どうぞ3人で戦ってください
パーティーの始まりだ!
今回は普段とは違う、競技イベントではないフォーマットのデッキをご紹介しよう。
そう、今最も熱いフォーマットと言っても過言ではない、デュエパーティーだ。
(デュエパーティーってなに? という方はぜひ公式HPを見てほしい。デュエチューブで遊んでいる様子も見られる)
このフォーマットの最大の特徴は、デュエル・マスターズ初の四人対戦で行われるという点にある。
普段は全く見かけないようなカードが活躍したり、逆に普段見かけるようなカードがあまり通用しなかったりと、かなり新鮮なプレイ体験が得られるフォーマットだ。
そんなデュエパーティーを思う存分遊べるイベントが、先日、姫路で行われた。
その名も「デュエマファンフェスティバル2023」
今まで開催された超CSやグランプリと違い、勝ち負けを気にせず、ただ純粋に”楽しむ”事をメインに据えたこのイベントは、多くのプレイヤーにとって文字通り楽しい時間となっただろう。
このイベントの中で初めてデュエパーティーに触れたプレイヤーも居れば、自分のアイデアやギミックを数多くの人々に披露したプレイヤーも居た事だろう。
そのようなプレイヤーたちが交わる事で、数々のドラマが生まれたに違いない。
普段のデュエル・マスターズでは絶対に見られないような光景が、デュエパーティーでは見る事が出来るのだ。
そんなデュエパーティーでは、普段のデュエル・マスターズにおいて絶対に出来ないような戦い方が存在する。
それが”他力本願”だ。
読んで字のごとく、他人の力に頼るという戦い方である。
一対一の対戦では、対戦相手の力に頼る戦い方というのは不可能に近い。相手のカードに頼るという事は、あまりに安定せず、しかも困難なのだ。
しかし、多人数戦であるデュエパーティーでは、それが可能になる。たとえば、プレイヤーAを倒すために、プレイヤーBとCを結託させ、プレイヤーAを倒す・・・否、倒させる事が可能なのだ。
そのために必要な技術が、”ヘイト管理”だ。
視線を逸らせ
”ヘイト管理”、あるいは”ヘイトコントロール”とも呼ばれる。これは何か。
簡単に言えば、他の人から狙われないように振る舞い、極力攻撃を受けないようにするテクニックである。
例えば、プレイヤーAが4ターン目に《古代楽園モアイランド》を出したとしよう。
そうなると当然、他のプレイヤーはプレイヤーAへリソースを集中させる事だろう。
なぜなら、《モアイランド》は強力なロック能力を持っているため、ゲームを終わらせられる可能性が高まっているからだ。
こうなってしまうと、他の三人は負けを突き付けられている状態になる。ゆえに、本来は争うはずの三人が一時的に結託して攻撃してくるのだ。
せっかくプレイヤーAは早期に強力なクリーチャーを出したにも関わらず、状況は悪い方に傾いてしまう。
このような事にならないよう、状況を見て可能な限り隠密に動く事、これが”ヘイト管理”である。
(注目度を下げる事を”ヘイトを下げる”と呼んだりもする)
さて、これを逆に利用すれば、対戦相手のヘイトを上げてしまう事で、他のプレイヤー同士で争わせる事も可能だという事にお気づきだろう。
現にデュエパーティーにおいても、”他人任せコントロール””他力本願コントロール”と呼ばれるデッキを愛用するプレイヤーは少なからず存在する。
なにを隠そう、私もその一人なのだ。
程よく他のプレイヤー同士を争わせ、その間に溜め込んだリソースを使ってゲームを終わらせる。
まさに漁夫の利を得る形で勝利を目指す戦い方は、デュエパーティーでしか味わえない戦術なのだ。
という訳で今回はサンプルのリストとともに、漁夫の利を得るためのカードや戦い方を解説していこう。
他人のカードで戦え
パートナーは《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》だ。
