ゲームに勝つ方法はどこかに隠されている
ゲームをしよう
ゲームとは何か。
今まさにこの記事で取り扱うデュエル・マスターズも、カードゲームというゲームの一種である。
突き詰めれば、世の中の物事もゲームであると言えよう。
仕事でお金を稼ぐ事も、マネーゲームの一環と言えるかもしれない。
そう、世の中はゲームなのだ。
ゲームであるという事は、そこにはほとんどと言っていいほどに、勝者と敗者が存在する。
勝つために何をすべきか、負けないために何をしてはいけないか、常に選択を迫られ続けるのである。
その選択を間違えないためにも、知識と経験が必要だ。
だからこそ、人は学び続けるのである。
学ぶ事をやめたら、どうなるのか?
それはデュエル・マスターズでも簡単に体験する事が出来る。
今、環境のトップを走るデッキの中には、最新弾のギミックを搭載したデッキが居る。
その中の一つが、【水・火マジック】だ。
最新弾 「魔覇革命」で復活した革命チェンジを持ち、マジックの得意要素である呪文戦略を巧みに組み合わせた《カラクリバーシ》と《カクメイジン》により、相手を急襲して一気にゲームを終わらせるデッキだ。
序盤から多くの選択肢を持つこのデッキは、使う側にも、使われる側にも、的確な選択を迫ってくる構築でもある。
そのため、デッキの動き・強み・弱みを知らなければ、一方的にマウントを取られて負けてしまう事も少なくない。
そんなデッキに対処する一番の方法は、このデッキを深く知る事である。
つまり、学ぶ事だ。
デュエル・マスターズは、常に新しいデッキが世に出現してくるゲームだ。
学ぶ姿勢を諦めたとたん、それは敗北への道を歩み始めるのと同じことなのかもしれない。
さて、この水・火マジックだが、最速だと3ターン目にゲームを終わらせられるほどの速度を持っている。
そのうえ、最初期に比べて幅広いデッキに対応できるほど洗練されてきており、一筋縄ではいかないほど強力なデッキへと仕上がってきている。
今週末にグランプリが開催されるが、1回は対戦する事が予想されるほど、強く、そして旬なデッキだ。
このデッキが強力たる所以は、《カラクリバーシ》で唱える事の出来る呪文の幅広さ、《カクメイジン》と《瞬閃と疾駆と双撃の決断》による複数回攻撃、ドローによる安定性、である。
早期に動くデッキは安定性が伴わない事が往々にしてあるが、このデッキに関しては山札を掘り進める事が得意なため、かなり安定して攻め込む事が出来る。
また、早期の決着を狙えない場合でも、時間稼ぎが十分にできる構築となっており、手札が整うまで相手を止めてしまう事も可能だ。
既に完成されているように見えるこのデッキだが、フィニッシャーである《カクメイジン》がかなり汎用性の高い効果を有しているため、専用のデッキでなくとも活躍の機会が見込める。
一度に2枚もの呪文を踏み倒せる能力は、他になかなか類を見ない能力であり、うまく使えば、マジック以上のコンボを叩き込める可能性すら秘めているのだ。
今回は、この《芸魔王将 カクメイジン》を使った、今の主流と異なるアプローチのデッキが作れないか、考えてみるとしよう。
ではゲーム開始だ
毎度のことながら、まずは使うカードのスペックをおさらいしておこう。
デッキづくりに行き詰った時、手掛かりになるのは、そのカード自身の見方である。
見方を変えれば、違うアプローチに気が付き、そのアプローチが、違うデッキを生み出すのだ。
コスト7、パワー10000、Wブレイカー。
コスト5以上のマジックからの革命チェンジ。おおよそ《カラクリバーシ》から革命チェンジしてくることが多い。
自分のマジック全てにスピードアタッカーを与えるため、実質的に、自身もスピードアタッカーを持っていると言える。
一番主となる能力は、各ブレイクの前に、自分のマナゾーンの枚数以下のコストを持つ呪文を1枚、コストを支払わずに手札または墓地から唱えるというもの。
これにより、複数回攻撃が可能な呪文を唱え、一気にゲームを終わらせる事が可能となっている。
当然、マナさえ溜まっていれば、より重い呪文を連打する事でプレッシャーを与える事もできるので、そのような方向でデッキを組む事も可能だ。
ざっと、こんな感じだ。
単体でのスペックが非常に高いうえ、マジック全員をスピードアタッカーにするという能力も非常に強力。
CSなどでは高速で飛び出してきて、複数回攻撃の呪文を使うことで一気にゲームを終わらせてくる。
しかし、この方向性でのデッキ構築は既に完成に近づいているため、別の方向である、より重い呪文を唱える方向で考えてみたい。
《カクメイジン》自身が7コストでスピードアタッカーと、マナを伸ばして出すというアプローチが可能なマナコスト帯のため、革命チェンジを使わない方法でも考える事が出来るだろう。
では、このカードで唱えたい呪文とは何か?
