はじめに
初めましての方は初めまして、『yk800』です。
このコラムでは、直近で話題となったデッキや筆者である私yk800が個人的に気になったデッキを紹介していきます!
今回の特集は水闇自然【ハンデス】。
殿堂施行前としては最後の公認大型大会となる超CSⅣ宮城を制し、「デッキパワーの細いメタデッキ」としてのイメージを払底したのはわずか数日前のことです。
新殿堂によっていくつかの役割対象となるカードはいなくなってしまったものの、デッキそのものの構造が以前よりも強靭になっているため、まだまだ活躍が予想されるデッキタイプです。
今回はそんな水闇自然【ハンデス】について、基礎から解説していきたいと思います!
水闇自然【ハンデス】のサンプル構築
水闇自然【ハンデス】ってどんなデッキ?
メタクリーチャーの複数展開などで相手の展開を阻害しきったあとには、適宜ハンデスを挟みながら《天災 デドダム》や《Disジルコン》をプレイしてアドバンテージをみるみる稼いでいき、フィニッシュカードへとすばやくアクセス。
最終的に逆転が限りなく困難な状況へと持ち込み、《アクア・ベララー》などで相手のトップを固定した上で《CRYMAX ジャオウガ》を投下。一気に相手のシールドを詰め切って勝利します。
メタクリーチャーでの遅延とハンデスによるリソース奪取戦略を合わせた「メタコントロール」とも呼ぶべきデッキタイプで、相手に合わせた適切な「詰み」盤面の形成が求められるため使用難度はやや高くなっています。
現在のオリジナル環境は手札に複数枚のコンボパーツを要するデッキが多く、であれば大量に積まれた軽量ハンデスによってそれらを容易に揃えられない体勢を作れば大きく時間を稼げるはず、というのが水闇自然【ハンデス】の基礎となるメソッド。
それを支えるのが《飛ベル津バサ「曲通風」》や《若き大長老 アプル》といった新型のメタクリーチャーたちです。
これらのクリーチャーは単なる特定戦術へのメタにとどまらず、「山札の上から数枚を見て、その中から1枚を手札に加える」・「墓地やマナから召喚したり唱えたりできる」現代デュエル・マスターズにおいて一般的になりつつあるテキスト全般に痛打を与えられるのが非常に強力です。
これまでのメタクリーチャーはあくまでも「高速で特定の戦術を用いてくるデッキ」に対して先置きでの牽制ができるカードがほとんどでした。
ですが、新たに登場したこれらのメタクリーチャーは対象が非常に広範囲に及びます。これまではメタクリーチャーの縛りを受けづらかったコントロールデッキやビッグマナデッキさえも、メタクリーチャーに出鼻を挫かれかねないのです。
もちろんこれらのメタ能力がコアギミックに直結するコンボデッキよりは被害が少ないでしょうが、そこにほぼ腐る相手のいない「ハンデス」というギミックが組み合わさることでゲームを制圧する力は乗算式に高まります。
この「相手の選択肢そのものを奪うために刺さらない相手がほぼ存在しない手札破壊」×「特定戦術を用いるコンボデッキを強烈に牽制しながら、リソース確保手段全般を制限するため腐りづらいメタクリーチャー」の強固な体制が、現在の水闇自然【ハンデス】の強さの秘訣だと言えるでしょう。
水闇自然【ハンデス】に採用されるカードについて
バトルゾーンに出してすぐに破壊することで、2マナの呪文のように扱えるハンデスクリーチャーたちです。
即座に墓地へ落ちてくれることを利用して《有象夢造》や《絶望と反魂と滅殺の決断》で何度も復活させては相手の手札を削っていく動きが、このデッキのコンセプトの片翼を担っています。デッキの中核を形成するカードであるため、2種8枚のフル採用が一般的です。
テキストを読み上げるだけになりますが、《悪魔妖精ベラドンナ》はマナブーストの選択肢もついているため、状況次第ではこちらを選ぶことも検討します。
早期にマナを伸ばしておくことで中盤以降に《絶望と反魂と滅殺の決断》などのコストパフォーマンスに優れたカードにアクセスしやすくなるほか、相手の手札を狩り尽くした後にも役割を持てるのは特筆すべき点です。
展開阻害に加えてリソースまで制限できる新世代のメタカードその①。
主な役割対象は墓地・マナ退化系のギミックで用いられる「墓地進化」・「マナ進化」や《絶望と反魂と滅殺の決断》や《生命と大地と轟破の決断》に代表される墓地から唱えられるカード群、墓地・マナからのカード回収やリアニメイトカード全般など、非常に広範。
パッと見た印象では墓地・マナからの踏み倒し制限に意識が向きがちですが、むしろ墓地・マナからの直接的なカードプレイや回収カード系が機能しなくなる点の方が威力は絶大です。
