はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
前回の記事では「また来週」と書いたにも関わらず、2週間ぶりのご挨拶となってしまいました……!
流行り病に限らずとも、体調不良は怖いですね。まだまだ厳しい寒さが続きますので、皆さまも風邪には十分お気をつけください。
気を取り直しまして、第2回となる今回は、つい先日のCSで入賞して話題となっている、《天幕船 ドンデンブタイ》を採用した【グルメ墓地ソース】を特集いたします。
入賞数は決して多くないものの、全く異なる地域で同時に入賞報告があったことから、にわかに注目されている《天幕船 ドンデンブタイ》。
【グルメ墓地ソース】というデッキの基礎的な部分から、《天幕船 ドンデンブタイ》の強みと弱みまで、詳しく解説していきます!
【グルメ墓地ソース】のサンプル構築
【グルメ墓地ソース】ってどんなデッキ?
【グルメ墓地ソース】の主軸となるのは《巨大設計図》+《樹食の超人》のコンボです。
非ツインパクトの《巨大設計図》を除いた残りのデッキ36枚をコスト7以上のクリーチャーで統一すると、《巨大設計図》はたった2マナで4ドローできるお化けドローソースとして運用できます。
ツインパクト化のおかげで8枚採用できるこの《巨大設計図》を使って大量の手札を貯め込み、「手札・マナのカードを墓地に置いた枚数分だけコストが下がる」《樹食の超人》で一気に墓地へ送ります。
コスト8・パワー12000のマッハファイターをバトルゾーンに送り込みながら、同時に墓地に埋葬した大量のクリーチャーで大幅にコスト軽減された《暴走龍 5000GT》などのフィニッシャーへとアクセスし、一気に戦局を制圧して勝利を目指します。
フィニッシャー軍団もバリエーション豊かですが、とにもかくにも《暴走龍 5000GT》の召喚ロックが非常に強力!
このカードを早期着地させるだけでゲームが決まってしまうこともよくあるのが、【グルメ墓地ソース】最大の強みです。
環境で活躍を始めたころから高い評価を受けていたデッキではあるものの、当時の構築は2ターン目までのアクションがほぼ《巨大設計図》8枚のみに絞られており、《巨大設計図》が引けなかった際の動きの硬さがネックとなっていました。
王来篇第4弾のリリース以降、環境ではあまり活躍できない時期が続いていましたが、その間にもプレイヤーの手によって構築は徐々に洗練されていきます。
そんな【グルメ墓地ソース】に、期待の新顔が加入しました。
直近のCSで採用デッキの入賞例が報告され、にわかに話題となっているのが、《天幕船 ドンデンブタイ》です。
⒈ブロッカーがすごい!
何はなくともタダで出てくるブロッカーです。
一見地味に見えますがこれが本当に強く、相手の攻撃を凌ぎさえすれば、シールドブレイクによって増えた手札を《樹食の超人》で効率よく活用できる【グルメ墓地ソース】との相性が抜群です。
パワー2000とかなり低めではあるものの、【火単ブランド】の1コスト獣たちは軒並みパワー1000。これらを一方的に討ち取れる最低限のサイズは有しています。
もちろんバトルに負けて墓地に行ってもコスト軽減のタネになってくれるので、このデッキではあまりデメリットにならないのも嬉しいですね。
⒉置きドロソがすごい!
《天幕船 ドンデンブタイ》のメインテキストとも言えるターン開始時の追加ドロー。
最初の1ドローまでのタイムラグが大きいため手放しで高評価はできないものの、やはり「マナを支払わずに」、というのは破格と言うほかありません。
できる限りキーパーツを引き込みたいうえに、手札があればあるほど嬉しい《樹食の超人》を活用する【グルメ墓地ソース】には特にありがたい能力です。
コンボ達成直前の大型ハンデスに対する予防策としても一定の役割を期待できますが、あくまでも除去されやすいクリーチャーであるため過信は禁物です。
⒊コストが大きくてすごい!
