はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは直近の環境で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は水闇【サガループ】
発売前からセンセーショナルに話題をさらったデッキが、いよいよ実際の環境に解き放たれました。
今回は比較的オーソドックスな構築を取り上げつつ、水闇【サガループ】の動きや各カードの役割について基礎から解説していきたいと思います!
水闇【サガループ】のサンプル構築
水闇【サガループ】ってどんなデッキ?
《絶望神サガ》
文明:水/闇
種族:ゴッド/オリジン
コスト:3
パワー:3000
■このクリーチャーが出た時、または自分のターンのはじめに、カードを1枚引き、自分の手札を1枚捨てる。その後、自分の墓地にクリーチャーが3体以上あれば、コスト5以下のゴッドまたはコスト5以下のオリジンを1体、自分の墓地から出してもよい。そうしたら、このクリーチャーを破壊する。
水闇【サガループ】に採用されるカードについて
1マナでデッキの多色カードを確実にデッキトップに積み込めるサーチ呪文。非常に便利ですが、何かと使い方の難しいカードでもあります。
キーパーツである《絶望神サガ》を持って来られることは言うに及ばず、《龍装者 “JET”レミング/ローレンツ・タイフーン》や《ブラッディ・タイフーン》と言った初動枠にもアクセスできるのが、このカードの非常に大きな利点です。
構築次第では上記のカードだけでなく、《疾封怒闘 キューブリック》や《新世界王の破壊》などのカードをサーチできるようにして更なる役割を持たせるのも一考の余地あり。
特に《疾封怒闘 キューブリック》は汎用性の高いメタ除去手段でありつつ、防御面でも役割を持てるサーチ先です。マナゾーンに水のカードが3枚以上あればという条件はありますが、《エマージェンシー・タイフーン》とこの呪文が同時にS・トリガーした際に、先に《ロスト・ウォーターゲイト》で積み込み→《エマージェンシー・タイフーン》で引いて捨てる、という順序で解決すれば擬似的にバウンストリガーとして運用できるところが面白いですね。
以上のようにうまく使えば用途の広いサーチ呪文ですが、このカードを使うことで手札と山札の非公開領域が1枚ずつ減り、なおかつ山札の一番上が固定されてしまう点には注意しましょう。
基本的には手札に1枚も《絶望神サガ》がない局面で《絶望神サガ》を持ってくれば2枚目へのアクセスが遠のきますし、除去のない手札状況でトップを《絶望神サガ》に固定してしまうとメタクリーチャーを出された際に打開が難しくなります。うまくコンボまで持ち込めないうえに手札まで減った状況でもたつけば、手札の枚数を直接的に増やすことが得意ではない水闇【サガループ】は苦しい展開になりがちです。
逆に、1枚目の《絶望神サガ》を引けていたり、手札の状況が十分に整っていてあとはコンボパーツを持ってくればOK、という状況では非常に頼れるサーチカードです。
この手のデッキトップ固定カードに共通することですが、プレイした後の相手と自分の展開を予測したうえで使うように心がけましょう。
ツインパクト特有の呪文であると同時にクリーチャーでもある2マナルーター群。
これらの呪文を唱えて効果でクリーチャーを1枚捨てれば墓地にクリーチャーが2体用意できるため、《絶望神サガ》の登場時(ターン開始時)能力でクリーチャーをあと1体捨てて合計3体にするのがこのデッキの基本的なコンボ突入ルートです。
コンボデッキでは必要不可欠な序盤の手札調整がそのままコンボの下準備として機能するのが墓地系デッキの強みですが、その中でも2マナのカードを1枚プレイするだけでいい水闇【サガループ】は少々異質。
2ターン目にこれらの手札入れ替えをプレイすればそのまま3ターン目に《絶望神サガ》フィニッシュできるのはもちろん、5マナから2+3でコンボまで入ってしまえる点も非常に強力です。
