花に嵐
可能性を探して
よく将来有望だが世に出ていない存在を、花にたとえて「蕾(つぼみ)」と呼ぶことがある。
そしてデュエル・マスターズにも可能性を秘めつつも
まだ日の目を見ていないカードというものは多く存在している。
もしそんなカードが花開いたら
どれほど強力なデッキが出来上がるのだろうか。
新しいカードが出るたびに
果たしてこのカードにはどんな可能性が秘められているのか。
そんなことを常に考えてしまうのが、デッキビルダーの性である。
先月発売した「レジェンドスーパーデッキ 神歌繚嵐」に収録されたカードの中で、あるカードについて頭を悩ませていた。
《暴嵐龍Susano-O-Dragon》である。
膨大なコスト、暴力的なパワー、そして力こそ全てと言わんとする能力。
確かに強力ではあるが
他の似通った能力を持つクリーチャーと見比べた時、なにかが足りない。
そう、直接、相手の盤面に触ることが難しいのだ。
だが、このクリーチャーにも、輝ける舞台というものが存在するはずなのだ。
本来なら、同梱されている《神歌の歌姫アマテラス・キリコ》と組み合わせるべきなのだろう。
しかし、あのカードはランダム性が高いという点を踏まえると、若干の不安が残る。
それに、今研究されている《アマテラス・キリコ》のデッキでは
のフィニッシュ方法が検討されている関係で採用されない事もあるくらいだ。
このクリーチャーをメインのフィニッシャーに据えて、蕾から大輪の花にしてくれるデッキは無いものだろうか。
そんな中、頭の中に浮かんだ一輪の花が、今回のデッキの始まりであった。
蕾と花
《暴嵐龍Susano-O-Dragon》
■Qブレイカー
ザ・パワーといった感じの能力。
パワー21000なので、そりゃ持ってるよね、という感じ。
相手のシールドをギリギリ全部は割り切れないので
何とか工夫してあと1枚割りたいところ。
■自分のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
《永遠のリュウセイ・カイザー》などが持つ
自軍全員をスピードアタッカーにするという強烈な能力。
自分自身もスピードアタッカーになるため、出たらそのまま攻撃が出来る。
スピードアタッカー持ちをタップ状態で出すような能力に引っかからないため
《その子供、可憐につき》によるタップインを突破できるのが魅力。
■相手のクリーチャーが攻撃する時、可能ならクリーチャーを攻撃する。
相手のクリーチャーの攻撃を、無理やりクリーチャーに向けさせる能力。
この能力のおかげで、カウンターで殴って来る対面に対して強烈な抑止力となる。
特に《カオスヒマワリ》がタップされていたら、相手は確実に攻撃をためらう事になるだろう。
■呪文によって相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。
なんと、除去耐性まで持っているのである。
除去に関してはクリーチャーより呪文の方が当然多いので、この能力はとても頼もしい。
出てしまえば除去されにくく、しかも一つ上の能力により受けにもなる、非常に噛み合った能力である。
続いて、《闇の花カオスヒマワリ》について見てみよう。
《闇の花カオスヒマワリ》
■マッハファイター
形式美。
このクリーチャーには無くてはならない能力で
パワー15000で繰り出されるマッハファイターは、あの《蒼き守護神ドギラゴン閃》すら踏み越えてしまう。
後述する踏み倒し能力を通すために、メタクリーチャーを除去する事も出来る素晴らしい能力である。
■Tブレイカー
様式美。
パワー15000なので、まあ、持ってるよね、という感じ。
■このクリーチャーがバトルに勝った時、相手のクリーチャーを2体まで選び、持ち主のマナゾーンに置いてもよい。
こうして相手のマナゾーンに置いたクリーチャー1体につき、自分のマナゾーンにあるクリーチャーを1体相手が選び、自分がバトルゾーンに出す。
このクリーチャーが持つ、最もメインとなる能力。
要するに相手2体をマナ送りにして、自分は2体のクリーチャーをマナゾーンからバトルゾーンに出すことが出来るというもの。
