光らぬ者たちに光あれ
はじめに
ここ最近、自分の見ているカードに偏りがある事に気が付いた。
というのも、独特な能力を持っているカードというのは、レアリティが上位の傾向にあるのだ。
面白いデッキというのは、特徴的な能力を持ったカードから生まれる事が多い。
そのため、レアリティが高い、光物のカードに目が奪われがちだったのだ。
しかし、必ずしも、レアリティが全てではない。
レア以下、光物ではないカードの中にも、新たなデッキへのヒントは隠されているものだ。
そして、それは簡単には見つけ出す事の出来ない隠された道でもある。
そういう道を発見する事こそ、ビルダーの腕の見せどころではなかったのだろうか。
なにか大切な事を忘れていたような気がする。
大昔、まだカード資産が少ない中、手元にあるカードで試行錯誤してデッキを組み上げた日々。
その時は高レアリティのカードはほとんどなく、低レアリティのカードで何とかやり繰りしていたはずだ。
そんな経験が、今の自分の基礎になっているはずなのだ。
過去の積み重ねを忘れて、ただ上位のレアリティに存在するカードばかり見ているのではないか?
だとしたら、何と悲しい事だろう。
もっと視野を広げなければ、この広大な未開地を見通すことなど、一生できないだろう。
自らを戒めるように私は、最新弾の中に隠されている優秀なカードを見落としていないか、早速洗い出す事にした。
そうして、1枚のカードを見つけ出した。
《バベル・アゲイン》
自分のクリーチャーを破壊して3枚ドローするという
《邪魂創世》と同じ効果でありながら1コスト重い呪文である。
このカードのメリットは破壊したクリーチャーがディスタスであれば
そのディスタスを自分の墓地から出すということだ。
冷静に考えて、コスト通りに使用すれば2:3交換で
ディスタスを破壊すれば実質1:3交換以上の効果を発揮するのだ。
こんなカードを見落としていたとは、何たる失態だろうか。
しかも、最新弾に収録されているディスタスの中に
過去の超優秀なクリーチャーの上位互換が居た。
《神徒メイプル-1》
あの《解体人形ジェニー》と同じコスト・パワー・能力でありながら、ササゲールを持つディスタスでもある。
このクリーチャーを出した次のターンに《バベル・アゲイン》を唱えれば、再び相手の手札を奪うことが出来る。
しかも、こちらは3枚ドローしているのだ。
獲得できるアドバンテージの量に、思わずニヤけてしまいそうになる。
今回はそんなディスタス達をメインにデッキを組んでみることにしよう。
他にない強みを求めて
《バベル・アゲイン》を効果的に使うには
バトルゾーンに出た時に効果を発揮するディスタスを集める必要がある。
ディスタスは基本的に、ディスペクターを召喚するための贄として使われる事がメインのデザインである。
しかし、中には上記の《神徒メイプル-1》のように、バトルゾーンに出た時に能力を発揮するクリーチャーも多い。
というか、半分くらいはそうである。
問題はこれらのディスタスを並べたところで、肝心の”決め手”に欠けることだ。
せっかく《バベル・アゲイン》を唱えてディスタスを再利用しても
肝心のフィニッシャーがいなければ、勝負を決めにいけない。
打点を並べてアタックするのも良いが
それだけを狙うのであれば、他のデッキにも出来る事だ。
即ち、本来のディスタスの使い道である
ディスペクターをフィニッシャーに据える事が一番自然な構築であると気付く。
では、このデッキのフィニッシャーに相応しいディスペクターとは、誰なのだろうか。
ディスタスをサポートするディスペクターとして、真っ先に浮かぶのは《砕慄接続グレイトフル・ベン》だ。
ササゲールで墓地に送ったディスタスを全てマナに送り、しかもマナからディスタスを0コストで送り出す。
これほど優秀なフィニッシャーは他にないほどだが、その先の事を考えてみよう。
《グレイトフル・ベン》を出して、再びディスタスを並べたとする。
どうやってゲームを決めるかという段階になると、結局出来る事は1つ。
そう、総攻撃である。
結局この結論に行きつくのであれば、もっと他の相応しいデッキが存在している。
それこそ、今の環境で最強の一角を担っている5色デッキなどである。
ディスタスに頼らずとも、圧倒的なアドバンテージで相手を圧倒する5色デッキの方が、おそらくゲームを決める性能は高いだろう。
そうなると、ディスタスを並べながらアドバンテージを稼いで
最後に反撃を許容した総攻撃を仕掛けるというのは
戦略として少し弱いのではないか、という懸念が残る。
では、他にも《聖魔連結王ドルファディロム》を採用したらどうか、という事になるが
結局この2枚を採用するのであれば、それこそ5色デッキで良いのでは? となってしまう。
デッキを組むとき、その戦略が既存のデッキにかなわない場合、もっと捻りを加えた方が良い。
そうでなければ、ただ単に既存のデッキをスケールダウンさせただけになってしまう。
ひと捻りを加えるべく、もっと他のディスペクターを探したところ、ある2枚のカードが目に留まった。
デッキリスト
ディスタス全体をサポートできるカードとして、コスト軽減を持つ《賢樹エルフィ-1》を採用。
また、この軽量高パワーのスペックを活かすため
