こうしてミラミスブラスターは「神歌と繚嵐の扉」を手に入れた
はじめに
それは、10年前の事であった。
エピソード2のメインギミックが大型クリーチャーという事もあり
踏み倒し呪文であった《ミラクルとミステリーの扉》《ホーガン・ブラスター》が瞬く間に強さを増していった。
運の要素こそあるものの、同時期に登場した《ガチンコ・ルーレット》による安定したマナ加速を得た事で踏み倒さないルートも確立され、運に左右されにくい安定性さえ手に入れた。
今でこそ踏み倒しメタは多数登場しているが
当時はそこまで多くなく、その暴力的な動きを止められるものは少数であった。
このデッキの名は、ミラミスブラスター。
上記2種類の踏み倒しカードを軸とした、超大型クリーチャー踏み倒しデッキである。
こうして、ミラミスブラスターは環境の全てを手に入れた。
その後、このデッキは《ミラクルとミステリーの扉》が殿堂入り・後にプレミアム殿堂入りとなり姿を消したが、その系譜は今なお生き残り続けている。
そんな《ミラクルとミステリーの扉》の調整版ともいえるカードが
先日発売された「レジェンドスーパーデッキ 神歌繚嵐」に収録された。
《神歌と繚嵐の扉》である。
《ミラクルとミステリーの扉》よりコストが3も重くなり
出したクリーチャーはターンの終わりに山札の下へと帰ってしまう。
しかし、相手のクリーチャーと自分のクリーチャーをバトルさせる事が出来るため
相手の攻撃を止めるトリガーとして活用しやすくなっている。
このカードが出たという事は、すなわち、ミラミスブラスターを現代に蘇らせる事が出来るのではないか? という可能性が出たことになる。
だが、普通にリペアするだけでは、現代のカードパワーに勝てるかどうかは怪しい。
せっかくなので、徹底的に山札の上を捲り倒すデッキを作った方がもしかしたら楽しいのではないだろうか?
そんなデッキが果たして成立するのかも含めて、今回はとにかく「捲り倒す」をテーマにデッキを考えてみよう。
上から来るぞ!気をつけろ!
徹底的に山札を捲り倒すデッキを作るのだから
入るカードもひたすら「山札の上から踏み倒す」カードで固めたいところである。
その結果として勝ち筋があるのかどうか? そんなものは知らない。
ただ、相手からしてみれば突然強大なクリーチャーが登場するわけだから、弱い事は無いだろう。
そういう訳で、がむしゃらに山札の上から踏み倒せるカードを寄せ集めてみよう。
記念すべき1枚目は、もちろんこのカード。
《神歌と繚嵐の扉》だ。
山札の上から4枚を表向きにして、相手に選ばせて踏み倒すシールド・トリガー。
詳細は上記した通りで、クリーチャーが1枚しか捲れなかったら、問答無用にそのクリーチャーが登場する。
後述する《ミステリー・キューブ》とは違い、複数枚を捲るため、ヒット率は段違いである。
ただし、ターンの終わりに出したクリーチャーが山札の下に返ってしまうという欠点もある。
では、その欠点を帳消しにするには、どうしたら良いか?