コスト7。《巨大設計図》に引っかかり、フシギバースのタネとしてもギリギリ活用できるサイズです。
《巨大設計図》を外さないカードの中から選ばれているため当たり前といえば当たり前なのですが、他にもこのコスト7のおかげで活躍できる場面は多々あります。
環境内で使われるコスト参照除去のほとんどに引っかからず、流行まっただなかの《∞龍 ゲンムエンペラー》の影響も受けつけません。
また、コストが大きいことの利点として、「このカードの召喚宣言で《ベイB セガーレ》をわざと誘発させて盤面から排除し、本命の《樹食の超人》を憂いなく通しに行く」使い方ができる点も挙げられます。
⒋着地速度がすごい!
ここまでいくつかのメリットを挙げてきましたが、とはいえ現代デュエル・マスターズは速度が命。
いくら強いカードとは言っても、プレイできるターンが遅ければ意味は薄れます。それでは、《天幕船 ドンデンブタイ》はどうでしょう?
読者の皆様もご存知のとおり、デュエル・マスターズの初期手札は5枚。
先攻1ターン目にドローせずマナを置いて4枚、2ターン目にドローしてマナを置いてまた4枚。
ここで《巨大設計図》を唱えて公開した4枚すべてが手札に加わった場合、4-1+4で差し引きの手札は7枚となり、先攻2ターン目にして綺麗に《天幕船 ドンデンブタイ》のG・ゼロ条件を満たします。
勝利に直結するカードでないとはいえ、この速度でブロッカーであり置きドロソでもあるコスト7のクリーチャーを繰り出せるのがこのカード最大の利点だといえそうです。
デッキの方向性と様々な面で噛み合う画期的なカード、《天幕船 ドンデンブタイ》。
とはいえ、あらゆるカードは一長一短を有するのが常。もちろんこのカードにもデメリットがないわけではありません。
最大の懸念点は、やはり文明でしょう。
水単色という文明は、闇/火/自然を基調とする【グルメ墓地ソース】において色マナとしての使い道が一切ありません。
普通のデッキではそこまで気にならないデメリットですが、大量のコスト軽減を介して、最低限の必要文明だけでアクションを取ることも多い【グルメ墓地ソース】においては決して無視できないデメリットです。
必然、このカードは極力マナに置きたくないのですが、《巨大設計図》を引けなかった際には使い道がほとんどないカードであるため、悩ましい2択を迫られます。
もう一つの欠点はパワーの低さ。
パワーが低いことそのものにはそれほど問題ありませんが、パワー5000以下のクリーチャーを敵味方問わず封殺する《暴走龍 5000GT》との相性に難を抱えています。
ブロッカーに期待される役割として、「フィニッシャーで殴りかかって凌がれた際に、返しの相手の反撃を押しとどめる」というものがありますが、残念ながら《天幕船 ドンデンブタイ》はそのような用途では使えません。
中盤以降に引いた時、どうしても手札でまごついてしまうのが《天幕船 ドンデンブタイ》のリスクです。
ですが、幸いにして【グルメ墓地ソース】には手札で不要なカードを有効活用する手段がいくつか用意されています。
特にメインムーブである《樹食の超人》が「枚数さえあればなんでもいい」カードなので、真の意味で腐ることはほとんどありません。
使い道がない際の処理のしやすさも加味すれば、デメリットを補ってあまりある恩恵が見込めるカードだと感じました。
【グルメ墓地ソース】に採用されているカードについて
このデッキの存在意義とも言える、デュエマ界でも最高効率のドローソースです。
ツインパクトが充実した現在のデュエル・マスターズにおいて、コスト7以上のクリーチャーだけでデッキを構築するのはそれほど難しくなく、安定して2マナ4ドローをもたらすカードとして運用されています。
《樹食の超人》を1コストで叩き込むための下準備として重要なのはもちろんですが、それ以上に「リソースが増える」ことの強さを全面的に享受できる点が最大の強みです。
大量のリソースがあれば多少のハンデスではびくともしませんし、メタクリーチャーを強引に除去して本命を通しに行けますし、仮に盤面を返されてもすぐに態勢を立て直せます。
