしながら《蒼狼の王妃 イザナミテラス》を探す手段として、下面は8マナまで伸ばした後は実質的な《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の5枚目以降として。どちらもこのカードにアクセスするルートを増やせる能力を持っており、デッキとの相性はかなり良好です。
また、相手のパワー3000以下のクリーチャー全てをマナ送りにする能力も、現環境で厄介なメタクリーチャーの多くを排除できるため強力な選択肢です。
特に、踏み倒しを完全に封殺してくる《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》が範囲に入っているのは嬉しいですね。
《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から踏み倒すカードの筆頭。
ほぼ無制限に等しい攻撃時能力の踏み倒し範囲に、進化元ごと登場時能力を使い回せる「自身を含むクリーチャー1体のマナ送り」を持ち合わせており、コンボパーツとしての優秀さは折り紙付き。
さらには相手の厄介なクリーチャーをマナへ除去しつつパワー14000で殴り返して2面を取り、マナから《流星のガイアッシュ・カイザー》を踏み倒してSAを牽制したりと、いざという時にはボード制圧要員としても遺憾無くスペックを発揮します。
あまりあることではありませんが、《水上第九院 シャコガイル》が2枚ともシールド落ちした場合などはビート勝ちに移行せざるをえないため、この打点と制圧力の高さは頼もしい限りです。
NEOクリーチャーの特性として、場に進化クリーチャーとして出すまでは進化ではないクリーチャーとして扱うため《エンペラー・キリコ》の踏み倒しに引っかかり、実際に出す段階でクリーチャーの上に重ねるか重ねないかを選べます。
もちろん同時に踏み倒すクリーチャーの中から進化元を確保してもOK。かなりの高確率で攻撃時能力や打点形成に一役買ってくれます。
2ドロー、コスト軽減、SA封殺。
全ての能力が高水準でデッキと噛み合った、【チェイングラスパーキリコ】の影の立役者です。
ブースト連打から4ターン目に立てることでリソースを確保しながらも多くのデッキのフィニッシュを阻止でき、続く7マナで《蒼狼の王妃 イザナミテラス》から8コスト域へと繋げます。
マナカーブが綺麗な噛み合いを見せるうえに稼いだ1ターンで勝利に直結するアクションへの連携が見込め、さらにはちょうど息継ぎしたいターンに盤面を空けずにドローができる、このデッキにとって夢のようなカードです。
除去に1ターンを使ってくれるのであればそれはそれでよし、うっかり生き残ってしまえば6マナで《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》で安全なフィニッシュも狙いに行くことも。
自己踏み倒し能力は環境柄少し地味ですが、ノーコストで2ドローしながら時間を稼ぐだけでも十分に強力。
4枚目は自由枠になりますが、多くの対面で6マナ時にプレイしたいカードNo.1なので、サンプルリストでは4枚採用しています。
おわりに
今回は徐々に活躍の場を広げている【チェイングラスパーキリコ】を解説いたしました。
最初にリストを見たときは「受け札8枚で大丈夫なのか?」と思ったりもしましたが、現在のオリジナル環境は意外にも遅いデッキが多く、《流星のガイアッシュ・カイザー》の遅延も加味すれば十分に戦えそうで、綿密に練られた構成に思わず唸ってしまいました。
筆者の個人的なエピソードになってしまいますが、【チェイングラスパー】は注目が集まった当初から好きだったデッキで、当時とは全く別デッキと言っていいほど構成が違っているものの、時代に合わせたアップデートとともに活躍しているのは少し嬉しくなりますね。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!