先述した通りコンボデッキにとっては単純に手札を減らさずにデッキを掘り進めて手札を整える手段というだけでも十分に重宝します。これらのカードが手札リソースの管理が繊細な水闇【サガループ】の根幹を支えていると言っても過言ではないでしょう。
手札から唱える分には両者にそれほど大きな差はありませんが、《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》は上面がこのデッキでは貴重な置きドローソースで、下面にS・トリガーが付いているのが特徴。
《氷牙レオポル・ディーネ公》はこのデッキでは数えるほどしかない「手札の枚数が増える」可能性のあるカード。滅多にある状況ではないものの、メタクリーチャーと除去札のやり取りで消耗戦になった場合には、うまく維持できれば大きく有利を奪えます。
《エマージェンシー・タイフーン》のトリガーはビートダウンデッキ相手に踏ませると準備を一工程スキップしつつ手札の状況を整えられるので、防御面に寄与する場面は限られますがリターンは十分に見込めます。
一方の《龍装者 “JET”レミング/ローレンツ・タイフーン》はほとんど使わない火文明を含む多色カード。このデッキにおいては強い色ではありませんが、多色だからこそ《ロスト・ウォーターゲイト》でデッキトップに積み込めるのは明確な利点です。
デッキトップ3枚から1枚を手札に加え、残りを墓地に置く追加の初動手札調整枠。
このカード自体が呪文かつデッキトップに依存するのでランダム要素を含みますが、クリーチャー2体が墓地に落ちるようにピックすれば《エマージェンシー・タイフーン》などと遜色のない墓地肥やしとして機能します。
墓地肥やしの確実性では劣るものの、山札を掘り進める枚数は3枚と「タイフーン」系よりも1枚多いため、コンボパーツ探しはこちらの方が得手。《ロスト・ウォーターゲイト》で初動をサーチする際にはこちらを選ぶことも多いでしょう。
スペック自体は低くないものの、プレイに水/闇の2色が必要なことに加え、このカード自身が呪文であることから枚数は積みづらいカードです。1〜2枚前後に留めておくのが無難でしょう。
墓地に落ちるだけで山札を1枚掘り進められる墓地コンボデッキの友は、このデッキでも健在。
墓地の枚数が増えることで得をする場面はメインプランの中にはあまりないものの、特定のカード2枚を揃える必要のあるコンボデッキにとっては単純にデッキを掘り進められるだけでも十分以上に有効です。
「《超神星DOOM・ドラゲリオン》のメテオバーンで《一なる部隊 イワシン》を墓地に置き、《水上第九院 シャコガイル》を踏み倒して墓地リセット解決前に《一なる部隊 イワシン》のドローを解決して特殊勝利」という流れは、山札を残り1枚まで掘り切れるデッキでは早くも定番化。
《絶望神サガ》ループで山札の枚数を調整できるこのデッキでも例に漏れず、コンボ成立に貢献しながら最終的にフィニッシュパーツとして活躍できるため無駄が少ない点が嬉しいですね。
気兼ねなくマナに置きやすい水単色は意外と少ないデッキでもあるので、マナ置き要員としても使いやすい点は意識しておきたいです。
久しぶりにデュエル・マスターズに登場した、3ターンでのフィニッシュを現実的に見込めるコンボパーツ。もちろんデッキ名にもなっている、水闇【サガループ】のメインエンジンです。
このカードの強みは何をおいてもその速度と手軽さです。墓地に3体のクリーチャーを要求しますが自分自身が手札入れ替え能力を持っているため、コンボ始動の条件は実質的にクリーチャー2体。始動に必要なカードも《絶望神サガ》2枚のみ、しかも1枚は墓地でも手札でもOKとかなりゆるく、対戦する側が油断すればすぐにコンボに突入されてしまいます。
また、実はバトルゾーンに置いておくだけで相手からすればかなりのプレッシャーになることも特筆すべきでしょう。登場時能力だけでなくターン開始時にもコンボ始動チャンスは訪れますし、そこで揃わずとも毎ターン誘発する手札入れ替えでリソースを調整できます。
放置すればするだけ山札を掘り進められてしまうためどうにか対処したいところですが、バウンスはあまり解決になっておらず、破壊除去でもデッキトップから次の《絶望神サガ》を引かれればどちらにせよコンボに入ってしまうため、なかなかに厄介。