このデッキの基本は、他の対戦相手同士で戦わせるように仕向け、その間に自分はリソースを確保して、終盤で優位を勝ち取る事である。
というのは基本でしか無く、その場の雰囲気に合わせて色々な事が出来るようになっている。
デュエパーティーは文字通りパーティゲームなので、何より”面白い”ことが大切だ。
BLACK LAGOONという漫画で、
「面白えってのは大事なことだぜ」
というセリフが登場する。
そう、面白い事は大事なのだ。
デュエパーティーという多人数戦において、決して避けられないパワーレベルの差。
※パワーレベル:デッキの強さの指標。レベルの差があり過ぎると、ゲーム速度の違いなどから不幸なゲーム体験を生む原因にもなり得る。
このデッキは、その差を埋める役割を果たす事も可能なのだ。
何せ、他人のデッキでガチャを回したり、他人の強力なクリーチャーを勝手に踏み倒させたりするギミックが搭載されている。
間違いなく次のターンに迫りくる脅威を、別の人の脅威を引きずり出す事で、拮抗した戦いを作り出す。これこそ、このデッキの真骨頂である。
そうやって他人同士で争ってもらっている間に、最後に漁夫の利を得て勝利を目指す。結果的に盛り上がってくれたのなら、全員が満足のいく戦いだったと思えるだろう。
このデッキは、そういう立ち回りを目指す構築だ。
おおよそ普段のデュエル・マスターズではほとんど見ないようなカードが多数入っているため、それらについて解説していこう。
《コマンダー・ラッキーロトファイブ》
コスト2にも関わらず、パワー6000という破格のスペック。
そして、なぜかWブレイカーを持っていないという常識破りな性能。
デメリットとして、対戦相手のデッキでガチャを回し始めるという常軌を逸した能力を持っているが、万が一強力なクリーチャーが出ても安心して欲しい。
誰かが何とかしてくれる。
《アクア・スパイ》
コスト3にしてパワー2000という、現代では標準以下のスペックを持つクリーチャー。
しかし、その真価はマナが7枚以上溜まった時に発揮される。
メタモーフ能力により、出た時に相手一人のシールドを全て確認できるのだ。
これにより、どのタイミングでどのシールドをブレイクすれば、その時の状況を打開できるかを把握する事が出来る。
強力なクリーチャーに対し、誰も除去札を持っていなくても、シールドに眠っている事が分かっていれば、それをブレイクする事で状況を打開できる、という訳だ。
また、最後にはシールドの中身を知っているというアドバンテージを活かして、優位に立ち回る事も出来るだろう。
シールドを確認したら誰かに何とかしてもらおう。
《ジャストアイデア・ステートメント》
コスト6でカードを5枚引く事が出来る、驚異の呪文。
デメリットとして、相手の手札からクリーチャー1体を引きずり出す必要があるという破天荒な事が書かれているが、安心して欲しい。
誰かが何とかしてくれる。
《ギガンデュラ》
コスト5にしてパワー3000という、いかにも怪しげな能力を持っていそうな雰囲気を持つクリーチャー。
その能力とは、相手の手札1枚をマナに送り込み、その後マナのカードを手札に戻させるというもの。
要するに、強制的にマナと手札を1枚入れ替えてしまうという事だ。
ある時は妨害として、またある時は他人のサポートとして使う事ができる、非常に便利なクリーチャーである。
相手のマナゾーンから強力なカードを回収させて「おい! 誰か何とかしてくれ!」と被害者ぶる立ち回りも出来てしまう。
きっと、誰かが何とかしてくれるだろう。
《闘将バグザグール》
コスト6でパワー5000と、少し心許ないスペックのクリーチャー。
しかし、バトルゾーンに存在するだけで、全てのクリーチャーが強制的に毎ターン攻撃するという、恐るべき能力を秘めている。
このクリーチャーが居れば、膠着した盤面が突然動き出し、全力の殴り合いに発展する事だろう。