確かに重くて強力な呪文というのは、世の中にはたくさんある。
とはいえ、あまりに重すぎても、それだけのマナを溜めるのが大変だ。
ここは《カクメイジン》をコストを支払って出せるであろう、7コストの呪文の中から考えてみよう。
思い当たる主なものといえば、この3種類だろう。
いずれも一度唱えれば、ゲームに著しく影響を与える、強力な呪文だ。
この中で《ロスト・Re:ソウル》に関しては、一回唱えれば十分であるという点で、少し相性は悪いのかもしれない。
それに加えて、直後に2枚の手札を与えてしまうという点も、少しマイナス印象だ。
となると、唱えるのは《英知と追撃の宝剣》か《無双と竜機の伝説》のどちらかになる。
さて、このコンセプトからするとマナを伸ばすために自然文明は必須になるだろう。
ということは、《カクメイジン》を出すための水・火と合わせると、既に3色が確定してしまう訳だ。
このことから、唱えたい呪文の筆頭は《無双と竜機の伝説》になる。
あとは適当にマナを伸ばせる呪文と受け札を入れたら、なんか良い感じのデッキになるのでは???
このあたりまでカードを並べたところで、ふと、脳裏によぎるカードがあった。
さては、こっちの方が強いな???
追加ターンを獲得しながら攻撃するという点においては、こちらの方が間違いなく強い。
確かに《クラッシュ「覇道」》は、シールド・トリガーで墓地以外に返されてしまうと、追加ターンは得られない。
しかし、相手にブロッカーが居ようが何だろうが、対処されなければ追加ターンなのだ。
対して《カクメイジン》の方は、ブロッカーが居ると、ただの大型クリーチャーになってしまうのだ。
そのうえ、《無双と竜機の伝説》は単体ではフィニッシュに持ち込めるカードとは言い難い。
それに比べれば、《クラッシュ「覇道」》は、単体でも十分すぎるほどに強力だ。
やっている事は同じなのに、コンボパーツの両方が単体で強いという点で、明らかにガイアッシュ覇道の方が強い。
どうやら重い呪文を唱えるというアプローチは、少々問題があるようだ。
冷静に考えて、7コストの呪文を唱えるという点においては、既に《龍風混成ザーディクリカ》という、あまりに強すぎるライバルが居るのだ。
このライバルに勝つためには、あちらに無いメリットを探し出すしかない。
となると、やはりアプローチとしては、革命チェンジでバトルゾーンに送り込み、ライバル達では出来ない速度と攻撃力で攻める事が最善策なのだろう。
だが、そのアプローチは、既に水・火マジックという現行の構築で完成されてしまっている。
本当にそうだろうか。
皆、整備されたレールがあまりに綺麗すぎるあまり、何か冒険心のようなものを忘れていないだろうか。
明らかにどこにも通じていないような道であっても、極々稀に、新天地へと続いているものだ。
そう、水・火・自然という3色で連続攻撃を仕掛けるマジックというアプローチも、新たな可能性を秘めているかもしれないのだ。
冷静に考えてみて欲しい。
自然文明には、マナを増やしながら、山札を掘り進めるカードが多数存在している。
特に《神秘の石柱》は、マナに置かざるを得なかった呪文を墓地に落としながらマナを増やせるという、《カクメイジン》とは抜群の相性を誇るカードだ。
この動きは、水・火の2色では実現できないものである。
また、自然文明を採用する事でマナ加速が出来るため、軽量のマジックを経由することなく、いきなり《カラクリバーシ》から攻撃を仕掛ける事も可能だ。
そのうえ、自然文明お得意のデッキからクリーチャーを手札に加えるカードもあるため、デッキの安定性は更に上がる事だろう。
