はじめに
初めまして! この度ドラゴンスター様でコラムを書かせていただくこととなりました『yk800』です。
普段はガチまとめ様で「最強デッキランキング」などを執筆しており、「競技プレイヤーではないプレイヤーでもなんとなく競技デュエマシーンが分かる・対戦動画や大会結果を観るだけでも楽しめるようになる」記事を読者の皆様にご提供できるよう日々励んでおります。
さて、本日から私がここで連載させていただくのは、「デッキ紹介」です。
プレイヤーの間で話題になったデッキからCS等で結果を残した今後に期待できそうなデッキ、絶対に抑えておきたい定番の強力デッキまで、毎週筆者たる私の独断と偏見でピックアップ!
初回となる今週は、水文明・闇文明に加えて自然文明を採用した、いわゆる「アナカラー」の【墓地退化】デッキを特集いたします。
今まさにオリジナル環境で大活躍中。
CSでの入賞数は全デッキの中でも最上位クラスになりつつある水/闇/自然【墓地退化】
デッキの構築から基本的な動き方、水/闇2色の墓地退化との違いまで!
水/闇/自然【墓地退化】の基礎について詳しく解説していきます!
【墓地退化】のサンプル構築
【墓地退化】ってどんなデッキ?
【墓地退化】の目指すところはひとつ。コンボの成立です。
《死神術士デスマーチ》などの墓地進化クリーチャーを召喚する際に超大型フィニッシャーを進化元に指定し、《龍脈術 落城の計》で進化クリーチャーの一番上のカードだけを自分の手札へバウンス。
下にあるフィニッシャーだけがバトルゾーンに残り、対戦相手を完膚なきまでに圧倒します!
このコンボを決めてさえしまえばほぼゲームに勝利できるため、コンボ・フィニッシャー以外のパーツはこの下準備をするカードか相手の攻撃を凌ぎ切るカードかのどちらかに分類されます。
コンボパーツを手札に集めつつもフィニッシャー候補を墓地に用意しておく必要があるため、序盤はマナブーストやドローに加えて墓地肥やしを意識します。
《エマージェンシー・タイフーン》や《天災 デドダム》、《Disジルコン》でコンボ達成の下準備を整えていきます。
中盤以降はコンボが揃い次第、大型クリーチャーをどんどんバトルゾーンに送り込んでいきましょう!
もちろんコンボパーツの引き方や相手の攻撃に対するトリガーの仕方などで前後しますが、概ね4〜5ターン目には大型クリーチャーが最前線に現れると考えて間違いはありません。
数あるフィニッシャーの中でも、《竜魔神王バルカディア・NEX》は採用枚数からもわかるとおりの絶対的エース。
呪文ロックとワールド・ブレイカーによる決定力の高さはもちろん、攻撃時に相手クリーチャーの破壊・状況に応じて他のフィニッシャーの踏み倒しまでこなします!
コンボデッキの課題である防御力については目立って高いわけではありませんが、コンボパーツである《龍脈術 落城の計》が緊急時には受けトリガーとして機能してくれるのは嬉しい点です。
構築の中で自由に動かせる部分も多く、カードを引いて捨てるカードが多いおかげで、《終末の時計 ザ・クロック》のような、強力ながらも手札では不要になるS・トリガーを採用してもあまり困りません。引きすぎた時は捨てればいいですからね。
4〜5ターンという高速で飛び出す《竜魔神王バルカディア・NEX》の高いフィニッシュ力を武器としつつも、最前線で戦えるだけの十分な防御力を有した、貴重なコンボデッキだと言えるでしょう。
水/闇【墓地退化】と自然採用【墓地退化】の差異
現環境で爆発的に増加している水/闇/自然【墓地退化】ですが、つい数ヶ月前までは水/闇2色の【墓地退化】が圧倒的に主流でした。
水/闇【墓地退化】の強みは、自由枠の広さからくるコンボデッキにあるまじき受け札の強さと文明が少なく、コンボパーツを多く採用できることによる安定した速度。
弱みは手札以外からのリソース確保の難しさと呪文への依存度です。
水/闇【墓地退化】は《秩序の意志》や《終末の時計 ザ・クロック》などの豊富な受け札でビートダウンデッキに非常に強く出られ、打点を押し付けてくるデッキに対しては一定の勝率が見込めるデッキです。
その一方で、コンボ成立前に大型ハンデスを叩き込まれると立て直しが難しく、また呪文ロックなどで対策を講じてくるデッキに対して勝ち筋を持ちません。
総じて妨害に弱いのが泣き所で、意識され、対策される側に回ると脆いデッキタイプでした。
これらの弱点を加味したうえで、多くのデッキが意識の外に置いている3ターン目でのコンボ成立に特化した速度勝負の構築も一定の結果を残していましたが、どうしても事故のリスクは拭えず、そこまでの広がりは見せませんでした。