なお、フレイバーテキストに登場する《死皇帝アザガースト》は、ゴーストが出るたびにアンタップされているクリーチャーを破壊するという能力を持っている。
強制攻撃させるとタップされてしまうので、相性は抜群に悪い。
誰か何とかして欲しい。
《破壊王エメラルド・バベル》
自分のハンターが出るたび、相手に《魔龍バベルギヌス》と同じ能力を発揮してくれるクリーチャー。
このデッキに他のハンターは無いため、このクリーチャーが出た時にしか能力は使えないが、この能力も非常に臨機応変に使う事が出来る。
ある時は厄介なクリーチャー除去に、ある時は相手の注目度を高めて隠れ蓑にする、ある時は状況を打開できるカードを墓地から引きずり出すなど、使い方は千変万化。
相手の墓地にクリーチャーが無ければ意味が無いが、同じクリーチャーを出し直すという使い方も出来るので、状況を見極めて使っていこう。
誰かが何とかできるはず。
他にも奇妙なカードが入っているが、ここまで読んだ人であれば、おおよそ使い方は見えてくるだろう。
何度も言うが、このデッキの目的は漁夫の利である。
決して自分の脅威を知らせず、他人同士に争ってもらって、最後には自分が勝つように仕向けるのだ。
では、このデッキの脅威とは?
《「魔力」の極 ダークマター》
自分の墓地から呪文を好きな数選び、その上に置かれるという進化ゼニス。
下に置かれているカードの枚数だけ呪文のコストを軽減できるため、大型の呪文を軽々唱えたり、チャージャー呪文を連打したりできる。
バトルゾーンを離れる際も、エターナル・Ωで下の呪文ごと手札に戻ってくるため、相手にとっては対処も難しいクリーチャーだ。
誰も何とかしてくれないなら、自分で何とかしてやろう。
《「魔力」の極 ダークマター》は、このデッキのフィニッシャーである。
このクリーチャーの下に呪文を溜め込んだら、《ロスト・ソウル》と《魔天降臨》を使い、一気に相手のリソースを刈り取ろう。
その後は、自分はコストを軽減されたチャージャー呪文を連打し、速やかに態勢を立て直す事が可能になっている。
そうしたら、今度こそ自分で戦局を支配して、ゲームを終わらせるのだ。
当然、三人も同時に相手に出来るスタミナは無いので、最低でも一人が脱落した後に動くようにしよう。
弱った二人を倒すくらいなら、このコンボで無理なく可能なはずだ。
その他の採用候補
今回は採用していないが、採用を検討できるカード、他の文明に存在する”他人に任せる”ようなカードを紹介していこう。
さすがに全てを紹介すると長くなるので、これでも一部のカードに限られる。
他にも面白いカードは色々あるので、自分で探してみるのもいいだろう。
《シュトラ》
各プレイヤーは、自身のマナゾーンからカードを1枚手札に戻す、というクリーチャー。
オカルトアンダケインが全盛の時は、パーツの一部として活躍した時期もある。
同じような能力を持つ《フォール・クロウラー》と違い、こちらは四人全員に能力を発揮する事が出来る。
(《フォール・クロウラー》は自分と相手一人に対してしか、能力を発揮できない)
無暗に強力なカードを回収すれば狙われるし、だからといって、このような貴重な機会を利用しない手も無い。
あるいは、戦局を打開するカードをマナから回収する手助けも出来る。
色々な使い方が出来る一枚だ。
《ラグーン・マーメイド》
常時、全員の山札の上のカードが見えるようになるクリーチャー。
対戦相手が次に引くカードが分かるので、そこに強力なフィニッシャーが出てきた場合、それだけで狙われる危機にさらされる。
そうなったら、このクリーチャーをタップして、山札の下に逃がしてやろう。
きっと、狙われていた対戦相手も涙を流して感謝してくれることだろう。
良い事をすると、気分が良いものだ。
《ファントム・ベール》
相手一人のクリーチャー全員に、攻撃を強制させる呪文。