出てくるクリーチャーは
自分のマナゾーンから相手が選んだもの
という、少し変わった能力となっている。
相手に選ばせる都合上、マナゾーンに置くクリーチャーは強力なもので取り揃える必要がある。
そのため、下手にツインパクト化したカードを採用するより
あえて呪文だけのカードを採用するといった工夫が必要となる。
スペックを見たところで、ここからデッキを考えてみよう。
暴嵐龍の開花
《不敗のダイハード・リュウセイ》である。
正確にはブレイクではないが
このクリーチャーの能力で1枚焼却+Qブレイカーにより
相手のシールドを5枚吹き飛ばす事が可能になる。
普通にブレイクする訳では無く焼却なので
シールド・トリガーを踏み抜いてしまう確率も少しだけ軽減する事が出来る。
これほど相性の良いカードは無いだろう。
最悪《ダイハード・リュウセイ》を2体並べる事になっても
次のターンに2枚焼却という恐ろしい攻撃を繰り出す事が可能になる。
《Susano-O-Dragon》2体だとしても、2体で攻撃することで守りも盤石になるだろう。
さて、この2体だけでも強力だが、今のデュエル・マスターズ環境では、これだけでは少し心許ないだろう。
そもそも、マナゾーンに《Susano-O-Dragon》と《ダイハード・リュウセイ》の2枚を揃える事も、難しくないとしても、簡単でもない。
なにかサブプランとなるフィニッシャーが欲しいところである。
それもメインのプランと遜色無いほど、強力なフィニッシャーである。
欲を言うなら、相手のシールドを全てブレイクして
そのままダイレクトアタックまで決めてしまうクリーチャーが望ましい。
そんな都合の良いクリーチャーはデュエル・マスターズには存在しな
居た。
単騎で突撃し、相手のシールドが6枚であっても全て叩き割り
そのまま本体に殴り込みをかける、凄まじいフィニッシャーである。
もはやメインのプランが霞むような気がするが
こちらは反撃に対して無力であるため、一概にこちらの方が強力とは言えない。
しかし、それでもサブプランとしては十分すぎる決定力を持っている。
採用しない手はないだろう。
これで、ゲームの着地点は決まった。
だが、ここで一つの大きな問題が発覚する。
どうやって、このヒマワリを咲かせるか、だ。
冷静に考えて、11コストというマナコストは、尋常では無い。
同じコスト帯には《零獄接続王ロマノグリラ0世》や《次元の嵐スコーラー》が居る事を考えると、どう考えても重いのだ。
ヒマワリだからと言って、太陽光を当てておけば咲いてくれるほどこのヒマワリは甘くない。
何せ、「闇の花」なのだ。
もしかしたら、太陽光を当てると爆発するかもしれない。
そこで、このヒマワリを育てるため
植物には欠かせない水分を司り、ついでにナチュラルな植物にも精通してそうなクリーチャーにも協力を要請する事にした。
デッキリスト
おわりに
今年最後の記事がこんな内容で良いのか? と書き終えながら思ったのだが
どうせ年明けもこんなノリなので、気にしない事にした。
《闇の花カオスヒマワリ》は、元は双極編の終わり頃に使おうかと思っていたカードである。
当時、《水晶の記憶ゼノシャーク/クリスタル・メモリー》によって
元の《クリスタル・メモリー》は必要ないのでは? という評価に成り下がってしまった。
そんな現実にNOを突き付けるに相応しいカードとして《カオスヒマワリ》を見つけ出すに至った。
あえてクリーチャーが付いていないカードを採用する必要が出るデッキというのは、そう存在しない。
そういう意味でも、このカードは非常に面白いカードなのである。
結局、当時は個人的な事情もあり使う機会を失ってしまったが
こうやって記事に昇華できた事で少しは報われたのかもしれない。
だが忘れてはならないのは
こういう唯一無二の能力を持つカードは、いつか化ける日が来るという事である。
このカードが真に花開くのは、果たして何年後なのか、あるいは何十年後なのか。
その日が来るまで、私はこの大輪の花の種を、見守り続けたいと思う。