∞の龍
真の無限を求めて
人は誰しも、何かを追い求め続けるものだ。
それは幸せであったり、強さであったり、お金であったり、権力であったり、様々だろう。
デュエル・マスターズに登場するクリーチャーの中にも、何かを求めている存在というものは多い。
しかし、最初から最後まで、求めるものどころか目的すら何も分からないクリーチャーが居た。
《ゲンムエンペラー》だ。
フレイバーテキストを読んだ限り、彼の目的は最後まで分かっていない。
そして、分からないまま、この新DMシリーズは幕を下ろした。
とはいえ、彼は”無”に関係するドラゴンである事は間違いない。もしかしたら、その目的も”無”なのかもしれない。
そんな彼は、無とは真逆ともいえる、無限がモチーフとなったドラゴンである。
無なのかい無限なのかい、どっちなんだい! と言いたいところだが、どちらも紙一重の存在なので、同じようなものなのだろうか。
さて、その《ゲンムエンペラー》だが、ファイナルメモリアルパックにて新たな姿で収録されている。
それが《∞大龍ゲンムエンペラー》だ。
自分の墓地にあるクリーチャー全てにムゲンクライム3(闇)を与えるという、何やら面白い事が出来そうなテキストとなっている。
今回はこのクリーチャーを使って、”無限”へと近づいてみよう。
無限の彼方へ
無限を目指すと言ったものの、果たしてこのクリーチャーで釣り上げるに相応しいクリーチャーとは何だろうか。
せっかくムゲンクライム3という軽い代替コストが与えられるのだから、重量級クリーチャーを出してみたいところである。
重量級クリーチャーで無限に近づけるクリーチャーといえば、真っ先にこの存在が浮かぶだろう。
久遠の闇の神格、《引き裂かれし永劫、エムラクール》だ。
召喚すれば追加ターンを得られ、攻撃するだけで相手に甚大な被害を与える、エルドラージの始祖たる存在。
このクリーチャーをムゲンクライム3で出し続ければ、お手軽な無限ターンの完成である。
とはいえ、無限ターンを得ようとすると、このクリーチャーを即座に墓地に送らなければならない。
そうなるとエターナル・Ωが邪魔をしてくる。本来メリットである能力が、ここではデメリットになってしまうのだ。
無限ターンという理想を捨てて普通に殴るだけでも強いが、やはり理想を追い求めるなら、無限ターンという夢を追いかけてみたいものだ。
それでは他に、ムゲンクライム3で無限にターンを得られる組み合わせは無いのだろうか?
実は、それは身近に存在している。
みんな大好き《勝利龍装クラッシュ”覇道”》である。
自爆して墓地に行き、また墓地から出てくるという、驚異の相性である。
なお、ムゲンクライム3のコストを自身のB.A.D2で軽減できるため、タップするクリーチャーこそ3体必要だが、マナは破格の1マナで済むのである。
たった1マナで墓地とバトルゾーンを反復横跳びする《クラッシュ”覇道”》には、さすがに《ヴェノミック・ハザード》+《ガイアッシュ・カイザー》の組み合わせでも負けを認めざるを得ないだろう。
さて、良い感じにコンセプトが見えてきたが、これはどういったデッキに仕上げるべきなのだろうか。
この2枚を適切に扱えるデッキといえば、真っ先に浮かぶのは【光抜き4cガイアッシュ覇道】である。
コントロール性に優れ、そのうえカウンター能力にも秀でたこのデッキは、すでにオリジナルで活躍した実績もある。
このデッキであれば、難なく《∞大龍ゲンムエンペラー》を搭載する事も可能だろう。
デッキの全体像が見えてきたところで、デッキ制作に手をかけたいところなのだが、ここで私の脳内に語り掛ける声がある。
『週末のCSはアドバンスだ』
なんという事だ。私が週末に控えているCSは、オリジナルではない。アドバンスなのだ。
普段はオリジナルを主戦場としている私だが、さすがにオリジナルのデッキでアドバンス環境を戦うのは、相当な自信が無ければ難しいだろう。
どうしたものだろうか。このギミックを何とか、アドバンスの構築へと落とし込めないものか。
アドバンスといえば先日、クロニクル・ダークサイド・デッキが2種類発売されたばかりである。
その中に搭載されているカードが脳裏にチラつく。
《龍月ドラグ・スザーク》である。
このクリーチャーもムゲンクライム4を持つクリーチャーだが、冷静にコストを見てほしい。
コスト10。すなわち、《ガイアッシュ・カイザー》による軽減が可能なのである。
闇文明の枚数に悩んでいたところに、とんでもないカードが飛び込んできた。
闇文明どころか、水文明の枚数まで補ってしまう。なんてことだ、相性抜群ではないか。
では、形にしてみたらどうなるのだろうか?
早速、確認してみよう。
魔合体したリスト
【メイン】
【超次元ゾーン】
【超GRゾーン】
終わりに
というわけで、最終的にごちゃごちゃした構築になったのが、今回のデッキである。
元々は最初に述べた通り、《∞大龍ゲンムエンペラー》と《勝利龍装クラッシュ”覇道”》をコンセプトにしたドラゴン軸のデッキだったのだが、闇の枚数を調整するうちに、この形に辿り着いてしまった。
ちなみに、《ドラグ・スザーク》に気付いたのは本当に偶然で、他のデッキを触っていたら、いつの間にか合体していただけである。
複数のデッキに手を出していると、時々思いもよらないシナジーが見つかる事もある。
このデッキは、そういう貴重な体験を与えてくれた一つであった。