《Dの牢閣メメント守神宮》と《Dの光陣ムルムル守神宮》を採用した。
他のディスタスとシナジーするカードとして《ディスタス・ゲート》を採用。
これにより、序盤にマナに置いたディスタスやササゲールで墓地に置いたディスタスを使って展開が可能になった。
当然、受け札としての活用も十分に見込むことが出来る。
受け札としては、他に《大地門ライフ・ゲート》を採用。
これで高コストクリーチャーを処理してディスペクターを踏み倒すことにより、シールドを追加して強固な受けとする事が可能になる。
特に赤単速攻の《我我我ガイアール・ブランド》を飛ばすことが出来れば、一気に形成はこちらに傾くだろう。
このデッキを組む起点となった《バベル・アゲイン》だが
アドバンテージこそ大量に稼ぐことが出来るものの、コストの関係で3枚に留める事となった。
とはいえ、《メイプル-1》からの流れで唱える事が出来れば強いため、狙えるなら是非とも狙っていこう。
なんと、全部がレア以下で組める構築になった。
組むのもお手軽である。
デッキの動かし方
軽量ディスタスを展開し
《ガラムシッド》《ジゴク・パルテノン》を起点に
相手の手札を詰めていく動きが基本形となる。
相手の手札を十分に詰めたら、手札破壊能力を持ったディスタスを《ガラムシッド》で使い回しながら
増えた手札を《ジゴク・パルテノン》で落とすことで、反撃の目を摘みながら追い詰めていこう。
仮に、手札破壊能力を持ったディスタスが墓地やマナに落ちていても
《ガラムシッド》はマナや墓地から踏み倒せるため、大きな問題にはならない。
特に、《ヒャクメ-4》はマナ基盤にもなることから
遅い相手であれば序盤にマナゾーンに置いておく方が良いだろう。
《ガラムシッド》は、ディスタスを破壊してディスタスを踏み倒す能力である。
《ガラムシッド》を出すためにディスタスを全て破壊してしまうと、本末転倒になってしまう。
可能な限り盤面を整えてから出して、しっかりと能力を活かせるように気を付けよう。
そうしていくと、必然的に手札や盤面が足りなくなってくる。
そこで登場するのは、《バベル・アゲイン》や《ディスタス・ゲート》である。
前者は手札を補充して後続を補強し、後者はマナや墓地に落ちている増援を送り込むことが出来る。
いずれも大量のアドバンテージを稼ぐことが可能となるので、出来れば手札に1枚はキープするようにしよう。
今まで紹介してきたような
ド派手な動きは出来ないものの、堅実に相手を詰めていく
デュエル・マスターズの基本とも言えることを意識出来るデッキである。
終わりに
最後に今回検討したが、入らなかったカードを紹介しておこう。
《無頼ブロンズ-1》
出た時にマナ加速ができる、ササゲール1持ちのディスタスである。
これ1枚から4ターン目《ガラムシッド》へと繋がるが
《ガラムシッド》を4ターン目に最速で出したとしても、破壊するディスタスを確保することが難しい。
そのため、4ターン目に出す必要性が薄まったことから、《Disゾロスター》へと枠を譲る事となった。
単色というメリットがあるため、序盤の動きを円滑にしたいのであれば、入れ替える候補となり得る。
《傀魂カット-1》
自分のディスタス全員をスレイヤーにする、ササゲール1持ちのディスタスである。
このデッキの問題として、除去手段が乏しいということがある。
全体をスレイヤーにする能力は、この点をカバーできる大きな利点となる。
しかし、使い回す意味合いが薄いカードであることが災いし、他のカードへと枠を譲ることとなった。
手札破壊の枠を割いてでも除去を増やす必要があれば、《傀儡ジェニ-1》と入れ替える候補にはなり得る。
《悪夢ルドバット-1》
墓地からクリーチャーを回収できる、ササゲール1持ちのディスタス。
ディスペクターは除去耐性こそあるものの、万が一破壊されると、このデッキでは回収する手段がない。
このカードはその点を補ってくれる、非常に優秀なカードである。
しかも、使い回せば、それだけ手札を整えてくれる役割もある。
当然めちゃくちゃ優秀なのだが、今回は他のカードに枠を譲っている。
もしアドバンテージをもっと稼ぎたい人は、枠を見つけて試してほしい。
《魂晶リゲル-2》
出た時に、マナか墓地からカードを回収できる、ササゲール2持ちのディスタス。
《バベル・アゲイン》で破壊すれば、墓地から蘇り
出た時の効果で《バベル・アゲイン》を回収することにより、繰り返し使うことが出来るようになる。
上記の《カット-1》と組み合わせると
スレイヤーでマッハファイターという、除去札としての運用も可能になる、素晴らしいカードである。
今回は枠の都合で入れることが出来なかったが
持久力を高めたい場合などは、十分に検討の余地があるカードである。
今回検討したカードは上記の4枚だが、他にもディスタスは大量に存在している。
もしかしたら、このデッキにはまだ未知の可能性が秘められているのかもしれない。
だが、今回はここで筆を置き、次なる可能性を追い求めようと思う。
このデッキの続きが見たいと思った人は、ぜひ自分の手で開拓してみて欲しい。
ド派手な動きはないが、堅実にアドバンテージを稼ぐ大切さを、思い出させてくれることだろう。