一方で、水/闇/自然【墓地退化】の強みは、《ロイヤル・ドリアン》による呪文ロックの貫通と、手札外リソースの採用で様々な妨害からの立て直しが容易になった点。
弱みは相対的に薄くなった防御面とやや落ちた最速パターンの安定性です。
防御力が低下したことで環境上位をピンポイントで刺すような役割は持ちづらくなったかわりに、《天災 デドダム》といった山札の多くを見られるカードや、マナからの展開などのオプションが加わり、プラン立ての柔軟性がアップ。
最速パターンが安定しなくなった点も、そもそもデッキ全体が長くゲームをしやすい方へと向いているためそこまで気になりません。
自分より早いデッキに対して若干の不利は否めませんが、総合的なデッキパワーが上がった結果として、現在ではCS入賞数でもトップクラスのデッキの一角となっています。
このように、自然文明の追加採用は、デッキの地力を上げ【墓地退化】の存在を意識したデッキに対しても戦える構成に変化していった結果だと考えられます。
【墓地退化】に採用されているカードについて
退化コンボのメインパーツコンビの一体。
コスト1という破格の軽さのおかげで、4ターンでの安定したコンボ成立が可能になっています。
コンボ後には確実にこのカードが手札に戻ってきているため、「コンボに使ったらそれでおしまい」というわけでもなく、《竜魔神王バルカディア・NEX》の横に1マナ払って添えるだけでフィニッシュ打点を確保できます。
ビートダウンデッキに対しては先置きできる実質パワー5000のブロッカーとして使えたりと、全てのスペックを余すことなく利用できる文句なしのカードです。
メインパーツコンビの相棒。
先述しましたが、コンボパーツがトリガーを兼ねているのは受け札に困窮しがちなコンボデッキとしてかなり嬉しいです。
バウンスなのでマナを支払って撃つ除去としてはあまり強くないものの、カード指定の除去であるため【水魔導具】のキーカードである《卍 新世壊 卍》を起動前に妨害しうるのは注目のポイントです。
もっとも、妨害に使ってしまったために次のターンコンボが成立しないようでは本末転倒です。ご利用は計画的に。
手札と墓地を同時に整え、水/闇/自然【墓地退化】の足回りを担うカードたちです。
《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》はリリースと同時に水/闇2色型の【墓地退化】デッキを躍進させた影の立役者。
水/闇/自然型でもたまに《エマージェンシー・タイフーン》が5枚以上採用されるため、そのような場合にはツインパクトであることが輝きます。
《天災 デドダム》は言わずと知れた万能初動。
墓地の量より質が重視される【墓地退化】にとって、ピンポイントで狙ったカードを落とせる《天災 デドダム》はベストマッチです。
手札のカードが落とせない弱点はあるものの、マナ加速してロングゲームを見据えられる点も加味すれば些細な問題でしょう。
《Disジルコン》は色基盤としてマナでの活躍を見込めつつ、ハンデスされてこちらの動きが鈍った際にマナや墓地から展開を作れるカードとして非常に便利です。
純粋な初動としての強さはやや心許ないものの、ブロッカーを持っている点からビートダウンデッキ相手には《天災 デドダム》以上に役立つ場面も少なくありません。
バトルに負けて破壊されても墓地から召喚できるので、何度も蘇り相手の前に立ちはだかってくれる、頼れる存在です。
自然採用型が登場した大きな理由のひとつです。
このカードを採用することで、これまでの【墓地退化】では突破できなかった呪文ロックに対して、「マナを伸ばして《ロイヤル・ドリアン》で退化する」という回答を用意できるようになりました。
受け札に換算できるほどではないものの、スター進化が活躍している現環境ではS・トリガーとしての性能も馬鹿になりません。
特に【モモキングJO退化】の《アルカディアス・モモキング》と《禁断のモモキングダム》のどちらにも有効なトリガーは、環境全体を見てもレアケース。
《緊急再誕》採用型の【ラッカ鬼羅.Star】が作る《「正義星帝」<鬼羅.Star>》複数体の盤面も一発で返せるなど、「このカードでなければできないこと」がたくさんあるカードです。
自然文明の入るクリーチャー主体のデッキであれば、だいたい入ってくるお化けパワーカード。
このデッキにおいては、《死神術士デスマーチ》と《ロイヤル・ドリアン》のどちらも踏み倒し圏内なので、これら3枚をマナに揃えればバトルゾーン0枚・手札0枚からでもコンボを決めて勝てる点が最大の魅力です。
特に大型ハンデスを多用してくる【5cコントロール】に対しては、必ず意識しておくべきプランになるでしょう。