答えは簡単だ。
出てくるクリーチャーを全部ディスペクターにすれば良いのである。
これで、場を離れるデメリットは帳消しになる。
(EXライフが消えるが、本体が残れば誤差なので問題ない。)
採用するクリーチャーの方針が固まったところで、2枚目のカードへと移ろう。
《ミステリー・キューブ》である。
山札をシャッフルするため完全にランダムだが
クリーチャーなら踏み倒し、クリーチャー以外でもマナ加速が出来る優秀な一枚だ。
ついでにシールド・トリガーも付いている。
全盛期は《勝利宣言鬼丸「覇」》なんかを4ターン目に送り込み、文字通り勝利宣言していた、やんちゃなカードだ。
シールド・トリガーで《鬼丸「覇」》を捲って
「今じゃねえよ!!!」
って言いながら敗北した人も多いだろう。
1枚しか捲れないため、ギャンブル性は高いが、捲るときのドキドキ感はクセになってしまう事間違いなしだ。
さて、3枚目に移ろう。
《ホーガン・ブラスター》である。
上記の《ミステリー・キューブ》の上位互換ともいえる性能を誇っており、呪文さえも踏み倒せる最強踏み倒しカードだ。
その、何でも踏み倒せるという強さが災いしてか、デッキには1枚しか入れる事が出来ない。
それだけ強力なカードである。
《ミステリー・キューブ》と違い、踏み倒し呪文を捲った場合に「もう一回遊べるドン!」が出来るため、興奮性は高い。
こちらもシールド・トリガーが付いているため、実質受け札である。
さて、次は4枚目だ。
《カブトリアルクーガ/ミステリーディザスター》だ。
シールド・トリガーこそ失ったものの
ツインパクトであることからクリーチャーとしても運用できる《ミステリー・キューブ》
と言えば、どれほど強力かお分かりだろう。
上面も踏み倒せば盤面処理と手札補充・マナ加速が出来るため、その性能は十分である。
踏み倒しとして使っても、踏み倒されても強烈な事から、このデッキとの相性は抜群に良いだろう。
さあ、まだまだ、次は5枚目だ。
《獅子王の紋章》である。
このカードが入るという事は、デッキに入れるクリーチャーを光または自然で固めるという方向性まで出来てしまった。
山札の上を捲り、それが光または自然のクリーチャーであれば踏み倒し、さらにブロッカーまで与えてしまう凄い呪文である。
しかも、革命0トリガーにより窮地を脱するために使う事まで出来てしまうのだ。
ターンの終わりに出したクリーチャーがマナに飛んでしまうが
ディスペクターであればEXライフを犠牲に盤面に残ってくれる事だろう。
つまり、このデッキには完璧なカードと言える。
良い感じに温まってきたところで、6枚目だ。
《勝災電融王ギュカウツ・マグル》である。
先に述べた通り、採用するクリーチャーは光か自然を含むディスペクターで固める方針にした。
ディスペクターの中で「捲る」といえば、このカードである。
元は電融系列の王だったものの、追加ターンマシマシ竜の登場により王の座から引きずり降ろされた存在だが
そのスペックは申し分なく強力である。
とにかく、多色でコスト9以下のクリーチャーであれば、山札の上から踏み倒せてしまうのだ。
しかも、このクリーチャー自身も踏み倒しの対象に出来るため、連鎖的に盤面に並ぶことも珍しくない。
加えて、EXライフでシールドも増えることから、受けとしての性能も十分である。
さあ、この調子で7枚目に行こう。
《邪偽縫合デスネークニア》。
大好評発売中デュエル・マスターズ最新弾「終末王龍大戦」に収録された、ベリーレアのディスペクターである。
能力は攻撃時限定であるものの、マッハファイターで即座に攻撃できるうえ、踏み倒しは手札からという画期的なものである。
え? 山札の上じゃなくて良いのかって?
