違和感を感じたら、それは正しいものである
初見のデッキにご用心
地雷デッキばかり使っていると、普通に環境デッキを使っていても、入ってもいないカードすら警戒されることがある。
これは当然で、普段から環境で見ないデッキやカードを使っている人が環境デッキを使っていても、何か裏があるのではないかと疑ってしまうからである。
そういう意味でも私は環境デッキに擬態したデッキというものが好きである。
対戦していると、環境でよく見かけるデッキなのだが、相手は途中から違和感を抱き始めるだろう。
その方面に長けた人が何か違和感を覚えたとするなら、それは往々にして正しいと言われている。
根拠はなくとも、漠然とした違和感を持ったとしたら、過去の経験からもたらされる”警告”なのだ。
今回、あるカードを軸に据えたデッキを作っていった際、まさに”擬態”が完了したデッキが誕生してしまった。
そのカードとはこちら
《グラスパー<チェインレック.Star>》である。
攻撃する時、このクリーチャーから進化出来るコスト6以下のクリーチャーを、マナから踏み倒すという能力を持つクリーチャーだ。
元となった《グレート・グラスパー》と《チェインレックス》は、組み合わせて使われることが非常に多いカードである。
そんな両者が1枚のカードへと手を取り合った姿が、このクリーチャーなのである。
上記2枚はループデッキで使われる組み合わせだが、このカードは残念ながら、ループに用いるには難しそうである。
とはいえ、踏み倒し能力が強力な事に変わりはない。
今回はこのカードを軸に据えた結果誕生したデッキをご紹介しよう。
侵略しない侵略
このカードを初めて見た時に思った事は、攻撃時に踏み倒すという特性上、コスト6以下かつバトルゾーンに出た時に能力をトリガーさせる進化クリーチャーとの組み合わせであった。
これは至って普通な考え方で、このカードを使う上で基本となるだろう。
さて、そんな能力を持ったカードにおいて、組み合わせとして相応しいカードはどれほどあるだろうか。
まず頭に浮かんだのは、究極進化クリーチャーだ。
進化クリーチャーの上に重ねるのだから、どうせなら出しにくい究極進化クリーチャーを踏み倒したい、という事である。
この《ダークネス・ロマノフ》は、バトルゾーンに出た時、相手の手札を見て、その中から2枚を捨てさせるという強力な能力を持っている。
その直後にシールドを2枚ブレイクしてしまうが、些細な問題だ。
と言いたいところだが、やはり相手の手札がプラスマイナス0である事は強さに疑問が残る。
同じく究極進化クリーチャーとして《ケンジ・キングダム》が存在している。
こちらは最近CSで見かける事もある、非常に豪快な踏み倒し能力を携えたクリーチャーだ。
とはいえ、既に最適解ともいえる使い方が確立されており、わざわざ《グラスパー<チェインレック.Star>》で運用する必要があるかどうかは疑問が残る。
確かにマナゾーンに置いておけるというメリットはあるかもしれないが、5コストの進化クリーチャーを使って出すとなると速度的な問題も出てくるだろう。
侵略持ちであったなら、どうだろうか。
この《超獣軍隊ゲリランチャー》は、《グラスパー<チェインレック.Star>》から侵略出来るうえ、能力でマナから出す事も可能という優れた相方である。
出た時の能力こそないものの、相手の反撃を妨害する能力を有しており、除去が乏しいビートダウンにとっては非常に厄介な壁となるだろう。
とはいえ、このクリーチャー自体が現在の環境に対して力を発揮しにくいという事もあり、やはりイマイチである。
侵略持ちと言えば、同じレクスターズにも存在していることを思い出した。
この《キャンベロ<レッゾ.Star>》は、文明こそ違えど、《グラスパー<チェインレック.Star>》から進化出来るクリーチャーである。
侵略という能力こそ活かせないものの、出せば強力無比な能力を有しており、除去されても《グラスパー<チェインレック.Star>》がアンタップして残るという、組み合わせとしては非常に優秀なカードだ。
相手の反撃を阻害しつつ、盤面には打点が残る、そのうえ中途半端な除去を打とうものなら、マナから新たな《キャンベロ<レッゾ.Star>》が繰り出される可能性さえ秘めているのだ。
これを突破するのは、なかなか骨の折れる作業になるだろう。
やはり、火・自然のレクスターズという方向へと持って行った方が良いのか。
そんな風な考えに向かっていた頭の中に、一つの記憶が蘇ってきた。
そういえば、侵略持ちの究極進化が居たような・・・
擬態したデッキリスト
終わりに
既存のデッキに擬態した未知のデッキというものは、相手にしてみると、非常に対処しにくい事がある。
とはいえ、それは、既存のデッキに効果があったプレイングが徒労に終わる場合である。
例えば、墓地ソースに擬態するデッキが墓地メタに弱かったとしたら、相手にしてみれば「凄いギミックが入ってるけど、まあ対処できなくもないか」という印象で終わってしまう事になる。
しかし、もし墓地メタが刺さらないデッキに擬態出来ていたとしたら、事態は全く違うだろう。
相手は最善手を打っているように見えて、実は最善手ではないのだ。
そういうデッキが出来上がったとしたら、それは環境に対して革命的なデッキと言って良いだろう。
何せ、最善手が最善手ではなくなる可能性があるのだから、プレイヤーはその手を改める必要が出てくるからだ。
そうなったら、環境は一歩動き出すだろう。
地雷ビルダーの究極の目標は、環境に一石を投じるデッキを生み出す事にある。
既存のデッキに擬態させるという事は、そのために必要な技術の一つなのである。
今回のデッキは、アナカラーデッドダムドの弱点を克服してるとは言い難いが、相手にとっては思わぬ一撃が飛んでくるという点で、死角を突いたデッキである。
決め手が乏しいデッキと思っている相手にとって、突然飛び出す一撃必殺は、まさに脅威となるだろう。
気付いた時にはもう手遅れ。それこそが、勝利の秘訣なのである。