シールド落ちはケアできないものの、そうでなければ《生命と大地と轟破の決断》を確実にマナに準備できる《ダンディ・ナスオ》はベストパートナーです。
万能サーチ・万能墓地肥やしで一気にプランの幅を広げてくれる1枚。
先述した《生命と大地と轟破の決断》の装填はもちろん、全ての面でデッキとの相性が良く、状況に合わせて好きなものを用意できるため持っていて困る場面はほとんどありません。
デッキ内最強のフィニッシャーです。
呪文ロックを自前で持ちつつ、攻撃時の踏み倒しで追加の大型クリーチャーを場に出せるため、コンボが決まって攻撃時能力の使用宣言をすれば、ほぼ勝ちが決定すると考えても間違いではありません。
フィニッシャーとしてはほとんど非の打ちどころがないため多くの構築で4枚採用されていますが、3色化に伴って「水も自然も含まない多色カード」がマナ基盤に与える悪影響は相対的に大きくなっています。
それを嫌ってか《∞龍 ゲンムエンペラー》に1枠を譲り、このカードを3枚にする構築も少数ですが見受けられます。
有り体に例えるのであれば、「大型獣引換券」としての役割を担う《魔龍バベルギヌス》。
踏み倒し先としても、コストを支払って7マナでフィニッシャーを呼び出す手段としても、どちらでも使えるのがポイントです。
《天災 デドダム》などの山札を掘り進めるカードが増加したことで、少数しか積んでいないフィニッシャーが《竜魔神王バルカディア・NEX》の攻撃よりも前に墓地に落ちてしまうパターンが増えました。
しかしながら、このカードが1枚あると、墓地に落ちたカードのどれとでも交換可能。デッキ内の1枚刺しフィニッシャーの枚数を擬似的に全て+1枚しているような格好になるのです。
もちろん、マナを伸ばしてこのカードを召喚するのもOK。マナが伸びやすいためにサブプランを取り入れやすくなっているのも、自然採用型ならではですね。
各種フィニッシャー群
《The邪悪 寄成ギョウ》はフィニッシュ力こそそれほど高くないものの、メインカラーと完全に一致した3色を持ち、闇文明を持つためサブの退化フィニッシャーとなる点が評価され、長く活躍しています。
《禁断竜王Vol-Val-8》はジャストダイバー持ちのスピードアタッカー。
生半可なブロッカーは全て消しとばす攻撃時能力も持っており、相手に与えるプレッシャーではどの追加フィニッシャーにも負けません。
闇文明を持たないため退化フィニッシャーにはできず、あくまで《竜魔神王バルカディア・NEX》の弾である点には留意が必要です。
文明の不一致は水/闇2色の構築で特に顕著でしたが、自然文明が無駄にならない現在の構築ではそれほど気になりません。
《大樹王 ギガンディダノス》は直近のCSでの採用例が増加している流行りのフィニッシャーです。
ビートダウン一辺倒の勝ち方しかできないデッキに対しては特に有力で、【モモキングJO退化】や【ラッカ鬼羅.Star】、【火単速攻】などは着地した時点でほぼジエンド。
また、《竜魔神王バルカディア・NEX》を退化で着地させたあと、タップされているクリーチャーがいる場合は相手プレイヤーではなくクリーチャーを攻撃しながら《大樹王 ギガンディダノス》を踏み倒す、というプレイも面白いです。
盤面を2面処理しながら相手の手札を全てマナに飛ばし、呪文をロックしつつもパワー50000以下の相手クリーチャーの攻撃をシャットアウト。返しの反撃リスクを極限まで低下させて迎えた次ターン、さらにもう1体のフィニッシャーを喚び出し、より安全にゲームを決められます。
水/闇/自然墓地退化は《ダンディ・ナスオ》、《魔龍バベルギヌス》の採用によって動きの柔軟性が大幅に増しています。
山札を掘るカードも多く、必要に応じたフィニッシャーを持ってきやすくなったため、一部のフィニッシャーだけ偏って採用するよりも複数種を散らして採用し、様々な状況に対応させる方が往々にして強力です。
おわりに
というわけで、今オリジナルで一番ホットなデッキ、水/闇/自然の【墓地退化】について基礎の基礎から解説していきました。
私の考える一番ポピュラーな構成をサンプル構築として紹介しましたが、メタゲーム次第では受け札を削って追加の《エマージェンシー・タイフーン》や《鬼面妖蟲ワーム・ゴワルスキー》・《堕呪 エアヴォ》あたりの退化パーツなどを採用した構築も登場中。
この辺りの自由度の高さからも環境上位デッキの風格を感じています。強力なデッキですのでぜひ注目してみてください。
今後の更新では、今回のような環境トップデッキの解説はもちろん、面白そうなアイデアを取り入れたデッキや話題のデッキについても取り上げていく予定ですので、次回以降もお楽しみに!
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!