カードゲームにおいて、手札は多い方が強い。
そんな当たり前の事実に基づいた、当たり前のように強いカードです。
デッキの名前にもなっている、コンボの中枢を担うカードです。
これまでの【墓地ソース】は複数ターンかけて墓地を肥やす構造になっており、その途中で墓地をリセットされてしまうと立て直しに時間がかかっていました。
しかし、《樹食の超人》は手札かマナさえあれば、ワンアクションで10枚以上の大量墓地肥やしが可能。
コンボを決めたターンに《暴走龍 5000GT》が着地することもザラにあるなど、「墓地メタが効かない【墓地ソース】」として【グルメ墓地ソース】は環境の最前線に躍り出ることとなりました。
このような経緯もあって墓地肥やし性能のインパクトが大きい《樹食の超人》ですが、「コスト8・パワー12000でT・ブレイカーのマッハファイター」というカタログスペックも、墓地肥やしの「おまけ」とは決して呼べない強力さです。
《暴走龍 5000GT》が討ち漏らす中堅クリーチャーたちを高パワーのマッハファイターで葬り去りつつ、盤面に残ればT・ブレイカーで速やかにゲームを決着させるファッティ。コスト8ということでフシギバースのタネとしても有力です。
ここまで様々な役割を持ちながら、召喚にかかるマナはわずか1マナ。
《巨大設計図》なしではパワーを発揮しづらいものの、このカードの強さが【グルメ墓地ソース】を支えているのは間違いありません。
受け札の枠として採用しながら、呪文として使用した後は墓地にあるクリーチャーとしてカウントができる、攻守に隙のない優良カードです。
1対1の交換であるため、手札の枚数は増えず、墓地が増えるのもあくまで呪文として唱えた自身のみ。明確なアドバンテージを稼ぐことはできません。
しかし、2コストのアクションが多いこのデッキでは、1マナが浮きがちな1ターン目や3ターン目の隙間を埋めるワンアクションとして、とてもありがたい存在です。
受け札としてはあくまで9000火力。
仮想敵である【火単ブランド】のクリーチャーであればほとんどを問題なく撃ち落とせますが、対面次第ではあまり期待できないので注意が必要です。
上下ともにデッキとの噛み合いが強く、何かと便利なカード。
特に上面、《龍装鬼 オブザ08号》の除去能力は非常に頼もしいです。
相手の攻め手を削ってコンボ成立までの時間を稼いだり、《奇石 ミクセル》などのメタクリーチャーをコンボに先んじて排除したり。
コスト軽減のおかげで実コストは非常に軽いですが、名目コストは高いのでフシギバースのタネとしても文句なしです。
下面はシンプルながら腐りづらい墓地回収。
コスト3とやや重くはあるものの、3ターン目の無難なアクションから、ハンデスで落とされたキーパーツ回収、コンボ成立後の後続確保など、上下どちらで使うか悩ましいほどの利便性を持っています。
【グルメ墓地ソース】界期待のニューフェイス。詳細は先ほどの通りです。
強力かつ斬新なカードチョイスではあるものの、除去の豊富なデッキに対しては腐る場面も多いため、あくまで「環境次第で採用が十分に検討できるカード」です。
デッキのコアな部分に触れるカードでない点には留意しておきましょう。
《巨大設計図》・《樹食の超人》とは違うベクトルで、このデッキの存在意義となっているカードです。
【グルメ墓地ソース】は《暴走龍 5000GT》が環境的に強いからこそ輝くデッキであり、逆にこのカードがあまり効かないデッキしかいないのであれば、【グルメ墓地ソース】の魅力は半減してしまいます。
前回紹介した水闇自然型の【墓地退化】や、今回このデッキとどちらを紹介するか最後まで迷った【アナカラームゲンクライム】、【火単ブランド】に【ラッカ鬼羅.Star】など、現環境では《暴走龍 5000GT》1枚で「詰む」デッキは枚挙に暇がありません。
【グルメ墓地ソース】が注目を浴びているのは《天幕船 ドンデンブタイ》という見慣れない新顔を迎え入れたこともありますが、現在の流行デッキの多くに《暴走龍 5000GT》が刺さるから、という側面もありそうです。