手札外のリソースに対して大きな制限をかけられるため、《若き大長老 アプル》はやはりハンデスとの相性が抜群。このカードと《飛ベル津バサ「曲通風」》を並べて許容される「トップ解決」の範囲が大きく狭められることが、現在の水闇自然【ハンデス】躍進を強く支えています。
《有象夢造》で蘇生できる軽量除去要員。どれだけ大きいクリーチャーであっても単騎で存在する相手はわずか2マナで、確実に持っていけるクリーチャー除去は極めて希少。パワーが8000あるため【グルメ墓地ソース】の《暴走龍 5000GT》もすり抜けて処理できます。
相手が破壊するクリーチャーを選ぶため、選ばれないクリーチャー、特に「ジャストダイバー」を持つクリーチャーにも通る点は大きな強みです。
相手のターン中に《有象夢造》をS・トリガーで唱えた場合は貴重な除去トリガーとしても機能するので覚えておきましょう。《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》に代表される「1体の超巨大なクリーチャーで突っ込んでくる」タイプのデッキには有効なトリガーです。
類似のテキストを持つクリーチャーはサンプル構築には採用されていない《堕魔 ドゥポイズ》を含めて3種類ありますが、いわゆる「墳墓除け」としてこれらのカードを散らして採用するのが一般的です。
これら3枚にほとんど差はありませんが、唯一《コオニ弁天》にはタマシードとのシナジーがあります。複数採用して水闇自然【ハンデス】に採用されることのある《シラズ死鬼の封》の存在をチラつかせることもできますが、ゲームにほとんど影響を及ぼすことはないため好みの範囲でしょう。
自分のクリーチャーを出すたびに相手か自分のデッキトップを操作するアクの強いクリーチャー。相手の手札を枯らし切ったあとに登場して、トップデックによる解決を未然に防ぐのが主な仕事です。
また、《Q.Q.QX./終葬 5.S.D.》をフィニッシャーとして採用した構築においては、横向きの山札を素早く引かせるフィニッシュ補助の役割も果たします。
先述したメタクリーチャー2体との相性が非常に良く、これまで「トップ解決」の許容範囲の広さゆえに《アクア・ベララー》だけではロックしきれなかったところを、《飛ベル津バサ「曲通風」》や《若き大長老 アプル》がリソースを制限することでゆるい基準で相手を半ロック状態に持ち込めてしまいます。
ハンデスの天敵はどこまでいってもトップ解決。それを防げるこのクリーチャーは、現在のハンデスコントロールにおいて欠かせない1枚と言えるでしょう。
言わずと知れた柔軟性おばけ。マナ基盤としても優秀で、序盤中盤終盤に隙のない水/闇/自然デッキのマストアイテムです。
柔軟なリソース獲得札としての役割はもちろんのこと、このデッキでは《SSS級天災 デッドダムド》に侵略して打点要員として機能する点も重要。
繰り返しになりますが、ハンデス戦術最大の敵はトップ解決。相手のドロー回数を極力減らすためにも、時として素早く攻め込むことも必要です。そんな時に、コマンドを持つこのクリーチャーは頼れる2打点として活躍してくれます。
《天災 デドダム》ほどの汎用性はないものの、手札外リソースとして継続的なドローをもたらしてくれる頼れる存在。
ブロッカーを持つため、ビートダウンデッキ相手には優先して立てたいクリーチャーでもあります。
特に墓地から再登場できる性質がさまざまな面でデッキと噛み合っており、《学校男》系の自壊能力に巻き込みやすかったり、《有象夢造》で捨てるカードとしても便利です。
1枚あれば何度も登場できる性質や、ビートダウンデッキの多寡もあってか、現在は《天災 デドダム》4枚と《Disジルコン》2枚の配分が定着してきています。
デッキの準コンセプトカード。このカードの登場が水闇自然【ハンデス】というデッキタイプを成立させたと言っても過言ではないでしょう。
《特攻人形ジェニー》などのハンデスや《飛ベル津バサ「曲通風」》をはじめとする軽量メタクリーチャー、《学校男》系の除去カードなどを自在にリサイクルし、自分の展開を継続的に作っていきます。
ハンデスクリーチャーを2体蘇生してさながら《スケルトン・バイス》として相手のリソースを奪うのはもちろんのことながら、相手のマッハファイターなどに処理されたメタクリーチャーを戦線に復帰させられるのも強力。これによって粘り強くロック体制を継続できます。
純粋に手札1枚の消費で手札調整しながら2面を作れるカードなので、プレイするだけでリソース得ができる、という意味でも極めて強力な1枚です。
コスト4マッハファイターコンビ。