また、サンプル構築には採用されていませんが、《蒼狼の大王 イザナギテラス》をフィーチャーした構築ではコンボが確定していない状況でも《蒼狼の大王 イザナギテラス》を踏み倒してアドバンテージを取りつつ、パーツが揃った場合はそのままコンボにも移行できるギミックが搭載されています。
あまり頻繁に増える種族ではありませんが、コスト5以下のオリジンもしくはゴッドで汎用性の高いカードが登場すれば、ループしなくとも強い動きを押し付けるアプローチも考えられます。
踏み倒しメタ・墓地メタ・登場回数メタとあらゆるメタ要素が刺さる弱点はありますが、それだけの制約を課されてもなお強力と言える、堂々の切り札です。
ギャラクシールドコストでシールドに置いた際にコスト2以下の相手クリーチャーを手札に戻し、次の相手のターン中コスト2以下のクリーチャーが召喚できなくなる状態を付与する特殊なクリーチャー。
主に《若き大長老 アプル》や《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》などの軽量メタクリーチャーを排除して隙を作らせることが最大の役割です。
相手の視点に立つと、特に後手においては3ターンでのフィニッシュを止めるために2ターン目の段階で何らかの対策を打たなければなりません。汎用性なども考えると上記のようなクリーチャーが採用されがちですが、それらに対して《「敬虔なる警官」》は大きくテンポをとっていけます。
水単色もかなり強いため、今後メタの傾向が大きく変わらなければ2〜4枚程度が採用されるカードでしょう。
墓地利用デッキでは定番のメタクリーチャー除去要員。
墓地肥やしを連打すればコスト1〜2ほどまで下げるのはそれほど難しくなく、数値の大きなパワー低下で《ガル・ラガンザーク》のような大型のメタクリーチャーまでテンポよく対応できるのが最大の特徴です。
単純にボードアドバンテージを取りながら出てくる2打点としても効率がよく、《絶望神サガ》によるループが通しづらい場合は墓地の枚数を稼いで打点を通していく展開も期待できます。
下面の呪文も汎用性の高い墓地肥やし&墓地回収で、メインプラン・サブプランともに重宝する優秀なカードです。
水マナを3枚用意できれば、どこからでも墓地に置かれた際に好きなクリーチャー1体をバウンスできる唯一無二のクリーチャー。
サイズを問わず確定で相手を排除できるため、他のカードではどうしようもないような高パワークリーチャーでも対処できる可能性を残せます。
マナの要求がそれなりに高いため毎試合使えるわけではありませんが、1枚採用しておくだけで詰みを回避できる可能性があることから、ぜひデッキに忍ばせておきたいところです。
この枠は思い思いのカードが採用されている自由度の高い枠ですが、今回の記事では《九番目の旧王》をピックアップ。
優秀な範囲パワー低下を持ちつつ、手撃ちも十分視野に入る使い勝手に優れた受けトリガーです。
火単【ブランド】や【オービーメイカー】、火自然【“逆悪襲”】など、メタクリーチャーで水闇【サガループ】をどうにかしようとビートダウンを仕掛けてくる相手に、手札からでもシールドからでも甚大な被害を与えられることが最大の魅力です。
最低限単体へのパワー12000低下モードがあるため、対クリーチャーデッキであれば何らかの形で使用できることがほとんど。多くの場面で役割を持てるところも強みのひとつでしょう。
本デッキにおいてはやや過多気味の闇単色であることは利点も欠点もありますが、クリーチャーでないことはデメリットと言えるでしょう。ただし、現時点でもすでにさまざまなデッキが「【サガループ】を倒そう」と息を巻いており、メタクリーチャーも増加傾向にある状況。多少のデメリットを押してでも採用する価値のあるカードです。
墓地にこのクリーチャーがある状態で手札からカードが捨てられるたびに手札へと舞い戻る、特殊な能力を持ったクリーチャーです。
