遊戯王といえばエジプト! この機会に少し触れてみませんか?
■はじめに
はじめまして、もしくはこんにちは! カニ丸です!
コラム掲載日が2月28日ということで、歴史的には1922年2月28日にイギリスからエジプト王国が独立した「エジプト王国独立(エジプト革命)」の日でもあります。
なので今回は、「遊☆戯☆王」(原作・高橋和希)ならびに遊戯王OCGにおいて、深くつながりのあるエジプトの文明や神話を元にデザインされたテーマやカードに触れて行こうと思います。
内容が内容なので、エジプトになじみの薄い方にも興味を持ってもらえるように、なるべくわかりやすくしてみました。
まず、遊戯王OCGに長く触れている方にはお馴染み
《墓守》
「ザ・ダーク・イリュージョン(2016年4月9日発売)」で登場した《トラミッド》
「デッキビルドパック ヒドゥン・サモナーズ(2018年8月4日発売)」でテーマとして確立された
《ネフティス》
それから、「SOUL OF THE DUELIST(2004年5月27日発売)」で「LVを上げていくモンスター」として初めて登場したカテゴリの1枚
《ホルスの黒炎竜》
これらがエジプトモチーフのデッキテーマとしては有名ではないでしょうか。
「エジプトの神話やデザインが好きだから」という理由で使ってらっしゃる方もいるでしょう。
遊戯王OCGの始まりでもある「遊☆戯☆王」を愛読している方の中には、このエジプトという文明に深く思い入れがある方もいると思います。
筆者カニ丸も「遊☆戯☆王」をキッカケにエジプト神話について色々と詳しくなりました。
■原作でもお馴染みの「古代エジプト」
ここで簡単に「遊☆戯☆王」で登場した主な古代エジプト文明について説明させていただきます。
様々な研究の中で、明確にどこからどこまでが「古代エジプト」を指すのかというと、実の所は諸説あります。
ですので今回のコラム中では最もメジャーとされている「エジプト第1王朝(紀元前3000年頃)」時代から、かの有名な女王クレオパトラ7世が治めていた「プトレマイオス期(紀元前30年頃)」の間を基準と仮定します。
※こういった分野はこれからもどんどん研究が進んでいくと大きく名前や区分が変わる可能性もあるので、あくまでも2022年2月28日の時点では、という前提でお読みください。
中学生くらいに教科書で「世界四大文明」という言葉を習っていることは覚えていますでしょうか?
メソポタミア文明、インダス文明、黄河(中国)文明、そしてエジプト文明。
この4文明が古く紀元前から発展していた大きな文明であったとされています。
よく漫画とかの創作物にも登場しますよね。
中国4000年の歴史~とか、インダス文明の遺産が~とか。
もちろんこの四大文明以外にも多数の文明が存在していました。
余談ですが、「遊☆戯☆王5D's」にはこの四大文明とはさらに異なるアステカ文明が登場します。
悲劇の少年王・ツタンカーメン
さて、その古代エジプトの長い歴史の中で1、2を争うほどに有名な王様がいますね。
それが、「ツタンカーメン」です。
※イメージ映像
古代エジプトでは王様のことを「ファラオ」と呼んでいましたので、本記事でもそのように呼称していきます。
この「ツタンカーメン」は第18王朝(紀元前1332~1323頃)の末期に存在していたとされます。
「悲劇の少年王」と呼ばれることもあり、その理由は彼が少年期から青年期にかけての短い期間にだけファラオとして君臨し、その生涯を閉じたからだとされています。
エジプトは代々のファラオをミイラとして遺す風習があり、彼のミイラが発掘され、調べられた結果、10代後半で亡くなったものだと推測されているようです。
また、彼は後世に残る王族の歴史から名前が消されていました。
そのため、1922年に発掘されるまで「いない存在」として扱われてきたのでした。
さて、ここまで読まれて察して下さった方もいることでしょう。
この悲劇の少年王「ツタンカーメン」こそが、「遊☆戯☆王」の最重要キャラクターである、闇遊戯こと「アテム」のモデルになった人物とされています。
名前のモデルはエジプト神話に登場する「アテン神」から。
この「アテン神」も「ツタンカーメン」と深く関係のある神になります。
《墓守》は「新たなる支配者(2002年5月16日発売)」に収録され登場したテーマです。
20年前から存在したテーマで、「遊戯王OCG」の歴史と共に歩んできた存在とも言えるのではないでしょうか。
2022年の今でも根強くユーザーに支持され、デザインがエジプトの王墓を守る存在としてのコンセプトが強く、それがまた人気の理由でもあります。
実際に使用していたかは定かではありませんが、Ⅳの現在のデッキは《ギミック・パペット》ですので、だいぶ印象が違ってきます。
ところで、「遊戯王」ではファラオの失われし記憶と名前を巡る戦いの中で、マリク、イシズ、リシドといった「墓守の一族」のキャラクターが登場しますが、《墓守》は彼らの設定をコンセプトにデザインされたといっても過言ではないでしょう。
特にこの《墓守の異端者》は特殊で、《王家の眠る谷-ネクロバレー》がフィールドに存在する限り、このカードはこのカード以外の効果を受けないというまさかのデザインです。
これは《王家の眠る谷-ネクロバレー》の効果である攻撃力と守備力を上げる効果も受けないということで、まるで「墓守の一族」を裏切ったマリク・イシュタールをイメージしたかのようですね。
そう思うと、デザインもマリクに似ているような…?