どちらも盤面を取ることに長けており、墓地で闇文明を持つため《絶望と反魂と滅殺の決断》で釣り上げられる点は共通していますが、お互いに違った利点を持っています。
《虹速 ザ・ヴェルデ》はマナから召喚してそのまま《SSS級天災 デッドダムド》に侵略できるため、手札を消費せずに2面以上を同時に処理できる点が何よりの強み。
事実上アドバンテージを損失せずに相手の盤面へ干渉でき、マナの枚数に注意は要するものの単色マナとして序盤に埋めてもさして問題ないのが嬉しいところです。
《魂晶 リゲル-2》はマッハファイターに加えて、極めて汎用性の高いカード回収能力を持つのが大きなセールスポイント。むしろマッハファイターよりそちらの方がメインと言えるかもしれません。
マナに置かざるをえなかった《CRYMAX ジャオウガ》や唱え終わった後の《有象夢造》などを回収してフィニッシュや展開補助に大きく貢献できます。
中盤にマナに置きづらい多色やコストの重さも相まって複数枚ほしいカードではないものの、1枚だけ差しておくと動きの幅が大きく広がります。
手札からキャストして2枚、墓地からキャストして2枚、合わせて最大4枚のアドバンテージ差を生み出す超パワーカードです。
ハンデスはもちろんパワー低下による除去や《天災 デドダム》や《魂晶 リゲル-2》を再利用できるリアニメイトなど、選べるモード全てがデッキと噛み合っており、このカードを素早く使うために最序盤でマナを伸ばすのもやぶさかではないほどです。
単純な強度の高さゆえに、これ以上の説明も特にない圧倒的な1枚。
こちらも説明不要の強力な汎用カード。
主にゲーム終盤、マナからの踏み倒しモードを用いて《魂晶 リゲル-2》や《アクア・ベララー》などにアクセスするのがこのデッキにおける役割です。
水闇自然ハンデスにおいてはあくまで展開を補助するカードに留まり、ゲームの勝利に直結するわけではないため、安易に踏み倒しモードを2回起動するとマナが3枚減って次のターン以降の展開に支障が出るリスクがあります。
1体出せれば十分な場合はもうひとつのモードでマナブーストを選択するなど、後々のアクションを見据えるのが吉です。
王来MAX最終弾のキングマスターカードにして、闇文明を含むデッキ全般で採用されはじめている新世代のフィニッシャー。
登場時に相手と自分のシールドを強制的に3枚まで減らし、自身がT・ブレイカーを持っているためそのままブレイクすれば相手のシールドは0に。このカード1枚で相手のシールドを5枚割り切ってしまえるため、あとは横に居並ぶクリーチャーで詰め切るだけの体勢を7マナ払って召喚するだけで作れます。
登場からフィニッシュまでの速度が非常に早く、相手にトップ解決させる隙を与えないのが最大のメリットで、横にクリーチャー=打点が多く並ぶ水闇自然【ハンデス】の性質とも合致しています。
打点が十分に確保できていれば、あえてT・ブレイクを避けて横のクリーチャーで2回シールドをブレイクしてからこのクリーチャーで攻撃し、シールドブレイクによって増えた手札を捨てさせて相手のリソースを最小化する動きも取りやすくなります。
表向きのカード3枚を生贄とした敗北回避効果も頭数が並ぶこのデッキでは現実的に使いやすく、蘇生カードが豊富なため盤面の維持にも困りません。
総じて、水闇自然【ハンデス】のフィニッシャーとして申し分ない性能だと言えるでしょう。
《天災 デドダム》や《虹速 ザ・ヴェルデ》にどこからでも重なって相手のクリーチャーを除去する盤面処理のプロフェッショナル。
即時的に侵略元となるマッハファイターがそれほど多くないこのデッキでは、出てきたクリーチャーを次々に処理して制圧しきるというよりも、《天災 デドダム》で殴り返しながら複数体を除去したり、先述したようにコマンドの打点を増強したりする役割が強く出ています。
マナでも役割を持てる3色カードということで、色基盤としての優秀さはもはや語るに及ばず。初手に引いたら最優先でマナに置きたいところです。
おわりに
というわけで今回は水闇自然【ハンデス】について紹介していきました。
「カードパワーの低いデッキ」という印象の強かった水闇自然【ハンデス】ですが、メタクリーチャーの進歩によって決して軽視できないデッキになったのだと改めて感じました。とにかく《飛ベル津バサ「曲通風」》と《若き大長老 アプル》が好相性!
殿堂入りが施行された後の新たな環境でも有力視されるデッキです。使う側に回るか、攻略する側に回るか。いずれにしても本記事が何かの参考になれば幸いです。
それでは、また来週お会いしましょう。お相手はyk800でした!