言葉ではうまく役割を説明しづらいカードです。
基本的には《暴走龍 5000GT》のようにコストを軽減してバトルゾーンに出しつつ、フシギバースのタネとして使うためのカードであり、この「フシギバースのタネ」としての使い方に、このカードの強みがあります。
《大魔王 ウラギリダムス》は登場時に墓地のクリーチャーを5枚選んで下に重ねられるクリーチャーです。
カードが重なった状態の《大魔王 ウラギリダムス》をフシギバースのタネとする場合、本体と下に置いたカード5枚の合計6枚をすべてマナゾーンに置くか、あるいは置換効果で下のカード5枚を山札の下に戻して《大魔王 ウラギリダムス》をバトルゾーンに残すかを選べます。
すべてマナゾーンに置く場合は、言うまでもなく爆発的なマナ加速をもたらします。
その加速力は、通常のコストでプレイすることは少ない《ブラキオ龍樹》や《大樹王 ギガンディダノス》の召喚まで視野に入るほどです。
下のカードを山札の下に戻す場合は、コントロールデッキなどと対面した場合の山札修復手段として用いられます。
好きなクリーチャーを自由な順序で山札の下に戻せるため、タイムラグはあるものの擬似的な墓地回収手段としても有効です。
これらの他にも、単純に除去耐性を持ったアタッカーとしてダイレクトアタック要員を任せたり、下にクリーチャーを貯め込んで敗北回避用の装置として使用したりと、このカードでできることの多くは、他のカードではできません。
このカードの使い方を理解しているかいないかで、プランの幅に大きな差が出るカードです。
フシギバース持ちのフィニッシャー群です。
主に《暴走龍 5000GT》だけでは取りこぼす範囲を補完し、完全にフタをするために採用されています。
この中でも《ドマンモ龍樹》は少々役割が特殊で、継続的なハンデスももちろん強力なのですが、それと同等かそれ以上にマナからのクリーチャー召喚が特に重要です。
フシギバースのタネとして使った《樹食の超人》をマナから召喚すれば、マナや手札のカードを好きなタイミングで墓地に変換できるようになります。
これと先述した《大魔王 ウラギリダムス》とを組み合わせて山札を好きに作り替えたり、後引きしたフシギバースを墓地に叩き込んでそのまま召喚したりと、このカードがあるかないかでできる動きに大きな差が出てきます。
《ブラキオ龍樹》、《大樹王 ギガンディダノス》はどちらも相手の行動に大きな制約を課すカードです。
《ブラキオ龍樹》はロック性能もさることながら自然単色であることのメリットも大きく、《ツインパクト・マップ》との噛み合わせが良好。
最終的には《樹食の超人》で墓地に送り込めるため、マナ置きにもほとんどデメリットはありません。
《大樹王 ギガンディダノス》はフシギバースを加味しても重量級のコストを持っていますが、クリーチャーへの攻撃制限と全ハンデスによって、ビートダウンデッキとコントロールデッキのどちらにも役割がある強力なフィニッシャーです。
全ハンデスのおかげで狙って除去を当てるのが非常に難しく、意識的に除去を採っているデッキであっても《大樹王 ギガンディダノス》が止まらずに負けてしまうことは多々あります。
コストの重さの影響で4ターン目の最速着地はハードルが高いものの、5ターン目でも十分にゲームを決するインパクトを持っています。
おわりに
今回は大会結果を眺めていて個人的に興味を惹かれた、《天幕船 ドンデンブタイ》採用型の【グルメ墓地ソース】を紹介いたしました。
《天幕船 ドンデンブタイ》は既存の闇/火/自然をベースカラーにした【グルメ墓地ソース】での採用だけでなく、《反逆龍 5000TypeR/無法頂上会談》などの優秀な水文明カードを追加採用した水/火/自然型の新型【グルメ墓地ソース】も生み出している、注目の1枚です。
【グルメ墓地ソース】というデッキタイプそのものも、2マナ4ドローが8枚積める無法さに思わず笑顔が溢れてしまう楽しいデッキですので、興味のある方はぜひ触ってみてください!
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!