踏み倒し前に1枚引いてるので、実質山札の上から踏み倒しているから誤差である。
確かに山札の上というランダム性はあまり感じられないが
手札の中から裏向きのまま相手に選ばせるという、相手にしてみればいやらしい事この上ないランダム要素を含んでいる。
しかも、手札からという事は、ある程度確率を高められるという訳だ。
踏み倒しの前に手札の内容が若干不安定になるが
選ばれたカードはクリーチャーでも何でも踏み倒せてしまうので、このデッキであればほぼ100%当たりである。
言ってしまえば、このカードはこのデッキにおいて最強の踏み倒しカードという事になる。なんという事だ。
さて、次はいよいよ8枚目である。
《終末縫合王ミカドレオ》である。
このデッキでは少し噛み合いが悪いが、それでも踏み倒しの性能は破格のため、採用に至った。
なんと、山札の上から4枚を表向きにして、その中からクリーチャーを好きなだけ出せるのである。
しかも、ターンの終わりに消えたりすることは無い。そのまま残ってくれるのだ。
そんな大盤振る舞いして大丈夫なのか? 大丈夫なのだ。
ただ、この能力は召喚時限定である。
このデッキは踏み倒しをメインとしているので、この能力を使うのは少し難易度が高いだろう。
特筆すべきは、最後の能力だ。
大型クリーチャーしか採用されてないこのデッキにおいて、この能力は「自分のクリーチャーが4体居れば勝ち」に等しい。
つまり、出てしまえば、一瞬にして相手の息の根を止めかねない、とんでもないカードなのである。
最初の「踏み倒しばかりで勝ち筋なんてあるのか?」という問題も、この1枚で全て解消されてしまった。
それほどまでに、強烈極まりない1枚である。
ここまでで、すでに8種類。デッキの大半を占めた事になるが、まだ枠は残っている。
次は9枚目だ。
最初の方で、デッキのクリーチャーをディスペクターで固めると決めたが、このクリーチャーだけは例外だ。
確かに《神歌と繚嵐の扉》で出しても山札の下に返ってしまう。
だが、この《キング・マニフェスト》は、とりあえず出るだけで他の後続を呼んでこられるのだ。
しかも、ターン終わりに離れたりする事も無く、さらには召喚扱いで出す事が出来てしまうのだ。
このことにより、上述した《ミカドレオ》の召喚時能力すらトリガーさせる事が出来るのである。
パワーも11000と、7コストとは思えない破格のスペックを誇っており、《神歌と繚嵐の扉》《獅子王の紋章》で捲った際の受け性能も非常に高い。
踏み倒しはクリーチャーに限らず、呪文さえも踏み倒してしまう。まさに、歩く《ホーガン・ブラスター》と言って差し支え無いクリーチャーなのだ。
唯一惜しい点としては、《ミカドレオ》のクリーチャー数としてカウントできない事だろうか。
とはいえ、圧倒的な踏み倒し性能で相手にプレッシャーをかけられるため、もはや気にならない程度のデメリットでしかない。
長々とカードを並べてきたが、ここで一旦、デッキを整理してみよう。
この時点で、33枚のカードが決まっている事に気付くだろう。
だが、もう1点、気付く事がある。それが、多色カードの枚数だ。
さて、次はついに10枚目だ。
《水晶邪龍デスティニア》である。
多色マナ武装4という少々難しい条件こそあるものの
自分の手札をデッキに加えてシャッフルし、4枚ドローする。
その後に相手からランダムに選ばれたカードがクリーチャーなら踏み倒す、という珍しいタイプの踏み倒しである。
こちらは上述している《デスネークニア》の合体元となったクリーチャーだ。
7コストであることから《ミカドレオ》のカウントには入らないが、このクリーチャーでコスト8以上を踏み倒せば誤差なので、気にする必要は無い。
ついでのように「ブロックされない」とも書かれているため
ブロッカーの軍団を出されたとしても、アタッカーとして十分な性能を発揮してくれることだろう。
もっとも、フィニッシャーを《ミカドレオ》にしているので、攻撃に転ずる事はあまり無いかもしれない。
さて、残った枠はついに3枚だけになったので、今まで全く触れてなかった初動を少し加えて、デッキは完成である。
充実したデッキリスト
終わりに
完全に踏み倒しに特化させた構築ではあるが、ある程度余計な物を削って、もっと安定性を上げる事は可能だろうと思う。
新弾発売前に少し調整したデッキの一つの到達点と言えよう。
やはりデッキの上からカードを踏み倒すという興奮は、何度味わっても楽しいものである。
とにかく、そういったギャンブル性を楽しみたい人は、ぜひ試してもらいたいデッキである。
This Deck Stuff
プラズマ