現在はツインパクト化しているので、そちらを採用しても全く問題は無い。
ゲームが停滞したら、これで打開してやろう。
デュエル・マスターズでは攻撃する側の方にリスクがあるため、攻撃せずゲームが停滞する事はよくある。
そうなった時の特効薬として、採用する価値は大いにあるだろう。
厄介なクリーチャーを対処するため、タップさせるカードとしても使う事ができる。覚えておこう。
《傲慢の悪魔龍スペルビア》
自分がゲームに勝てなくなり、相手はゲームに負けなくなるという、ルールを根底から覆してしまう恐るべきクリーチャー。
このクリーチャーが居るだけで、対戦相手の誰もゲームに負ける事が無いため、誰も勝つ事が難しくなってしまう。
負けそうなプレイヤーにとっては救世主となるため、そのようなプレイヤーと協力するために使う事も出来る。
また、有利なプレイヤーには間接的な妨害ともなるため、見かけによらず厄介なクリーチャーなのだ。
勝ったと思ったのに勝っておらず、負けたと思ったのに負けてないなど、奇妙な状況を作り出す事ができる。
《父なる大地》
今回は自然文明を採用していなかったが、採用するなら使えるカード。
使い方は《リアルとデスの大逆転》のような感覚だが、引きずり出すカードをマナゾーンから選べるため、ヒット率は非常に高い。
特に大型のフィニッシャーは序盤にマナに置かれる確率が高いため、相手のフィニッシャーを早期に引きずり出し、全員から狙われるように仕向ける事が出来る。
あるいは、フィニッシャーを出された時、その対処に使えるクリーチャーを引きずり出す事も出来る。
単純に除去にもなるので、かなり便利な一枚だ。
《緑神龍ガミラタール》
相手の手札にあるクリーチャーを踏み倒させてくれるクリーチャー。
強制的に引きずり出す訳では無いので、どちらかというと、手助けに近い。
とはいえ、序盤に強力なクリーチャーを踏み倒させれば、必然的にそのプレイヤーが狙われるため、良い隠れ蓑に出来る。
地味にパワー6000のWブレイカーなので、残しておくと、そのパンチ力がじわじわと響いてくる。
似たようなクリーチャーに《驚天の超人》が居る。
こちらも採用しておくと、更に面白い展開ができるだろう。
これらは、よく”他人任せ”なデッキで使われるカードの、ごく一部に過ぎない。
デュエル・マスターズには、他にも他人をサポートできるようなカードがたくさん存在している。
そんなカードを探してみて、自分なりに面白いと思える使い方をして、デュエパーティーを楽しんでいこう。
終わりに
というわけで、今回はデュエパーティーについての内容と実際に自分が使っているデッキの紹介としてみた。
いつものオリジナルやアドバンスのデッキと違い、勝つ事よりもデッキの動きや目的を強調していく必要があったので、いつもと毛色の違う内容にしてみた。
多人数戦に関しては、10年以上前から続くDMEDHの頃からプレイしている。
※DMEDH:マジック・ザ・ギャザリングの”統率者戦”をデュエル・マスターズに落とし込んだもの。こちらは、超次元ゾーンや超GRゾーンの使用も可能となっている。
そのため、多人数戦で強いカードが何かをある程度は知っていたので、デッキを作る事には、それほど苦労はしていない。
とはいえ、デュエパーティーのルールはDMEDHと違う点もあるし、何より歴史が浅い。
今までの知識や経験がそのまま通用するとは限らないし、多くのプレイヤーが参戦している事で、全く思いつかなかったコンボやデッキを作り上げている人も多く見られる。
同じパートナーであっても、デッキの方向性が全く違ったり、入っているカードが全く違う、などという事は日常茶飯事だ。
何も強さが必要な訳では無い。
何より”楽しい”事が大事なフォーマットなので、参戦してみたい人は、是非とも”楽しい”を大事にしたデッキを組み上げてもらいたいものである。