外見だけなら、こちらもイシズ・イシュタールに少し似ているようにも思います。
《墓守の異端者》ほど分かりやすくはないので、今後もっと彼女に近いデザインのカードが登場するかもしれません。
キャラクターをそのままイメージされた「ご本人登場!」というデザインのカードが今後も増えるようであれば、是非ともリシドがカードになっているのも見てみたいですね。
「ザ・ダーク・イリュージョン(2016年4月9日発売)」で登場した比較的新しいテーマです。
最近と言っても、そろそろ6年目になるので、新規のカードが登場して欲しいテーマのひとつでもあります。
カードの種類は少ないながら、エジプト神話にちなんだデザインも多いので、今回の記事にはぴったりです。
見て分かるように、名前は「ピラミッド」から着想を得ているようですが、その「ピラミッド」が変形し、大砲のようなものを備え、どうやら可動して移動までできるようです。
この変形型移動式要塞ピラミッドは魔法や罠には登場するものの、モンスターカードとして登場していません。
バステトという猫の女神がエジプト神話には存在するのですが、皆さまはご存知でしょうか?
エジプトの神々というのは、その多くが人間以外の生き物の顔がついた人型というケースが多く、この女神も場合によって猫の頭がついた女性の形をしています。
猫が人気なのか、女神という点が強いのかは定かではありませんが、様々なソーシャルゲームなどにもその名が登場しがちな神様です。
エジプトでは猫のミイラも数多く存在しますが、これはこの女神に対する信仰から、猫を聖獣として大切にしていた歴史があるからのようです。
エジプト神話における有名な神の一柱として、アヌビスという神がいます。
犬の頭を持つ男性の形をした姿で書かれることが多いのですが、こちらはエジプト神話における死神のポジションに近い存在です。
エジプトは独特の死生観を持っており、魂は現世と冥府(死後)の世界を行き来するという考え方があります。
それゆえ、現世での体を残しておくミイラという文化が生まれるのですが、このアヌビスがミイラを作っている壁画もあり、死者を冥府の王オシリスの元に導く役割を担っているとされます。
エジプトの神々の中でも特殊な存在ですので、先ほどのバステトよりも有名どころなのではないでしょうか。
エジプト神話に詳しくなくても知っている、それが《スフィンクス》でしょうか。
ギリシア神話にも登場するので、そちらでご存知な方もいるでしょう。
知性豊かであるためか、エジプト以外の神話では人間に問題を出し、答えられなければ食べてしまうといった伝説も持っています。
エジプトでは、ファラオを指すモチーフであったり、ファラオの顔を持つスフィンクスがいることからファラオ自身の象徴でもあったようです。
ファラオを示すホルスの一部であったり、太陽神ラーと同一視されたりとなかなか多面性を備えているのがこのスフィンクスになります。
《トラミッド》はエジプト神話の神々をストレートに描いているので、もっと種類が増えて欲しいというのが本心でもあります。
この時はまだテーマと呼ぶには少し足りない種類の枚数しかありませんでしたが、その特殊な効果から、様々なデッキで当時活躍していたようです。
《ネフティス》という名前はそもそもエジプト神話の葬祭の女神でした。
《鳳凰》は言うまでもなく、不死鳥を指します。
「このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合、次の自分スタンバイフェイズに発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。」という効果が、そちらをイメージしたものなのかもしれません。
余談ですが、筆者カニ丸は友達の《ネフティス》+《ユベル》というデッキにボッコボコにされたことがあります。
まさか2018年にこの《ネフティス》がひとつのテーマとしてデッキになるなんて、誰が予想できたでしょうか。
エジプト神話と結びつくのはこの《ネフティス》部分だけになりますので、それ以外を現段階で深く解説するには至らないのですが、そのカードイラストの美しさや、「BATTLE OF CHAOS(2021年10月16日)に《カオス・ネフティス》が追加されたりと、いつも驚かせてくれるのが《ネフティス》というイメージがあります。
《ネフティス》とデザインがよく似ており、イラストレーターが同じなのか、それとも、そういう組み合わせで最初は考えられていたのか
現在になってもわかりませんが、その《ホルス》という名はエジプト神話で天空の神であり、冥府の王オシリスの息子のホルスから来ていると思われます。
エジプト神話において《ホルス》という神は王位継承者を示すため、歴代のファラオはその《ホルス》の名前を有していたという話もあります。
《ホルス》は太陽神ラーと同じように扱われる場合もあり、かの有名な《ホルアクティ》もこの《ホルス》の別名のひとつとして捉えられているようです。
もちろん、エジプト神話も時代の流れによって変動していきましたので、時期によって同一視されたという話になります。
■さいごに
エジプト神話と密接な関係のある「遊☆戯☆王」ですが、なかなかその奥深さからモデルになった神話や神々についてふれるキッカケは少ないかと思います。
エジプト神話の面白いところはまだまだありますので、このコラムを読んで少しでも興味が湧いたら、皆様も是非一度調べてみていただきたいです!
今回は、エジプト神話にまだ触れたことがない方にもわかりやすさを意識して解説を入れておりますので、もしまた次の機会があれば、もっと深くそのつながりを記事にできたらなと思っております。
以上、カニ丸でした。