デッキからクリーチャーを加えるという事は、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》よりも、《調律師ピーカプ》の方が相性が良いはずだ。
軽量のマジックを経由しない動きとなるため、軽量マジックがあまりデッキに入らないという点でも、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の優先度が低くなっている。
なんだかこれはデッキになる気がしてきたので、形にしてみたいと思う。
ゲームに勝て
そんなわけで、完成したデッキがこちらになる。
やる事は、水・火マジックと同じ。
《カラクリバーシ》を経由し、《カクメイジン》へとつなげる事だ。
その《カラクリバーシ》と《カクメイジン》で、《♪音速で 本番中に チューニング》を唱える事で連続攻撃を狙っていく。
水・火マジックと違う点は、《カラクリバーシ》をコストを支払って出す事が苦ではない事だろう。
マナ加速が可能という性質上、5マナであれば、4ターン目に用意する事は簡単だ。
3ターン目にゲームを決めに行く動きは出来ないが、その分、受け札となるカードが非常に多くなっている。
もちろん、更にマナを伸ばして、7マナで《カクメイジン》を召喚するという手もあるだろう。
水・火では到底目指す事が出来ない7マナという数字も、自然文明であれば、容易に目指せるのだ。
このデッキでは、クリーチャーをデッキから手札に加える《ディメンジョン・ゲート》《五郎丸コミュニケーション》を採用しているため、手札に足りてないカードを探しやすくなっている。
また、連続攻撃に必要な《♪音速で 本番中に チューニング》も探し出す事が可能となっている。
たとえば、《カクメイジン》の1回目の能力で唱えた《♪音速で 本番中に チューニング》を、2回目の能力で再び手札に戻す、という芸当も可能だ。
このデッキは当初《マナ・クライシス》を搭載し、マナ破壊まで可能なデッキとして考えていた。
しかし、3~4ターン目に相手のマナを1枚潰した程度では、今の環境ではほとんど失速してくれない。
むしろ、こちらの手札が1枚減っているため、ジリ貧というほどであった。
そのため、この案は、今回はお蔵入りになっている。
《焦土と開拓の天変》も検討したが、多色の枚数が凄い事になるので、こちらも断念した。
ただし、どちらもハマれば強烈極まりないので、環境によっては、このタイプもありだろう。
自然入りのマジックは環境では見ないので、マナゾーンに自然文明が見えたとたん、相手は困惑するだろう。
そうやって混乱しているうちに、連続攻撃を叩き込んで勝利をもぎ取ってやろう。
ゲームオーバー
ゲームというものは、いつだって勝者と敗者が誕生してしまう。
自分がどちらの側に立つのかは、その時の運命に委ねるしかないだろう。
特に運の要素が絡むカードゲームでは、その運命を受け入れる強さも必要だ。
強くなるためには、常に学び続ける必要がある。
では、何から学べば良いのかというと、敗北からこそ学ぶことはある。
しかし、敗北から何かを学ぶには、敗北という現実を受け入れなければならない。
そんな受け入れ難い現実を受け入れ、正面から見つめる事が出来るようになった時、ようやく次のステージへと進む事が出来るようになる。
そのためには、勝利を常とせず、勝利に感謝する姿勢が大切だ。
強者ほど謙虚だというのは、こういう事なのだろうと、最近になって分かってきたような気がする。
1つ1つの勝利を大切にし、敗北を受け入れて学ぶ事でこそ、人は成長できるのだ。