複数回に渡って水闇【サガループ】の手札を増やす手段の少なさに言及してきた本記事ですが、その例外となるのが《死神覇王 XENERCH》です。このカードが1枚あれば2回に1回、2枚あればグルグルと交互に回すことで毎回墓地回収を発生させて、「引いて捨てる」アクションを実質的にドローへと変換できます。
G・ストライクで最低限の受けになってくれるのも見過ごせないメリットでしょう。
1枚でも道中で墓地に落ちればフィニッシュに必要な手札は確保できるため、サンプル構築では1枚の採用にとどまっています。
手札とマナを1枚任意に入れ替えられるオリジン。
基本的にマナを支払って出すことは考えられておらず、コンボの準備が整ったあとに《絶望神サガ》から踏み倒して闇文明のアンタップマナを一つ作るのが唯一にして最大の大仕事です。
アンタップマナを作る手段はいくつかありますが、《黙示賢者ソルハバキ》のメリットは、単独で、マナ回収を絡めつつアンタップマナを作れる点にあるでしょう。
呪文などを介する他のカードに比べ、仕事をこなせることの利点は大きく、マナを回収できることで序盤の《超神星DOOM・ドラゲリオン》マナ置きが肯定されやすいためプレイの自由度が上がります。
本デッキの中で色マナにならない光はネック。極力早いうちに手札から捨てておきましょう。
《超神星DOOM・ドラゲリオン》、《一なる部隊 イワシン》とセットで運用され、特殊勝利で確実にゲームを終わらせるフィニッシャー。
基本的にはそれ以上でも以下でもなく、コンボの終着点としての役割がほぼ100%です。
ごく稀に、《アプル》の多重展開で蓋をされた場合は頑張って山札を掘り進めつつマナを伸ばし、「カードは墓地を離れない」能力を逆利用して墓地リセットを無視し、次の相手ターン開始時のドローで強引に特殊勝利を狙えるパターンもあることは頭の片隅においておきましょう。
ほとんどの場合はそれより前に相手のリーサルが間に合ってしまいますが、覚えておくに越したことはありません。チャージャーを採用した形であれば狙いやすさアップ。
《絶望神サガ》ループの墓地肥やしから満を持して登場するフィニッシャー。
基本形としては、《絶望神サガ》ループで山札を残り1枚まで削ってから《一なる部隊 イワシン》+《水上第九院 シャコガイル》でフィニッシュするのがメイン。
その一方で、仮に《絶望神サガ》が妨害された場合には十分な墓地肥やしから素直にマナを払って召喚し、メテオバーンの-9000と踏み倒し能力で戦場をコントロールしつつビートダウンを仕掛けていくプランを取れます。
同じく墓地の枚数だけコストが低下して優れたパフォーマンスを発揮する《龍装鬼 オブザ08号》やサンプル構築では採用されていないものの選択肢となる《龍頭星雲人》の存在も合わせて、【墓地ソース】に似たプランで大型クリーチャーを展開し打点を通していけるのが、このカードをフィニッシャーに起用するメリットです。
おわりに
というわけで今回は水闇【サガループ】について解説していきました。
今回紹介した形はかなりまっすぐな構築を紹介いたしましたが、水闇2色の構築の中でも、チャージャーを複数採用してマナと墓地を十分に肥やすことで中盤以降に1ターンで取れるアクションを増やしにいく形や、《蒼狼の大王 イザナギテラス》と極めて相性のいい《冥界の不死帝 ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を多投してトリガーからの対応力を上げた構築などがすでに登場しています。
それ以外にも水/闇/自然の3色で構築された構築や、そのほかのカラーバリエーションも検討されており、まだまだ【サガループ】の輪は広がっていきそうです。
デッキの特徴でも触れた通り、このエンジンの強みは圧倒的な拡張性の広さにあります。墓地肥やしの枚数などを適切に調整すれば、極論《絶望神サガ》4枚とそこから踏み倒すゴッドかオリジンを数枚入れるだけでデッキとして成立してしまうのです。
果たして今後どんな【サガループ】が登場していくのでしょうか……。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした! 記事が面白かったらぜひTwitterでのシェアをお願いします!